著者 : 歌野晶午
東京近郊で連続する誘拐殺人事件。誘拐された子供はみな、身代金の受け渡しの前に銃で殺害されており、その残虐な手口で世間を騒がせていた。そんな中、富樫修は小学六年生の息子・雄介の部屋から被害者の父親の名刺を発見してしまう。息子が誘拐事件に関わりを持っているのではないか?恐るべき疑惑はやがて確信へと変わり…。既存のミステリの枠を超越した、崩壊と再生を描く衝撃の問題作。
「私を誘拐してください」小宮山佐緒理は潤んだ瞳で俺の手を握りしめたー。報酬は百万円、夫の愛を確かめるための“狂言誘拐”を頼みたいというのだ。便利屋の俺は完璧なプランを練り、見事に“誘拐”を成功させる。しかし、身を隠していた佐緒理が部屋で殺されているのを発見し…。偉才・歌野が放つ、誘拐ミステリーの白眉。
太平洋戦争中、疎開先で家出した梶原兵吾少年は疲れ果て倒れたところをある屋敷に運び込まれる。その夜、少年は窓から忍び入る“鬼”に遭遇してしまう。翌日から、虎の像の口にくわえられた死体をはじめ、屋敷内には七人もの死体が残された。五十年の時を経て、「直観」探偵・八神一彦が真相を解明する。
「私は断じて愉快犯ではない」-世間を恐怖に陥れている連続婦女誘拐殺人事件。少女惨殺の模様を克明に記した犯行声明が新聞社に届けられた。ところが、家族や捜査陣の混乱をよそに、殺されたはずのその少女は無事戻り、犯人とされた男は自殺、事件は終結したかに思われた。しかし、事件はまだ終わっていなかった。捜査を担当している佐原刑事の娘が誘拐されたのだ!しかも、犯人は衆人環視のなかで身代金を運べと要求する…。犯人の目的はいったい何なのか?刑事たちを待ち受ける驚天動地の結末とは!?偉才が放つ奇想のミステリ。
乱歩の未発表作品が発見された!?『白骨記』というタイトルで雑誌に掲載されるや大反響を呼ぶー南紀・白浜で女装の学生が首吊り自殺を遂げる。男は、毎夜月を見て泣いていたという。乱歩と詩人萩原朔太郎が事件の謎に挑む本格推理。実は、この作品には二重三重のカラクリが隠されていた。奇想の歌野ワールド。
今ぼくは第二の人生を送っています。つまりぼくには前世があるのです。ある雨の日の晩にバロン・サムデイがやってきて、おなかをえぐられて、そうしてぼくは死にました。前世、ぼくは黒人でした。チャーリーーそれがぼくの名前でした。-現世に蘇る、前世でいちばん残酷な日。不可解な謎を孕む戦慄の殺人劇に、天才少年探偵が挑む!長編本格ミステリ。
兵吾少年は奇妙な枡形の屋敷に住む老婆に助けられた。その夜、少年は窓から忍び入ろうとする鬼に出くわす。次々と起きる奇怪な事件。虎の彫像の口にくわえられた死体や、武者像の弓矢の先にぶら下げられた死体が発見される。真相は五十年の時を経て、「推理嫌いの探偵」の手により明らかとなる!本格超巨編。
七つの短編全てが読者への挑戦!周到極まりない殺人者の犯したたった一つの過ちとは?あるべき場所に死体がなかったのはなぜ?最有力容疑者を潔白であると探偵、信濃譲二はいうが?あらゆる角度から「推理小説」の醍醐味を味わってください。袋綴じの中に入った解答編を読むのは全ての謎を解いてから。
『白骨鬼』と題する江戸川乱歩の未発表小説が発見された。南紀・白浜で奇行を重ねていた学生・塚本直が異様な首吊り自殺を遂げた。だが、本当に自殺なのか。真相を追い、乱歩と詩人・萩原朔太郎が推理を展開するー。雑誌に連載され、好評を博す『白骨鬼』。しかし、そこには恐るべきカラクリが。本格推理の傑作と絶讃された奇想の長編、待望の文庫化。
江戸川乱歩の未発表小説が発見された。雑誌に連載されたその小説の題名は『白骨鬼』-その内容は次のようなものだった。ある理由で南紀・白浜を訪れた乱歩は、自殺の名所『三段壁』で起きた首吊り事件に遭遇する。首吊り自殺した学生・塚本直は、死の直前まで怪異な奇行を繰り返し、自殺した姿も異様なものであった。その奇行を知り、自殺に疑惑を抱いた乱歩と詩人・萩原朔太郎は、強烈な推理合戦を繰り広げるが。-だが、作者名のないこの連載小説には、恐るべきカラクリがあった。衝撃の大どんでん返し、大胆かつ精緻なトリックで虚と実を融合させた、新鋭が描く新本格推理の白眉。
あの信濃譲二が劇団〈神技〉に参加したとき、「殺人者」が緻密にそして大胆に作りあげた「仕掛け」はすでに作動していた。劇中で三人の命を奪うために用意されたナイフが、公演初日、本物の血を吸ったのだ!作中に巧妙に隠されたダイイングメッセージが信濃によって解読されたとき、読者は言葉を失うことだろう。
八ケ岳山麓にある猪狩家の別荘で不可解な惨劇が相ついだ。17歳の静香は密室でシャンデリアから逆さづりで殺され、母親は足跡ひとつない新雪の中、絞死体で発見された。静香の家庭教師・徹のSOSで駆けつけた名探偵・信濃がたどりついた無惨な真相とは?衝劇の処女作「長い家の殺人」に続く渾身の本格推理第2弾。