著者 : 矢野浩三郎
18世紀初め、ロンドン大火後の都市計画の一環として建設中の七つの教会に異端の聖堂建築家ニコラス・ダイアーが秘かに仕掛けた企みとは。一方、現代のロンドンでは教会周辺で少年ばかりを狙った連続殺人が発生、手掛かりもないまま深まる謎に、捜査を指揮するホークスムア警視正は次第に事件の奥に潜む闇に呑み込まれていく。円環する時間と重層する空間、魔都ロンドンの過去と現在が交錯する都市迷宮小説。ウィットブレッド賞・ガーディアン小説賞受賞作。
その町を覆ったのは霧ー目の前さえ見通せぬ濃霧。その奥には何かおそるべきものが潜む…豪雨に襲われてスーパーマーケットに集まった被災者を襲う災厄とパニックを描き、映画化、TVドラマ化された伝説の中編「霧」他、「恐怖の帝王」の凄みを凝縮した問答無用の傑作集。キング入門者に最適、キング・ファン必携の一冊!
「科学専門誌“ニュー・サイエンティスト”を読んでいたとき、地震発生のメカニズムに関する記事に目が留まり、人工的にこの振動を引き起こすことができるかもしれない、と考え、この小説の発想を得た」(K・フォレット)-この驚天動地の手段を、テロリストが手に入れたとしたら…。その恐怖は想像を絶するものとなるだろう。カリフォルニアの豊かな自然を守るべく“エコ・テロリスト”と化した一団、名付けてハンマー・オブ・エデン(エデンの鉄槌)と美貌のFBI捜査官ジュディ・マドックスとの息詰まる対決。サスペンスアクションの傑作ここに。
それは、インターネットの掲示板への書き込みから始まった。“ハンマー・オブ・エデン(エデンの鉄槌)”と名乗るグループが、カリフォルニア州のすべての発電所開発をやめるよう、知事に警告したのだ。ただのいたずらとして処理されたが…。ジュディ・マドックス。アメリカ人の父とベトナム人の母との間に生まれたFBIエージェント。この美貌の捜査官は、いらだっていた。ボスが替わり昇進を見送られた上に、いたずらとしか思えない一件を、自分がなぜ担当しなければならないのかと。プリースト。カリフォルニアの豊かな自然に築き上げたコミューンがダムの底に沈むのを阻止するため立ち上がった男。大胆にして細心な行動が、ついに期限の日に荒唐無稽と思えた計画を実現する。テロリストへ変貌した彼らと、思いもかけず追う任務となったジュディの息もつかせぬ攻防戦。
酔っぱらって警察に現われた踊り子アルレットがしゃべったことは出たらめではなかったー彼女は自宅で絞殺死体となって発見され、彼女が殺されると予告した伯爵夫人も、同じ手口で…。彼女が口にしたオスカルとは何ものか。アルレットーオスカルー伯爵夫人を結ぶ線は?モンマルトルを舞台に、司法警察の捜査網は謎の男オスカルをしだいに追い詰めていく…。
そう、たしかにあたしは亭主を殺したさ…30年前に夫を殺したと噂される老女ドロレスに、再び殺人の容疑が。彼女の口から明かされる二つの死の真相ー皆既日食の悪夢のような風景のなかに甦る忌まわしい秘密。罪が生み出す魂の闇。キングの緻密な筆がアメリカの女性の悲劇を余すところなく描き出す、慟哭の心理ミステリー。
スパイは砂漠を越えてやって来た。ロンメル将軍が送りこんだアレックス・ヴォルフは、イギリス占領下のカイロで活動を開始する。切り札は花形ベリー・ダンサーのソーニャ。ヴォルフとコード・ブック『レベッカ』の謎を追うイギリス軍のヴァンダム少佐も、自身に想いを寄せるユダヤ人女性エレーネに危険な使命を与えたー。軍略と情欲が鮮烈に交錯する鬼才の秀作、満を持して復活。
ロンドンに今も残る、異様な様式の七つの教会で発生した連続殺人。捜査にあたるホークスムア警視正の前に立ちはだかるのは、十八世紀の建築師ニコラス・ダイアーが仕掛けた「謎」-過去と現在を二つの文体で往復しながら読者を迷路に誘い込み、イギリス読書界を慄然とさせた現代の「言葉の魔術師」ピーター・アクロイドの最高傑作。
12世紀のイングランド。いつか大聖堂を建てることを夢見る建築職人トム・ビルダーは、職を求めて放浪の日々を送っている。そのころ、かつての大修道院キングズブリッジは衰退し、その大聖堂も大掛かりな修復を必要としていた。折しも教会を軽視してきた国王が逝去し、イングランドに内乱の危機が迫る。-壮麗なる大聖堂の建立をめぐり、数多の人びとが織りなす波瀾万丈の物語。
キングズブリッジ修道院長となったフィリップはトムを起用し大聖堂の再建を目指した。かつて放浪中のトムに出会ったジャックは、没落した前シャーリング伯の娘アリエナに一目で恋しながら、トムの徒弟として建築の才を開花させていく。だが、アリエナの父を捕らえシャーリングの地を得たウィリアム・ハムレイは、自領の衰亡を横目に繁栄するキングズブリッジに、焼討ちを仕掛けた。
トムの死後息子のアルフレッドが作事を引き継いだ大聖堂が脆くも崩れ去った。ウィリアムの暴挙で財産を失い困窮したアリエナは、ジャックへの愛を諦め棟梁のアルフレッドと結婚するが、彼女はすでにジャックの子を宿していた。ヨーロッパを放浪し建築の修業をしていたジャックは、新たな建築様式を身につけ、キングズブリッジへ帰還する。半世紀に及ぶ大聖堂建立物語の大団円。
アメリカ合衆国情報部Rセクションのエージェント、デヴェローは、同僚ヘイスティングスと接触するためイギリスへ飛んだ。しかし、そこに待っていたのは、ヘイステイングスの死であり、IRAとCIAの不可解な関係だった。調査をすすめるうちに、彼は、IRAがエリザベス二世の従弟スラウ卿の暗殺をもくろんでいることを突き止める。暗殺阻止に走るデヴェローの前に立ちはだかったのは、あろうことか、味方のはずのCIAだった。その目的は何か?ヨーロッパ経済の覇権をめぐって、米英がしのぎをけずる…。
燃えるアフガン!愛に生きるか、大義に死ぬか?パリに暮らす美しい女性ジェーンは愛した男がCIAのスパイだったことに心を傷つけられ、フランス人医師と結婚した。ふたりはアフガニスタンの医療奉仕に出発する。ソ連軍の侵攻に必死の抵抗をするゲリラの村が新しい仕事場であった。戦闘が激化したある日、ジェーンは信じられない光景に出くわす。夫がひそかに会っていた人物はソ連KGBの情報員だったことがわかり…。アフガン戦争の戦火の陰に、ケン・フォレットが愛と死を見つめる傑作。
アメリカ空軍の誇る早期空中警戒管制機AWACSがソ連によって強奪された。西側への亡命を望むKGB第1管理本部長ポーヴィンの支援を得て、CIAの工作員は奪われた機体を破壊すべくただちにシベリアへ向かう。だが厳重な警戒網に彼らは1人、また1人と倒れ、ポーヴィンにもKGBの手が…。ハイテク兵器をめぐる熾烈な戦いをスリリングに描くスパイ・アクション。