著者 : 古川綾子
〈誰かが私たちの助けを待っている!〉 なんでもない偶然、どうってことない超能力、たわいもない親切で、奇想天外な物語が回っていく! 『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』でおなじみの韓国の人気作家チョン・セランがつむぎ出す、愉快、痛快、やさしさいっぱいの冒険譚。 ********** 科学者のジェイン、アラブの建設現場で働くジェウク、年の離れた高校生の末っ子ジェフンの三姉弟。 海でのバカンスから戻ると突然、超能力を持ったことに気がつく。 身に覚えのない、しかも“超”というにはあまりにもビミョーな“能力”に戸惑う3人。そして、「誰かを救え」というメッセージと小包が届く。 ──いったい誰を……どうやって救えと!? J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力 あとがき 訳者あとがき
わたしたち、「サイバープロレタリア」なの!? 韓国で反響を巻き起こした「ハイパーリアリズム小説」、待望の邦訳 スギョンは30代、わけあって失業中。同居の家族は「個人投資家」の夫と、スギョンの父と母、さらに甥っ子が2人(高校生と小学生)。6人家族で、金を稼いでくる大人が1人もいないなんて。 プラットフォーム労働、ギグワーク……。仕事用のアプリをインストールした携帯電話が一日中手放せない。ソウルの古くて狭い2DKのマンションに六人で暮らす家族の「お仕事」をテーマにした群像劇。思わず出てしまうため息と「サイバープロレタリア」としての問題提起を、リアルに、ユーモラスに描ききった話題作。韓国では「ハイパーリアリズム小説の傑作!」と賞賛されました。お隣の国で起きていることは、世界中で起きていること。共感必至の一冊です。 目次 第一章 スギョン ヨスク ボラ 第二章 ウジェ チョンシク サイバープロレタリア夫婦 第三章 ウンジ ジュヌ 八百五十ウォン 第四章 ヘルプ・ミー・シスター ピボット 第五章 笑う家族 作家の言葉 訳者による解説
7年間小説を書けずにいる小説家ーー「私」は、目にとめた新聞広告に衝撃を受ける。そこには、「この本を書いた人を探しています」というフレーズと小説の一部が掲載されていた。その小説は、「私」がデビューする前に、誰にも知らせずに投稿していた作品だったのだ。事情を調べ始めた「私」は、謎の多い女性「イ・ユミ」に辿り着き、彼女の人生を追うことになる。 ある時は、キラキラした女子大生。ある時は、評判のいいピアノ教師。ある時は、センスのある大学講師。ある時は、優しい医師。またある時は、--。 虚像で塗り固めた幾重もの仮面の裏から徐々に表れる真実の素顔。
日韓累計165万部突破の『82年生まれ、キム・ジヨン』著者、チョ・ナムジュが問いかける! 弱肉強食社会で人間らしさを失わずに生きるには? 資産価値にこだわる者の果てしない欲望と苦悩。 持たざる者の苦労と、未来への希望。 韓国中間層の現実をリアルに描いたハイパーリアリズム連作小説。 舞台はソウルにある架空の町〈ソヨン洞(ドン)〉。近年の不動産バブルやマンション購入、過剰な教育熱、所得格差といった社会問題が、住民の悲喜こもごもとともに描き出されるーー。 「私が伝えたかったのは、 個人ではどうすることもできない時代と社会の不幸を前に、 我々はどんな選択をできるのか、 どんな態度をとるべきかという悩み、 さらには人間らしさを失わずに生きる方法に対する問いかけでした」 (「日本の読者のみなさんへ」より抜粋) 春の日パパ(若葉メンバー) 警告マン シェリーのママ、ウンジュ ドキュメンタリー番組の監督、アン・ボミ 百雲(ペグン)学院連合会の会長、ギョンファ 教養あるソウル市民、ヒジン 不思議の国のエリー 作家の言葉 日本の読者の皆さんへ 訳者あとがき
──母の包丁の音、いまも心にこだまする言葉。 〈 すべての記憶が、わたしを支えている〉 韓国文学のトップランナーによる、切なくて、痛くて、おかしな8つの物語。 ーーーーーーーーー 自分をいつも守ってくれた豪快な母。 何もかもがうまくいかなかった、クリスマスの夜の苦さ。 就職難の中で手に入れたささやかな「城」 への闖入者。 死んでしまった母親との、本当の別れ。 大人になろうとする主人公たちの大切な記憶を鮮やかに紡ぐ、作家の自伝的要素も散りばめられた瑞々しい短編小説集。 ■日本の読者のみなさんへ ■堂々たる生活 ■唾がたまる ■クリスマス特選 ■子午線を通過するとき ■包丁の跡 ■祈り ■四角い場所 ■フライデータレコーダ ■作家の言葉 ■訳者あとがき
