著者 : ふすい
あなたに会いたい。今すぐ会ってそれで、それでー。出逢いと別れを紡ぐ奇跡の電車の、感動の短編小説。切なくなったり、愛しくなったり、色彩豊かな宝石の輝きを放つような物語。純涙度100%の青春小説。
北海道の空知総合病院の研修医たちは新年を迎え、新たな気持ちで仕事に励んでいた。彼らは二年間の研修医生活を終えたあと専門科に進むことになるが、進路を決めるべき時が迫っていた。沢井詩織は自分がやりたいことが見つからずにいた。恋人となった同期の朝倉雄介の進路によっては離れ離れになる可能性もあり、将来をどうするか思い悩んでいた。医学に対する自分の熱意が目指す場所を求める感情と、穏やかな私生活を続けたい気持ちの狭間で揺れ動く沢井であったが、がん患者たちと向き合う中で医師としての生き方を模索し始める。朝倉雄介もまた、沢井との生活を続けるための将来を考えていた。貧しい家庭で育った彼は今まで家族の面倒を見るので手いっぱいであったが、それも落ち着き、自分が手に入れたかった幸せに向き合っていく。風見司は仕事にも慣れ、充実した多忙な毎日を送っていた。だが、ある日、担当患者から「どうせ、先生もすぐいなくなるんだろ?」と言われてしまう。多くの医師は頻繁に転勤があるため、仕方ないことと捉えていたが、その言葉をきっかけに自分の果たせる役割や地域医療について考え始める。清水涼子は高度な医療を行う大学病院と、大学とは対照的に終の棲家となる穏やかな療養型病院を巡っていた。いずれも必要な仕事だと理解しつつも、その中で自分の医学に対する興味がどこにあるのか、考え直していた。四人は各々の思いを胸に、医師として、個人としての進路を選んでいく。空知の心地よい春風とともに。
空知総合病院の研修医四人は赴任から半年がたち、慌ただしい研修生活は日常となっていた。朝倉雄介は慣れた様子で救急外来をこなしていたが、ある日、交通事故の重症患者が予期せぬ形で運ばれてくる。現場は混乱しており、連絡がうまくいかずにどう対応すべきだったのかと悩む朝倉に、さらには患者家族とのトラブルが舞い込んでくる。風見司は放射線科を回っている間、自分の知識と技術を磨くことが要求されていた。プロフェッショナルとして自分に足りないこと、そして自分に合った医師としての生き方について考え始める。沢井詩織は緩和ケア科で自分にできることを探していた。指導医の栗本が癌患者たちと向き合う姿は非常に真摯で繊細なものであり、未熟な自分など立ち入る隙がないように思われたからだ。治療を拒否する患者が診察室に入ってきて、沢井は患者の考えに納得ができなかったが…。清水涼子はリハビリテーション科で、パーキンソン病患者と出会う。周囲に対して意固地な態度を取り、家に帰ると頑なに言い張る彼であったが、それには理由があった。清水は医師として患者の疾患を診るだけでなく、個人との向き合い方を考えていく。研修医として医学だけでなくスタッフや患者などさまざまな人との関わりについても学んでいく彼らであるが、年末が近づくにつれて、自分たちの将来についても考え始める。なにもかも手探りの中、四人の将来像は少しずつ形になっていく。空知の大地をともに歩みながら。
安楽死が合法化されている2040年、神奈川県・江ノ島を望む“ラストリゾート”。この場所で死を願う人々と向き合う“人命幇助者”の東峰渚は、かつて自らも安楽死を望んでいた。だからこそ、寄り添える痛みがあると信じたい。あの時の自分を照らしてくれたような、誰かの希望の光になりたいと願っている。それがたとえ、最も許せない人であっても。生きる辛さ、その孤独に優しく寄り添う。SNSで話題を呼んだ『レゾンデートルの祈り』、待望の続編。
北海道の『空知総合病院』で働く研修医四人は、研修開始から三か月がたち、本格的な夏を迎えようとしていた。少しずつ医療現場に慣れつつある彼らであったが、新たな科に配属になるや否や、超緊急帝王切開が必要な妊婦が救急搬送されてくる。母子に命の危機が迫る中、産婦人科医や小児科医たちが必死で母子を救おうとするのに対し、研修医の清水涼子はなすすべもなく立ち尽くすばかり。彼女はなにもできない無力さを痛感し、病院という場所で働く重責を再認識する。小児科に配属された風見司もまた、初日から厳しい出産に立ち会って自分の未熟さに打ちひしがれていた。末っ子の彼は子供にどう対応していいのかわからず、四苦八苦していたが、次第に診察を通して子供に向き合っていく。朝倉雄介は高齢者医療に携わる中、祖母と暮らしていた頃を思い出し、貧しかった昔と、医師として歩み始めた今の自分を見つめ直していた。そんな折、高齢の女性患者の脱走に出くわしてしまう。彼女が向かった場所はー。沢井詩織は人付き合いが苦手ながらも、近頃は患者との対話にも慣れつつあった。しかし一人で患者を回診していたある日、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう。そして夏の終わりに北海道でも新型コロナウイルス感染症が流行し、ついに空知総合病院でも感染者が確認された。四人もコロナ禍で働く現実を実感せずにはいられなかった。
