著者 : スティーヴン・キング
妊婦ら四人を殺害した兇悪粗暴な男ウォートンは死刑囚舎房にやってくるなり看守のひとりを殺しかけた。看守主任を務めるポールは、その日持病の尿路感染症が悪化し、激痛に苦しんでいたのだが、なんとか騒ぎを鎮めた。その後、いつもおとなしい大男の死刑囚コーフィが、なぜか懇願するようにポールを独居房内に呼び入れ、下腹部に手を触れてきた。そして次の瞬間、奇跡が起きた…。
死刑囚舎房の夏は、インディアン系囚人の処刑で始まった。その頃「グリーン・マイル」には不思議な鼠があらわれた。食べ物をやると神妙な態度で床にちょこんと座って食べ、糸巻きを相手にサーカスさながらの芸当をやる、驚くほど知性的な鼠だった。6人の人間を生きながら焼き殺した囚人ドラクロアが、この鼠の飼い主となったのだがー最悪の地獄がいま、始まろうとしていた…。
時は1932年、舞台はアメリカ南部のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房。この刑務所で死刑囚が電気椅子にたどりつくまでに歩く通路は、床が緑のリノリウムであることから、通称「グリーン・マイル」と呼ばれている。ここで起こった驚くべき出来事とは?そして電気椅子の真の恐ろしさとは?毎月1冊ずつ全6巻の分冊で刊行され、全米を熱狂させた超ベストセラー待望の第1巻。
人間の飽くなき想像力が生み出した“ホラー”という暗黒の迷路。『フランケンシュタイン』『サイコ』『ゾンビ』『キャリー』『エイリアン』…古典・現代を問わず、あらゆるメディアにまたがって数多くの作品を一挙紹介。豊富な知識で語る案内人は、巨匠スティーヴン・キング。戦慄と恐怖の調べの中「死の舞踏」が今始まる。
売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。血なまぐさい犯罪小説を書く、ジョージ・スタークなるベストセラー作家の顔が。本来の自分の仕事に専念したくなったサドはある日、すべてを公表し、ペンネームを葬り去ることにする。それがどんな悪夢の幕開けになるかも知らずに…。
凄惨な殺人現場に残されていたのは、そこにいるはずのない自分の指紋と血で書かれたメッセージ。容疑がかかるサドに“影の半身”の復讐の手が徐々にしのび寄る。対決の日、何か強烈な力に呼び起されたかのように、おびただしいスズメの群れが辺り一面を覆いつくした。作家と抹殺されまいとするペンネームの壮絶な戦い。
デリーに近づくにつれ、消されていた記憶の細部が甦る。洪水のあと、紙の小舟を浮かべに行ったジョージィの黄色いレインコート。血染めのレインコート。〈荒れ地〉の小川につくったダム。記念公園の給水塔。廃工場の大煙突。そこから現れた怪鳥。狼男。そして風船を持ったピエロ…あの、1958年の夏、子供たちがずいぶん消えた。
精神病院のベッドで、男がむっくり身を起こし、月からの邪悪な声に耳を傾ける。町に戻った〈はみだしクラブ〉の面々を迎えたのは、チャイニーズ・レストランの怪、夜の図書館に出現したピエロ、などだった。いまデリーでは、あらゆる狂気が目をさました。それに対抗するには、みんなの記憶を繋ぎあわせ、ひとつの力とすることだ。
二十七年前、一度七人はITと対決した、銀のばら玉を武器に。いや、それ以上の武器は、七人の友愛と勇気で結んだ“環”だった。そのときの“約束”にしたがって、彼らはいまここにいる。欠けた“環”を結びなおして、いま一度、ITと向かい合うのだ。町の下を、ITの棲み処めざして這い進む。デリーに新しいことが起こるのを信じつつ。
莫大な賭博の借金を返すため、子供の人身売買に手を染めた男ー。だが、今回誘拐した子供は勝手が違った。人間ではない子供を誘拐してしまった男の破滅を描くキングの「ポプシー」。ベトナムで地獄を見た男の脳裏に焼きつく悪夢が実体化し、現実世界を戦場に変えてしまう、マキャモン「夜襲部隊」。その他に、ブロック、キャンベルなどモダンホラーの精鋭22人による戦慄の饗宴。
