著者 : 古屋美登里
人の顔はもちろん、鳥や獣や架空の生き物、 物語の登場人物まで分け隔てなく並ぶ、 これぞケアリーの小説世界。(訳者あとがきより) タイトルの『B』は愛用のトンボ鉛筆のBに由来している…… 疫病が広がった一年のあいだ、著者は毎日スケッチ画を1枚SNSに投稿した。 36篇のエッセイを収録、ケアリーの魅力がぎっしり詰まった1冊 コロナのパンデミックで隔離生活を強いられた一年余り。画家にして作家エドワード・ケアリーは毎日一枚の絵を描き、ツイッターに投稿していった。偉大な作家や芸術家、歴史上の人物、小説の登場人物、さらに人間だけではなく、動物や鳥、植物や建物、風景に至るまで描きに描いた500もの絵と、それにまつわる36のエッセイを本書に収録。ケアリーらしさ満載のイラスト集としても、時代を切り取るエッセイ集としても楽しめる一冊。
アフガンの女性作家たちによる23の短篇集 書くことがこんなにも強靭な抵抗になるなんて。 この炎のような短篇集を読み、語り合うことで、彼女たちの命懸けの戦いにくわわろう。--柚木麻子 早急に、世界に届けられなければならない声がある。 そしてその声は、物語の力を借りて、何より強いものとなる。--西加奈子 どんなに過酷な現実が目の前にあっても私たちは描く。 ペンを持っている間だけ心は自由に空を飛べるから。--窪美澄 抑圧・蹂躙され口を塞がれた女性たちがペンを執り、鳥の翼のように自由に紡ぎ出した言葉の数々。女性嫌悪、家父長制、暴力、貧困、テロ、戦争、死。一日一日を生き抜くことに精一杯の彼女たちが、身の危険に晒されても表現したかった自分たちの居る残酷な世界と胸のなかで羽ばたく美しい世界。 アフガニスタンの女性作家18人が紡ぎ出す、心揺さぶる23の短篇集。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は、2022年2月に英国で刊行されたアフガニスタンの女性作家18名による23の短篇集の邦訳版です。紛争地域の作家育成プロジェクト〈UNTOLD〉による企画編集で、3年前からイギリスとアフガニスタンでやりとりをしながら、「小説を描きたい」という女性たちを広く募り、一冊へとまとめ上げました。アフガニスタンでは2021年夏にタリバンが政権を奪還し、女性への抑圧も急激に強くなりました。女生徒たちは教育の機会を奪われたまま、女性は全身を覆うブルカの着用を義務づけられ、単独での遠出を禁じられるという、21世紀とは思えない状況が続いています。そのような中で、本書の著者のうち数名は、身の安全のため国外への避難を余儀なくされています。 ここに集められた短篇は、死や暴力、激しい女性憎悪や差別と隣り合わせの重い日常を描いたものも少なくありません。また日本に暮らす私たちとは価値観も異なり、簡単には理解出来ないこともあります。 それでも、想像を絶する過酷な毎日を強いられる彼女たちが紡ぎ出す言葉には、誰もが激しく胸を揺さぶられるのではないでしょうか。時には本を閉じたくなることもあるかもしれません。それでも、自分たちの日常とかけ離れた世界が描かれているからこそ、一人でも多くに読んでほしい、知ってほしい一冊です。
ピノッキオを探して巨大な魚に呑み込まれたジュゼッペは、 そこで見つけた帆船の航海日誌に自分の人生を綴る 暗闇の中、孤独な老人はなにを思うのか・・・・・・ 鬼才ケアリーが描く、もうひとつのピノッキオの物語! 著者によるイラスト多数収録! 巨きな魚の腹の中。乗っていた舟ごと呑み込まれたジュゼッペは、そこにあった朽ちかけた船で発見した航海日誌に、自分の来し方を綴っていく。彼が造った、木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこと。学校に行って戻ってこなかったその子の行方を捜し、小さな舟で海に乗り出したこと。そして彼の手記はさらに遡り……。絶望的な状況下、ジュゼッペ老人は何を思い、何を綴ったのか。鬼才ケアリーが描く、もう一つのピノッキオの物語。
