著者 : ベティ・ニールズ
ジュリーが秘書を務める教授が退官することになり、新しいボスとして、世界的権威のオランダ人医師シモンがやってきた。女性なら誰もが夢みる長身で魅力的な姿にときめくジュリーだったが、彼は仕事に一途で何かにつけ厳しい態度で接してくる。その冷たさと、たまに見せる笑顔との落差に戸惑いながらも、ボスの要求に応えようと、ジュリーは懸命に働いた。あるとき、オランダ出張への同行を命じられた彼女は、不安と同時に密かな喜びを感じた。ボスと二人きりになるなんて!ところがそこで、彼が若い女性を抱き寄せるのを目撃してしまい、ジュリーの淡い恋心ははかなく散るのだった…。
看護師エロイーズとティモンの出逢いは、一風変わっていた。エロイーズが階段で派手に転んだ際、持っていたパイナップルをティモンにぶつけてしまったのだ。驚いたことに、彼はつぶれたパイナップルの代わりにと、たくさんのフルーツを贈ってくれた。もう会うこともない相手とはいえ、エロイーズの心はときめいた。ところが思いがけず、彼女は友人の家でティモンと再会する。彼は裕福で家柄もよく、とても優秀な医師だった。私なんてお呼びじゃない。彼とは住む世界が違いすぎるわ。でも、そっと見つめているだけなら、許されるはず…。
年老いた両親と暮らす22歳のセリーンは、ある日、父が密かに投資に失敗して家計が苦しいと気づいた。自宅の屋敷で宿泊業を営むことを思いついた彼女は、一日中働いて部屋を磨き上げ、夜は疲れきってベッドに突っ伏した。そんな努力の甲斐あって、仕事が軌道に乗り始めた頃、客の老紳士が突然、体調を崩して倒れてしまい、彼の甥で医師のオリヴァーが呼ばれることになった。老紳士の息子によると、オリヴァーは退屈で我慢ならない男だという。翌日、白髪交じりの魅力的なオリヴァーが高級車に乗って颯爽と現れた。噂と違って親切な彼に、セリーンは思わず胸をときめかせるが…。
若き看護師長レイチェルは仕事熱心で、充実した毎日を送っている。ただ、自分勝手なボーイフレンドに振り回されるのが悩みだ。そんな彼女を見て、上司のファン・トゥーレ教授が助言をくれた。「彼が望む女性になろうとせずに、そのままの君でいなさい」胸を打たれたレイチェルはいつしか教授を意識するようになり、ボーイフレンドと会っていても、思わず教授と比べてしまうのだった。彼の下で働き始めて2年、有能な外科医として尊敬してはいたが、彼がどこに住み、どんな暮らしをしているのかさえ知らなかった。今まで気づいていなかったけれど、教授はいつも私を見守ってくれていた。でも、それはなぜ…?
イギリスで看護師として働くラヴィニアの夢は、両親亡きあと伯母に引き取られた妹と、また一緒に暮らすこと。自分たち姉妹につらく当たる伯母と早く縁を切りたいのだ。ラヴィニアは思いきって、好条件で働けるオランダに渡った。妹を残してきたのは心配だけれど、落ち着いたらこちらに呼び寄せよう。新しい勤務先には、病理学の権威テル・バフィンク教授がいた。端整な容貌と優しい人柄で、女性たちの憧れの的だ。そんな教授から食事に誘われ、ラヴィニアは天にも昇る思いだったが、やがて「結婚しないか?」と言われて戸惑う。彼が望むのは、恋愛感情を交えない便宜的な友情結婚だったから…。
エマは口うるさい雇い主の秘書をしながら、病弱な母の面倒を見、わずかな給金と母の年金で質素に暮らしている。そんな彼女が今いちばん気になっているのは、雇い主のもとに往診に来た魅力的な外科医のワイアット医師。かなり年上だけれど、なんて優しくてすてきな男性なんでしょう!遠出中にエマの母が発作で倒れたときも、一命を取り留めたのは、たまたま会った彼が病院に運び込んで手術をしてくれたからだった。しかし退院して1カ月以上経った頃、母はとうとう帰らぬ人となる。たった一人の肉親を失ったエマのもとに、ワイアット医師が現れ、思いがけない提案をした。「僕と結婚してくれないか?」
