著者 : 柴田元幸
俺はけだもの同然、人間の形をしたゼロだった。師匠に拾われ、誰一人なしえなかったことをやってのけた。各地を巡業し、人々を魅了した…。20年代を背景に“空飛ぶ少年”の飛翔と落下の半生を描く、ポール・オースターのアメリカン・ファンタジー。
ポー、メルヴィルからオースター、パワーズまで── 著書自ら訳し、語る、待望の本格的講義。 ●名前 ●食べる ●幽霊の正体 ●破滅 ●建てる ●組織 ●愛の伝達 ●勤労 ●親子 ●ラジオ
ニック・ビレーンは、飲んだくれで、競馬が趣味の超ダメ探偵。ところが、そんな彼に仕事が二つ転がり込む。ひとつは死んだはずの作家セリーヌをハリウッドで見かけたから調べてくれという“死の貴婦人”の依頼、もうひとつは“赤い雀”を探してくれという知人の依頼。突然の仕事に大張り切のビレーンは、早速調査にのり出すのだが…。元祖アウトロー作家の遺作ハードボイルド長編。
ある日僕らの音楽の先生が言った。ビートルズの歌を作ったのは、ジョン・レノンやポール・マッカートニーではないのだよ、と。時は1968年、僕は13歳だった-。ビートルズについて書かれた小説、麻薬中毒ミステリ作家の危ない独白…。英語圏で一番人気の文芸誌「グランタ」から選りすぐった新鮮な5篇。
瞳の色、唇の形、耳のひだに至るまで、ひとつひとつ詳細に思い描くことによって造り上げた幻影の女性、オリヴィア。彼女がもたらす甘美な呪いを描く「ロバート・ヘレンディーンの発明」『不思議の国のアリス』のパロディ「アリスは落ちながら」他、現代アメリカ文学の新鋭ミルハウザーによる10の煌めく短篇を収録。
バニング・ジェーンライト。アドルフ・ヒトラーのために、ポルノグラフィーを書く男。「ふたつの」世界を旅する男。彼の口から、果てしない迷路のような物語、呪われた愛をめぐる“もうひとつの二十世紀”の物語が、いま語りだされる…。数多の絶賛を浴びながら、現代アメリカ文学界に慧星のごとく登場したスティーヴ・エリクソンの傑作長篇。
人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべの無い国。アンナ・ブルームが行方不明になった兄を探して乗りこんだ国はそんな悪夢のような国であった…極限状況における人間の愛と死を描く鬼才の傑作近未来小説。
世界中から集めた、きわめつきのショートショート集。ボルヘス、ガルシア=マルケス、カルヴィーノ、コレットと世界文学のビッグネームから、意外な掘り出し物まで、ずらり六十篇。
七つの短篇と七つの掌編が織りなす美しく力強い小説世界。シカゴに生まれ育った現代アメリカの最も期待される作家ダイベックは、ユーモアと愛措をこめてこの古い湖岸の街のたたずまいを、若者たちの友情と孤独を描き出す。ジョイスの『ダブリン市民』にも比肩しうる新しい都会小説の誕生。
風変りな幻想の博物館の世界を描いた表題作「バーナム博物館」、アラビアン・ナイトの魅惑の源を探った「シンバッド第八の航海」、幻影の女性がもたらした甘美な呪い「ロバート・ヘレンディーンの発明」、『不思議の国のアリス』のパロディ『アリスは落ちながら』、ミステリアスな雰囲気に満ちた「探偵ゲーム」、謎めいた芸人の鬼気迫る生涯の物語「幻影師、アイゼンハイム」他、全10篇を収録。
ロラン・バルトのお教えを受け、しかし師に先んじてポストモダニズムの金字塔『文化行為としての性交(フォルニカシオン)』を世に問い、そしてパリの知的シーンから忽然と姿をくらました謎の思想家アンリ・マンソンジュ。不在のリーダー、我らがひれふすべきその足下を求めて、ブラドベリ教授の困難な、だが輝やける探査行が始まる。たのしい思想小説。