老い、病、性のきらめき、言えなかった秘密、後戻りのできない人生の選択。 「世界最高の短篇作家」による珠玉の10作品。 人生には完璧な絶望も、澄みきった希望もない。 パールマンの短篇集にちりばめられた無言の種は、あなたのなかで芽吹いて、やがてぞっとするほど優雅な花を咲かせるだろう。 ーー松家仁之(作家) 愛おしさ、愚かしさ、優しさ、酷たらしさ、善意と悪意、救済と断罪etc. 人間のすべてを知り尽くした作家、それがイーディス・パールマンだ。 ーー豊崎由美(書評家) なにかを諦める。苦く、みじめで哀しい一瞬ーーそれらひとつひとつを柔らかい布で磨きあげ、息を呑むほど美しい宝石に変えてしまう。人生の粋を極めた短篇集。 ーー倉本さおり(書評家) 本書は、原書Honeydewのうち『蜜のように甘く』(亜紀書房、2020年刊行)に未収録の10篇を訳出した日本オリジナル版です。ぜひ『蜜のように甘く』もご覧ください。 ■ 介護生活 ■ 救済 ■ フィッシュウォーター ■ 金の白鳥 ■ 行き止まり ■ 斧が忘れても木は忘れない ■ 静観 ■ 花束 ■ 坊や ■ 幸いなるハリー
『堆塵館』でごみから財を築いた奇怪な一族の物語を語り、『おちび』でフランス革命の時代をたくましく生きた少女の数奇な生涯を描いた鬼才エドワード・ケアリー。その彼が本国で発表し、単行本未収録の8編(『おちび』のスピンオフ的作品含む)+『もっと厭な物語』(文春文庫)収録の1篇に書き下ろしの6篇を加えた、日本オリジナル短篇集。書き下ろしイラストも多数収録。ケアリーらしさがぎゅっと詰まった、ファン垂涎の一冊。
沈黙を抱える者たちの視線が交差し、気高い光を放つ。 胸に刻まれたその残像が、今も消えない。 --小川洋子さん推薦! 戦争で夫を亡くし、足のケアサロンを営むペイジ。 斜向かいに住む大学教師ボビーの密かな楽しみは、ペイジの生活の一部始終を観察することだった。 ある日ボビーは、意を決し初めて店を訪れる。 足を洗ってもらっているあいだに、ひとり語りを始め、忘れ得ぬ事故のことを打ち明けるボビー。 悲惨な体験を通して、孤独な二人の心は結びつくのだが……(「初心」)。 79歳の作家が贈る、全10篇の濃密な小説世界。 「世界最高の短編作家」(ロンドン・タイムス) 「現存する最高のアメリカ作家による、最高傑作集」(ボストン・グローブ紙) ーーなんとまあ大袈裟な、と思う方は、是非とも本書を読んで確認していただきたい(古屋美登里) ・初心 ・夢の子どもたち ・お城四号 ・石 ・従妹のジェイミー ・妖精パック ・打算 ・帽子の手品 ・幸福の子孫 ・蜜のように甘く 訳者あとがき
マリーは、お世辞にも可愛いとはいえない小さな女の子。父の死後、母と共に人体のパーツを蝋で作る医師のところに住み込むが、そのあまりのリアルさに敬虔なクリスチャンである母は耐えられずに自殺、残されたマリーが、医師の手伝いをすることに。やがてマリーは医師に伴われてパリに行き、ルイ16世の妹に仕える。だがパリには革命の嵐が。〈アイアマンガー3部作〉の著者が激動の時代を生きたマリーの生涯を描く、驚天動地の物語。
「PEANUTS」を何倍も楽しむための必読書! 世界中で愛される漫画を終生描き続け、桁違いの成功を収める一方で、常に劣等感に苛まれていた天才漫画家。 その生涯を、手紙やメモなどを含む秘蔵資料と親族・関係者への取材により描き出す。 作者の人生と重ね合わせることで漫画の隠された意味を解き明かし、アメリカで大きな話題を巻き起こした決定的評伝! 「私の漫画を毎日読んでいる人なら、私のことがわかるはずです。私がどういう人間か正確に知っていますよ。」 ーーチャールズ・モンロー・シュルツ 「シュルツが他界した後だからこそ、デイヴィッド・マイケリスはシュルツ家が所蔵していた膨大な資料の山のなかに分け入り、図らずもその「暗」の部分を掘り下げていくことができた。そうした「陰翳」の部分を明らかにすることで、マイケリスは『ピーナッツ』がこれまでの漫画とは違う光りを放つ作品であることを証明している。」 (訳者あとがきより)