看護師のハリエットは、休暇でオランダの友人宅を訪ねた。色鮮やかな花々にあふれる早春のオランダは世界一美しい。胸を高鳴らせて町を闊歩する彼女の前に、信号待ちの車が停まった。端整な顔立ちの運転手と目が合い、ハリエットは思わずほほえんだ。なぜか、ずっと昔に会ったことがあるような気がして…。ところがその男性は冷ややかなまなざしのまま走り去り、ハリエットは恥ずかしさに、一瞬でも浮かれた心をたしなめた。翌日、診療所を経営する友人の父親を、医師のフリソが訪ねてきた。まあ!あの車の男性だわ!驚くハリエットに、彼は詰問した。「昨日、君はなぜほほえんだ?僕のことなど知らないはずなのに」
オリビアは父の死後、母とともに祖母の家に身を寄せていた。資格や技能はないものの少しでも家計を助けたくて、病院の事務員として熱心に働いている。そんなある日、カルテを取りに来た外科医ハソと短い会話を交わした。わたしよりかなり年上のようだけれど、とてもハンサムで感じのいい男性だったわー少し話しただけでも気持ちが温かくなるような。しかし職場では人員削減が始まり、同僚をかばったオリビアは自ら申し出て退職してしまう。次の仕事も見つからず、くじけそうになっていたとき、彼女は町で偶然、ハソと出くわした…。
ウエディングドレスはみごとに仕上がった。サテンにレースを飾った、優美でかわいいドレス。それは、はつかねずみの一家の物語を描いた絵本の中で、ねずみの花嫁が着ているドレスとそっくり同じものだった。看護師のフランはこれを着て、花嫁に、いや、リサのママになるのだ。そう、愛されていないと知りながら、今日、フランは憧れのオランダ人医師リトリックと結婚するー彼の余命わずかな一人娘リサの最期の日々を幸せにするために、リサの願いどおり、絵本そっくりのドレスを着て。これは、やがて小さな命とともに終わりを告げる、切なすぎる契約結婚。
「幸せへの航海」忙しい日々を送る看護師のラヴデイは、親友に頼み事をされた。恋人との結婚を後見人のアダムに認めてもらえるよう協力してほしいと。翌日偶然アダムと顔を合わせると、彼は自己紹介のあとで突然ラヴデイにキスをしたかと思うと、続けて彼女のことを“お節介な出しゃばり”と非難したのだ。ラヴデイは激しく動揺して…。「愛と情熱の日々」ローレンは親に捨てられ、児童養護施設で孤独な子供時代を過ごした。難読症を抱え、過酷な現実にひとり立ち向かってきた彼女にとって、おとぎ話のようなロマンスは縁のないものだった。ある日、運命のいたずらにより、豪華なパーティーで、まるで別世界に住むギリシアの大富豪、アレクサンドロスと出会うまでは。「いきなり結婚?」ひとりで娘を産み育ててきたメリー。年頃になった娘の友人のおじだという長身で澄んだ青い瞳の会社社長ザックが訪ねてきて、二人が結婚するつもりだと聞かされ仰天する。しかしそれは勘違いだった。ザックはお詫びにとメリーを食事に誘う。断れず応じたメリーだったが、ザックに突然結婚したいと言われ、呆然とする!
ああ、今日もくたくただわ…。病院の住み込み庶務係のクローディアは、きつい仕事をこなしてはベッドに倒れ込む日々。お世話になっていた大おじが亡くなったのを境に、これまで住んでいた家を追い出されてしまったのだ。そんな彼女に手を差し伸べたのは、大おじを診ていた年上のハンサムな医師トマスだった。「結婚すればきみは自由を、ぼくはよき友人を手に入れられる」愛のかけらもない申し出と知りつつも、彼が時折見せるやさしさに淡い期待を抱き、クローディアは思わずうなずいてしまうが…。
セイディは独りぼっち。唯一の肉親だった祖母が亡くなり、残された借金を返すために思い出の家も売りに出さなければならない。これからは住み慣れた村を出て、仕事も見つけなくては。幸い、すぐに買い手が現れ、住み込みの家政婦も探しているらしく、セイディはここに住み続けられるならと、その求人に飛びついた。雇主となるオリヴァーは中年の物書きだと聞いていたが、いざ会った彼は背が高くて、女性なら誰もが憧れるような顔立ちだった。思わず心を奪われたセイディは、未来は薔薇色などと考えていたが、オリヴァーの言葉に、彼女の浮ついた心は地面へと叩き落とされた。「僕は思慮深い田舎の女性を雇いたかったんだ。君に家政婦は無理だ」
