著者 : 皆川博子
影を買う店 使者 猫座流星群 陽はまた昇る 迷路 釘屋敷/水屋敷 沈鐘 柘榴 真珠 断章 こま 創世記(写真=谷淳志) 蜜猫 月蝕領彷徨 穴 夕陽が沈む 墓標 更紗眼鏡 魔王 遠い日の童話劇風に 青髭 連祷 清水邦夫&アントワーヌ・ヴィオロディーヌへのトリビュート
小説の女王・皆川博子が百年近くの歳月をかけ耽溺してきた、永遠に残したい本の数々。 生まれ変わっても本の山野に埋もれていたい。知るほどに読むほどに好きになる。 『辺境図書館』『彗星図書館』に続く、完全保存版ブックガイド。 (短編2本も追加収蔵) 《この天涯図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。知らない、読んだことがない、見つからないーー。そんなことはどうでもよろしい。読みたければ、世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう。(天涯図書館・2代目司書)》
自らの道を求め交易商人を志した二人の少女の物語。1160年5月、バルト海交易の要衝ゴットランド島。流れ着いた難破船の積荷をめぐり、生存者であるドイツ商人と島民の間で決闘裁判が行われることとなった。重傷を負った商人の代闘に立ったのは、15歳の少女ヘルガ。義妹アグネが見守る中、裁判の幕が開き、運命が動き出すー。ドイツ商人が北へ進出し、ロシア・ノヴゴロドでは政争が頻発するなど動乱の時代に生きた人々を詩歌や戯曲形式も交えて紡ぐ、小説の新たな可能性を拓く傑作長篇!
小説家とアーティストが出会い、新たな「物語」が生まれるーー 小説家の「歌詞」から生まれた5つの小説と楽曲。 収録作品 <小説> 「みちくさ」彩瀬まる 「南極に咲く花へ」宮内悠介 「透明稼業」最果タヒ 「星野先生の宿題」重松清 「Lunar rainbow」皆川博子 <楽曲> 「光る野原」彩瀬まる×伊藤沙莉×横山裕章 「南極に咲く花へ」宮内悠介×坂本真綾×江口亮 「透明稼業」最果タヒ×崎山蒼志×長谷川白紙 「ステラ2021」重松清×柄本祐×トオミヨウ 「哀歌」皆川博子×吉澤嘉代子×世武裕子 作曲・Project Produce 水野良樹
18世紀、独立戦争中のアメリカ。記者ロディは投獄された英国兵エドワード・ターナーを訪ねた。なぜ植民地開拓者と先住民族の息子アシュリーを殺したのか訊くために。残されたアシュリーの手記の異変に気づいた囚人エドは、追及される立場から一転、驚くべき推理を始める。それは部隊で続く不審死やスパイの存在、さらには国家の陰謀にかかわるものだった…『開かせていただき光栄です』シリーズ最終作。
極寒の地を襲う死のトリック!(『知床岬殺人事件』)。連続殺人に見え隠れする戦時の闇(『相馬野馬追い殺人事件』)。過去からの断罪。連環する罪業の哀しくも美しい荒野。
霊媒として祀り上げられた少女を取り巻く人々の狂気の渦ーー著者自身の体験が色濃く反映された神霊サスペンス『巫女の棲む家』、芝居小道具商の歴代当主の失踪、そして歌舞伎俳優の消失に端を発する連続殺人をけれん味たっぷりに描く『妖かし蔵殺人事件』。宗教団体、梨園、まったく異なる世界を舞台に、欲望や情念の渦巻く複雑な人間模様を剔出、ミステリーとして昇華させた傑作二長篇を収録。 巫女の棲む家 妖かし蔵殺人事件 付録1 文庫版解説 解説 司修 絵描きのひとりごと 岡田嘉夫 付録2 インタビュー集 皆川博子になるための135冊 聞き手・小森収 芝居を描くーー旅芝居から田之助、南北まで 聞き手・河出書房新社編集部 あとがき 編者解説
長崎のおくんち祭で起きた死亡事故と佐世保市内で起きた叔母殺しーー二つの事件を結ぶ意外な展開と、その背後に見える戦時中の強制連行の闇を暴く『虹の悲劇』、深夜の路上で拾った謎の女性をめぐる探索行から明らかになる反戦宗教家の悲劇と陰謀を描く『霧の悲劇』。 「戦争」という、暗く、重い時代を背景とした二つの「悲劇」を、二重殺人、入れ替わった死体、記憶を喪ったまま失踪する女など、ミステリ的要素をふんだんに盛り込んで贈る、傑作長篇推理小説コレクション! 虹の悲劇 霧の悲劇 あとがき 編者解説