穢れの町は炎に包まれ、堆塵館は崩壊した。生き延びたアイアマンガー一族は館の地下から汽車に乗り、命からがらロンドンに逃れた。だが、その頃ロンドンでは奇怪な現象が頻発していた。住人が、いきなり跡形もなく消え失せてしまうのだ。人々に何が起きているのか? アイアマンガー一族に反発するクロッド。そしてひとり難を逃れたルーシー。物語はいかなる想像も凌駕する驚天動地の結末を迎える。アイアマンガー三部作堂々完結。
月桂樹の館で暮らす男の子ジェームズ。ある日館を逃げ出したジェームズは、フィルチングの町で、決して使うなと言われていた金貨でパンを買ってしまう。それがとんでもない事態を招くとも知らず……。物の声を聞く能力をもつクロッド・アイアマンガーと、勇敢な召使いのルーシー。世にも奇妙で怖ろしい運命に見舞われた二人の未来に待つのは? 堆塵館に何が起きているのか。著者本人によるイラスト満載。『堆塵館』で読書界に衝撃を与えた三部作第二部。 解説=深緑野分
ドリームワークス映画化! 二十世紀初頭のオーストラリア。孤島に暮らす灯台守の夫婦は、ボートで漂着した赤ん坊を実子と偽って育てはじめる。心を揺さぶる愛と苦しみを描く世界的ベストセラー
美しい海辺のリゾートへ旅行に出かけた失明間近の母とその息子。遠方の大学への入学を控えた息子の心には、さまざまな思いが去来するーなにげない心の交流が胸を打つ表題作をはじめ、11歳の少年がいかがわしい酒場で大人の世界を垣間見る「カフェ・ラブリーで」、闘鶏に負けつづける父を見つめる娘を描く「闘鶏師」など全7篇を収録。人生の切ない断片を温かいまなざしでつづる、タイ系アメリカ人作家による傑作短篇集。
何それ、信じられない!病で余命わずかになった18歳年上の夫が、「自分が過去につきあった恋人たちに僕に死期が迫ったと知らせてほしい」と言うのだ。憤然としつつも夫の恋人たちに連絡をとった私は、彼女たちと心を通わせはじめ…たくさんの笑いと希望と、明るい涙を少しだけ。実力派女性作家が贈るチャーミングな恋愛小説。
ある日、地位に名誉に恵まれたハーバード大学教授が“若年性アルツハイマー”と診断された。日々壊れゆく自分。そのとき彼女は、そして家族は…!?全米を感動と涙につつんだベストセラー、ついに邦訳。
アビーは故郷の南アフリカ-差別と呪術の国-を離れ、アメリカ人の男性と結婚し、常夏のハワイへ移住した。雨漏りする車庫や不親切な隣人たちに悩まされながらも、夫と甘えん坊の愛娘とともに平穏な暮らしを営んでいた。しかしそれは、束の間の幸せに過ぎなかった。友人に預けていた娘が、空飛ぶ凧を追いかけ路上に飛び出すまでの。アビーは娘を失い絶望の底をさまよった。救いはどこにもないように感じていた。だが、生まれ育ったケープタウンへの旅が、神秘的なアフリカの大地の鼓動が、彼女の人生を甦らせる。感動のデビュー長篇。
天真爛漫な美女マリーナ、テレビ番組ディレクターのダニエール、そしてフリーランスのライターであるゲイのジュリアスは大学時代からの親友。みなニューヨークで生活し、30代になった今も仲良くしていた。それぞれ恋愛や仕事に悩んでいても、都会の忙しない日々は将来を考える余裕する与えてくれない。だが、新雑誌創刊を目指すカリスマ編集者シーリー、そして大学をドロップアウトした青年の出現によって、停滞していた三人の人生に変化が。マリーナの父で著名ジャーナリストのマレーをめぐるスキャンダルに巻き込まれ、友情に亀裂が走り、遂には大破局の時が…。鋭い人間洞察と重厚で野心的な物語が英米で絶賛された傑作長篇。ブッカー賞候補作。
闘鶏に負けつづけ、家庭を崩壊に追い込む父を見守る娘の心の揺れを鮮烈に描く「闘鶏師」。11歳の少年が、いかがわしい酒場で大人への苦い一歩を経験する「カフェ・ラブリーで」。息子の住むタイで晩年を過ごすことになった老アメリカ人の孤独が胸に迫る「こんなところで死にたくない」。美しい海辺のリゾートへ旅行にでかけた失明間近の母とその息子の心の交流を描いた表題作「観光」ほか、人生の哀しい断片を瑞々しい感性で彩った全7篇を収録。英米の有力紙がこぞって絶賛し、タイ系アメリカ人の著者を一躍文学界のホープに押し上げた話題のベストセラー。