著者 : 斎藤栄
画家志望の青年が殺された。被害者の父親は余命わずかで、事件の裏には土地買収によって転がりこむ莫大な遺産の相続問題が見え隠れしていた。警察は容疑者を叔父の岡京二郎に絞り、彼の主張するアリバイを崩すことに成功する。ところが京二郎は別のアリバイを主張し始め…。崩しても崩してもまたアリバイ!?犯人なの?犯人じゃないの?“アリバイ”崩しミステリー、不朽の名作!
歴史学者である妻伸子の助言のもと、大胆な推理を展開する大和田の小説は、発刊すると、たちまち評判となった。しかし、伸子の勤める大学を牛耳る先輩教授は、妬みから大和田を中傷し、伸子を学内から、追放しようとする。数日後、「インターラーケン城」と名付けられた広大な別荘の中で、その教授は惨殺されていた。「聖徳太子の謎」に端を発する殺人事件は意外な展開を見せ、第2、第3の悲劇がそこに幕を開けようとしていた。
六甲山系の摩耶山山中で発見された被害者の若い男性は、“MAKO”というロゴが入ったTシャツを着ていた。そして事件現場に現れた若い女性のTシャツには“TOKO”というロゴが…。しかしそれ以外に身元を特定できるものはない。事件の発見者二階堂調査官と妻の日美子は、兵庫県警と協力し、ただちに捜査に乗り出した。そして次第に事件の背後にある、奇妙な人間関係が浮かび上がってくる…。
工場汚水から毒ガスが発生し、幼児が中毒死した。自分の不注意を責めた母親は、その後を追って自殺する。妻と子供を失った芭蕉研究家の大学講師・三浦八郎は廃水を流した化学工場の工場長・田辺に激しい憎悪を燃やす。間もなく相模湖畔で絞殺死体となって発見される田辺。その直後、最有力容疑者の三浦が遺書を残して自殺する。事件は解決したと思われたが、三浦には鉄壁のアリバイが…!?傑作長篇推理。
聖徳太子はガン死だったー時代作家・大和田博が、妻の歴史学者・伸子の研究からヒントを得て書いた小説「聖徳太子の謎」は衝撃的なテーマで大反響を呼んだ。しかし、大学内で伸子と対立する実力者・桃井は新聞に批判文を発表、伸子の左遷を図る。その矢先、桃井が高原の別荘で惨殺された。そこには「天ばつ」の血文字が…。作中作、多重構成のプロットなど、ふんだんに趣向を凝らした、快作ミステリー。
かつての上司である井筒が軽井沢に開いた「こころ探偵事務所」の探偵長に迎えられた江戸川匡太郎と瓜生姉妹は、横浜にある「戸塚進学塾」の経営者夫妻を調査することになった。有名小学校へ入学させるという名目で、多額の金を詐取しているというのだ。しかし、内偵を始めた矢先、塾長夫人の戸塚徳子が密室状態の部屋で毒物死しているのが発見された。夫・正二の不審な行動…。徳子の死因となった毒物が、沖縄産の限定ハブ酒の壜にしこまれていたことから、江戸川らは急遽、那覇へ飛んだ!?会心の書下し本格推理。
福祉予算を倍にせよ。さもなければ次々に犠牲が出るだろうー鎌倉市長に“殺人鬼”なる人物から届いた脅迫状。最初は悪戯かと思われたが、犬猫先生の隣人・月夜子のインコが市庁舎の前で斬首されたのを皮きりに、猫、犬と殺されたため事態は深刻に。犬猫語を操る犬猫先生は、市内の動物たちを駆使して犯人探しに乗り出す。だがその矢先、遂に人間の犠牲者が…。
日美子と夫の二階堂が招待を受けた広田教授宅で、夜中に三女の美夏が誘拐された。犯人は三億円を要求。日美子は警察に連絡することを勧めるが、奇妙なことに、誰も届け出ようとしない。さらに長女の朱雀までが行方知れずとなり、やがて、二人は密室内で惨殺死体となって発見された。奈良を舞台にくり広げられる猟奇的犯罪に日美子が挑む、長編推理力作。
鉄道警察隊に勤務する江戸川警部の恋人、小夜香が何者かによって誘拐された。犯人からの電話で囚われの彼女は「グッドバイね」という謎の暗号を残す。だが、奇妙なことに突然彼女は解放された。実はそれが事件の始まりだったのだ。今度はその誘拐犯がランドマークタワーで殺された…。長編ミステリーの傑作。
警察庁鉄道警察隊の江戸川匡太郎警部の恋人・小夜香が過激派セクトに誘拐された。自ら囮となった江戸川のもとに「グッドバイ」という小夜香の謎の暗号文が届く。しばらくして、小夜香は突然、不可解に解放された。しかし、それが殺人事件の発端となった!江戸川警部の眼前で、恋人の誘拐犯が何者かに殺されたのだ。
タロット日美子が逗留している建築家の屋敷で、次々と事件が起こる。その第一は、夜中にその家の娘が誘拐されたことだった。しかし奇妙なことに、誰も警察に届け出ようとしない。そしてついに恐るべき殺人事件が発生する。事件の謎に日美子が迫っていくが…。
工場汚水から発生するガスでひとりの子供が中毒死し、母親も後追い自殺を遂げた。直後、工場長が殺され、愛する妻子を失った芭蕉研究家の大学講師三浦八郎が、犯行を告白する遺書を残して死亡した…。三浦の死で事件は終息するかに見えたが、驚くべきことに、彼には鉄壁のアリバイがあった。公害問題と芭蕉忍者説を作中に盛り込んだ著者の代表作。