著者 : 島田雅彦
自分の本当の居場所はここじゃない。 自分にはもっとふさわしい世界がある。 そう思っている方は、転職、転校、移住もいいけど、 思い切って転生! ある夜、横溝時雨が町中華で再会した中学時代の旧友・三浦杜子春は、自分を「子どもの国」バルナランドからの転生者だと語った。 半信半疑で杜子春に関わるうち、時雨は新橋の雑居ビルを拠点にひそかに活動する「転生者支援センター」にたどりつき、想像を絶する冒険が始まるーー ライトノベル的想像力の彼方へ読者を運ぶ本格S F長篇。 1 忘れられた転校生 2 酒を飲むと、寝ているあいつが目覚める 3 病気の狼 4 あの世から応援している 5 こちらに来て、早六年 6 転生劇場 7 子どもの国 8 ハニカミ屋 9 転生者支援センター 10 死語で話す少女 11 ネクロポリスから来た巫女 12 時空転移技術 13 アインシュタインの妄想 14 量子もつれ 15 自身の内なる転生者 16 転生は出たとこ勝負 17 シンクロトロン放射 18 ゴールドラッシュ 19 「ハニカミ屋」、身罷る 20 密航 21 ヒュードリとコマッタ 22 異世界マフィアの暗躍 23 宇宙宗教の開発 24 黒洞仙人 25 不発弾 26 彼らが本当に秘密にしたい事実 27 切り札はモニカ? 28 巫女信仰 29 改心 30 聞く耳のある者は聞け 31 エクソダス
1983年5月、『優しいサヨクのための嬉遊曲』から40年。 いつまでも自分が主役だと思うなよ。 毀誉褒貶を顧みない作風で時代を駆け抜けた作家による、 デビュー40周年記念の自伝的父子小説。 第一部「父親の変わり身」 第二部「親バカでない親はいない」 第三部「運命なんて愛したくない」 第四部「後のことはおまえに任せた」 時は1991年、島田雅彦30歳。バブルは崩壊したとは言え、執筆の他にも世界中を旅する仕事が続く中、妻の妊娠が判明する。夫は、子育てに適した新居を探し、子どもの名前を考える。「永遠に実現しない希望」を意味する弥勒菩薩からミロクと名付け、生後間もない頃から世界中へと連れ回し、家族の記憶はいつも旅の記憶。自由奔放に子どもを育てたいと思いながらも、お受験へ。入園式当日に朝帰りをしたのは、父だったからか、作家だったからか。息子が生まれ、世界が一変したはずの作家による自伝的父子小説。 【著者略歴】 1961年3月、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。在学中の83年に『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、08年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、16年『虚人の星』で毎日出版文化賞、19年『君が異端だった頃』で読売文学賞〔小説賞〕を受賞。主な著書に『徒然王子』『悪貨』『英雄はそこにいる』『傾国子女』『ニッチを探して』『暗黒寓話集』『カタストロフ・マニア』『人類最年長』『スノードロップ』『スーパーエンジェル』『パンとサーカス』など多数。 現在、法政大学国際文化学部教授。
政治的関心を失った民衆には、食料(パン)と見世物(サーカス)を与えておけば支配は容易い。 戦争、犯罪、天災、疫病ーーどれもがサーカスとなる。 不正隠蔽の犠牲となった父親の復讐を果たすため、CIAエージェントになった男は、 日・米両政府の表と裏を巧みに欺き、いつしか日本国民の仇をとる。 ヤクザの二代目、右翼のフィクサー、内部告発者、ホームレス詩人…… 世直しか、テロリズムか? 諦めの横溢する日本で、いざ、サーカスの幕が上がる! 「私の暴走にどうかお付き合いください」 --島田雅彦 メディアやSNSで話題沸騰! 続々重版! いま、もっとも読まれている”政治小説(エンターテインメント)” 日米同盟という名の永続占領から自由日本を開放する 革命戦士たちの叙事詩 --前川喜平 スケールの大きな謀略小説であり、極辛の政治風刺劇であり、 極太のエンターテインメントである --鴻巣友季子 パンとサーカスさえ与えておけば国民はおとなしくしているなんて思っているヤツらに 一泡吹かせたい --永江 朗 私たちが夢想する革命に立ち上がる主人公に 快哉を叫んだ! --立川談四楼
全知全能のアルゴリズム=マザーに支配され、 生まれながらに階級で選別されて生きる人類。 異端の少年と中古アンドロイドが世界を変えるSF冒険物語 総合プロデュース・指揮:大野和士 台本:島田雅彦 作曲:渋谷慶一郎 子どもたちとアンドロイドが創造する、まったく新しいオペラを小説化! 何も知らない人はいう。パンドラの箱を開けるなと。でも蓋は開けるためにあるんだよ。 希望はここにしかないんだよ。 ある学園の卒業式。卒業生たちは15歳になると適性検査で選別され、全知全能AI「マザー」の管理下に置かれる。 アキラは判定により開拓地に送られることになり、教育係のヒューマノイド型AI「ゴーレム3」と出会う。 ゴーレム3はアキラとの深い心の交流を通じ、恋の切なさや夢見る力を感じとりながら、 世界の秩序を覆す、とてつもないものを創り出そうとしていたーー。
