小説むすび | 著者 : 高儀進

著者 : 高儀進

ポリー氏の人生ポリー氏の人生

出版社

白水社

発売日

2020年2月3日 発売

ジャンル

百年を経ても心揺さぶる、自伝的長篇  アルフレッド・ポリーは貧しい商店主の家に生まれ、服地商の徒弟になる。父の遺産で自分の店を開いたものの倒産寸前。高嶺の花の少女にふられた反動で結婚した従妹の妻との仲もうまくいかず、ある決心をするーー自宅に火を放って剃刀自殺をし、生命保険と火災保険を妻に遺して不毛な人生に幕を下ろすのだ、と。  『タイム・マシン』『モロー博士の島』『透明人間』『宇宙戦争』などの小説で「SFの父」と称されるウェルズだが、フェビアン協会に参加し、国際連盟の提唱、人権の遵守、英国の社会問題に取り組んだ社会活動家でもあった。  1910年に発表された本書は、徒弟身分の苦労を描いた『キップス』同様、自身の若き日を投影し、下層中産階級の苦悩をコミカルかつ哀切に描いている。人生の「おぞましい穴ぼこ」に嵌まり込んだ男の起死回生の物語であり、作家自ら、最愛の作品と認める自伝的長篇。  英『ガーディアン』紙は本書を「古今の名作小説100」に選出し、ウェルズを主人公にした伝記小説『絶倫の人』を書いたデイヴィッド・ロッジは、ウェルズ作品のトップ・テンに選んでいる。

起きようとしない男起きようとしない男

『小説の技巧』の作家の本領発揮、初の短篇集  本書は、英国の大御所デイヴィッド・ロッジが30歳から80歳までに書いた、8つの短篇を収めた自身初の短篇集。作風はブラック・コメディ、セックス・コメディ、意外な結末のロアルド・ダール風など、バラエティに富み、まさに『小説の技巧』の作家の本領発揮、コミック・ノヴェルの名手が満を持して放つ、粒ぞろいの1冊。  「起きようとしない男」──しがない勤め人のジョージは、人生になんの楽しみも見いだせず、ある冬の夜、ベッドから出ることを拒否する。やがてそのことが知れ渡り、テレビ取材で事の経緯を話したおかげで、洪水のように手紙が届き、幸福な充実感を覚える。しかし彼は死の願望にとりつかれ、天井に天使と聖人がいて、空中浮揚できるのではないかと妄想する。昇天しようと、夜具を投げ捨てるが、寒さに襲われるだけで、床から毛布を取り上げる力もない。妻とナースを弱々しく呼ぶが……。  他に「けち」「わたしの初仕事」「気候が蒸し暑いところ」「オテル・デ・ブーブズ」「田園交響曲」「記憶に残る結婚式」「わたしの死んだ女房」を収録。作家による「まえがき」「あとがき」、半世紀の作家活動を紹介する「訳者あとがき」も収録。

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