著者 : 村田沙耶香
世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の最新短篇&エッセイ 「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」 好きな言葉は「原価いくら?」で、 現実こそが正しいのだと、強く信じている永岡。 同級生から、カルト商法を始めようと誘われた彼女はーー。 信じることの危うさと切実さに痺れる8篇。 〈その他収録作〉 ★生存 65歳の時点で生きている可能性を数値化した、 「生存率」が何よりも重要視されるようになった未来の日本。 生存率「C」の私は、とうとう「野人」になることを決めた。 ★書かなかった小説 「だいたいルンバと同じくらいの便利さ」という友達の一言に後押しされて、クローンを4体買うことにした。 自分を夏子Aとし、クローンたちを夏子B、C、D、Eと呼ぶことにする。 そして5人の夏子たちの生活が始まった。 ★最後の展覧会 とある概念を持つ星を探して、1億年近く旅を続けてきたK。 彼が最後に辿り着いた星に残っていたのは、1体のロボットだけだった。 Kはロボットと「テンランカイ」を開くことにする。 ほか全8篇。
さまざまな世界との対峙の仕方を描く、衝撃の短編集! 村田沙耶香ワールドの神髄を堪能できる4篇を収録。 ■「丸の内魔法少女ミラクリーナ」 OLの茅ヶ崎リナは、日々降りかかってくる無理難題も、魔法のコンパクトでミラクリーナに“変身”し、妄想力を駆使して乗り切っている。そんなある日、元魔法少女仲間のレイコが、恋人の正志と喧嘩。よりを戻すためには「レイコの代わりに魔法少女になること」を条件に出すと、意外にも彼は魔法少女活動にのめり込んでいくが……。 ■「秘密の花園」 「見ているだけでいいから」と同じ大学の早川君を1週間監禁することにした千佳。3食昼寝付きという千佳の提案に、彼は上から目線で渋々合意した。だが、千佳の真意は、小学3年生からの早川君への初恋に終止符を打つため、「生身の早川君がいかにくだらない男か」を目の当たりにし、自分の中の「幻想」を打ち砕くことにあったーー。 ■「無性教室」 髪はショートカット、化粧は禁止、一人称は「僕」でなければならないーー。「性別」禁止の高校へ通うユートは、性別不明の同級生・セナに惹かれている。しかし女子であろう(と推測される)ユキから、近い将来、性別は「廃止」されると聞かされ、混乱する。どうしてもセナの性別が知りたくなるが、セナは詮索されるのを嫌がり……。 ■「変容」 母親の介護が一段落し、40歳になって再び、近所のファミレスで働きはじめた真琴は、世の中から「怒り」という感情がなくなってきていること、また周囲の人々が当たり前のように使う「なもむ」という言葉も、その感情も知らないことに衝撃を受ける。その矢先、大学時代の親友から「精神のステージをあげていく交流会」に誘われるが……。
小説好きのみなさん、お待たせしました。日本文藝家協会が毎年編んで読者に贈る年間傑作短編アンソロジー。2018年の1年間に文芸誌などの媒体に発表された全短編から厳選。ベテラン作家から新鋭作家まで、日本を超え、世界を捉え、文学を革新する多彩な書き手15人による注目作、意欲作を選び出す。この一冊で2018年の日本文学を一望できる珠玉の短篇名作選。解説は中沢けい氏。 文通 土脉潤起 どみゃくうるおいおこる 坂をおりる船 ダークナイト・ミッドナイト 本当の旅 ハレルヤ 牡丹華 ぼたんはなさく 風下の朱 巡礼 生き方の問題 チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ 風鈴 永遠のあとに来る最初の一日 残影 野戦病院
麋角解(さわしかのつのおつる)、東風解凍(とうふうこおりをとく)、桃始笑(ももはじめてわらう)--あまりにも美しい、四季を彩る“季節の名前”。 古来伝わる「二十四節気(にじゅうしせっき)七十二候(しちじゅうにこう)」に導かれ、手練れの十二人がつむぐ匂やかな小説集。 二十四節気、七十二候 萌え出ずる春、青々と爽やかな夏、紅葉に染まる秋、しんと静まった冬ーー。四つの季節をそれぞれ六等分した“二十四節気”は、春の兆しが現れる立春、次第に夏めく立夏、夜が最も長い冬至などを示す。 それをさらに三等分した“七十二候”。暖かな雨が降り注ぎ大地が潤う「土脉潤起(どみゃくうるおいおこる)」、蛍が姿を現し始める「腐草蛍為(ふそうほたるとなる)」など、その時期に起こる出来事をそのまま名前にした。 移ろいゆく季節にここまで細やかに、そして美しい名前をつけた古(いにしえ)の人々。旧暦の魅力を、掌に収まるような十二篇の小さな物語を通して、感じてみませんか。 瀬戸内寂聴「麋角解」 絲山秋子「雉始鳴」 伊坂幸太郎「鶏始乳」 花村萬月「東風解凍」 村田沙耶香「土脉潤起」 津村節子「桃始笑」 村田喜代子「雷乃発声」 滝口悠生「虹始見」 橋本 治「牡丹華」 長嶋 有「蛙始鳴」 高樹のぶ子「蚕起食桑」 保坂和志「腐草為螢」 白井明大「いま季節の名前を呼ぶこと 二十四節気七十二候について」
「普通」とは何か? 現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作 36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。 日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、 「店員」でいるときのみ世界の歯車になれるーー。 「いらっしゃいませー!!」 お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。 ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、 そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。 累計170万部突破&40カ国語に翻訳(2024年5月現在)。 米国〈ニューヨーカー〉誌のベストブック2018に選ばれるなど、 世界各国で読まれている話題作。 解説・中村文則
