2018年7月6日発売
【メンバー】 デズ・ファファーラ(ヴォーカル) マイク・スプリッツァー(ギター) ニール・ティーマン(ギター) ディエゴ・イバーラ(ベース) オースティン・ダモンド(ドラムス)
ノルウェー・ブラック・メタル界の重鎮イモータル、9年ぶりの新作『ノーザン・ケイオス・ゴッズ』をリリース! アバスがいなくなっても心配ご無用。イモータルはこれまで以上にイモータルだ。 ノルウェーのブラック・メタル界を代表するバンドの1つ、イモータル。彼らはブラック・メタルの顔であると同時に、 ブラック・メタルのアイデンティティを逆転することで成功を掴んだバンドと見ることもできる。 イモータルは91年、ベース・ヴォーカルのAbbath、そしてギターのDemonazを中心に結成された。 その母体となったのは、Old FuneralとAmputationというデス・メタル・バンド。 90年代初頭は、ノルウェーでブラック・メタルが大きなムーヴメントとなり、それまでデス・メタルをプレイしていたキッズたちが、 一斉に宗旨変えをした時期。イモータルも、そんなバンド群の1つであった。 デモと7"EPを発表後、新進気鋭のOsmose Productionsと契約。92年に『Diabolical Fullmoon Mysticism』でアルバム・デビューを果たす。 さらに『Pure Holocaust』(93年)の『Battles in the North』(95年)と順調にアルバム発表し、特にヨーロッパにおいて大きな人気を獲得していった。 彼らが多くのファンから支持を得た理由の一端を知りたければ、ぜひ「Grim and Frostbitten Kingdoms」や「Blashyrkh (Mighty Ravendark)」 (いずれも『Battles in the North』収録)あたりのPVを見てほしい。コープスペイント+ガニ股で演奏し、山の中を走り回る姿には、 思わず笑みがこぼれてしまうに違いない。イモータルは、「ブラック・メタル=怖い音楽」という固定観念を、見事にひっくり返したバンドなのだ。 結果、ブラック・メタルという閉鎖的な世界の門戸を、多くの人々に開放したのである!イモータルは、あの悪名高いインナーサークル全盛期に その活動を開始している。Abbathは故Euronymousに感化されブラック・メタルにハマり、またOld FuneralではBurzumのVarg Vikernesとも一緒に プレイをしていたほど。だが、彼らは犯罪行為に手を染めることはしないという、確固たる意志を持っていた。 「犯罪に手を染めないなんて、当たり前だろ!と思われるかもしれない。しかし当時のノルウェーは、「教会に火をつけてこそ一人前、 それができなければニセモノ」なんていう、常識では考えられないような価値観がまかり通る異世界だった。 それまでファンタジーでしかなかった悪魔やアンチ・キリストの世界を、教会を焼き払うことで現実のものとしていたのだ。 ブラック・メタルは本当に危険な音楽でなくてはいけない。それが当時のブラック・メタルのアイデンティティだったわけである。 そんなシーンのど真ん中にいながらにして、イモータルはそのアイデンティティを真っ向から否定。 悪魔を再びファンタジーの世界へと送り返す役割を担ったのだ。彼らのPVを見て、「あんなものはブラック・メタルではない!けしからん!」と 腹を立てたコアなファンもいたことだろう。だが、元来イーヴルであることとユーモラスであることは紙一重。 ブラック・メタルの元祖ヴェノムはそこをよく心得ていたからこそ、悪魔について歌うと同時に、決してユーモアの精神を忘れることはなかった。 イモータルは、EuronymousやBurzumらが「No Fun」と切り捨てた部分を復活させ、原点であるヴェノムへ立ち返ることで多くのファンの心をつかんだのである。 冒頭「イモータルはブラック・メタルのアイデンティティを逆転させた」と書いたが、ヴェノムこそがブラック・メタルの原点であるとするならば、 「イモータルこそ最も正統なブラック・メタルの継承者」ということになるだろう。 【メンバー】 デモナズ(ヴォーカル/ギター) ホルグ(ドラムス) ピーター・テクレン(セッション・ベース)