愛する男を慕って、女の黒髪が蠢きだす「文月の使者」、挿絵画家と若い人妻の戯れを濃密に映し出す「青火童女」、蛇屋に里子に出された少女の記憶を描く表題作他、密やかに紡がれる8編。幻の名作、決定版。
生まれ変わっても、本に埋もれていたい。 女王の図書館は、天体をめぐりめぐってあなたのもとへ。 《この彗星図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。知らない、読んだことがない、見つからないーー。 そんなことはどうでもよろしい。読みたければ、世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう。(彗星図書館・司書)》 小説の女王・皆川博子が耽溺した、永遠に残したい本の数々。 『辺境図書館』に続く、完全保存版ブックガイド。(短編も一本収蔵)
quo fata trahunt, retrahuntque, sequamur. 運命が運び、連れ戻すところに、われわれは従おう。 1789年7月14日、民衆がバスティーユ監獄を襲撃。パリで起きた争乱は、瞬く間にフランス全土へ広がった。帯剣貴族の嫡男フランソワとその従者ピエール、大ブルジョアのテンプル家嫡男ローラン、港湾労働と日雇いで食いつなぐ平民のジャン=マリと妹コレット。〈革命〉によって変転していくそれぞれの運命とは。上巻は貿易都市ナントを舞台にしたフランス編。 「法廷で裁かれるのは〈犯罪〉だ。神が裁くのは、〈罪〉だ」 革命は終わった。 登場人物たちは、フランスを脱出してイギリス・ロンドンへ。ローラン、ピエール、コレットは、革命期に負った「傷」への代償としての「復讐」を試みる。 「革命という名の下になされた不条理に、私は何もなし得ない。ゆえに、個が個になした犯罪の是非を糺す資格も、私は持たない。私は、法がいうところの犯罪者になるつもりだ」 私は、殺人を犯す。それは罪なのか? あの「バートンズ」も登場!下巻は産業革命期のロンドンを舞台にしたイギリス編。 小説の女王が描く壮大な叙事詩的物語と、仕組まれた巧妙な仕掛けに耽溺せよ。
芝居小屋で起きた人気役者の謎めいた自殺と、その驚くべき顛末を描く「赤姫」。絵画をこよなく愛した父の死後、母の中に巣くう狂気に意外な形で気づく「陽射し」。女性の秘めた復讐心を静謐な筆致で浮かび上がらせる「紡ぎ唄」。中川多理氏が制作した球体関節人形から想を得た「そこは、わたしの人形の」など24篇。初期の作品から現在までの単行本未収録作品を精選して収録。短くも濃密な物語の数々に、著者の物語世界の多彩さと奥深さを堪能できる贅沢な作品集。
1915年、ドイツ。第一次世界大戦ー。イギリスを中心とする連合国に追い詰められたドイツ帝国海軍は、Uボートに捕虜救出作戦を命じた。敵の機雷網や爆雷を潜り抜け、決死の作戦を完遂できるか。英仏海峡を越える任務に命を懸けた兵士たちの矜持。1613年、オスマン帝国。中世ヨーロッパー。最後の輝きを見せるオスマン帝国で、豪華絢爛な宮廷生活をおくる王に、捕らわれた少年。母国語を奪われ、イスラム教徒へと強制改宗させられながらも、遠き故郷への帰還をあきらめない少年兵の運命。滅びゆくオスマン帝国と、黄昏のドイツ帝国Uボート。“数奇な運命”に翻弄される若者たちの物語。
時は動乱と呪法邪法に満ちた室町時代。赤松満祐が将軍義教を暗殺して挙兵し、満祐の側室野分がもう一人の側室玉琴を惨殺した夜から、死者生者入り乱れ運命が動き出す。南朝の血を引く少年阿麻丸は神器奪還の戦いに巻き込まれ、玉琴の怨念は活傀儡と化して野分と娘・桜姫に迫る!著者畢生の傑作伝奇小説。
阿麻丸と桜姫は京に近江に流転、野分は長い眠りにつき、玉琴の遺児清玄は立川流修法のために桜姫の髑髏を求める。一同が離合集散する中、後南朝の二人の宮と神器を狙う赤松の遺臣により、吉野の御所に戦火が上がる。応仁の大乱の足音が迫る時代を舞台に絢爛に繰り広げられる夢幻綺譚、いよいよ終幕へ。
湖から屍蝋が上がったー。小さなバーのママと常連客は、そのニュースに激しく動揺する(「水底の祭り」)。十二年前の夏、不注意から起こった悲劇。大人になり再会した二人は狩りに出た(「風狩り人」)。兄のひと言から、封印された暴力の記憶が甦り…(「鎖と罠」)。初期の傑作を厳選した、文庫オリジナル短篇集。