著者 : あさのあつこ
一ヵ月のお試し入部期間中なのに、初日からいきなりの紅白試合。勇作ははじめての硬球を恐る恐る握りマウンドに立った。小学校以来の女房役・一良と久しぶりにバッテリーを組んだとき、勇作の思いは熱く切なく燃えあがる。不朽の名作『バッテリー』のあさのあつこが放つ、感動と楽しさに溢れる青春野球小説!
「あたし、あの人がこんなにも好きなんだ」太物問屋『あたご屋』の一人娘・お八重はごろつきから助けてくれた“川獺”と名乗る男に想いを寄せている。もう一度逢いたい一心で江戸をさまようお八重は、裏長屋で川獺といた女の死体を発見してしまう。殺していないと言う川獺を信じるお八重は…。恋を知った少女が大人になっていく姿を描いた感動の時代小説。
夏の甲子園地区予選、決勝戦9回の攻防。あと、1人アウトにすれば延長にもつれ込む。と、その瞬間、サヨナラホームランを浴び敗者となった海藤高校の投手直登は、試合後も立ち直れないでいた。そこに、優勝校東祥学園が出場辞退という、意外な報せが届く。「繰り上がりによる甲子園出場」は、どちらのチームにとっても重い結果となって…。少年たちの熱い思いに胸が高鳴る、著者真骨頂の青春野球小説!
失恋の痛手から救ってくれたのはおにぎりの美味しさだった。翠川真緑(通称グリーン・グリーン)はそのお米の味が忘れられず、産地の農林高校で新米教師として新生活をスタートさせた!農業未経験にもかかわらずー。豚が廊下を横切るなんて日常茶飯事だが、真緑にはその豚と会話ができる能力が!?熱心に農業を学ぶ生徒に圧倒されつつも、真緑は大自然の中で彼らとともに成長してゆく。
五千メートルのレースで貢に敗れた碧李。その時、碧李の胸には勝ちたいという新たな衝動が込み上げる。一方、天才ランナー・貢の知られざる過去が明らかに。以前、名門高校に籍を置いていたが、ある事件がきっかけで、一度走ることを諦めていたのだったー。走ることで己と向き合う少年たちの、心の疼きと渇きを描いた人気シリーズ第三弾。
おれが必ず燦に逢わせてやるー遊女に堕ちた身を恥じながらも燦への想いを募らせる篠音に、伊月は誓う。遊里からの帰り道、星月夜に轟く鳥の声に不吉な胸騒ぎがし、城へと急ぐ。正に刺客が薄主・圭寿に放たれていた。その頃、静門院とお吉は田鶴に向かって道を急いでいたが…。文庫オリジナルシリーズ、ついに感動の最終巻!
田鶴藩に戻った燦を不意に襲う、謎の飛礫。それはかつて共に暮らした與次の仕業だった。「今更のこのこ帰りやがって。何もかも遅すぎるんだ!」與次から篠音の身の上を聞いた燦は、ある決意をする。城では圭寿が、藩政の核心を突く質問を伊月の父・伊佐衛門に投げかけていた…。少年たちが闘う、文庫オリジナルシリーズ第七弾。
中学二年から三年に進級した井嶋杏里、市居一馬、里館美穂、前畑久邦の仲良し四人組。高校進学を前にして、それぞれの夢に向かって突き進もうとする四人の前に、新たな壁が立ちはだかる。将来への不安、新しい環境への不安に押し潰されそうになりながら、かけがえのない友だちと家族に支えられ悩みながらも成長する十五歳を描いた、あさのあつこの青春傑作小説。
中学一年の夏に引っ越すことになった井嶋杏里。転校でなじめない中学の校舎で、使われなくなった教室『1-4』に入った杏里は、市居一真と出会う。杏里に出会った一真は、杏里に絵のモデルになって欲しいと頼む。そこから物語は始まったー。杏里、一真、そして、かけがえのない友だちと家族。悩みながらも成長する十四歳を描いた、あさのあつこの青春傑作小説。
すれ違う子供が泣きだすほどの醜男の、愚直な恋のゆくえ(「甚三郎始末記」)。騙されていると知りながら待ち続ける遊女の哀しき運命(「風を待つ」)。自ら始末をつけるべく散り急ぐ男に、残された妻の覚悟を描く表題作など、心に染み通る5篇。四季の彩り溢れる情景と、男女の一途な愛を細やかに綴る傑作時代小説。
四方を中国山地に囲まれた、寂れた温泉町に架かる小さな石橋『かんかん橋』。食堂『ののや』の一人娘真子は、毎日その橋を渡って学校に通っていた。真子と父を残して出て行った母。かつて白無垢をまとい嫁入りしてきた写真館の老女。町を去り愛する人とともに帰ってきた踊り子。誰もが『かんかん橋』を渡る…。小さな食堂を舞台に、精一杯生きる女たちのたくましさ、しなやかさを鮮やかに描き出した、人気作家の傑作長編!
江戸の町、竹林に囲まれたしもた屋で、産んではいけない子どもを孕んだ女たちを受け入れ、子堕ろしを行ってきた「闇医者」のおゑん。彼女の元には、奉公先の若旦那と恋仲になった女中、あやかしの子を孕んだと訴える武家の奥方など、複雑な事情を持つ者たちがやってくる。時代小説の名手がおくる、祈りと再生の物語。
西ブロックに稀な、春の日のような穏やかな一日。NO.6崩壊後にNO.6に留まった紫苑。風のようにさすらうネズミ。そして、紫苑の父の秘密ー。惜しまれつつ完結した物語に、さらなる命を与え、それぞれの生の一瞬を、鮮やかに切り取る。 イヌカシの日々 過去からの歌 紫苑の日々 ネズミの日々
ポストに入っていた一枚のビラ。「家事力、主婦力、主夫力を発揮させましょう」夫と結婚して十五年。家事が、「力」だなんて!美菜子はビラに導かれるようにハウスキーパー事務所を訪れると、いきなり実力を試されることに。そこへ電話が鳴った。常連客で作家の那須河先生が、死ぬしかないほど家がぐちゃぐちゃだという。ユニフォームを渡され美菜子もチームメンバーと共に急いで那須河宅へ!
心に傷を負ったピッチャー・透哉との奇跡の出逢いを経て、全国大会へ向け練習に励むキャッチャー・瑞希。二人は互いを信じ、バッテリーの絆を確かなものにしていくが、ある日チームメイトで幼馴染みの良治が暴力事件を起こしてしまう。駆けつけた瑞希に、良治は野球部を辞めると言い出す。遠征費用で母親に負担をかけたくないと悩む良治に何も言えなくなる瑞希だったがー。熱く胸を打つ少年たちの青春野球小説、第2弾!
手伝ってくれ、燦ー田鶴藩立て直しのため、燦に頭を下げる圭寿。藩の「病巣」かもしれぬ父・伊佐衛門への懸念を伊月が抱く中、闇神波と田鶴藩との繋がりも明らかになっていく。一方、静門院とお吉のふたりの女子は、思いがけない形で三人と深くかかわることになり…。少年たちが羽化する、文庫オリジナルシリーズ第六弾。
嵯浪藩・西野家の一人娘・紀江は小太刀の名手。かつての想い人を忘れられぬまま妻、母となり葛藤を抱えつつも穏やかな日々を送っていた。しかしある朝思いがけずー。過酷な運命を生きる女性が示す一つの夫婦の形を美しい四季と共に描いた傑作時代小説。