ロンドンで屋根裏部屋暮らしをする夜勤の看護師ソフィ。ある日の夕方、帰宅する人々でにぎわう雑踏の中、彼女は石畳にハイヒールを取られて立ち往生してしまった。すると、どこからともなく現れた背の高い男性に助けられた。親切さとは裏腹に、彼のハンサムな顔は不愛想で冷たく、ソフィはなんだかみじめな気持ちで礼を告げ、その場を立ち去った。やがて病院に出勤し、思わぬ人物を目にする。さっきの親切で冷たい人!彼は大事な手術での執刀を請われてこの病院へやってきた、オランダ人医師のファン・ターク・テル・ヴェイスマ教授だった。再会できた嬉しさを必死に隠し、ソフィは仕事に徹しようとするが…。
夕暮れの田舎道で、フロリナは高級車に乗った父娘と出会った。背が高くハンサムな男性と、かわいらしい女の子。それからひと月後、父娘は村の屋敷を買い取り、引っ越してきた。病みあがりの父をかかえて生活に追われているフロリナは、料理の腕を買われ、その屋敷で働くことになる。週末を田舎でのんびりと過ごす医師の主人、サー・ウィリアムのために心をこめて食事をつくるーそれが彼女のささやかな喜びになった。雇い主の彼から見れば、フロリナはただの使用人にすぎないし、彼は再婚相手も決まっていたのだけれど。
なんてすてきな先生!ハンサムで、有能で、落ちついていて…。ルイーザが秘書兼受付係をする診療所の新しい顔で、たちまち患者やスタッフの注目の的となったギフォード医師。けれどルイーザだけは、皆に同調して浮かれたりはしなかった。気まずい出会い方をして以来、先生はわたしを嫌っているみたい。視線は冷たいし、無表情で何を考えているかわからない。ところがギフォード付きとなったルイーザは、彼の自宅へ同行してまで仕事をすることになり、しだいに思慕の念を抱くようになる。しかし彼には、婚約者がいた。美しいけれど意地悪な婚約者が。あの女性は先生にふさわしくないーでも、誰だったらふさわしいの?
牧師の5人娘の長女フィリーは、美人揃いの妹たちに比べて平凡な容姿の田舎娘だ。ある日、都会から来たハンサムな医師ジェームズに道を教えたとき、彼の碧眼に胸のときめきを覚えた。けれど助手席にはファッション誌から出てきたような完璧なまでに美しい連れの女性がいて、その手には、大きなダイヤの指輪が輝いていた…。(『ドクターにキスを』)。育ての親である祖母に疎まれ、家を追い出されたナイリー。路頭に迷う彼女を救ってくれた恩師が急逝して悲しみに暮れるが、生前の恩師の計らいで広大な地所を相続することに。いざその町へ行ってみると、圧倒的な魅力を放つブラントと出会い、運命を感じたーよもや彼が地所を奪い取ろうとする大企業の後継者とは知りもせず。(『運命のプロポーズ』)。小学校教師のニコルは、突然目の前に現れた凛々しい男性を見て、心を震わせたージャン・ジャック!初恋の人。5年前、彼を愛する私に別れの言葉さえ告げずに、彼はこの町を去った。そして今、大企業CEOとなって帰ってきたのだ。しかし、やっと再会できたというのに、彼の瞳は陰り、昔のような優しさがなくなっていて…。(『ガラスの丘のプリンセス』)
看護師のジェインは祖母の看護のために仕事を辞めたが、祖母が亡くなり、途方に暮れていた。屋敷は見舞いにさえ来なかった従兄が相続するうえ、遺された祖母の愛犬1匹と愛猫2匹を連れて、数日中に出ていくようにと言い渡されてしまったのだ!新しく勤め先が見つかれば糊口をしのげるけれど、以前働いていた病院には空きがなく、行くあてもない。目の前が真っ暗になったとき、祖母を生前診てくれたヴァン・ダー・ヴォーレンホヴ教授が弔問に訪れた。ジェインは気がつくと、彼の胸に顔をうずめて泣いていた…。
幼いとき両親が事故死し、トリクシーは伯父夫妻に引き取られた。だが愛情は美しいいとこのみに注がれ、トリクシーはまるで使用人扱い。23歳になった今は家を出て、看護師見習いとして寮暮らしをしている。ある日、病棟で転びそうになり、憧れのクレイン教授に抱きとめられた。思わず胸を高鳴らせたが、いとこの誕生パーティで偶然会った教授は、トリクシーのことなどまったく憶えていない様子だった。当然よね、わたしは彼を遠くからこっそり見つめていただけなんだから。それに、クレイン教授はどうやらいとこを気に入ったようだわ…。意気消沈するトリクシーだったが、後日、教授から食事に誘われ、予想だにせぬ台詞を聞く!「きみは妻にふさわしい女性だと思う」