著者 : 志水辰夫
『疾れ、新蔵』で時代ハードボイルドの魅力を見せてくれた「新蔵」シリーズ、最新刊。 これぞ、 エンタテイメント! 胸踊るシミタツの時代冒険小説! 故・北上次郎氏が「さすがはシミタツ、……たっぷり読ませて飽きさせない。 すてきなラストまで一気読みの傑作だ」 と賞賛した前作『疾れ、新蔵』の待望の続編! 北方謙三氏と柚月裕子氏が今回、賞賛の一文を寄せている。 北方謙三氏 「新蔵の貌が深く彫りこまれ、人の姿が立ちあがる。 そして新蔵が、いやシミタツが吠えるのだ。 底に漂うこの哀しみはなんなのだ。」 柚月裕子氏は「まさに究極のボディーガード。私も新蔵に護られたい」と語る。 そして、 「ハラハラするロードノベル、 ドキドキするスパイもの、 ワクワクするファンタジー、 すべてを詰め込んだすごい小説だ!」 「一気読み必至! 新蔵は最高のボディガードだ!」と絶賛。 【物語】 新蔵は、山中で、三、四歳の弟を背負った十歳の少女ゆふと出会った。 彼女は罠にかけた兎の皮を巧みに剥ぎ、見事にさばいて新蔵を驚かせた。 その後、ゆふは、大嵐を予見するなど、神秘的な力を開花させ始める。 新蔵は、比売巫女(ひめみこ)の能力を秘めているというゆふを、 宇佐神宮へ、送り届ける護衛を命じられた。 道中、次々に襲撃してくる謎の集団とはなにものか? そして、襲撃してきた集団をことごとく倒した後、 異国の血をひく大男の武芸者との対決が待っていた。 新蔵はゆふを無事に宇佐神宮に送り届けられるのか?
初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。ギフテッドであり、内閣情報調査室に協力する顔を持つ三谷に惹かれたのが、ハーバード大卒のIT起業家・大河内牟禮で、二人の交流が始まる。大河内が経営するベンチャー企業は、牟禮の母・尾上鈴子がオーナーを務める東輝グループの傘下にある。尾上一族との軛を断ち切り、グローバル企業を立ち上げたい牟禮の前に、莫大な富を持ち90歳をこえてなお采配をふるう鈴子が立ちはだかる。牟禮をサポートする三谷も、金と欲に塗れた人間たちの抗争に巻き込まれてゆく。
北前船とともに消えた主人を探して幕末の長崎からアヘン戦争まっただ中の清国へー。東シナ海の波頭を越えてたどり着いた岩船新蔵が見たものは、欧米の圧倒的武力の前になすすべもないアジアの大国。それこそ、維新の志士が肌で感じていた明日の日本の姿だった。
越後岩船藩の江戸中屋敷に新蔵は疾る。十歳の志保姫を国許に連れ戻すために。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。逃走劇の根底には江戸表と国許の確執があった。間道を選んで進む道中に追っ手は翻弄される。ところが新たな追っ手が行手を阻み、山火事が迫る中、強敵との死闘が待つ。姫を連れて戻れるのか?冒険小説の旗手シミタツならではの痛快時代エンタメ長篇!
「めぐりあい」をテーマに名作短・掌編を精選したアンソロジー。読書への入り口に。旅のお供に。日々のひとときに。人気作家、ベストセラー作家の贅沢な競演。いずれ劣らぬ名作揃い。(解説/吉田伸子)
新蔵は越後岩船藩の江戸中屋敷に向かった。姫を国許に連れ戻す手はずであった。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。手に汗握る逃走劇の背後には、江戸表と国許の確執、弱小藩生き残りをかけた幕府用人へのあがきがあった。そして、天領だった元銀山の村の秘密、父子二代に亘る任務のゆくえも絡み一筋縄ではいかないシミタツの魅力満載!山火事が迫る中、強敵と対決する!姫を伴った新蔵の旅は成就するのか?
