著者 : 西條奈加
高校生になった滝本望は変わらず祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。お蔦さんと呼ばれる祖母はご近所衆から頼られる人気者だ。その日、お蔦さんが踊りの稽古をみている、若手芸妓・都姐さんが寿退職することに。けれど「これ以上迷惑はかけられないし」と都姐さんの表情は冴えなくて……。神楽坂を騒がす事件をお蔦さんが痛快に解決していく! 人情と粋、望が作る美味しい料理がたっぷり味わえる、大好評シリーズ第三弾。
味見してみちゃ、くれねえかい? 読んで美味しい“人情”という銘菓。 “思い”のこもった諸国の菓子が、強張った心を解きほぐすーー。 親子三代で営む菓子舗を舞台に、人の温もりを紡いだ傑作時代小説! 武家出身の職人・治兵衛を主に、出戻り娘のお永、孫娘のお君と三人で営む「南星屋」。 全国各地の銘菓を作り、味は絶品、値は手ごろと大繁盛だったが、治兵衛が手を痛め、粉を捏ねるのもままならぬ事態に。不安と苛立ちが募る中、店の前に雲平という男が行き倒れていた。聞けば京より来たらしいが、何か問題を抱えているようでーー。 吉川英治文学新人賞受賞作 『まるまるの毬』 待望の続編!
『涅槃の雪』『まるまるの毬』『ごんたくれ』 時代小説の傑作を手掛けた著者が本領発揮! 人生の上がりだと思っていた隠居生活が、まさか「第二の双六」の始まりだったとは…… これぞ笑って胸に沁みる時代小説! 「いいなあこれ。私、すっかり気に入ってしまった。 (中略)この小説が素晴らしいのは、その理想の老後の風景の奥に、 いちばん大事なことを描いていることだ。」(「本の旅人」2019年4月号より) --北上次郎氏 巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年の働きに終止符を打ち、還暦を機に隠居生活に入った。人生を双六にたとえれば、隠居は「上がり」のようなもの。だがそのはずが、孫の千代太が隠居家に訪れたことで、予想外に忙しい日々が始まった! 千代太が連れてくる数々の「厄介事」に、徳兵衛はてんてこまいの日々を送るが、思いのほか充実している自分を発見する……。果たして「第二の双六」の上がりとは?
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた、不思議な目を持った少女・イオ。酒問屋の跡取り息子・央介は、その目を見たことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を贖おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことになるが…。青年と少女の交流と成長を通して、「罪と向き合う」ことの意味を描いた、感動のファンタジー時代小説。
大坂・堂島で紙油問屋を営んでいた上田秋成は、一帯を襲った火事ですべてを失い、幼なじみの雨月が結ぶ庵のもとに寄寓して、衣食を共にするようになった。ところがこの雨月、人間の言葉で憎まれ口を叩く「遊戯」と呼ばれる兎を筆頭に、「妖し」を惹きつける不思議な力を持っており、二人と一匹の前に、つぎつぎと不可解な事象が振りかかるがーー。 江戸時代中期の読本『雨月物語』に材を取った、不穏で幻想的な連作短編集。
江戸の人材派遣業、口入屋の女主人となったお藤。商いは人で決まる──その信条を胸に、行き詰まった店を立て直すため、仲間と共に前代未聞の大勝負に打って出る。感動の長編時代小説。(解説/中江有里)
掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを──。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かうー波瀾万丈の人生の始まりだった。
電気とオタクの街ー秋葉原。その交番に勤める権田は、筋金入りのオタク警官。対してコンビを組む長身イケメン警官・向谷は頭はからっぽだが、類い稀なコミュニケーション能力の持ち主。ひいては美脚の「足だけの幽霊」を連れてきてしまった。2人は「足子さん」と呼び、彼女の死の理由を探し始める。フィギュア盗難、抱きつき魔、迷子、メイド喫茶のいさかい…ご当地ならではの「謎」に凸凹警官が挑む、新境地人情ミステリ!