「さて、エディ。こう呼ばれたいなって思う名前はあるの?」 「アシュリー」 本当はそんな名前、考えたこともなかった。〈自分は男じゃないらしい〉という認識は、〈どうも女性のようだ〉とは直結していなかったからだ。それなのに訊かれたら口をついて出た。アシュリーは子どもの頃に可愛がって大切にしていたぬいぐるみだ。 (「エディ、あるいはアシュリー」より) ーーーーーーーーー 性の多様性。移民。失われた日々。喪失。再生。暴力……。 どこにでもあるリアルな世界を、時を越え、現実と幻想とを自由に行き来しながら、未来と希望を信じて描いた短編集。 ジェンダー・アイデンティティの不確かさを自らに問いかける表題作「エディ、あるいはアシュリー」、第63回現代文学賞受賞作「相続」など8作品を収録。 ーーーーーーーーー 避けようのない過酷な現実と、その先にある柔らかな希望……。 韓国ファンタジー界の旗手が織りなす物語のタペストリー8編。 ■レオニー ■エディ、あるいはアシュリー ■海馬と扁桃体 ■正常人 ■木の追撃者 ドン・サパテロの冒険 ■へその唇、嚙みつく歯 ■相続 ■メイゼル ■あとがき ■訳者あとがき
〈大きな悲しみが、私を守ってくれる〉 『ショウコの微笑』『わたしに無害なひと』の気鋭のベストセラー作家、初の長編小説 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 夫の不倫で結婚生活に終止符を打ち、ソウルでの暮らしを清算した私は、九歳の夏休みに祖母と楽しい日々を過ごした思い出の地ヒリョンに向かう。 絶縁状態にあった祖母と二十二年ぶりに思いがけなく再会を果たすと、それまで知ることのなかった家族の歴史が明らかになる……。 家父長制に翻弄されながらも植民地支配や戦争という動乱の時代を生き抜いた曾祖母や祖母、そして母、私へとつながる、温かく強靱な女性たちの百年の物語。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日が昇る前に大切なあの人に伝えておきたいことがあった。 明るくなったら、言えなくなりそうだから……。 2021年〈書店員が選ぶ“今年の小説”〉、第29回大山文学賞受賞。
親に偽装転入させられ、進学率の高いチョンミン洞の中学校に通うカンイ、裕福な家庭でモデルを目指すリーダー格のソヨン、チョンミン洞の貧民街に住むアラム。3人は家出を企て、ソウルに辿り着く。しかし、路上生活は厳しいもので、身も心も疲弊した少女たちは家に戻る。その後、自分が頂点に立つために人を貶めるソヨンの態度に、3人の関係は壊れていく。いじめは暴力にエスカレートし、やり場のない感情は暴走の果てにー格差、搾取など大人の加虐に晒されてきた少女たちは、痛ましい選択を繰り返す。最善を望んで最悪をたぐり寄せた、壮絶なる青春群像物語。第4回韓国文学トンネ大学小説賞受賞。
韓国文学の新シリーズ〈キム・エランの本〉刊行スタート! 《BTSのRMさんも愛読、韓国で17万部の大ベストセラー小説集》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー タクシー運転手のヨンデは、車内で、中国語のテープを聴いている。 数ヶ国語を話せた、死んだ妻が吹き込んでくれたものだ。 何をしても長続きせず、「家族の恥」と周囲に疎まれ、三十六歳で逃げるように上京した彼は、中国の地方から出稼ぎに来ていた親切な女ミンファと出会い、結婚し、貧しいながらも肩を寄せ合うように暮らしていた。 だが、やがて彼女はがんを患って……(「かの地に夜、ここに歌」)。 裏切り。罪。喪失。悲しみ。 韓国文学の騎手が贈る、哀切な8つの物語。 ーーこの空の向こうに、幸せはきっとある。 ■日本の読者の皆さんへ ■そっちの夏はどう? ■虫 ■水中のゴリアテ ■かの地に夜、ここに歌 ■一日の軸 ■キューティクル ■ホテル ネアックター ■三十歳 ■あとがき ■訳者あとがき
厄介な恋人、価値観の合わない家族、やめられない習慣…あなたがお別れしたいものは、何ですか?そこは、人々の「別れ」を代行する奇妙な会社だった。文学賞受賞作家が贈る、韓国発のお仕事小説!イ・カウル、30歳。これまでまともな仕事に就けないまま非正規雇用を転々とし、気付けば人生崖っぷちだ。そんなとき、“トロナお別れ事務所”という会社の面接が決まる。意気揚々と面接へ向かったカウルがたどり着いたのは、オシャレな街の路地裏にある古びた雑居ビルだった。面接に合格したカウルは、アクの強い社長に振り回されながらも、なんとか成果を上げようと、さまざまな別れの依頼に奔走するが、ある出来事をきっかけに、心の奥底に閉じ込めていた本来の自分と向き合うことに…。世の中に押し流され、自分を見失ってしまった人へエールを送る話題作。
