著者 : 村山由佳
二度とないと思っていた恋、二度とないと諦めていた自由。夫が作り上げた透明な檻から羽ばたこうともがく咲季子。その「薔薇色の人生」の行方はー新境地を拓く衝撃の長編サスペンス。
家にも学校にも居場所を見出せず、自分を愛せずにいる14歳の少女。茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた画家・歩太。20歳年上の歩太と出会い、茉莉は生まれて初めて心安らぐ居場所を手にする。二人はともに「再生」への道を歩むが、幸福な時間はある事件によって大きく歪められー。いま贈る、終わりにして始まりの物語。『天使の卵』から20年、ついに感動の最終章。
札幌に住む看護婦の貴子は、学校に行けなくなった11歳の少女、まりもと知り合う。自分が通う牧場(ランチ)にまりもを誘うが、そこで待っていたのは、風変わりな牧場主と、エンデュランスという乗馬耐久競技だった。馬をいたわりながら、野山にめぐらされたルートをたどり、長距離を翔けぬける。競技に魅せられた者たちだけが見ることのできる世界とは? それぞれに喪失感を抱えた男女たちが生きることに向き合っていく感動作。 第一レグ 突風 第二レグ 目覚め 第三レグ 訪問者 第四レグ 勝ち負け 第五レグ 傷痕 第六レグ 限界 エピローグ 空へ
性愛表現を究めた傑作アンソロジー 疲れた主婦を癒す指圧院、美しい教師と生徒ばかりのアートスクール、挿入のないセックスを追求するカップル。九つの極上の官能短編。 収録作品:「千年萬年」(小池真理子)、「作家志望」(桐野夏生)、「風酔ひ」(村山由佳)、「影のない街」(桜木紫乃)、「本朝金瓶梅」(林真理子)、「エレクションテスト」(野坂昭如)、「橋」(勝目梓)、「いれない」(石田衣良)、「淫の忍法帖」(山田風太郎)
愛したいのに愛せないーー38歳、小説家の夏帆は、母親への畏怖と反発から逃れられずに生きてきた。 大人になり母との関係を見つめ直すうち、衝撃の真実が……。共感と感動の自伝的小説。(解説/島本理生)
勝利がオーストラリアへ旅立って、声を聞くこともできず、つらい日々を送るかれん。休暇で実家に帰った時に「風見鶏」に顔を出すと、久々に再会した由里子から、思いがけない申し出を受ける。新展開!
看護師の貴子が出会った少女、まりもは、ある事件から学校に行けなくなってしまった。貴子は少女を牧場へと誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と、乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界だったー。北海道の牧場を舞台に描かれる命の輝き。底知れぬ感動をよぶ、祈りと希望の物語。
結城麻子・東京の呉服屋の一人娘「夫婦のつながりは、セックスだけじゃないでしょう?」×桐谷正隆・千桜の夫。婿養子だが野心家「俺は、今すぐにでもあんたを抱きとうてたまらんのや」、桐谷千桜・京都の葬儀社の社長令嬢「もう逃がさへん。あんたはうちの奴隷や」×小野田誠司・麻子の夫。ブライダル会社の営業「お願いだから、もう苛めないでくれ」。共犯関係は緊張を帯び、秘密の濃度は高まり、堕ちていくー身も心も焼き尽くすねじれた快楽の行方。恋ではない、愛ではなおさらないもっと身勝手で、もっと純粋な、何か。夫婦だからこそ言えない秘密がある。『ダブル・ファンタジー』を超える衝撃の官能の世界。
三十五歳の脚本家、奈津は、才能に恵まれながら、田舎で同居する夫の抑圧に苦しんでいた。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、長く敬愛していた演出家・志澤の意見に従い、家を飛び出す決意をする。束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語。
志澤とのかつてないセックスを経験した奈津は、テレビの取材で訪れた香港で、大学時代の先輩・岩井と久しぶりに出会う。夫とも、志澤とも異なる、友情にも似た岩井との性的関係は、彼女をさらなる境地へと導く。抑圧を解放した女性が、官能の果てで見たものは?作家・村山由佳が新境地を切り開いた金字塔的小説。
奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さー。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためならーそのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。
信じたい、離れても思いは変わらない、と かれんとの時間を持ちたくて一人暮らしを始めた勝利だが、かれんは介護福祉士を目指すという。応援したいが離れて暮らさねばならない勝利の心は複雑。一方、両親の猛反対にあったかれんは…。
かれんの気持ちを何度でも確かめたい!強い愛の言葉がほしい!遠距離恋愛のもどかしさに、悶々とした日々を送る勝利。そんな時、あの、かれんが二人で逢うために休みをとった。久しぶりの再会を楽しもうとあれこれ考えていた勝利だったが…。好きになればなるほど、深く複雑になる恋人たちの想いを、村山由佳が綴る。人気シリーズ、待望のSecond Seasonへ。
生きることに無器用なひとなのね。それが私にはいとしかったー葉月さんは亡くなる前、娘の弥生と幼なじみの僕に話してくれた。かつて別れた恋人のことを。弥生はその男の向かいの部屋に住み、彼の講義を聴きに短大に通った。「お父さん」と、一度も告げられずに。卒業式の日、僕は弥生の帰りを待つー。
19歳の歩太と27歳の春妃のせつなく激しい恋を描いた『天使の卵』から12年。そして『天使の梯子』から2年。29歳の妹・夏姫が回想するエモーショナルな懺悔。哀しくて、エロティックな青春の詩。
■内容紹介■ 禁断の恋に悩む兄妹、他人の恋人ばかりを好きになってしまう末妹、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱えて……。愛とは、家族とはなにか。別々に瞬きながらも見えない線で繋がる星座のように、家族は、「家」という舟に乗って無限の海を渡っていく。心震える感動の短篇連作小説集、第129回直木賞受賞作。