器量ひとつで道を拓くが定め、通し飛脚。なまくら者を従え善光寺まで秘仏を届ける羽目になった、鶴吉。播磨より逐電した男女を追跡する、剣術遣いの吟二郎。そして、江戸留守居役の奥方を西国へ逃がすという禁制御法度、出女を請け負ったのは蓬莱屋の切り札、仙造だ。三人のゆくてに苦難が待つ。目を血走らせた敵が待つ。予想しえない結末が待つ。活劇、人情、志水辰夫に酔う三篇。
黒船が来航したその年。喜平次はわけあって素性を隠し、渡良瀬川のほとりで渡し船の船頭となっていた。村人たちに頼られる存在となりつつあった喜平次だが、一体彼の目的ー背負わされた宿命とは何なのか。時代の転換期、武士としての誇りを失いかけた男が、己の進むべき道を見極める姿を描く、傑作時代長篇。
智勇度胸を懐に、韋駄天のごとく諸国を駆け抜ける影の飛脚たち。憂国志士をかたる無頼漢から商家のドラ息子奪還に挑む鶴吉。烏合の衆を率いて、河川増水で閉ざされた帰路を切り開く、宇三郎。そして、弟のように育てた次郎吉を迎えに上総を訪れた治助は、男の逞しい成長と世の変遷を肌身で感じる。血を熱くする活劇。胸に灯点す人の情。志水辰夫第三の黄金期を示す、三作を収録。
神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。主君の死に始まる山代家の騒動はいまだ治まる気配を見せない。殿の愛妾となった幼なじみ、行方をくらました元藩士、朋輩の美しき妹、忍び寄る影。佐平は、己の進むべき道を見つけることができるのか。若々しい熱気と円熟した情感をたたえた、志水辰夫の新たなる代表作。
時は幕末。北但馬の農村で暮らす清吉は、病身の母と借金を抱えながらつましい暮らしを送っていた。ある日、私塾仲間の民三郎が刃傷沙汰を引き起こしてしまう。友を救おうと立ち上がる清吉。だがこの一件の波紋は思わぬ形で広がってゆき-。若者たちが「新しい国」という夢に浮かされた時代、変わりばえのしない日々のなかに己の生きる道を見出そうとした男の姿を描く、傑作時代小説。
定年を迎えたり、親しい友人が亡くなったり、親やきょうだいの法事に集まったりするとき、ふと胸をよぎるのは、幼かった頃のことや、最も輝いていた時期のことだ。人は皆、戻るべき故郷があるというけれど、戻ればそこは、変わり果て居場所さえもままならない。でもまた生きてゆかなければならない。老いに向かう人生の「秋」を叙情豊かに描く短編小説集。
ふいに現れたその老人、国吉彬圀は郷土史家と名乗った。小さなPR会社を経営する俵谷慎介。彼の先祖の廻船問屋が江戸時代に北日本のどこかに隠したという財宝を探しているというのだ。財宝の総額は小判と砂金で百億円!さらに接近してきた国吉の姪の美貌。次第に俵谷も底の見えないゲームの中に巻きこまれて行く。冴える志水節、入魂のハードボイルド。
若い女性と燃えあがるような情交を愉しむ。妻の体の奥底まで追求する。男は会社を退き、都市と故郷を往復する気ままな暮しをおくっていた。或る日、河内亜紀と出会う。どこか謎めく女。その躯に惹かれ、逢瀬を重ねた。自宅には、ビジネスの世界で活躍する妻・治子が待つ。彼女も、夫に応じ、開かれてゆく。田園と都会、愛人と妻の間を揺れ動く日々。そして、一片の疑惑。渾身の長編小説。
彼女には、一度その人柄に触れたら絶対忘れられなくなりそうな気品が備わっていた-青年は、偶然に知り合った女性に突然の恋心を抱いてしまった…。彼女のすべてを知りたいという思いから、自分にしか見えない世界に入りこんでしまう-表題作『虹物語』をはじめ、『いつか浦島』、『きみにかぐや姫』、『身ぐるみシンデレラ』、『プレーオフ』の5作品を収録。
エリート警部補だった青野は、警察の閉鎖的な世界に倦んでいた矢先、飲酒運転で依願退職した。続いて、誤認による殺人容疑。逃げ込んだ浅間の山荘には、国家秘密機関の男がいた。男は握った機密を楯に、組織からの脱出を試みていた。組織は男を抹殺にかかった。同時に青野と、そして男の妹も。銃弾飛びかう山荘を出た青野は、女を抱え、山並を越えて、ひたすら逃げた。その果てに何が待つのか?長篇ハードボイルド。