なにがあってもいきのびること。恋人と誓った魔法少女は、世界 = 人間工場と対峙する。地球では「恋愛」がどんなに素晴らしいか、若い女はセックスをしてその末に人間を生産することがどんなに素敵なことか、力をこめて宣伝している。地球星人が繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろう。私はどうやって生き延びればいいのだろうーー。
セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。
変てこだったりグロテスクだったり極端だったりする、究極に純度の高い愛のアンソロジー。人気作家勢揃い! ●川上弘美●多和田葉子●本谷有希子●村田沙耶香 ●吉田知子●深堀 骨●安藤桃子●吉田篤●小池昌代●星野智幸●津島佑子 気鋭の翻訳家、岸本佐知子氏が「変な愛」を描いた小説ばかりを集め訳したアンソロジー。翻訳アンソロジーとしては異例の人気シリーズとなった、前作に続く日本版。 「変愛は純愛。日本の作品にも、すばらしい変愛小説がたくさんあることに気がつき」、「ここ日本こそが世界のヘンアイの首都であると思え」たという岸本氏が選んだ、現代の恋愛小説の名手による、変てこだったりグロテスクだったり極端だったりする、究極に純度の高い愛のアンソロジー。 「形見」 川上弘美 「韋駄天どこまでも」 多和田葉子 「藁の夫」 本谷有希子 「トリプル」 村田沙耶香 「ほくろ毛」 吉田知子 「逆毛のトメ」 深堀 骨 「カウンターイルミネーション」 安藤桃子 「梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる」 吉田篤弘 「男鹿」 小池昌代 「クエルボ」 星野智幸 「ニューヨーク、ニューヨーク」 津島佑子 形見 川上弘美 韋駄天どこまでも 多和田葉子 藁の夫 本谷有希子 トリプル 村田沙耶香 ほくろ毛 吉田知子 逆毛のトメ 深堀 骨 カウンターイルミネーション 安藤桃子 梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる 吉田篤弘 男鹿 小池昌代 クエルボ 星野智幸 ニューヨーク、ニューヨーク 津島佑子
十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか?「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語。
人は人生で4度、殺意を覚えるーー。芥川賞受賞作家、村田沙耶香の最大の衝撃作はコレだ!--今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。 祝!芥川賞受賞 村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ! 10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。 今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。 殺人出産 トリプル 清潔な結婚 余命
第155回芥川賞受賞作! 36歳未婚女性、古倉恵子。 大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。 これまで彼氏なし。 オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、 変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。 日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、 清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、 毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。 仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、 完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、 私を世界の正常な「部品」にしてくれるーー。 ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、 そんなコンビニ的生き方は 「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。 現代の実存を問い、 正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。
「ときどき何だか恋しくなって、うっかりページをひらいてしまう」(朝吹真理子選「親友交歓」)、 「悲嘆にくれながら笑い、怒りながらおどける。背反を抱え、そのまま抱きしめ続ける人」(滝口悠生選「葉」)、 「儚くて、かわいくて、切実で」(西加奈子選「皮膚と心」)-- 三十八歳で歿した太宰の短篇を、七人の現代作家が同世代の眼で選んだ作品選。 新樹の言葉 青木淳悟・選 親友交歓 朝吹真理子・選 トカトントン 佐藤友哉・選 葉 滝口悠生・選 駈込み訴え 津村記久子・選 皮膚と心 西 加奈子・選 おさん 村田沙耶香・選 太宰治年譜 選者略歴
クラスでは目立たない存在の結佳。習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に彼を「おもちゃ」にしたいという気持ちが高まり、結佳は伊吹にキスをするのだがー女の子が少女へと変化する時間を丹念に描く、静かな衝撃作。第26回三島由紀夫賞、第1回フラウ文芸大賞受賞作。
「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいいー。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない…。三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。