2010年4月発売
ショパンという、ある意味で“鉄板”の素材を料理するには、このトリオくらいの力量がないとダメってことなんだろう。マルティーノの甘く艶のある音色、幻想的なフレーズは見事にハマっている。いかにも日本人好きする企画なるも、企画性を技術が凌駕し、しまいには圧倒される。
オーストラリア出身のウッド・ベース弾き語りシンガーがNYでレコーディングした2010年作。艶やかさの中に達観がのぞくヴォーカルの個性が活きる「ダーク・アイズ」、気怠さと力強さを行き来する表現に妹リサのバスクラが効果的に絡む「ブラック・コーヒー」、腰の据わったスウィング感が心地よく、ハリー・アレンのソロも聴きどころの「フィーバー」などがいい。
高桑圭のソロ・ユニットの4枚目。70年代を彷彿させるヴィンテージなロックを、すべて一人でレコーディングするという形はこれまでと同じだが、今回はサイケデリックな音作りが目立ち、幻想性の高い仕上がり。よりいっそうディープな表現を成し得たといえる力作だ。
茨城出身の3ピース・バンドの、前作『拝啓。皆さま』(2009年)からおよそ1年ぶりとなるセカンド。変則的なリズムを多用したアカデミックなアレンジはポスト・ロック周辺からの影響を強く感じさせるが、透明な歌声とどこか懐かしいメロは幅広いファンを獲得するのに十分な普遍性を兼ね備えている。
制作・出演
ウォルター・ホワイト / ケニー・ランプトン / ジョン・フェチョック / スコット・ウェンホルト / バーチ・ジョンソン / マンハッタン・ジャズ・オーケストラ / ラリー・ファレル / ルー・ソロフデヴィッド・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・オーケストラの生誕100周年記念のベニー・グッドマン作品集。MJOの結成20周年の節目のアルバムでもある。名曲を題材に再創造を目指すマシューズならではの新鮮な編曲と明瞭なオーケストラ・サウンドで楽しませる。
得意とするフランス音楽に、師である平吉毅州の作品を合わせたアルバム。光彩豊かなピアノの音が作品の魅力をよく引き出している。デュオ演奏の「スペイン狂詩曲」やルトスワフスキはメリハリも利いて、聴き応えも十分だ。ただし、残響過多の録音(一部を除く)は歓迎しない。
忙しい毎日を送る女性にむけてリラックス・ライムを演出するラウンジ・コンピレーション。ゆったりとしたボサ・ノヴァやカヴァー曲のほか、ヨーロッパ音源の楽曲もたっぷりと収録。2枚組でこの低価格なのも嬉しい。
恋と年齢に翻弄される女心を赤裸々にえぐり出した究極の恋愛セレクション集。名作「鼻から牛乳」の新作ライヴ・ヴァージョンで思い切り笑わせ、「哀愁の黒乳首」のセルフ・カヴァーでホロリとさせる。強烈ギャグは、よりブラック&シュールになり、演奏での遊びも楽しい傑作が揃っている。
イギリス人と日本人のハーフを含むヨーク出身の5人組バンド。セルフ・タイトルのファーストから約2年ぶりの本作は、数曲でセルフ・プロデュースにも挑戦した意欲作。ロックとクラシックを融合した美しくも情熱的なサウンドは健在で、ツイン・ヴォーカルのハーモニーもストレートに胸を打つ。
ア・カペラで歌われるイントロからして、彼らのこの曲に対する意気込み、自信が表われている。また、ピアノをメインにしたバックの叙情的なアレンジも、この曲の持つ哀感をぐいと際立たせている。春をテーマとした曲が巷に量産される中、この曲は白眉の仕上がり。アコースティックな「MAMA」の風に吹かれるような風情も粋だ。
インディ界のキワモノ、ロマンポルシェ。の約6年ぶりとなるアルバム。ふざけたタイトルからして彼ららしいが、各ナンバーの歌詞がおもしろさと皮肉と下衆の極みで、彼らにしか成し得ないもの。ニューウェイヴやテクノ・サウンドをあえてチープに響かせてしまうのも狙いだろう。
フジロック出演やオアシスのオープニング・アクトを務めたことで注目を集めるバンドのアルバム。60'sブルース・ロックや90'sブリット・ポップなど、バラエティに富んだサウンドをキャッチーに聴かせる。