著者 : 黒木亮
元官僚の北川靖とアメリカ人の友人たちが運営するウォール街のカラ売り専業ファンド「パンゲア&カンパニー」。資産の過大計上、嘘で塗り固めた製品開発と事業計画、契約書類の改ざんや巧妙な口車で投資家を蹂躙するマネーモンスターたちに、研ぎ澄まされた財務分析と緻密な告発レポートで次々と宣戦布告!!迫真の経済エンタテインメント!息詰まる攻防を描く全3話。
元官僚の日本人と2人のアメリカ人が運営するウォール街のカラ売りファンド、パンゲア&カンパニーが、新たに3つの日本企業に照準を定めた。狙われたのは、濡れ手で粟の利益を上げる仮想通貨交換業者、グレーゾーンぎりぎりの会計手法で生き残りを画策する巨大航空会社、業界にEV旋風を巻き起こす新興電気自動車メーカー。財務諸表を徹底的に読み込み、株価を下げようとするパンゲアを、追い込まれた企業がマージン・コールで締め上げるーー。金融ジャングルの勝者は、果たしてどちらか!? 「仮想通貨の闇」「巨大航空会社」「電気自動車の風雲児」三編を収録。
粉飾決算や株価が過大評価されている企業を探し出し、カラ売りを仕掛けて追及レポートを発表、株価が下がったところで買い戻して利益を上げる投資ファンドを「カラ売り屋」という。ニューヨークに本拠地を置くカラ売り専業投資ファンド、パンゲア&カンパニーは東京事務所を開設。パートナーの北川靖は「タイヤ・キッカー」のトニーと組んで、傘下のMS法人を使って病院買収に邁進する巨大医療グループ、架空売上げの疑いがあるシロアリ駆除会社、タックス・ヘイブンを悪用して怪しい絵画取引を行う総合商社絵画部とそれぞれ対決。窮地に追い込まれた相手は、何とか株価を吊り上げ、パンゲアを叩きつぶそうと画策するがーー。金融市場に蠢く男たちの息詰まる攻防戦の先に、気鋭の経済小説家が描いた日本経済の病巣とは!?
経済小説の旗手が、大手婦人服メーカーを舞台に、焼け野原からのアパレル産業の復興、「ガチャマン」景気、百貨店の隆盛と高度経済成長、バブルの熱気、カテゴリーキラー台頭による平成の主役交代、会社とは何かを社会に問うた村上ファンドとの攻防、社長の死と競合他社による経営乗っ取りまでを描く。 85年間にわたるアパレル業界の変遷というプリズムを通して展開する、戦後日本経済の栄枯盛衰の物語。 ■編集部からのメッセージ アパレル産業の栄枯盛衰を辿ることは、日本の経済の移り変わりの一断面を鮮やかにに切り取ることになります。ドラマティックなフィクションでありながら、日本経済の今を、そして未来を考える際の必読書となることでしょう。 プロローグ 第一章 笛吹川 第二章 つぶし屋と三越 第三章 百貨店黄金時代 第四章 株式上場 第五章 社長交代 第六章 ジャパン・アズ・ナンバーワン 第七章 カテゴリーキラー台頭 第八章 ヒルズ族の来襲 第九章 中国市場開拓 第十章 兵つわものどもが夢の跡 エピローグ 主要参考文献 アパレル用語集 装丁=森 裕昌
破綻国家の国債を二束三文で買い叩き、欧米で訴訟を起こし、勝訴判決を受けるや、その国のタンカーや外貨準備、はては人工衛星まで差し押さえ、投資額の十倍、二十倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」。日本ではほとんど報道されていないその実態や欲望渦巻く国際金融市場の苛烈な闘いを、綿密な取材をもとに描ききった話題作!
ペルー、ザンビア、コンゴ、ギリシャを血祭りに上げたヘッジファンドは、アルゼンチン政府との十五年戦争に突入。一方、国際NGOがファンドによる強奪と権力者の汚職を阻止しようと、先進国や国際機関に働きかける。だが、NGOからも金に窮してヘッジファンドへ転職するメンバーが出現ー。激烈な国際金融バトルを制し、最後に笑うのは誰か!?
天草ゆかりの知事の強力なリーダーシップで、地元の夢・天草空港は実現に向け、動き始める。議会の反対派、一部地権者などを数年がかりで説得し、建設工事が始まるが、予定される路線の厳しい採算性とおりからの航空不況で、就航する航空会社が見つからない。熊本県庁は「7人のサムライ」を投入し、独自の航空会社立ち上げへと舵を切る。果たして「島のエアライン」は、国の審査に合格し、九州の空へ飛び立つことができるのか!?
