著者 : あさのあつこ
同心・木暮信次郎×商人・遠野屋清之介ー亡き母の過去を探る信次郎。商いに生きると決めた清之介。事件は、殺された夫婦の驚愕の死に顔から始まった。もっと異形、もっと歪、もっと奇怪。「弥靱」シリーズ第十作目。
ある縁談に秘められた切なる祈り…浅草の油屋、利根屋の娘・お玉と、本所髄一の大店の主人との縁談が持ち上がったが、見合いの前日にお玉は置手紙を残していなくなってしまう。利根屋の命運を賭けて、身代わりとなったのは奉公人・おまい。当日、“えにし屋”を名乗る謎めいた女が現れて、おまいは美しく着飾らせてもらうが、その後もお玉の行方は一向に掴めないままだった…。縁を商いとするひとびとの物語。
16歳の夏、私は彼女に出会った。引っ込み思案な高校生・鈴美の前に現れた、凛とした雰囲気をまとう同級生の比呂。自分と全く違う彼女に圧倒された鈴美は、その背中を追い始める。
人気女性作家による時代小説競演 己の腕で生き抜くおんな職人の矜持 真葛……京都の幕府直轄御薬園で働く女薬師 沙奈……亡き母の仕込みを継ぐ色酢の?造り職人 おりん……木肌の魅力に惹かれ根付職人に弟子入り 蕗……妹と峠の茶屋を切り盛りするそば打ち職人 市子……その身に霊を降ろす「口寄せ」を使う巫女 梅……身体のみならず心の凝りもときほぐす揉み屋 当代の人気女性作家が、己の生きる道を自らの 腕と業で切り開く女性職人の凛々しさを巧みな 筆致で活写した、傑作時代小説アンソロジー。 春雀二羽 澤田瞳子 藍の襷 志川節子 掌中ノ天 奥山景布子 姉妹茶屋 西條奈加 浮かれの蝶 小松エメル おもみいたします あさのあつこ
わたしたちの新たな旅立ちを祝っていただきたいと思う方々をご招待した、ささやかな宴ですー。小さな創作料理のレストランを始めるという泰樹と萌恵の披露宴が始まった。式の前に「大切なものを捨てる結婚はしません」「泰樹とは積み上げていける。捨てるんじゃなくて育てていける」と語った萌恵には、産みの母と育ての母がいた。二人の母の間で揺れ、環境に振り回される自分の存在に苛立ちながら成長した彼女が目指す、本物の夫婦像とは。居合わせた人々が、家族の形や生き方に真摯に向き合おうとする姿を描く、感涙の結婚式小説。
元服の儀を済ませ、名実ともに当主となった林弥は、義姉への告げられない想いを募らせながら、運命の濁流に翻弄される。身分や立場の差を超えて時代を変えようとする少年剣士の友情と成長を描く、傑作青春時代小説。
江戸時代中期、十五万石を超える富裕な石久藩。鳥羽新吾は上士の息子でありながら、藩校から郷校「薫風館」に転学、自由な気風を謳歌していた。その「薫風館」で陰謀が起きる。かつての学友たちが斬殺され、その真相を知った学友だった瀬島が自害。中老である彼の父も罷職となった。真実を知るはずの新吾の父は、事件後何事もなかったかのように妾宅に住み、そして二年が過ぎようとしていた。新吾は元服を迎え、親友の栄太は江戸へ遊学し同じく同輩の弘太郎には嫁取りの話が来ている。ゆっくりと時が進んでいたある日、弘太郎の近所で太刀傷の死体を見たと証言した隠居の老人が事故死する。同時に、弘太郎の許嫁の八千代が不自然に新吾の姓「鳥羽」に対し戦く。そして、突然栄太が謎の理由で帰郷する。かつての陰謀から、再び陰嵐の気配がわき起こる。最も熱い「青春時代小説」! 序 一 年月 二 雷雲 三 風紋 四 風を受ける 五 逆風の中を 六 風雲 七 遥かに遠く 八 日に映えて 九 色なき風に 十 一葉の覚悟
「ぼくはママをころそうと思います」8歳の少年からの殺害予告。「どうしても、あの恋文を見つけたい」往年の大女優からの無茶な依頼。ひょんなことから文通会社ILLで働き始めた元引きこもりの岳彦に届くのは、ワケありの手紙ばかり。いつしか自分自身の言葉を便箋に連ね、難事に向き合っていくー手紙をモチーフに紡がれる6篇。
江戸時代中期、十五万石を超える富裕な石久藩。上士の息子でありながら、鳥羽新吾は藩校から郷校「薫風館」に転学する。母からは強く反対されたが、毎日仲間たちと切磋琢磨しつつ青春を謳歌していた。かつて通った藩校は家格で全ての順列が決まる息苦しい場所だった。ある日、気の強い母を厭い落合町の妾の家に暮らす父が久しぶりに家に戻ってきた。新吾と二人きりになると「薫風館」を探る間者になれと新吾に命じる。「薫風館」の教授陣の中に、藩主の暗殺に関わる陰謀があるという。それは新吾の仲間たちまでも巻き込む嵐の前触れだった! プロローグ 甲子園 一 夏風 二 蒼嵐 三 疾風 四 風巻 五 風雪 風雪(承前) 六 風音 七 凪 八 勝負 九 凱風 十 烈風 十一 風の彼方に 風の彼方に(承前) 十二 風に向かう エピローグ 甲子園
