著者 : アビー・グリーン
見知らぬ夫が愛しているのは、 記憶のかなたの、もう一人の私。 貧しい給仕係サーシャはパーティで大富豪アポロに見初められ、 めくるめく熱い夜を過ごすが、翌朝、事態は一変する。 ギリシアの神のごとく尊大な彼の不興を買い、 部屋から叩きだされたのだ──純潔を捧げたというのに。 数カ月後、彼女は事故に遭い、病院のベッドで目を覚ました。 傍らで見守る男性は夫だという。あれは……アポロ? それ以外のすべての記憶を失ったままサーシャは退院し、 アポロの屋敷へ赴くが、なぜか彼も使用人たちもよそよそしい。 私はほんとうに彼の妻なの? サーシャは不安に身を震わせた。 大スター作家P・ジョーダンを彷彿とさせる作風で人気のA・グリーンが描くのは、ミステリアスなシンデレラロマンス。ヒロインにまつわる秘密のベールが1枚ずつ剥がされていくような展開にぐいぐい引き込まれ、いっき読み間違いなしの逸作です!
スペイン屈指の名門ながら、貧苦にあえぐ一家を救うため、レオノーラは成り上がりの実業家との結婚を決意した。ところが婚約発表の場に一人の妊婦が乱入して、会場は大混乱。呆然とする彼女を救い出したのは、黒い瞳と漆黒の髪を持つ筋骨逞しい美貌の富豪、ガブリエルだった。彼のペントハウスに連れていかれたレオノーラは、ガブリエルに心を奪われ、一夜限りと決めて純潔を捧げる。その2日後、彼にプロポーズされ、レオノーラは動転した。「きみの家を救う代わりに、ぼくの跡継ぎを産んでほしい」
「待って!わたし、妊娠しているの。あなたの子よ」ラザロの婚約披露パーティの会場で、スカイは思わず口走った。アイルランドでウエイトレスをしていた彼女は、客として訪れたゴージャスなラザロの誘いを拒めず、熱い夜を過ごした。彼がスペインの富豪と知って驚いたが、忘れるつもりだった。一夜の夢だと。けれど想定外の妊娠がわかり、自分のように父親の名も知らない子にするに忍びなく、ここへ来たのだ。「これはいったい、なんのゲームだ?」晴れの舞台を台なしにされ激怒する彼。スカイは震えだした。
亡夫の埋葬を終えた直後、ララは車で連れ去られた。驚いたことに、運転していたのは元恋人の富豪チーロだった。2年前、結婚間近の二人は借金まみれのララのおじに誘拐され、怪我をしたチーロをかばってララは許しを乞うが、おじは非情にも名家の老当主に姪を花嫁として売り渡したのだ。「僕は妻を必要としている。2年前の約束を果たしてもらおう」あまりに冷たいチーロの求婚に、ララは身を震わせた。真相を知らない彼は、いまも私を恨んでいるのだ。ララは結婚を承諾したー黒衣の下の純潔を隠したまま。
ローアンは、金融界の大物イサンドロと政略結婚で結ばれた。イサンドロにとっては便宜的な結婚でも、ローアンは彼を愛していた。やがてローアンは妊娠し、かわいい男の子を出産したが、わずか数時間後、彼女はメモだけ残し、ひとり病院をあとにした。実は、ローアンは病に冒されていた。もう長くないと悟った彼女は、大切な跡継ぎの体に害が及ばぬよう、いっさいの治療を拒否し、母親を失うつらさを息子に味わわせないよう、身を引いたのだった。なにより、夫への愛を、最期の瞬間まで隠し通せる自信がなかった。2年後、ローアンは奇跡的な回復を遂げた。息子に会いたいーだがその願いが叶う前に、怒りに燃えた夫との再会が待っていた。
高級百貨店のショーウィンドウの飾りつけをしていたイーディはある日、こちらをじっと見つめる男性の姿に気づいた。4年前、彼に心奪われ、勇気を振り絞って話しかけた彼女を、君に用はないと追い払った、銀行家セヴァスティオだった。その彼が泊まり込みで自宅を飾りつけてほしいと依頼してきた。彼とひとつ屋根の下、実らぬ恋と承知で、今を精一杯生きたくて純潔を捧げたイーディ。だがやがて妊娠に気づき、愕然とする。結婚願望のない彼に、お腹の子の存在を打ち明けたら、きっと私はこの子も彼も、同時に失ってしまう…。
イタリア富豪ジャンニ・デルッカとの政略結婚か、勘当かーキーリンは苦しい選択を迫られていた。傾きかけた父の会社を救うには、ほかに道はない。でも、愛のない結婚なんて、あまりに悲しい…。どうしたら彼のほうから破談にしてもらえるかしら?キーリンは知恵を絞ったすえ、その日からジャンニと会う日だけ、着慣れない挑発的なドレス姿で、彼に嫌われようと努力を重ねた。なのに、いくら富豪の未来の妻にふさわしくない言動をとっても、ジャンニはハンサムな顔に蠱惑の笑みを浮かべるだけだった。そして、ついに結婚式当日を迎える。本当はバージンだと彼に打ち明けられぬまま。