「立憲君主国」日本の最後の「良心」はどこにあるのか? 禁断の「皇室小説」! 「あなたは考えたことがありますか? 自分がラストエンペラーになるかもしれないって」--私は東京の空虚な中心に広がる森に住む憂いの皇后。ハンドルネームはスノードロップ。花言葉は「希望」「慰め」。腐敗した泥舟政権は国民を国家に奉仕させる倒錯を繰り返す。さあ、「ダークネット」を駆使し、「令和の改新」を実行すべし!
恥多き君の人生に、花束を! 「誰にでも少年時代はあるが、誰もがそれに呪われている。」3月生まれの幼年期から、めくるめく修業時代を経て、『優しいサヨクのための嬉遊曲』での鮮烈なデビューへとーー。「オレは必ず小説家になり、空回りと空騒ぎに終始した恥ずべき高校時代を全て書き換えてやる」と誓った高校時代。「英語とロシア語両方できれば、世界の美女の半分に自分の思いを伝えられる」とロシア語漬けの大学時代。ソビエト留学中に知り合った男性に、小説を持ち込むことを勧められ、『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー後、芥川賞候補になるも、その後5回も落選するとは想像もしなかった。そして、酒の席で知り合った文豪たちーー埴谷雄高、大岡昇平、安部公房、後藤明生、古井由吉、中上健次たちーーは、君に伝統を保守する正統なんか目指さずに異端のままでいよ、と教えられた。そしてその間に繰り広げられた、妻がある身の最低男による華麗なる遍歴と、不埒な煩悶に翻弄される日々……。デビューから36年を経た著者が赤裸々に物語る、自伝的青春「私」小説! 【著者略歴】 島田雅彦(しまだ・まさひこ) 1963年、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。在学中の83年に『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、08年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、16年『虚人の星』で毎日出版文化賞を受賞。主な著書に『徒然王子』『悪貨』『英雄はそこにいる』『傾国子女』『ニッチを探して』『暗黒寓話集』『カタストロフ・マニア』『人類最年長』など多数。現在、法政大学国際文化学部教授。
江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。 男は1861年3月13日、横浜で生まれた。 とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。 何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。 五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。 この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは? 30歳の女性看護師に何を託すのか。 さあ、夢見るようなタイムスリップが始まる! 文壇の鬼才が世に問う、圧倒的なイマジネーションと構築力による衝撃の書。
「絶望」が蔓延する地方の町・葦原に帰ってきた、破天荒な新米坊主(!?)江川放念。若者が「夢」を持てないほどに荒廃した故郷に驚愕した彼は、若い人材が町を救うはずだと「原石発掘プロジェクト」を立ち上げる。放念によって集められた4人の高校生ー常人離れした肩を持つ黒木鷹、町で一番の美少女・青山藍、微生物オタクの白土冴子、そして凡人・緑川夢二ーは、それぞれの個性を活かし「夢」に向かって走り出す。しかし、彼らの前に葦原荒廃の元凶、前市長とその傀儡と化した現市長が立ちはだかり…。「絶望」は噛み締めるほどに甘くなる?「青春小説」の新たな王道、ついに刊行!!東村アキコ描き下ろしウォームアップコミック収録!(原作=島田雅彦)
外交官から首相秘書に抜擢された新一は、七つの別人格に苦しむスパイでもあった。その新一が仕える世襲総理・松平定男は、凡庸な極右との前評判を覆し、米大統領も黙らせる名演説で世間の度肝を抜く。しかし、彼の内部にも奇妙な変化が現れて…。二重スパイと暴走総理は、日本の破壊を食い止められるのか?第70回毎日出版文化賞受賞作品。
このまま黄昏れちゃっていいのか、人類。強靭な想像力が照らし出す、我々の未来。2036年、治験のため入っていた病院で目覚めたシマダミロクは驚愕する。何しろそこには、誰ひとりいなくなっていたのだからーー。太陽プラズマの放出、感染症の蔓延、そしてAIの専制が世界を脅かすなか、彼は「大淘汰」の流れを止めることができるのか。来るべきディストピアを見据え警鐘を鳴らす、純文学×SFの到達点!