たった一機で島の空路を支える「天草エアライン」は、重整備や故障、乗客の減少、人材流出など、次々とトラブルに見舞われる。民間航空会社から社長を招き、新路線も開設するが、思うような効果は上がらない。倒産も視野に入るなか、関係者たちは“島の翼”を守るため、それぞれの持ち場で奮闘を開始する。そして役割を終えた飛行機の第二の人生とは?独力で飛行機を飛ばす島の夢と苦闘の実話物語ー圧巻の完結扁!
「我々日本人は『故郷のあるユダヤ人』になろうじゃないか」。戦中・戦後の苦難を乗り越え、昭和25年に川崎製鉄を創設した西山弥太郎は、千葉に世界最新鋭の製鉄所を建設するとぶち上げる。日銀の一万田総裁が「強行するなら、ぺんぺん草が生えることになる」と毒づいたと言われる中、第一銀行の酒井頭取は「もはや矢は弦を離れた」と支援に踏み切り、通産省の若手官僚たちも「日本の再建には良質の鉄が必要だ」と後押しした。
破たん国家の国債を二束三文で買い叩き、欧米で勝訴判決をとり、タンカーや外貨準備や人工衛星を差し押さえて、投資額の10倍、20倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」。狙われた国家は、合法的手段で骨の髄までしゃぶられるー。恐るべき現実を描く、本格派国際金融小説!
これまで金融機関や商社での勤務経験を生かしてスケールの大きいベストセラー経済小説を発表してきた著者が新たに挑んだ社会派巨編司法小説。昭和四十年代から始まった人権派裁判官粛清人事=青法協問題(ブルー・パージ)と原発差止め訴訟の二つを軸に、戦後の裁判所の歴史を内側から明らかにする。正義と保身のあいだに揺れる生身の裁判官の人間ドラマ。
歪んだ裁判官人事行政のツケで、首相私邸への偽電話事件、女性被告人との情交、当事者からの収賄といった不祥事が噴出する。津崎守は、最高裁調査官、東京地裁の裁判長と順調に出世の階段を上がるが、突然、「招かれざる被告人」が姿を現す。やがて能登の日本海原発二号機訴訟が金沢地裁で結審し、村木健吾裁判長が「世紀の判決」を言い渡すー。
資源をめぐる太平洋戦争に敗れた反省から、戦後、日本は原子力の導入へと邁進する。同じ頃、大阪の商業地区に生まれた男は、東工大で原子力を専攻し、日本最大の電力会社に就職する。そこで彼を待ち受けていたのは、無限の原子力エネルギーという理想ではなく、トラブル続きの現場、コストカットの嵐が吹き荒れる本社、原子力という蜜に群がる政治家、官僚、ゼネコンと裏社会だった。“夢の平和エネルギー”の曙から黄昏までを駆け抜けた「運命の男」の生涯。
大手総合商社燃料部員の金沢明彦は、ロシア・サハリンの巨大ガス田開発を命じられる。同じ頃、下位商社役員で中近東に名前を轟かす亀岡吾郎は、野望に燃える通産官僚十文字一と結託し、イランの巨大油田開発に日本政府を巻き込む。シンガポールでは、米系投資銀行出身の秋月修二が中国企業に巧妙なエネルギー・デリバティブ取引を仕掛ける。世界を相手に資源開発に挑む男たちを壮大なスケールで描く。
五井商事の金沢明彦が進めるサハリンのLNGプロジェクトは環境保護団体の執拗な攻撃を受け、ロシア政府の介入と金融機関の離反を招く。トーニチ専務の亀岡吾郎は、アメリカの対イラン経済制裁で暗雲ただよう「日の丸油田」を救うため、ユダヤ人ロビイストを利用。秋月修二が中国企業に仕掛けた石油デリバティブ取引は、シンガポール市場を揺るがす巨額損失事件へと発展する。大河経済小説、完結。
球技はダメ、運動会も嫌い。そんな雪国の少年が知った「走る」喜び。全道中学選手権で優勝、高校の陸上部でも頭角をあらわす。仲間の死、インターハイでの瀬古利彦の快走。左足の怪我と、諦めきれぬ陸上への思い。そして出生の秘密。「少年」は3年間怪我と戦い、早稲田大学競走部に準部員として入部を許される。
親が死んでも葬式に出るな!早稲田大学競走部の名将・中村清監督は、自尊心が強く、思い出みが激しく、敵だらけの老人だった。果たして、早稲田は箱根路に臙脂の旋風を巻き起こせるのか。そして、主人公の実父母とは…。箱根駅伝の選手だった著者が走ることの魅力と運命の奇跡を描く、感動的長編。