小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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灰かぶりの舞踏会灰かぶりの舞踏会

伯爵夫人なんて、ありえない。 背伸びしても、彼の世界には届かないから。 故郷の小さな村を出てロンドン暮らしにも慣れてきたライザは、 ある夜、遊びに来た家族と連れ立って流行のバーを訪れた。 そこでイタリアの伯爵で実業家のファウストと知り合う。 漆黒の髪の彼は遠くからでもわかるほど際立ってセクシーで、 まるで世界を所有しているような尊大な雰囲気になぜか惹きつけられた。 それなのに、ファウストがライザのことを「平凡で退屈そうだ」と 評しているのを漏れ聞いてしまい、彼女はとたんに気落ちした。 しかも彼はライザたち家族を“財産目当ての田舎者”と決めつけると、 軽蔑の念を隠そうともせず、無表情でいとまを告げて去っていった。 失礼な人! でももう会うこともないわ。だが、彼女の予想は外れ……。 後日、ライザとファウストは友人のパーティでばったり再会して、火花を散らしますーーそれは敵対の火花か、恋の火花か。たとえ恋であっても、ファウストには伯爵夫人にふさわしい家柄の娘を娶る責務がありました。そんななか、舞踏会が開かれることになり……。

愛の宝物を胸に愛の宝物を胸に

朝の訪れが怖いーー目を開けると、 また彼が去っているかもしれないから。 アリーが身も心も捧げた翌朝、彼は黙ってこの家から姿を消した。 3年が過ぎてもなお、傷心を引きずる看護師のアリーは、 新しく上司になる産科医の名を聞いて驚くーーローリー・ドノヴァン。 かつて一つ屋根の下に暮らし、アリーの密かな片想いに たった一夜だけ応えて、数時間後にいとも簡単に彼女を捨てた男性だ。 目覚めたとき、ベッドに自分しかいないと気づいた朝のあの気持ちを、 いやでも思い出させる人の下で働かないといけないなんて! アリーはもう二度と彼に恋してはならないと自らを戒めた。 それなのに、「また以前のように、きみと一緒に住んでもいいか?」と ローリーから電話を受け、アリーは思わずイエスと答えていた……。 HQロマンスでも活躍するキャロル・マリネッリが描く、命の現場を舞台に繰り広げられる再会物語をお贈りします。ローリーの日焼けした肌や鍛え抜かれた体を見て、3年前の甘くつらい記憶をよみがえらせるアリー。あの日、ローリーが彼女を置き去りにした理由とは?

領主様の家庭教師領主様の家庭教師

恋人はおろか、愛人にもなれない。 ましてや、彼の妻になど。 家庭教師のフランシスは自らを戒めていた。彼に惹かれてはいけない。 初仕事として派遣されたのは、遠く離れたスコットランドの領主の館。 主であるラクランに、ロンドン社交界の作法を教えることだった。 伯爵令嬢の婚約者がいながら、貴族のしきたりには無関心な彼を、 ダンスや求愛のレッスンを通して完璧な紳士に仕立てあげるのだ。 若い女教師の指図などおとなしく聞くはずもない傲慢な領主は、 フランシスと踊りながらも投げやりで、誘惑的な冗談でからかってくる。 野性的な美貌を持つこの男性に、軟弱なワルツなど似合わないーー 彼には、情熱的な愛こそふさわしい。握られた手を強く意識しながら、 フランシスの胸は疼いた。それを私が知ることは、決してないけれど。 ミシェル・ウィリンガムのすばらしいデビュー作をお届けします! 悲しい過去を乗り越えるため、男爵の娘ながら家庭教師として身を立てる健気なヒロインと、氏族のために伯爵令嬢を妻に迎えることが決まっている領主の許されぬ愛。圧巻の読み応えをお約束します。

ブラックノイズ 荒聞ブラックノイズ 荒聞

出版社

文藝春秋

発売日

2021年8月26日 発売

ジャンル

台湾でドラマ化進行中! 台湾モダンホラーの決定版が満を持して登場。 タクシー運転手の呉士盛(ウー・シーシェン)は人身事故を起こして借金に追われて、娘は家出し妻とも言い争いが絶えない。ある日、タクシーの溜まり場に放置されていた車の中で古いカセットテープレコーダーを見つけ、何気なく再生ボタンを押すと男のかすれた声が漏れてきた。 「……ミナコ?」 士盛の妻・郭湘瑩(グオ・シャンイン)は最近、ひどい耳鳴りに悩まされていた。 耳鳴りはやがて台湾語や日本語が混ざった幻聴となり、ある夜ついに幻聴と幻覚に操られ、自宅の屋上から墜落し重傷を負う。 病院に駆け付けた士盛はその帰りに、気味の悪い道尼をタクシーに乗せる。道尼は士盛に、「早く穢れを解かなければ、妻は死ぬ」と告げた。 湘瑩は「ミナコが私と娘を殺しに来る」と言い続けるようになり、ついに精神科病棟に隔離される。その夜、湘瑩は首を 180 度捻じ曲げた異様な状態で死んでいるのが発見される! 妻の死に、謎の声が囁く「ミナコ」が関わっていると直感した士盛は道尼から聞き出した「毒を持って毒を制する」呪法を用いて悪霊を倒すべく、玉山(新高山)西峰の悪霊の棲家を目指す。

