著者 : 荒山徹
皇位継承が持明院統と大覚寺統で交互に行なわれていた鎌倉時代後期、量仁(のちの光厳天皇)は持明院統の期待を背負って即位したが、幕府を倒した前帝・後醍醐によって即位そのものを否定される。その後、後醍醐と敵対した足利尊氏に擁立されることで“治天の君”となるも、尊氏の裏切りによって南朝の囚われの身に…。己の生きる道を見失い、虚しく葛藤する中で見出した、現代にも繋がる「天皇の在り方」とは。
六六〇年、唐・新羅連合軍によって百済は滅亡、王とその一族は長安に送られた。遺された王族は倭国へ亡命していた豊璋ただ一人ー。新羅の金春秋、高句麗の泉蓋蘇文、倭の蘇我入鹿、葛城皇子(のちの天智天皇)…各国の思惑は入り乱れ、東アジアは激動の時代を迎える。大化の改新、朝鮮半島の動乱、そして白村江の戦いへと連なる歴史の裏でうごめいていた陰謀とは。圧倒的スケールで感動必至の長編小説。
インドの大地で生きながら流転輪廻を経験し、仏陀に覚醒した厩戸御子。もはやこの地に留まる理由はないと、帰国を決意する。その矢先、仏教の急進的一派・トライローキヤム教団の托鉢僧カウストゥバと再会、誘拐されてしまった。教団の長・イタカ長老は、御子の強大な霊力を利用した巨大兵器で、大都市タームラリプティを攻撃し、支配するつもりなのだ。一方、倭国では、敏達天皇が崩御。御子の父で、仏教導入に寛容な用明天皇が即位し、蘇我馬子、物部守屋の対決の時も近づいていた。厩戸御子は、無事に帰国し、はたして倭国にどのような変革をもたらすのか!?歴史伝奇巨篇、堂々の完結。
中国南部を支配する陳国の都市・揚州に辿り着いた厩戸御子たち。その霊的素質を見抜いた九叔道士ら道教教団によって、御子はさらわれてしまった。道教に興味を持ち、その真理を探る厩戸は、囚われていたもう一人の少年・楊広と出会った…。一方、御子を奪還すべく、道教教団と全面激突した虎杖と柚蔓、そして倍達多、月浄ら仏教僧たち。舞台は、いよいよ中国からインドへ!倭国を追われ、遠く仏教都市ナーランダーを目指す、厩戸御子を待つ運命とは!?構想・執筆に15年をかけた書き下ろし歴史伝奇巨篇!
時は六世紀。仏教導入派の蘇我馬子と反対派の物部守屋の対立が続いている時代。天才と噂される少年厩戸御子は、仏教経典を読み漁っていた。大叔父の馬子から、将来の仏教導入の“切り札”として期待されていたのだ。ある日、物部の姫に命を助けられた縁で御子は、物部守屋の邸を訪れた。守屋が披露したのは所蔵する膨大な数の経典。何故、排仏派の彼がー。一方、敏達天皇は、御子の異能を危険と判断、密かに抹殺すべく動き出す!敵同士である馬子と守屋は協力して、後の聖徳太子、厩戸御子を国外へ逃がそうとするが…!?
大韓申報の新米記者・高莉亜は、韓国・横城郡の高等学校で起きた、陸軍脱走兵による立てこもり事件の取材に向かった。脱走兵6人は少年を人質に取り、軍隊内の虐待を暴露、徴兵制の完全廃棄を要求する。国防軍は、極秘で計画を進めていた対日懲罰作戦統合本部ー略称『罰日』から、軍人・孔恭七を出動させ、見事、犯人たちを撃退。なんと彼は、あの安重根のDNAから生まれた超人兵甲だったのだ!喝采を浴びる孔恭七の勇姿を、ひとり、怒りの目で見つめる高莉亜。実は高莉亜も、『罰日』で生み出された超人兵甲であった!弾丸のスピードで走り、壁を駆けのぼり、鋼の肉体で銃弾をも跳ね返すー伝奇小説の鬼才が描く、近未来スーパーヒーロー!
十六世紀末、太閤・豊臣秀吉が仕掛けた朝鮮出兵。狂信的キリシタン大名の小西行長は、加藤清正らライバル武将に先んずるため、首都漢城の争奪戦に暴虐の限りを尽くし進軍する。対する僧兵・元信が主導する朝鮮軍は圧倒的少数だが、驚きの秘策がー実在の戦闘「幸州山城の戦い」を材に、傑作『徳川家康』の主人公が活躍する、大興奮の歴史活劇巨編!
中国の戦国時代、不老長寿の島・オオヤマトから秦へ向かった青年・シャクチ。“蛮人どもを討伐し、文明に浴させる”とオオヤマト征服を計画する秦の始皇帝の大船団を一人で壊滅させ、項羽と劉邦の熾烈な覇権争いにも与せず、朝鮮半島に国家を樹立する。その脅威を恐れた漢の武帝は大軍勢で朝鮮に侵攻する…。巨大な権力に一人立ち向かい続ける不死身の男の活躍を描く傑作!