スカイマスター337。アメリカの地方小空港を転々とするそのセスナ機は、飛び立ったあと必ず死体を残してゆくー一滴残らず血を抜かれた死体を。スティーブン・キングが現代の吸血鬼テーマに挑む表題作。過去に秘めた恐怖が母親の死とともに蘇える、クライヴ・バーカー「魔物の棲む路」。その他、ストラウブ、マレル、キャンベルなど、モダンホラーの神髄を結集する戦慄の全13編。
都会の競争社会を嫌ってメイン州の美しく小さな町に越してきた、若い夫婦と二人の子どもの一家。だが、家の前の道路は大型トラックがわがもの顔に走り抜け、輪禍にあう犬や猫のために〈ペットの共同墓地〉があった。しかも、その奥の山中にはおぞましくも…。「あまりの恐ろしさに発表が見あわせられた」とも言われた話題作。
猫のチャーチがひょっこり戻ってきた。腐った土のにおいをさせて、森の奥から戻ってきた。ならば、愛する息子ゲージが帰ってきてもいいではないか!愛していればこそ呪われた力まで借りようとする人間の哀しさ。モダン・ホラーの第一人者S・キングが“死”を真っ向から描ききった、恐ろしくも哀切きわまりない“愛”の物語。
近未来のアメリカ。そこでは選抜された十四歳から十六歳までの少年100人を集めて毎年五月に〈ロングウォーク〉という競技が行われていた。アメリカ・カナダの国境から出発し、コース上をただひたすら南へ歩くだけという単純な競技だ。だが、歩行速度が時速四マイル以下になると警告を受け、一時間に三回以上警告を受けると射殺される。この競技にはゴールはない。最後の一人になるまで、つまり九九人が殺されるまで、昼も夜もなく競技はつづくのだ。体力と精神力の限界と闘いながら、少年たちは一人また一人と脱落し、射殺されていく。彼らは歩きながら、境遇を語り、冗談を交わし、おたがいを励ましあう。この絶望的な極限状況で最後まで生き残るのははたして誰なのかー。死と直面する少年たちの苦闘を描いた、鬼才キングの問題作、ついに登場。
〈二年前のことだ。そのころから、ぼくのあたまはおかしくなり始めたー〉ぼくの名前はチャーリー・デッカー。プレイサーヴィル・ハイスクールの最上級生だ。ぼくは、代数のアンダーウッド先生と、歴史のヴァンス先生を父のピストルで射殺した。あっという間のできごとだった。しかし、だれもいまおこっていることを信じられない。警官隊がやってきてぼくたちを遠巻きに包囲している。ぼくとクラスメートたちは日常世界から切り離された世界に漂いだした。まるで白日夢のような、しかし緊迫した時間がながれていく。五月のある晴れた一日、教室で一体なにがおこったのか?モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングが高校生の不安定な心の世界を、同世代の視点からあざやかに描いた、異色の青春サスペンス小説。
トッドは明るい性格の頭の良い高校生だった。ある日、古い印刷物で見たことのあるナチ戦犯の顔を街で見つけた。昔話を聞くため老人に近づいたトッドの人生は、それから大きく狂い…。不気味な2人の交遊を描く「ゴールデンボーイ」。30年かかってついに脱獄に成功した男の話「刑務所のリタ・ヘイワース」の2編を収録する。キング中毒の方、及びその志願者たちに贈る、推薦の1冊。
痩せてゆく。食べても食べても痩せてゆく。老婆を轢き殺した男とその裁判の担当判事と警察署長の3人に、ジプシーの呪いがつきまとう。痩せるばかりではない、鱗、吹出物、膿…じわじわと人体を襲い蝕む想像を絶した恐怖を、モダン・ホラーの第一人者スティーヴン・キングが別名義のもとに、驚嘆すべき筆力で描きつくした傑作。
〈負け犬〉のアーニーは17歳、唯一他人より優れているのは車の整備だけだった。そのアーニーが路傍にセールの札をつけて置いてあったオンボロ車に一目惚れしてしまった。両親の大反対を押し切り、バイトで稼いだ金を注ぎこんで、アーニーはこの車を手に入れた。赤と白に塗り分けた’58年型プリマス・フューリー。名はクリスティーン、だがクリスティーンはただの車ではなかった。