ジャンル : 外国の小説
【2022年 第八回日本翻訳大賞受賞作】 人は誰も自分だけの人生という言葉の辞典を持つ 詩人キム・ソヨンがハングル一文字の言葉を通して 人生のさまざまな時間、情景、感情を描いた 私的で詩的な一文字の辞典 「読んだ人がニヤッと笑ってくれたら嬉しいなと思っていた。うなずきながらページの余白に自分なりのまた別のニュアンスを書き込んでくれたらいいなとも思っていた。そうして私が書き記した定義と︑読者の手書きの定義が同じページに一緒に並んでいたら素敵だなと思っていた。 つまり、私の『一文字辞典』は読者が参加することによってはじめて完全な辞典となる。私と未知のあなた、私たち二人でこの本を完成させるのだ」 ーー「はじめにー日本の読者に向けて」より はじめにー日本の読者に向けて ㄱ 犬になりたい ㄴ 「おまえ」の集合体 ㄷ ほんの一瞬たりとも ㄹ 丸を意味する言葉 ㅁ 遠くにあるから ㅂ 半分だけ考えて、半分だけ話す ㅅ 新年最初の日 ㅇ 意外なところ ㅈ さよなら ㅊ 私の窓たち ㅋ 鼻の奥がつんとする ㅌ 押す時ではなく引く時 ㅍ 腕を広げると ㅎ 回復できるので 監訳者あとがきー私の一文字は「 」。
年老いた女になるつもりはなかった。 その日その日を生きているうちに、いまにたどり着いただけ。 いまという日は、自分とはまったく関係のない他人のものでなければならなかった。 6人の女性作家が描く“おばあちゃん”アンソロジー おばあちゃん世代の作家オ・ジョンヒ(李箱文学賞、東仁文学賞と、韓国の二大文学賞を受賞。『鳥』で2003年ドイツのリベラトゥル賞受賞。現在は東仁文学賞の審査委員)は次のように述べている。 この小説集は、現代韓国文学の中心で熾烈な執筆活動をしている作家、六人六色の饗宴であると同時に、長い人生を送ってきたすべての「おばあちゃん」に捧げる賛歌でもある。老いていく私自身の姿や複雑な内面が見え、また、私が通過してきた道を生きている娘が、私自身が向かっている時間を生きた母親の姿がはっきりと見える。この作品集は老年に対する通念や偏見を破り、かといって下手なあきらめや和解も見られず、むしろ生の不可解さ、人間の存在の神秘さ、長い年月に堪えてきた人が放つ香りのようなものを読み手に伝える。紆余曲折と悲しみと心の傷によって、人間はかくも愛すべき存在でもあるのだということも。 (訳者あとがきより) <あらすじ> いつかおばあちゃんになることを夢見ていたのに「きのう見た夢」(ユン・ソンヒ)。 残されたフランスでの日記を手掛かりに孫が想像で描いたおばあちゃんの最後の恋「黒糖キャンディー」(ペク・スリン『惨憺たる光』)。 認知症になったおばあちゃんが何度も繰り返し伝えたのはトラブルの多い孫の未来のためだった「サンベッド」(カン・ファギル『別の人』)。 厳しかったおばあちゃんから遺された屋敷を処分するために久しぶりに足を運んだ私は、取り返しのつかない過去に引き戻される「偉大なる遺産」(ソン・ボミ『ヒョンナムオッパヘ』収録「異邦人」)。 女三世代で行ったテンプルステイで母の意外な一面を知り、母にだんだんと似てくる自分に気づく、ある穏やかな秋の日「十一月旅行」(チェ・ウンミ『第九の波』)。 ひとりで堅実に生きてきたはずが、いつの間にか老人だけのユニットに暮らす羽目に。二十一世紀後半の近未来を描くディストピア小説「アリアドネーの庭園」(ソン・ウォンピョン『アーモンド』『三十の反撃』)。 ミステリー、SF、ロマンス、家族ドラマなど、老いを描いた6編 きのう見た夢 ユン・ソンヒ 黒糖キャンディー ペク・スリン サンベッド カン・ファギル 偉大なる遺産 ソン・ボミ 十一月旅行 チェ・ウンミ アリアドネーの庭園 ソン・ウォンピョン 訳者あとがき
全てが伏線。二度読み必須! “わきまえない女”が主人公の痛快ミステリ。 パッセンジャー=乗客/旅人/助手席にいる者/厄介者 「無実」なら、なぜ逃げる── 【あらすじ】 階段から落ちて事故死した夫の死体を見た瞬間、「わたし」の逃亡生活がはじまった。 別人になりすまして第二の人生をスタートしたはずが、たちまち正体不明の追手に襲われる。窮地を救ってくれたはずの女バーテンのブルーも、「わたし」の人生の歯車をさらに狂わせていくーー。 次々と名前を変え、外見を変えて逃亡する「わたし」とはいったい誰。なぜ、何から、逃げ続けるのか。すべてのピースが一つにつながる驚愕のクライマックスまで一気読み必至。 ターニャ・デュボイス アミーリア・キーン デブラ・メイズ エマ・ラーク ソニア・ルボヴィッチ ページ ジョー ノーラ・グラス