筌堂塔太郎は長崎奉行の松平甚三郎から切支丹の疑いをかけられる。来航した阿蘭陀船に乗っていたミランダという女が「服部半蔵に会いたい」と懇願しているらしい。塔太郎こそが5代目服部半蔵なのだ。疑惑を晴らすべく塔太郎が船に忍び込むと、そこにいたのは生気を失った金髪の美女だった…(「服部家秘録 阿蘭陀くノ一渡海」)。美しくも儚き忍びの女と、それに翻弄される男たちを描いた、色欲あふれる4つの歴史伝奇小説!
三銃士の一人として勇名を馳せたダルタニャンに、盗賊団を追えとの新たな命が下った。フランスからイングランド、スコットランドと冒険する中、江戸から来た無敵の剣士が加勢する。二人は無二の親友となるが、日本人剣士は天海僧正の密命を帯びていた。その正体はー。日欧をまたぐ、奇想天外な伝奇活劇!
石田三成の正体は、朝鮮の古代国家・百済の流れを汲む、近江百済党の首領であった。百済再興を謀り、魔人と化した三成。これを阻まんと、剣客・柳生石舟斎ら大和柳生一族が立ち上がる。唐王朝、古代朝鮮、大和朝廷の動乱から関ヶ原の戦いまで、千年の死闘を大胆な歴史解釈と奇抜な着想で描いた伝奇大作!
霊廟を開封し、超能力を得た石田三成は、主君・豊臣秀吉の一族を次々と殺害。天下獲り、そして百済再興へ、着々と謀をめぐらす。その魔力を封じるべく、百済殲滅を使命とする新羅非時一族の末裔・大和柳生は、壬申の乱で用いられた百済伝来の神器を手に入れんとするー。大胆にして壮大な、荒山ワールド全開!
高麗の高僧・晦然が得意の絶頂にあったその日、彼を待ち受けていたのは二度の元寇で散った高麗の兵士たちの霊であった。供養のため倭国に渡った晦然は「一然書翰」を書き記す。この奇書が、三四五年の時を経て、徳川幕府と李朝を揺るがし、柳生一族をも混乱に陥れたのだった。
西紀1614年。李氏朝鮮王朝で、非道な王が幼い異母弟の暗殺指令を下した。だが女剣士集団“琴七剣”は王子守護に回り、妖術師軍団“魔別抄”と死闘を繰り広げる。琴七剣最後の一人となった碧蓮は、怨敵の壮一鴻と心ならずも共闘し、活路を求めて日本に渡る。折りしも時は大坂冬の陣直前だった。古代より続く龍と鳳凰の因縁が、今、大きく動き出す。
慶長十一年、死の床にあった柳生石舟斎が言い遺した言葉。それは、枕頭に侍っていた新陰流の達人にして、陰陽道の術客でもある柳生友景に、朝鮮妖術師との新たな死闘を覚悟させた。古代よりの怨讐をこえて魔界の王を味方にし、魑魅魍魎をも従えた友景は、後水尾帝の陰陽頭となり、この国を陰謀に陥れようとする者どもと対峙する。痛快無比、奇想天外の歴史大活劇。
雑誌発表時に「中島敦を彷彿させつつ、より野太い才能の出現を私は思った」(関川夏央氏 朝日新聞文芸時評より)と絶賛された「故郷忘じたく候」。山田風太郎へのオマージュともいえる「サラン哀しみを越えて」など、日本と朝鮮半島との関わりをかつてない斬新な切り口で描いた6つの短篇を収録。
朝鮮の陰謀からこの国を守れ-柳生十兵衛をも凌駕する新陰流の遣い手にして、後水尾天皇の陰陽師・柳生友景と、朝鮮王率いる「征東行中書省」との凄惨極める妖術戦、そして朝鮮柳生との息を呑む剣戟が今、幕を開ける!隆慶一郎のスケールと山田風太郎の奔放さを併せ持った超新鋭が放つ、奇想天外/天衣無縫の最新作。
故国・朝鮮との縁を切るために美貌の女性うねが、鎌倉東慶寺に駆け込んだ。朝鮮で虐げられ日本に永住を決意した朝鮮の人々を、強制帰国させるために朝鮮使節団が来日したのだ。幕府内の家光派と忠長派の対立や使節団の思惑もからみ、うね争奪をめぐって幕府は二分される。名だたる剣豪や忍者群の暗躍、朝鮮妖術師も加わり、血で血を洗う暗闘が始まった。東慶寺住持・天秀尼に特別な想いを寄せる三代将軍家光は、柳生但馬守宗矩に密かに寺の守護を命じる。宗矩は、嫡男十兵衛を凌ぐ剣客でもある実の娘・矩香を男子禁制の東慶寺に遣わすが、そこに現れた人物こそは…!?柳生新陰流と朝鮮妖術師の対決、三代将軍家光の密やかな恋、朝鮮出兵に隠された真実など、時代小説の面白さ満載の破天荒な力作伝奇長篇。