小説むすび | 著者 : 西條奈加

著者 : 西條奈加

紙魚の手帖Vol.14紙魚の手帖Vol.14

【特集 「料理をつくる人」】 向日葵の少女 お蔦さんの神楽坂日記 西條奈加 ●相変わらず頼りになるお蔦さんと、さらに磨きのかかった望くんの料理の腕をご堪能ください 白い食卓 千早 茜 ●水族館で出会った女は、「お腹、すいていませんか」と私に声をかけ、弁当を差し出してきた メインディッシュを悪魔に 深緑野分 ●ニューヨークの料理人がつくる、悪魔を満足させるための至高の料理とは? 冷蔵庫で待ってる 秋永真琴 ●背伸びして買った憧れの食器に、自分のための手料理を盛りつけたくて 対岸の恋 織守きょうや ●上京後、姉のために料理をつくってきた俺。その姉の結婚披露宴の日、とある行動に出る…… 夏のキッチン 越谷オサム ●夏の午後、空腹に耐えかねたおれは、ひとりカレーを作る。俊英の爽やかな一編 【小説】 明治殺人法廷 芦辺 拓 ●十六歳の一家惨殺犯の弁護のため法廷に挑む迫丸。それは万に一つの勝ち目もない戦いだった 名探偵の有害性 桜庭一樹 ●名探偵のみならず、その助手にもあった〈有害性〉。衝撃を引きずったまま、夕暮たちは第五の事件現場へーー 特撮なんて見ない 澤村伊智 ●湯浅が提案した再撮影。そのシーンで、追加キャストの生徒が参加することになるが…… 粒と棘  少年の街 新野剛志 ●少年は浮浪児を農家に売る。それがかれらの幸せと信じてーー終戦後の東京で生きるひとびとを活写する連作 記憶の対位法 高田大介 ●神は彼を審したまい、彼の心根を知りたもうーー祖父の遺した「楽譜」の謎がジャンゴに与えた恩寵とは ディオニソス計画 宮内悠介 ●一九六八年、アフガニスタンで起きた二重密室殺人。密室を構成するのは周囲の視線と、銃痕のない宇宙服ーー クリスマス・イヴ フレッド・ヴァルガス 藤田真利子 訳 ●クリスマス……贈り物の夜、そして、暴力の夜。CWAインターナショナル・ダガー複数回受賞作家のクリスマス・ミステリ! 【コミック】 倍々の冒険 熊倉 献 ●「 祠に収めていた石を見つけてほしい」としゃべる蛇。そうすれば元の姿に戻れるというのだが……? 【特別企画】 〈日本推理作家協会賞・翻訳部門〉 応援メッセージ 【ESSAY】 私の小さな地図帖  山崎佳代子 装幀の森  柳川貴代 翻訳のはなし  谷垣暁美 乱視読者の読んだり見たり  若島 正 【COLUMN】 みすてりあーな・のーと 戸川安宣 ひみつのおやつ  中村あき 私の必需品  酉島伝法 【INTERVIEW 期待の新人】 麻宮 好 【INTERVIEW 注目の新刊】 宇佐美まこと 似鳥 鶏 町田そのこ 【訃報】 追悼 池 央耿  【BOOKREVIEW】

婿どの相逢席婿どの相逢席

出版社

幻冬舎

発売日

2021年6月30日 発売

祝言の翌日に、隠居の申し渡し⁉ 小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、相思相愛のお千瀬の生家、大店の仕出屋『逢見屋』にめでたく婿入り。誰もが羨む逆玉婚のつもりが…… 「鈴之助、今日からはおまえも、立場上は逢見屋の若主人です。ですが、それはあくまで建前のみ。何事も、最初が肝心ですからね。婿どのにも、しかと伝えておきます」 鈴之助の物問いたげな表情に応えてくれたのは、上座にいる義母のお寿佐であった。 「この逢見屋は代々、女が家を継ぎ、女将として店を差配してきました。つまり、ここにいる大女将と、女将の私、そして若女将のお千瀬が、いわばこの家の主人です」(本文より)                                                                                                                    与えられた境遇を受け入れ、商いの切り盛りに思い悩むお千瀬を陰で支える鈴之助。 “婿どの”の秘めた矜持と揺るぎない家族愛は、やがて『逢見屋』に奇跡を呼び起こす……。

心淋し川心淋し川

出版社

集英社

発売日

2020年9月4日 発売

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」 江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。 青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。 裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったがーー(「はじめましょ」)ほか全六話。 生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。 【著者略歴】 西條奈加(さいじょう・なか) 1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノべル大賞を受賞し、デビュー。2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。近著に『亥子ころころ』『せき越えぬ』『わかれ縁』などがある。

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