安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか?京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代長編。
小日向水道町にある、いちょうの大樹が看板の『銀杏堂』は、嶋村夫妻が二十五年に亘って切り盛りしてきた手習指南所。子を生せず、その家に出戻ることになった一人娘の萌は、隠居を決め込む父・承仙の跡を継ぎ、母・美津の手助けを得ながら筆子たちに読み書き算盤を教えることに。だが、親たちは女師匠と侮り、子供たちは反抗を繰り返す。彼らのことを思って為すことも、願い通りに届かない。そんなある日、手習所の前に捨てられていた赤ん坊をその胸に抱いた時、萌はその子を引き取る決心を固めるが…。子供たちに一対一で向き合い、寄り添う若き手習師匠の格闘の日々を、濃やかな筆致で鮮やかに描き出す珠玉の時代小説!
「雪の形をどうしても確かめたくー」下総古河藩の物書見習・小松尚七は、学問への情熱を買われ御目見以下の身分から藩主の若君の御学問相手となった。尚七を取り立てた重臣・鷹見忠常とともに嬉々として蘭学者たちと交流し、様々な雪の結晶を記録していく尚七。だが、やがて忠常が蘭学を政に利用していることに気付き…。蘭学を通して尚七が見た世界とはー。
親子三代で菓子を商う「南星屋」は、 売り切れご免の繁盛店。武家の身分を捨て、職人となった治兵衛を主に、出戻り娘のお永と一粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、読み味絶品の時代小説。吉川英治文学新人賞受賞作。 カスドース 若みどり まるまるの毬 大鶉 梅枝 松の風 南天月 解説 澤田瞳子
猫町に暮らす野良猫のミスジは、憧れていた順松の後を継いで傀儡師となった。さっそく、履物屋の飼い猫・キジから、花盗人の疑いを晴らしてほしいと訴えられる。銅物屋の隠居が丹精していた朝顔の鉢がいくつも割られるという事件が起こり、たまたま通りがかったためにその犯人扱いをされているという。人が絡んでいるとなれば、人を絡めないと始末のしようがない。ミスジは傀儡である狂言作者の阿次郎を連れ出すことにしたーー。
大きな橋から落下し、気づくと三途の川に辿り着いていた小学六年生の叶人は、事故か自殺か、それとも殺されたのか死因がわからず、そこで足留めに。やがて三途の渡し守で江戸時代の男と思しき十蔵と虎之助を手伝い、死者を無事に黄泉の国へ送り出すための破天荒な仕事をすることになる。それは叶人の行く末を左右する運命的なミッションとなった。
高校生になった滝本望は、いまも祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前からお蔦さんと呼ばれる祖母は、料理は孫に任せきりだしとても気が強いけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。そのお蔦さんが踊りの稽古をみている、若手芸妓・都姐さんが寿退職することになった。幸せな時期のはずなのに、「これ以上迷惑はかけられない」と都姐さんの表情は冴えなくて…(「みやこさわぎ」)。神楽坂で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する!粋と人情と、望が作る美味しい料理がたっぷり味わえるシリーズ第三弾。
騙されて江戸に来た13歳の少女・お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの三流店だった。無気力な周囲をよそに、客を喜ばせたい一心で働くお末。名店と呼ばれた昔を取り戻すため、志を同じくする若旦那と奮闘が始まる。粋なもてなしが通人の噂になる頃、店の秘事が明るみに。混乱の中、八年に一度だけ咲く桜が、すべての想いを受け止め花開くー。美味絶佳の人情時代小説。
中学三年生の滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、粋で気が強く、ご近所衆から頼られる人気者だ。後輩の有斗が望の幼なじみとともに滝本家に遊びに訪れた夜、息子ひとりを残して有斗の家族は姿を消していたーー。神楽坂で起きた事件にお蔦さんが立ち上がる! 粋と人情と望が作る美味しい料理が堪能できるシリーズ第二弾。