著者 : 矢野隆
東京から福岡の山奥に引っ越し、猟師として生活している明神マリア。 猟友会の会長・吉中剛太郎と、ここ最近感じている山の違和感について話していた。なぜか、山から獣の気配が消え去っているーー、と。 ある日の帰り道、マリアは森からかつてない強い気配を感じ、身構える。 それは、この五年の猟師経験で見たこともないような巨大な猪から発せられたものだった。 その正体は、江戸時代から言い伝えが残る金色の猪「イノガミ」ではないかと、剛太郎は言う。 過疎に苦しむ村で、恐怖と葛藤を抱えながら自然と向き合う猟師たち、そして平穏な暮らしを願う村人たち。 伝説の猪との対峙の先に見えるものとは。 手に汗握る猟師と害獣の死闘を描く、著者初の現代小説! 【著者略歴】 矢野隆 やの・たかし 1976年福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。21年『戦百景 長篠の戦い』で第4回細谷正充賞、22年『琉球建国記』で第11回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。他の著書に「戦百景」シリーズ、『覚悟せよ』『琉球建国記 尚円伝』『籠城忍 小田原の陣』『匣真演義 姫賊 僑燐伝』『籠城忍 上田城攻防戦』など多数。
匣(はこ)に刻まれた一字は己の運命。 その字に従うか、刃向かうかーー。 これは少女が国を「盗」み、世界を変える物語。 大陸一の港町・顎港の路地裏に、赤子が打ち棄てられていた。 僑燐(きょうりん)と名付けられたその少女の持ち物は、首に提げられた小さな匣のみ。 それもまるで開く気配がなく、ただ「盗」の字が刻まれているだけ。 この一字に導かれるように、長じた僑燐は盗賊団を乗っ取り、義賊として民たちに慕われていく。 そして顎港の支配者と対立し、歴史がうねりを上げて動き始める。 構想10年、編み上げた物語年表は1000年分。 新時代の中華ファンタジーシリーズ、ここに開幕!
絶体絶命。待ったなし。人生最大の危機をどう切り抜ける? 愛する女を奪われ、失った呉服屋の主。その悔恨と諦念……「鴨」、懐かしい村へ帰る。母のわがままに秀吉は……「さいごのおねがい」、赤穂浪士の討ち入り当日。隣家では……「おとなりさんちのかたきうち」など、善も悪もない、ただひたすらに生き抜いた名もなき人の物語。陰に隠れた人々の生死を懸けたさまざまな“覚悟”を、鮮烈かつ詩情豊かに描き出す珠玉の作品集。
歴史小説家たちが紡ぐ時代の違う五つの物語が、あるひとつの「怪異」で繋がる。 読後に訪れるこの震えは、恐怖か、驚愕かーー? 異端にして傑作の歴史小説集、ここに誕生。 5つの「畏怖」が、この国の歴史を塗り替える 矢野 隆 有我 --鎌倉時代、壱岐。元寇に抗う男に訪れたある異常。 天野純希 死霊の山 --室町時代、近江比叡山。霊峰に現れた狐憑きの正体は。 西條奈加 土筆の指 --江戸時代初期 中部地方。墓の土饅頭から土筆が生え……。 蝉谷めぐ実 肉当て京伝 --江戸時代後期、江戸市中。山東京伝の妻は、自らを「人魚」だという。 澤田瞳子 ねむり猫 --江戸時代末期、大奥。城内に現れる不可思議な病。
次郎長一家に突然やって来た旅の博徒、皐月雨の晋八。森の石松を窮地から救ったのが縁で、一家に草鞋を脱ぐことになった。素性を問われても笑顔でかわすばかり。不気味だが、とにかく腕は立つ。折しも、次郎長一家は甲州の卯吉一家と抗争の真っただ中。晋八は即戦力として一家の客分となるがー。この男、なぜここまで無慈悲に人を斬れるのか?
