著者 : 井上荒野
谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集 佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集 江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」 岩瀬成子「竹」 くどうなおこ「インタビューあんたねこ」 井上荒野「ある古本屋の妻の話」 角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」 町田康「百万円もらった男」 今江祥智「三月十三日の夜」 唯野未歩子「あにいもうと」 山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」 綿矢りさ「黒ねこ」 川上弘美「幕間」 広瀬弦「博士とねこ」 谷川俊太郎「虎白カップル譚」
五感の中でもっとも記憶が薄れないのが味覚。人間は食とともにある。健康のためには一日三食、規則正しい食生活を。心の健康のために、一日一作、規則正しい読書生活はいかが?ただしご注意を。「食」ではなく「味覚」、しかも「冒険」と銘打たれたこのアンソロジー、一筋縄ではいかないかも。ただ、14編どれもがリアルな味覚に訴えかける迫力と、飛び切りの面白さを備えていることは保証します。
猫好きで鳴る人気作家7人が集結。 猫の小説7編を収録する文庫オリジナルのアンソロジー登場! 巻末には「猫小説オールタイム・ベスト」紹介も。 【収録作品】 「マロンの話」湊かなえ 「エア・キャット」有栖川有栖 「泣く猫」柚月裕子 「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」北村薫 「凶暴な気分」井上荒野 「黒い白猫」東山彰良 「三べんまわってニャンと鳴く」加納朋子 「猫と本を巡る旅 オールタイム猫小説傑作選」澤田瞳子
個性あふれる作家陣が、大人への階段を上ろうとする人生の一瞬を鋭くとらえた短編作品10本を集めたアンソロジー。大人未満な時期のほろ苦い記憶と重ね合わせて楽しんでほしい一冊。(解説/三田誠広)
アパートに向かう途中の美那は、不審な男女が猫の親子を攫う場面を目にし、残された仔猫を連れて帰ることに。ハッピーと名付けた猫との生活は、荒んだ彼女の心を変えていく。ところがクラブで知り合った男が、ハッピーを引き取りたいという人を見つけ出し…。(自分の猫)ままならない人生と、その背後に見え隠れする猫たちが織りなす物語を繊細に紡いだ短編集。
四月の雪の日。あの夜、シェアハウスで開かれたパーティで、一体何があったのか?「樅木照はもう死んでいた」という衝撃的な一行からこの物語は始まる。しかも死んだはずの照の意識は今もなお空中を、住人たちの頭上を、「自由に」浮遊している。悪意と嫉妬、自由と不自由ー小さな染みがじわじわ広がり、住人たちは少しずつ侵されていく。“みんなが照を嫉(ねた)んでいたにちがいない。みんな不自由だったが、照は自由だった。…俺も彼女が嫉ましかった。でも、俺は殺していない。じゃあ、誰だ?”著者の新境地をひらくミステリ&恋愛小説の傑作。
両親を事故で失くしたみさきは19歳で美術教師の夫と結婚した。それから4年。あなたはあなたが連れてきたーー嵐の晩、彼女の前にふたりの「あなた」があらわれる。夫が、長い間音信不通だった双子の弟を探してきたのだ。混乱するみさきに、僕はもうすぐ死ぬんだ、と告げる夫。衰弱していく兄になりかわるように、その存在感を徐々に増していく弟。眩惑的な文体で綴る愛のサスペンス。
1977年に刊行された佐野洋子の名作絵本『100万回生きたねこ』に捧げる短編集。人気作家13人による短編小説や詩のアンソロジー。 著者は、江國香織、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、山田詠美、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦、谷川俊太郎。 江國香織 「生きる気まんまんだった女の子の話」 岩瀬成子 「竹」 くどうなおこ 「インタビューあんたねこ」 井上荒野 「ある古本屋の妻の話」 角田光代 「おかあさんのところにやってきた猫」 町田康 「百万円もらった男」 今江祥智 「三月十三日の夜」 唯野未歩子 「あにいもうと」 山田詠美 「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」 綿矢りさ 「黒ねこ」 川上弘美 「幕間」 広瀬弦 「博士とねこ」 谷川俊太郎 「虎白カップル譚」
開発業者として現れた中学時代の同級生と、抗うこともないままに肉体関係をもってしまった沙知。自宅裏の森を伐採する宅地造成工事の告知を機に、彼女の家族は一変する。反対運動にのめり込む義父母。いつしか夫も見知らぬ顔を覗かせるなか、その男は沙知への要求をエスカレートさせていく。日常にひそむ正常と異常の空隙。そこから現れる異様な光景を端正な筆致でとらえたアモラルな傑作長篇小説。
一緒に暮らす純一郎さんは、やさしい人だ。出張が多くて不在がちだけれど、一人息子の太郎をよく可愛がっている。じゅうぶんに幸せな親子三人の暮らしに、ある日「川野純一郎の本当のことを教えます」と告げる女から電話が舞い込みー(「遊園地」)。行ってはならない、見てはならない「真実」に引き寄せられ、平穏な日常から足を踏み外す男女を描いた七つの物語。第6回中央公論文芸賞受賞作。
あたたかな一皿が、誰かと食卓で分かちあう時間が、血となり肉となり人生を形づくることがある。料理人の父に反発し故郷を出た娘。意識の戻らない夫のために同じ料理を作り続ける妻。生きるための食事しか認めない家に育った青年。愛しあいながらすれ違う恋人たちの晩餐ー。4人の直木賞作家がヨーロッパの国々を訪れて描く、愛と味覚のアンソロジー。味わい深くいとおしい、珠玉の作品集。
結婚五年目。夫は不倫をし、妻は恋をする 郊外の古いビルに住まい、その地下で「NADA」という喫茶店を営む夫婦の物語。結婚五年目を迎えた夫と妻の心模様を描く傑作。
夫の恋をもう許さないことに決めた妻。その夫と恋人の奇妙な旅。教え子との関係に溺れる教師。その教師の妻のあたらしい習慣。決して帰ってこない男を待つ女。その女が忘れられない別の男ーーありふれた団地を舞台に、交わり、裏切り合う恋と運命。日常が孕む不穏な空気を、巧みに掬いあげた連作小説集。 交わり、裏切り合う恋と運命を描く、7つの連作短編集 ありふれた団地に潜む裏切り、恋、運命。 夫の恋をもう許さないことに決めた妻。その夫と恋人の奇妙な旅。教え子との関係に溺(おぼ)れる教師。その教師の妻のあたらしい習慣。決して帰ってこない男を待つ女。その女が忘れられない別の男ーーありふれた団地を舞台に、交わり、裏切り合う恋と運命。日常が孕(はら)む不穏な空気を、巧みに掬(すく)いあげた連作小説集。<解説・山本文緒> 誰の人生もそれなりに厳しいが、眉間に皺を寄せ続けるよりも、うっすらと笑みを浮かべて眺めたほうがいいことをこの小説は教えてくれる。恋愛なんて結婚なんて家族なんて馬鹿みたい、と思うとき、この小説を読んでみてほしいと思う。--山本文緒<解説より>