北海道の片田舎にある空知総合病院に四人の研修医が赴任してきた。風見司は工学部の大学院を修了後、医学部に編入した経歴の持ち主であり、病院という環境に慣れずにいた。さらに初日から心肺停止の患者に出くわし、医療現場の厳しさに打ちのめされる。沢井詩織は東京の私立大学医学部を卒業後、実家の医院があるこの地方に戻ってきたが、医師になってから見える景色は違っていた。さらに沢井が幼い頃から父の医院に通っていた患者を担当することになった。朝倉雄介は貧しい母子家庭に生まれ、生活苦の中で医師を目指したが、思い描いていた生活とのギャップにうんざりしていた。清水涼子はかつて祖父母の主治医であったベテラン医師と出会うが、患者の家族として見えた姿と、同じ病院で働く医師として見る今の姿は違っていた。医療現場の過酷な労働環境や医療でできることの限界を目の当たりにするにつれて、彼女は自分の目指す医師像について悩み始める。新米研修医の同期四人は失敗と成長、喜びを分かち合いながら院内を奔走する。二年後に医師として独り立ちすることを夢見て、空知の青空に希望を乗せて。
「あなたも、生きたくても生きられないのでしょうか」 2035年、神奈川県・江ノ島の<ラストリゾート>。 この場所で遠野眞白が出会う人は、誰もが「死にたい」と願っている。 安楽死が合法化された日本。 人命幇助者<アシスター>の眞白は、死に救いを求める人々と正面から向き合う。 暗闇の奥底に微かな「生きたい」があると信じ、希望の光を照らしたい。 もう二度と、あの日の後悔を繰り返さないために。 苦しくても、生きる理由を見つめ直す。 新鋭作家が紡ぎだす、切なくも温かい命の物語。
美術部員の楓と春樹は「骨董屋・眼球堂」で、絹や金銀の糸で織り上げられた1枚のタペストリーを見つけた。それはかつて、春樹が模写したエディス・グレイの絵、そのものだった…。妖精の眼を持つといわれた幻の画家、エディス・グレイ。タペストリーを見つめるうちに、失われていた春樹の記憶が呼び起こされ始め…。
初恋の人ー柳葉美緑と結婚して三年。俺は幸せな生活を送っていた。しかしある日、その幸せは絶望へと反転する。突然襲った病魔が彼女の命を奪ったのだ。彼女を救うため、俺は時間を巻き戻す力を使い、中学生から人生をやり直すことに。ただし副作用として、巻き戻した時間の五倍の寿命が縮められる。それでも、もう一度彼女を幸せにしたかったんだ。だから、だから俺はー。驚愕の結末に涙が止まらない!一途な愛の物語。「カクヨム×魔法のiらんどコンテスト」特別賞受賞作。
ある日、中学生の柚香はデパートの片隅でひっそりと営業する骨董屋を見つけた。眼球にまつわる品ばかりが集められたその店の名は「眼球堂」。柚香は店主から「この店の骨董はどれもみな物語を持っている。君が物語を読み取れたなら、その対価として私は君に健やかな眼球をあげよう」と持ちかけられた。店主の取引きに応じた柚香はまず、平凡な古い人形を手に取るが…。
人付き合いが苦手な朝日英司は、ある特別な思いから図書委員になる。一緒に業務をこなすのは、クラスの人気者で自由奔放な、月ヶ瀬ひかり。遠慮のない彼女に振り回される英司だが、ある時不意に、彼女が抱える秘密を知ってしまう。正反対なのに、同じ心の痛みを持つふたりは、“ある方法”で自分たちの本音を伝えようと立ち上がりー。ラストは圧巻!ひたむきなふたりが辿り着いた結末に、優しさに満ち溢れた奇跡が起こる…!図書室が繋ぐ、愛と再生の物語。
神戸に住む、面倒くさがり屋の女子高生あかりの家の隣に、「自称・魔女」ラーラが引っ越してきた。神秘的な魅力を持ったラーラは、あっという間に古ぼけた屋敷の庭を素敵なハーブ庭園に作り替え、身近な人や訪れる友人たちがかかえる悩みを、魔法の力で解決していく。二人が共有する、ちょっと不思議な物語を、美味しいハーブティーとともに紡ぎます。
村上ひまり、高校二年生。陸上部のエースでチョコが好きな元気な少女。しかしある日、部活中に倒れてしまい、病院で、とある病に侵されていると告げられる。余命は一年。幼馴染みで恋人でもある森恭介を悲しませたくないひまりは病のことを隠して別れを切り出すが、絶対に嫌だと拒否されてしまう。二人は平行線のまま、刻一刻と残された時間は過ぎていきー瑞々しい高校生の愛の奇跡を描く、感動の純愛小説!!!
誰かの未練、それは残された人へ最期に届く、物語。…あなたの未練は、何ですか?人は未練を残したままでは、死んでも天上へと送られることはない。そんな人間達のやり残したことを解消し、魂を無事に送り届けるーそれが“エージェント”の仕事だ。エージェントの劣等生・遊馬は、実習先で超優秀かつ異端の教官・新藤に出会い、一緒に人の生き様に関わり、変わっていく…。失ってから気づいたのは、誰かを想う優しい気持ち。切なく心に響き、けれどどこか温かいピュアストーリー。
裁縫屋の季衣子が作る商品はオリジナル性が高く、人気があった。あるとき、騒音が原因で仕事ができず困っていると、看護師の友人から、長期入院する女性が家の管理人を探しているという話を聞く。早速、引き受け向かうと、そこは湖畔に立つ素敵な洋館で、季衣子が今の仕事を選ぶ契機となった憧れの古いオブジェがあった。なぜここに?と聞く季衣子に、女性は過去を語るが…。女性達が紡ぐ美しい物語。