疼く。騒めく。震える。亡き女房と瓜二つの女。五寸釘が首を貫く禍々しい死。欲に呑み込まれていく、商と政。剣呑で厄介な同心・木暮信次郎×刺客の過去をもつ商人・遠野屋清之介。男たちは、どう決着をつけるのか。
「きやぁぁっ」老舗の油問屋で悲鳴が上がる。大店で知られる東海屋の主が変死した。内儀は、夫の口から牡丹の花弁が零れているのを見て失神し、女中と手代は幽霊を見たと証言した。北町奉行所の切れ者同心、木暮信次郎は探索を始めるが、事件はまたも“仇敵”遠野屋清之介に繋がっていく……。肌を焦がす緊張感が全編に溢れる、人気シリーズ待望の第七弾。
竹は女の樹だ。細く、風に容易くしなってしまう。けれど、容易く折れはしないーー。江戸の片隅の竹林を背負った家で、「闇医者」として子堕ろしを行うおゑん。彼女は、ひたむきに信じた愛や、幼き日より育んだ友情を失い、怒り、惑う女たちに助けの手を差しのべる。異国から流れ着き薬草に精通する末音と、情を交わした男に殺されかけた過去を持つ見習いのお春とともに。 いきさつのある女たちの再生を描く、人気シリーズ第二弾。 〈解説〉末國善己 【収録作品】 「竹が鳴く」 「花冷えて」
おれはなんで、こんなに空っぽなんじゃー野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになるが…あさのあつこが故郷・美作を舞台に描く“直球”青春小説。書き下ろし短篇「もう一つの風」を収録。
都会育ちの翠川真緑は兎鍋村のお米の味が忘れられず、産地の喜多川農林高校で国語の教師として働いている。教師歴は一年ちょっと。頼りなくて、生徒に心配される始末。それでも周囲の先生たちや生徒、家主の藤内さん、そして201号に助けてもらいつつ、生徒とせいいっぱい向き合う!
清掃を主とし家事全般を請け負うプロ集団THK(Team・housekeeper)に緊張が走った。作家で常連の那須河闘一から連絡が入ったのだ。那須河はスランプの度に部屋を汚す癖があり、THKを呼ぶ。以前は首を吊ろうとしたことも…。働き始めて半年の主婦の佐伯美菜子は、息をのみ込みドアをたたく。すると「待ってたのよぉっ」と闘一が飛び付いてきて!?綺麗にすれば心も晴れるお掃除小説!
夏の甲子園を逃したさいとう高校は、秋季大会で地区準優勝。まさかの春の選抜大会出場校に選ばれる。しかしエース・勇作は練習そっちのけで家族と温泉旅行へ。喜んで送り出す監督・鈴ちゃんの真意とは?迎えた高二の春、勇作が見た甲子園のマウンドは美しく輝いていた!笑いと感動が止まらない傑作青春小説。
父親の看護のためにアメリカに行った秋本のことを、高校生になった歩は全く気にしていないつもりだったが、やはり心のどこかに引っかかっていた。ある晩秋本の夢を見た。翌朝幼なじみのメグも、『ロミジュリ』サポートメンバーも……。案の定、秋本が帰国する。少し背が伸びて。でも、開口一番仲間たちが語ったのは『ロミジュリ』の再活動。秋本はしかも、高校生の漫才甲子園に出場するのだという。何を勝手に、と反発の言葉を口にしても少しだけホッとする歩だった。もう子どもではない、大人の手前の十六歳。若さに揺らぐ気持ちを笑いと涙で描く、大人気青春小説の書き下ろし、続編登場! 1 すべて世は事も無し 2 油断大敵は金言だった 3 ご用はなんですか 4 これまでとこれから 5 ぼくたちの行方 6 気合と愛と漫才を
中学二年の秋、転校生の歩はクラスメートの秋本に呼び出され、突然の告白を受ける。「おれとつきおうてくれ!」だがしかし、おまえもぼくもれっきとした男だろう! 驚愕のあと嫌悪する歩に、秋本は漫才コンビの話だと言って熱烈アプローチ。全身全霊で断る歩だったが、一方的に秋本のペースに呑まれ折しも秋の文化祭、劇『ロミオとジュリエット』を漫才でやる羽目に……。なんでそんなにぼくに構うんだよ、ぼくなんてこんなにつまらない人間なのに…。歩は前の学校で不登校になり、諍いになった両親の気分を変えようと姉が父をドライブに連れ出して事故死してしまった。遺された母と二人、母の実家近くに引越してきたが、歩の時間は止まっていた。しかし、秋本と出会ってから自分の時計の針が動き出すのを感じていた……。繊細かつユーモラスに描いた青春小説シリーズ第一弾。 おつきあい、発光少女 笑う人、笑わない人 悲劇のロミジュリ ふつうでないこと 未熟な革命 これからのロミジュリ The MANZAI △関係 雨の公園 ゲロゲロ事件 対策本部 情けなさとかっこよさ
漫才劇『ロミオとジュリエット』は学校内外で人気となった。秋本はコンビ続行を熱望し「ロミジュリ」をサポートする仲間との結束も深まる。仲間内で歩が恋した、秋本の幼馴染メグは幼いころから彼が好きで、なぜか猛烈に歩のことをライバル視してくる。複雑な三角関係に悩む歩。やがて受験や卒業シーズンを迎え、みんな一緒に高校に行くのだと信じていた歩たちだったが…。笑いと涙で爽やかに描いた、少年たちの物語。