著者 : 樋口有介
高校二年の夏休み、同級生の女の子が死んだ。刑事の父親と二人で暮らすぼくは、友達の麻子と調べに乗り出したが…。開高健から「風俗描写が、とくにその“かるみ”が、しなやかで、的確であり、抜群の出来である」と絶賛され、サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した、青春ミステリーの歴史的名作。
癌で入院中の父親と寝たきりの祖父の面倒を一人でみる村尾柊一。彼は善意より殺意を必要とした…。あの日、雨が降っていなければ、誰も殺されなかった。必死だけど可笑しくて、実直ゆえに我がままで、優しいくせに傷つける-デビュー15周年を迎えた樋口有介の真骨頂、とにかく切ない物語。
国民的な人気をほこる村本啓太郎総理が57歳の若さで急死した。日本の今後を憂える私立探偵・木野塚氏の周囲に、総理が推進する政策を阻止したい勢力による暗殺らしい、という不穏な噂が駆けめぐる。気がつくと、こんな重大事件の真相調査に巻き込まれていた木野塚氏の運命や如何に!私立探偵・木野塚氏の推理が冴える(?)書き下ろし大爆笑ハードボイルド。
けだるくて退屈な夏休みのある日、高校生の僕は、友人の紹介で風変わりな少女・アキ子と出会い、そして彼女に惹かれていったー未来への不安、焦燥感、同級生の死、切ない恋心。誰もが通り過ぎて来た、青春のやるせない日々の一ページを鮮やかに描いた、青春小説の最高傑作。
青春ミステリーの金字塔。半年前まで付き合っていた、奔放で少し危なっかしい彼女が自殺して、ぼくの退屈な夏休みは、あつく…なる。千葉・御宿の海でぼくのもと恋人が自殺した。気まぐれで、なにかと周りの人間を巻き込むヤツだったけど、決して自殺するタイプじゃなかった。葬式の日、ぼくと死んだ彼女は同じ幼稚園に通っていたことを知った。そんなこと、彼女は一言もいわなかった…。甘酸っぱいなにかに揺さぶられ、ぼくは“自殺”の真相を探り始める。
リュウ・アーチャーやフィリップ・マーロウやマイク・ハマーや、とにかく、その種の探偵小説を読んでいると、そこに自分の願望と人生の理想がうっとりするほど投影されているのだった。長い間夢に見てきた日々が、木野塚佐平氏の六十年の人生において、ついに現実のものとなりつつある。…新宿に『木野塚探偵事務所』を開き、電話を引き、秘書の募集広告をした。そして、応募してきた秘書は、華奢な首と、丸いとぼけたような大きい目を持ち、女子高生のアルバイトとみまがう痩せた女の子だった。木野塚氏はこの梅谷桃世と難問にとりくむことになる。
とがった顎、不釣り合いなほど大きな目、そして細い指…。君の残像が気になり始めた頃、22歳の僕の周りは急に騒がしくなった-。不倫の果てに自殺騒ぎを起こした姉と、不倫がばれた親父、そしてこんな困った家族のためになぜか奔走する羽目になる僕。いつもと変わらぬはずの11月に起きた、つむじ風のような事件を描く青春ストーリー。
刑事をやめて、ルポライターと探偵業をこなす柚木草平。ある雨の日に、彼のもとに不思議な事件が持ち込まれた。謎の糸をたぐり寄せるたびに、出逢うのはいろんなタイプの美女、美女、美女。殺人事件の謎ときから、掃除、洗濯、料理をこなし、おまけに『いい女』にも強い柚木がさり気なく活躍する人気シリーズ。
殺されたのは有名宝石店の美人社長。しかも別れた元女房。探偵コンビの相手はポニーテールの女子大生。事件を彩る華やかな女性たち…。ぼんやり佇んで、人生をやり過してきた中年男が、やむなく少し前向きに歩き出した街は、花の盛りの青山・渋谷・銀座界隈。事件の終りはいつも哀しい。粋な会話の都市物語。