生まれ育った古城を銀行に没収されたら、私に居場所はない。亡き両親が遺した莫大な借金を前に、キアラは呆然としていた。そこへイタリア屈指の富豪ニコが現れ、城は彼の一族のもの、当然返してもらうと声高に主張して、こう付け加えた。「君がここに住み続けたければ、僕と結婚するしかない」便宜結婚さえ受け入れたら、すべては丸く収まるの?すがる思いで承諾したキアラだったが、初夜に誘惑の罠に落ち、純潔を捧げた翌朝、彼の冷酷な企みに怯えて城を逃げだした。5カ月後、彼女はウェイトレスとして働いていた。身重の体で。天涯孤独で生家までも失いかけているヒロイン。ヒーローの真の狙いが、後継ぎをもうけることだけだと気づくも、時すでに遅く…。スター作家が描く、激情ロマンス。
ジプシーは最初、なにが起こったのかわからなかった。 ウェイトレスとして働くレストランで、突然誰かに腕をつかまれ、 文句を言いかけた彼女は、見覚えのあるグレーの瞳に釘づけになった。 この2年間、夢に現れつづけてきた男性、リコが目の前にいる。 あの夜、二人はお互いしか目に入らないほど惹かれ合い、 すばらしく濃密な時間を過ごした。だが朝がくると彼は姿を消し、 ジプシーはその理由をテレビで知った。 リコの正体は世界的に有名な大物実業家で、亡き父の天敵だった。 今度は私が逃げる番だわ。 あの夜に授かった、娘ローラの存在を隠し通すためにも! 過酷な運命に翻弄されるヒーローとヒロインの激しい愛を描き、一躍ハーレクインのスター作家となった、アビー・グリーン。大御所リン・グレアムと友人同士という彼女のドラマティックな逸作をお贈りします。好評を博した『十八歳の許嫁』の関連作。
横領を疑われ、行方知れずとなった兄を救う手がかりを求め、ネッサは夜中に兄の勤務先に忍びこんだ。だがあえなくオーナーである大富豪リュックに捕まってしまう。「警察に通報しない代わりに、本人が出頭するまで無給で働け。いわばきみは借金の担保だ。ぼくの好き勝手にできる」奴隷にでもなれというの?ネッサは震えあがったが、刑務所行きよりはましだと思い、非情なボスの下で働き始める。互いへの警戒心はやがて性的緊張へと変わり、ついにある晩、ネッサは誘惑に屈して身を捧げた。燃えあがるまま、無防備に。
初めて無上の喜びを知った日、 捨てられる運命におびえた。 母に育児放棄され、誰にも心を開かず生きてきたシャーロット。 ある日、仕事でタバトの次期国王サリムと出会い、 セクシーなオーラを漲らせた彼に一目で心奪われた。 だが彼は美しい唇を歪め、冴えない彼女を冷笑しただけだった。 だからパーティの日の朝、部屋に届いたドレスを見て戸惑った。 サリムが私に? きっと私をからかっているんだわ。 地味な服で出席したのに、気づけば彼の腕の中にいた。 強引で熱烈なキスを受けて、初めて感じた熱い疼き。 ああ、捨てられるとわかっていて恋におちるなんて……。 砂漠で砂嵐に見舞われ、テントでヒーローと二人きりで夜を明かすことになったヒロイン。悪名高き億万長者プレイボーイの誘惑の魔手から逃れるすべなどあるはずもなく……。尊大なヒーローを描いて大人気、A・グリーンの『孤高の王のあやまち』の関連作です。
こんな結婚、やっぱり私にはできない!誓いの言葉を交わす寸前になって、花嫁のアニーサは逃げだした。婚約者がじつは同性愛者で、それをカムフラージュするためにアニーサをだまして縁談を進めていたと、式の直前にわかったのだ。ウエディングドレスを着たままホテルのエレベーターに乗りこんだ彼女は最上階の豪華なペントハウスで、見知らぬ男性とでくわした。本当はこの人のような男性と、情熱的に結ばれたかった…。彼の青い瞳に誘われて、アニーサは彼と一夜をともにする。彼がそのホテルのオーナー、セバスチャン・ウルフだと知るのは、数週間が過ぎ、お腹に宿した子の父親を捜しているときのことー
小さなレストランで忙しく立ち働くカットの前に場違いなほど洗練された男性が現れ、彼女は思わず息をのんだ。元恋人のザフィールが、いまや国王となった彼の外交訪問に国宝のダイヤを身につけて同行する仕事を依頼しに来たのだった。すでにモデルを辞めた私に、そんな大役を果たせるはずがない。でもその報酬で経営難のリハビリセンターを救えるとしたら…。かつて自分を絶望の淵から引きあげてくれた人たちに恩返しをしたい一人で、カットはザフィールの依頼を引き受けた。彼と別れた直後に片脚を失った事実を、精巧な義肢で覆い隠して。