江戸最強の出版人、蔦屋重三郎。そして、才能の開花を待つ、まだ何者でもない天才たち。身も心も、自分がなりたいものになるために、捧げる日々。しかし。あるひとつの「死」が、夢追人の生活に、暗雲を…。
敵地にある墨俣の築城に成功し、織田信長の美濃攻略に大きく貢献した木下藤吉郎。だが彼の心は、晴れやかなものではなかった。信長の妹・於市が、浅井長政に嫁ぐことになり、想いを寄せていたことを妻の於禰に知られてしまったのだ。夫婦仲は険悪になり、藤吉郎は本来の明るさを失っていく。そんななか、越前の朝倉討伐に出ていた信長に於市からの驚くべき報せが届けられる。長政が信長を裏切り、朝倉義景側についたというのだ。藤吉郎は、信長から於市のいる浅井攻めを命じられるがー。狂おしいまでに想いを寄せる女のいる城を、藤吉郎は攻めることができるのか。
関ヶ原の合戦後に、西軍で唯一領土を減らされなかった所以とされる「島津の退き口」。70万石を守ることにつながった義弘のその手並みとは! はたまた、織田信長最大の窮地をまさに身を挺して救った羽柴秀吉の「金ヶ崎の退き口」。後に天下取りを競い合う、明智光秀や徳川家康も共に戦ったという奇跡の真相とは!──ほかに柴田勝政、馬場信春、堀秀政、石田三成、高橋紹連ら7人の武将たちが負け戦を「始末」して、あるいは出世の糸口をつかみ、あるいは華々しく散っていった「殿軍戦」を描いた戦国小説集!
山中で育ち、熊をも仕留める大力を持つ坂田公時。彼は武門の頭領・源頼光に従い、武人として都へ上る。身分の境に塗れた都に戸惑う公時は、夜な夜な現れる鬼の噂を耳にする。一方、神の棲まう山・大江山では、人々がしきたりに囚われず自由に暮らしていた。しかし、山を訪れた不審な男を追い払った日から、食糧たる獣たちが姿を消す。頭目の朱天は、民たちの命を守るため、都で盗みを働く決断を下す。公時と朱天。都と山。人と鬼ーー。交わるはずのない二つの思いが交錯するとき、歴史を揺るがす戦が巻き起こる! 平安史に突如現れる「酒呑童子伝説」の謎。その実像は、生きる権利をかけた人と人との戦争であった。
源八郎為朝。武士として生きるため、異常な弓の鍛錬を続けたこの男は、齢十二にして都の悪党達を支配。父によって送りこまれた九州を十七歳で平定し、「鎮西八郎」の異名とともに日ノ本を震撼させる。やがて巻き起こる天下を二分する保元の乱。為朝の前に立ちはだかるのは平清盛、そして唯一彼が恐れた兄・源義朝であった。常人には到達し得ない武の先に、男が見た景色とはー。
永禄三年五月十九日(1560年6月12日)。「海道一の弓取り」こと今川義元が、天下に号令せんと東進を開始。織田信長の所領・尾張に大軍が侵入したところでそれは起こった。丘陵地帯の地勢と豪雨を味方につけた、乾坤一擲の奇襲。三国の太守が寡兵による一撃で落命したしたのだ。「群雄割拠」から「天下布武」へ。戦国時代の流れを変えたこの変事は、本当に奇跡だったのか、それとも必然か!……戦国最大の逆転劇を、七つの視点で描く。累計21万部突破の大好評「決戦!シリーズ」第5弾! 冲方丁(織田信長) 砂原浩太朗(前田利家) 矢野隆(毛利新介) 富樫倫太郎(徳川家康) 宮本昌孝(今川氏真) 木下昌輝(岡部元信) 花村萬月(今川義元)
秀俊は十三歳で豊臣家から、小早川隆景の養子に出される。隆景は秀吉の信頼厚く、毛利家内でも重きをなす。対面して秀俊は隆景の眼鏡に適い、秀俊も隆景に好感を持つ。翌々年、朝鮮への再出兵が決まり渡海準備のさなか、義父・隆景の訃報に接する秀俊。初めて感じた親子の情と決別し、「秀秋」と改名して出陣する。