TOKYO REDUX 下山迷宮TOKYO REDUX 下山迷宮

横山秀夫氏、感嘆。 やられた。英国人作家が書いた「東京」 に迷い込み、気がつけば、心はあらかた 「占領」 されていた。 すこぶる付きの闇と謎と情念。 しかも、 小説としてべらぼうに面白い。 ーー横山秀夫 (作家) 1949年、7月。GHQ占領下の東京で、国鉄総裁が出勤途中に姿を消し、深夜の鉄路で発見された。列車にはねられた無残な轢断死体としてーー。 戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。 下山国鉄総裁、変死体で発見。おりしも国鉄は、GHQの方針により大規模な人員整理に着手したばかりで、労働組合や左翼分子による犯行が疑われた。 GHQ上層部のウィロビーらの命で捜査を担当することになったGHQ捜査官スウィーニーは、裏社会とのコネを手がかりに占領都市の暗部へと潜ってゆく。総裁の死は他殺か自殺か。警視庁捜査一課と捜査二課が対立し、マスコミや世論も揺れる中、スウィーニーの捜査線上にGHQの謀略機関〈本郷ハウス〉の影が見え隠れし、彼は徐々に戦後の“黒い霧”に呑み込まれてゆく……。 1964年、6月。初のオリンピックを目前にする東京で、下山事件に関する作品の取材を進めていた探偵小説作家・黒田浪漫が失踪した。編集者を名乗る男の依頼で黒田の行方を追うことになったのは元刑事の私立探偵・室田。だが消えた作家の足跡を追ううちに、室田は東京の暗い半面にひそむ黒い黒い迷宮に少しずつ踏み込んでゆく……。 そして1988年、12月。病床に臥せる天皇の容態を憂えて沈む東京に、翻訳家ライケンバックはいた。かつてCIA工作員として日本に派遣され、やがて日本文学の研究者として東京に住むことになったライケンバックのもとに、戦後の忌まわしい事件の亡霊がやってきた。彼の運命を狂わせた下山事件。その亡霊が、今、ここ、昭和の最後の年に。あのとき、いまだ復興していない占領下の東京で何があったのかーー? あの占領下の黒い霧を清算するときが来た。 戦後最大の怪事件「下山事件」にブリティッシュ・ノワールの鬼才が挑む。あの“黒い霧”を追い、狂わされ、追いつめられ、破滅していった者たちの姿を描く切迫の新文体。 もはや読むべき「下山事件」はないと思っていた。挑んだ筆者に敬意を表したい。 異形の「シモヤマ・ケース」をありがとう。(横山秀夫) 犯罪小説史に異形の刻印を黒々と刻む〈東京三部作〉、完結編にして最高傑作の誕生。

エクエ・ヤンバ・オーエクエ・ヤンバ・オー

キューバ黒人の日常に浸透する呪術的な信仰 サトウキビ畑で生まれ育ち、人妻と恋におち、殺人未遂をおこすが、ヴードゥー教と繋がった秘密結社に入り、結社間の抗争にまきこまれてゆく青年メネヒルドの運命。 どんな出来事も魔術的な性格をおびているキューバの黒人社会を躍動的に描いたデビュー作。 【目次】 1 幼少年期 1 風景(a) 2 風景(b) 3 降誕 4 加入儀礼(a) 5 治療(a) 6 牛ども 7 リズム 8 暴風雨(a) 9 暴風雨(b) 10 暴風雨(c) 11 暴風雨(d) 2 思春期 12 精霊 13 風景(c) 14 祭り(a) 15 祭り(b) 16 出会い 17 抒情性 18 発見 19 魔術 20 加入儀礼(b) 21 フアン・マンディンガ 22 火事(a) 23 火事(b) 24 治療(b) 25 神話学 26 黒いアントニオ 27 政治学 28 男らしい男 3 都市 29 線路 30 旅 31 鉄格子(a) 32 鉄格子(b) 33 鉄格子(c) 34 娑婆 35 エクエ・ヤンバ・オー! 36 イレーメよ 37 加入儀礼(c) 38 子供たち 39 洗礼者ヨハネの斬首 40 悪魔 41 降誕祭の前夜 42 死んじまった 43 メネヒルド 訳者あとがき

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