イゾベルが初めて彼に会ったのは、18歳の誕生日だった。 ラファエル・ロメローー傲慢で冷酷な大金持ちの若き実業家。 彼こそは、イゾベルがまだ8歳のときに決められた許嫁なのだ。 ラファエルの支援がなければ、彼女の家は破産の憂き目に遭う。 「あなたと結婚するくらいなら、死んだほうがましよ!」 爪を立てる仔猫さながら言い放ったイゾベルを、あろうことか ラファエルは抱き寄せて濃厚なキスをし、再会を約束した。 3年後、パリ。実家を出たイゾベルは貧しくも自由に暮らしていたが、 21歳の誕生日の夜、彼は現れたーー妻を迎えに来たと言って。 忘れもしないあのキスが、戦慄となってイゾベルの体を駆け抜けた。 アビー・グリーンの描くラテンロマンスは、まるでタンゴのリズムのように熱く激しく、速いテンポで読者を虜にします。「政略結婚なんかいや!」と抗うヒロインですが、心はあの18の夜、若く傲慢な富豪に既に奪われていて……。初恋と愛なき結婚の物語です。
「弟を破滅させた君と、僕は結婚しようと考えている」義兄クルスの蔑むような眼差しに、トリニティは凍りついた。2年前、スペイン大富豪である彼のメイドだったトリニティは彼の異母弟リオから、息子たちの世話をしてくれと頼まれた。双子の惨状を見かねて自堕落なリオと便宜上の結婚をしたが、いま名ばかりの夫は急死し、彼女が双子の後見人となった。彼は私が弟をたぶらかしたと信じ、悪女を監視する気なのだ…。愛する双子を奪われたくない一心で、彼女はクルスに従った。千々な乱れる胸の奥で、彼への恋心をもてあましながら。
パリにあるレイラの香水店に、驚くべき客が訪れた。さる国の王で、稀代のプレイボーイとして有名なアリックスだ。愛人へ贈る香水を買いにきたようだが、彼がレイラに留めた目は、どんなに疎い女でもそれとわかるほど情熱的な光を帯びている。そして翌日から、アリックスの怒涛の誘惑が始まった。高価なドレス、ディナー、プライベートジェットでベネチア旅行ーオペラ鑑賞後の夢のような夜、レイラはついに彼に身を委ねた。めくるめくような愛の手ほどきに、初めて内気な殻を破った。アリックスが秘かに進める、後ろ暗い計画など知りもせずに。
オーラの父が経営するホテルは業績が悪化し、〈チャッツフィールド〉による買収が進められていた。交渉のためには相手をよく知っておかなければ。そう考えたオーラはチャッツフィールド・ロンドンに滞在し、夜更けに一人、ホテルのバーを訪れた。だがそこで、彼女は憂いを帯びたセクシーな男性に魅了され、彼に誘惑されるまま、熱い一夜を過ごしてしまう。数時間後、オーラは買収交渉の席で、思いがけず彼と再会する。アントニオ・チャッツフィールド? 私は“敵”に体を許してしまった。狼狽するオーラを見つめる彼の目の奥には、まだ炎がくすぶっ
シドニーの心と体には、何かおかしなことが起こっていた。隣に座ったアレクシオが、あまりにハンサムで、すてきすぎたからだ。今、自分が利用している航空会社の経営者がどうしてここに?しかも、もっと信じられないのは、彼から夕食に誘われたことだ。世界じゅうの美女が結婚したくて追いかけるような男性が、なぜ野暮ったい格好をして、眼鏡までかけている私を?夜明けがきたら、さっさと捨てられるに決まっているわ。待って。食事に誘われただけで、なぜそれ以上のことを想像しているの?アレクシオがシドニーの体に視線をやり、セクシーな笑みを浮かべる。その表情は、ディナー以外の目的があると雄弁に物語っていた…。
ヴァレンティーナは、幼いころからずっと、兄の親友でシチリア名家の御曹司、ジオ・コレッティに夢中だった。彼の所有する馬から落ちた兄が、不慮の死を遂げるまでは…。ジオへの愛と、兄を失った深い悲しみに引き裂かれ、心のやり場を失くしたヴァレンティーナは、ひたすらジオを憎悪した。7年後。ヴァレンティーナはコレッティ家主催のパーティーで、年齢を重ね、いちだんとゴージャスさを増したジオと再会する。「あなたの顔なんか見たくもないわ!」震える声で突き放したが、ジオはふたりの間に飛び散る火花を見て見ぬふりはしなかった。「ぼくに惹かれる自分を恨むな。憎むなら、ぼくを憎め」そう言うと、ジオはヴァレンティーナに激しく口づけた。豪華作家競作8部作。第3話。最愛の人の死を境に、互いへの想いを封じたふたり。思いがけず再会したあとの、切なく狂おしい愛の軌跡。