出世のために、信長の無理難題を乗り越えろ! 今川義元率いる軍勢が、三河から尾張へと侵攻せんとする頃。小者頭の藤吉郎は、清洲城で見かけた美しい娘に、身分も顧みず求婚していた。浅野又右衛門の養女・於禰に、「儂は天下人になる男じゃ!」と吠えてみたものの、にべもなく振られる始末。今川との戦いに際し、織田信長に同道するが、出世はなかなか見込めない。だが、西美濃侵攻に際し、信長から木曽川の川筋衆の主・蜂須賀小六の調略を命じられる。川筋衆を味方につければ、犬山城攻略は圧倒的有利に運ぶ。千載一遇の機会を得た藤吉郎は、小六の許へ乗り込むが、信長を嫌う小六は一筋縄ではいかなかった──。
永禄四年九月十日(1561年10月18日)──史上最強同士の激突の瞬間に、武田信玄は、上杉謙信は、何を思ったのか。霧立ちこめる北信濃の要衝で、竜虎が激突する。稀に見る上級の駆け引き。従った武将たちの本心は!……戦国最強対決の「瞬間」に、7人の作家が参戦。累計19万部突破の大好評「決戦!シリーズ」第4弾! 永禄四年九月十日(1561年10月18日)。史上最強同士の激突の瞬間に、武田信玄は、上杉謙信は、何を思ったのか。霧立ちこめる北信濃の要衝で、竜虎が激突する。稀に見る上級の駆け引き。従った武将たちの本心は!……戦国最強対決の「瞬間」に、7人の作家が参戦。累計19万部突破の大好評「決戦!シリーズ」第4弾! 宮本昌孝(武田信玄) 矢野隆(武田信繁) 乾緑郎(真田昌幸) 佐藤巖太郎(山本勘助) 冲方丁(上杉謙信) 木下昌輝(甘粕景持) 吉川永青(宇佐美定満)
ナルトたち親世代の活躍を描く新作ノベライズ第3弾! 次なる舞台は五影会談! 木ノ葉一の頭脳派シカマルが、各国との諜報戦と心理戦に挑む! イラストは岸本先生描き下ろし!
天正十年六月二日(1582年6月21日)──戦国時代でいちばん長い夜だった。すなわち本能寺の変。天下人目前の信長を、討った男と守った男。野心と業にまみれた男たちのそれぞれの生きざまとは……。歴史の流れを変えた「瞬間」に、名手7人が集結。累計19万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第3弾! 天正十年六月二日(1582年6月21日)──戦国時代でいちばん長い夜だった。すなわち本能寺の変。天下人目前の信長を、討った男と守った男。野心と業にまみれた男たちのそれぞれの生きざまとは……。 伊東潤「覇王の血」(織田信房) 矢野隆「焔の首級」(森乱丸) 天野純希「宗室の器」(島井宗室) 宮本昌孝「水魚の心」(徳川家康) 木下昌輝「幽斎の悪采」(細川幽斎) 葉室麟「鷹、翔ける」(斎藤利三) 冲方丁「純白き鬼札」(明智光秀) 歴史の流れを変えた「瞬間」に、名手7人が集結! 累計18万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第3弾 伊東潤「覇王の血」(織田信房) 矢野隆「焔の首級」(森乱丸) 天野純希「宗室の器」(島井宗室) 宮本昌孝「水魚の心」(徳川家康) 木下昌輝「幽斎の悪采」(細川幽斎) 葉室麟「鷹、翔ける」(斎藤利三) 冲方丁「純白き鬼札」(明智光秀)
天性の剣客・凜は「ドブ板長屋」に暮らし芸妓に身をやつしている。ある時長屋に転がり込んだ謎の男、十三郎との生活が続く中、凜の育ての親・藤兵衛が姿を消す。その数日後、藤兵衛の千切られた“耳”が長屋に投げ込まれー。憎しみに震える凜を最後に救うのは誰か。血で血を洗う争いの末、本当の強さに目覚めた剣士が、見る者を圧倒的感動に誘う。快哉を呼ぶ弩級の復讐譚、誕生!