シャーマンの血をひく探偵ナルヒコと、神の子として生まれた天才暗殺者。ヘラクレスの英雄神話が現代に甦る。闇の奥深くに隠れた真の敵を倒すのは、果たしてシャーマンかそれとも英雄か。(解説/入江悠)
背任の疑いをかけられた大手銀行員・藤原道長は、妻と娘を置いて失踪した。人目を避けた所持金ゼロの逃亡は、ネットカフェから段ボールハウス、路上を巡り、道長は空腹と孤独を抱え、格差の底へと堕ちてゆく。一方、横領の真の首謀者たる銀行幹部たちは、事件の露見を怖れ、冷酷な刺客を放つー。逆転の時は訪れるのか。東京の裏地図を舞台に巨額資金を巡る攻防戦の幕が開く!
現代文学を牽引し続ける著者の初期短篇7作品。文学と社会への強烈な批評精神と、アイロニックな饒舌文体で繰り広げる島田文学の原点。著者が20代の「若手作家」時代に発表した、初期短篇の7作品。収録作「観光客」「聖アカヒト伝」「ある解剖学者の話」「砂漠のイルカ」「アルマジロ王」「断食少年・青春」「ミイラになるまで」 大学在学中の1983年に「優しいサヨクのための嬉遊曲」で鮮烈にデビューして以降、30年以上にわたり話題作を発表し、現代文学を牽引し続ける著者。文学と現代社会への強烈な批評性、アイロニーを纏う饒舌的文体、永遠の青二才精神など、島田文学を構築する要素のすべては、その初期短篇群に確固として根ざしている。著者が20代の「若手作家」時代に発表した、初期短篇の7作品。収録作「観光客」「聖アカヒト伝」「ある解剖学者の話」「砂漠のイルカ」「アルマジロ王」「断食少年・青春」「ミイラになるまで」 観光客 聖アカヒト伝 ある解剖学者の話 砂漠のイルカ アルマジロ王 断食少年・青春 ミイラになるまで 解説 青山七恵 年譜 佐藤康智 著書目録 佐藤康智
デビューからわずか四年で、芥川賞に六回ノミネートされ、六回落選した現・芥川賞選考委員島田雅彦の華麗なる落選の軌跡にして初期傑作集。大学在学中に発表された鮮烈なデビュー作「優しいサヨクのための嬉遊曲」のほか、「亡命旅行者は叫び呟く」「夢遊王国のための音楽」を収録。作家生活三十周年記念企画。
これが輝かしき文学史的事件!芥川賞最多落選者であり現・芥川賞選考委員島田雅彦、前代未聞の初期傑作集。永遠の青二才・悪久間一人を峻烈に描いた代表作「僕は模造人間」をはじめ「ドンナ・アンナ」「未確認尾行物体」を収録。作家生活三十周年記念企画。
幻の娘の誘惑は甘く、そして切なかったー東京郊外、眠りが丘。一時の快楽に身を委ね、堅実なはずの人生を踏み外していく人々。彼らはただ、自らの欲望に少しだけ素直なだけだったのかもしれない…。夢想の町「眠りが丘」を舞台に島田雅彦が描き出す、悦楽と絶望の世界。