ーー私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? 2019年、韓国文壇最高峰「李箱文学賞」を受賞したユン・イヒョン、待望の最新作品集。 社会から軽んじられてきた主婦たち、いつのまにか生じた溝にゆれるLGBTカップル、社内での性暴力を告発した女性……。 すこしの誤解やすれ違いから愛する人や大切な仲間を一瞬にして失う痛み……私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? やり場のない怒りや悲しみにひとすじの温かな眼差しを向け、〈共にあること〉を模索した十一の物語。 私に似た誰かが、あなたに似た誰かといつか出会う想像をする。 異なる、よく知らないという理由で彼らがお互いを憎み、永遠に背を向けることがないようにと願う気持ちから、私が過ごしてきたある時間を束ねた。 この壊れて粉々になった言葉、まだ答えを知らない問いかけが対話のはじまりになってくれたらうれしい。--著者「あとがき」より ■ 小さな心の同好会 ■ スンヘとミオ ■ 四十三 ■ ピクルス ■ 善き隣人 ■ 疑うドラゴンーーハジュラフ1 ■ ドラゴンナイトの資格ーーハジュラフ2 ■ ニンフたち ■ これが私たちの愛なんだってば ■ スア ■ 歴史 ■ あとがき ■ 訳者あとがき
2018年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉に選出、 第51回韓国日報文学賞受賞作! 誰も傷つけたりしないと信じていた。 苦痛を与える人になりたくなかった。 ……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。 あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。 もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。 第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む、7作品を収録。 韓国文学の〈新しい魅力〉チェ・ウニョン、待望の最新短編集。
推薦・若松英輔 「居場所を見失うことは誰にでもある。ひとはそれをふたたび、おのれの痛みのなかにも見出し得る。そうした静かな、しかし、燃えるような生の叡知がこの作品集を貫いている。」 汚れた壁紙を張り替えよう、と妻が深夜に言う。幼い息子を事故で亡くして以来、凍りついたままだった二人の時間が、かすかに動き出す(「立冬」)。 いつのまにか失われた恋人への思い、愛犬との別れ、消えゆく千の言語を収めた奇妙な博物館など、韓国文学のトップランナーが描く、悲しみと喪失の七つの光景。 韓国「李箱文学賞」「若い作家賞」受賞作を収録。 韓国で20万部突破!! 韓国文学の騎手が「喪失」をテーマに紡ぎ、2018年、韓国の最大手書店「教保文庫」で『82年生まれ、キム・ジヨン』に次ぐ小説部門第2位となったベストセラー。
私の育て方が悪かったんですよね 「普通」の幸せに背を向ける娘にいらだつ「私」。 ありのままの自分を認めてと訴える「娘」と、その「彼女」。 ひりひりするような三人の共同生活に、やがて、いくつかの事件が起こる。 韓国文学の新シリーズ「となりの国のものがたり」第2弾!!
「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」--本文より ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。 巻末にはオリジナルアルバムの音源情報も収録! ♪1章、2章で触れられている音楽をできる限り実際に聴いていただけるよう、クオンのwebマガジンでプレイリストを作りました。本とともにお楽しみください。 https://note.com/cuon_cuon/n/ne43b8f54b094 日本の読者の皆さんへ 1.くちずさむ 2.耳をすます 3.そっと 静かに 4. 追伸 訳者あとがき ハン・ガン オリジナルアルバム
臨月の母を捨て出奔した父は、 私の想像の中でひた走る。 今まさに福岡を過ぎ、ボルネオ島を経て、 スフィンクスの左足の甲を回り、 エンパイア・ステート・ビルに立ち寄り、 グアダラマ山脈を越えて、父は走る。 蛍光ピンクのハーフパンツをはいて、 やせ細った毛深い脚でーー。 若くして国内の名だたる文学賞を軒並み受賞しているキム・エラン。 韓国日報文学賞を歴代最年少で受賞した表題作や、 第1回大山大学文学賞を受賞した「ノックしない家」など 9編を収載したデビュー作、待望の邦訳。 ★ 1980年生まれの著者が若くして文壇を席巻し、同世代から圧倒的な共感を得たデビュー短編集。本国では累計8万部を記録。 ★「この本は、こわばった表情で私があなたに送る、最初の微笑みです」--キム・エラン 走れ、オヤジ殿 コンビニへ行く ホッピング 彼女には眠れない理由がある 永遠の話者 愛の挨拶 海辺でやたらと花火を上げるのは誰だ 紙の魚 ノックしない家