フランシスは作家志望の21歳の大学生。かつての恋人のボビーと共にダブリンでポエトリー・パフォーマンスを行っている。二人の才能に目をつけたジャーナリストのメリッサと親しくなるが、フランシスはメリッサの俳優の夫に惹かれていく……。BBCドラマ化決定
未解決事件の調査をして暇をつぶす老人グループ〈木曜殺人クラブ〉。入居する施設の関係者が殺されたのをきっかけに、彼らは真相究明に乗り出すことに。英国で異例の速度で100万部突破のフーダニット。新人離れした完成度を誇るユーモラスな謎解きミステリ
愛する両親を喪い、悲しみに暮れる乙女エミリーは、叔母の夫である尊大な男モントーニの手に落ちて、イタリア山中の不気味な古城に幽閉されてしまうーー刊行から二二七年を経て、今なお世界中で読み継がれるゴシック小説の源流。イギリス文学史上に不朽の名作として屹立する異形の超大作、待望の本邦初訳!「あれだ」何時間ぶりかで口を開いたモントーニが言った。「あれがユドルフォ城だ」 エミリーはモントーニが領有するとされている城を見つめ、暗い畏怖の念をおぼえた。というのも、今は夕陽に照らし出されてはいるが、その雄麗なゴシック様式や崩れかけた鈍色の石の城壁は何とも陰鬱で荘厳な雰囲気を醸し出していたからだ。彼女が見つめていると、城壁に当たっていた陽が薄れてゆき、暗い紫の色合いが残されることになった。山肌に薄靄が立ち昇ってゆくと、その色合いはさらに濃さを増して広がっていったが、一方、上部の銃眼胸壁は依然として夕陽に輝いていた。やがてその銃眼からも光は薄れてゆき、城全体が夕暮れ時の厳かな薄闇に包まれていった。人気もなく、ひっそりと壮麗に佇む城はこの場一帯の君主の如き様相を漂わせ、その孤独な支配に闖入せんとする者を威嚇しているかのごとき趣であった。夕闇が深まってゆくにつれその姿形も朧になり、不気味さを増していった。(本書より)
悪漢の魔の手を逃れ、故国フランスに辿り着いたエミリーは、かつて結婚を誓ったヴァランクールと痛切な再会を果たす。彼が犯した罪とはなにかーー刊行から二二七年を経て、今なお世界中で読み継がれるゴシック小説の源流。イギリス文学史上に不朽の名作として屹立する異形の超大作、待望の本邦初訳! どれほど彼女がモントーニの悪辣さに苦しめられたかを聞くにつれ、憐れみと憤りの感情が交互に彼の心を支配することになった。彼女はモントーニの行為を語るにあたり、その罪深さを誇張するというよりは、むしろ控えめに話したのであったが、それでも、それを聴いていたヴァランクールは、一度ならず椅子から立ち上がり、その場から歩み去っていった。それは、怒りというよりは、自責の念に駆られてのことのようであった。「わたしの苦しみはもう終わったのです」彼女は言った。「だって、モントーニの暴虐から逃れることができたのですから。そして貴方も元気そうだしーーどうぞ悲しそうなお顔はなさらないでくださいまし」 ヴァランクールは前にもまして動揺した。「エミリー、僕は貴女にふさわしい人間ではない」彼は言った。「ふさわしい人間ではないのです……」(本書より)
全米図書賞受賞作! 子を宿した15 歳の少女エシュと、南部の過酷な社会環境に立ち向かうその家族たち、仲間たち。そして彼らの運命を一変させる、あの巨大ハリケーンの襲来。フォークナーの再来との呼び声も高い、現代アメリカ文学最重要の作家による神話のごとき傑作。 「登場人物の内なるパッションとメキシコ湾で刻々と勢力を増す自然の脅威が絡まり合い、廃品と鶏に囲まれて暮らす貧しき人々のまっすぐな生き様の中に、古典悲劇にも通じる愛と執着と絶望がいっさいの気取りを排した形で浮かび上がる」--「ワシントン・ポスト」 「カトリーナによりもたらされた破壊と、すべてを洗い流された海辺の街の原初の風景について、本書は水没したニューオーリンズの映像よりもはるかに多くを教えてくれる」--「ニューヨーカー」 「ウォードの堂々たる語りには、フォークナーを想起させるものがある。今日的な若者言葉と神話的な呪文のリズムの間を自由に行き来し、パッションの発露を怖れない。苛烈な物語のほぼ全編に、パッションが満ちあふれている」--「パリ・レビュー」 一日目 裸電球の下での出産 二日目 隠された卵 三日目 土の中の病原菌 四日目 盗む価値 五日目 骨を引き上げろ 六日目 確かな手 七日目 闘う犬と闘う男たち 八日目 思い知らせる 九日目 ハリケーン日食 十日目 無限の目の中で 十一日目 カトリーナ 十二日目 生きている 謝辞 カテゴリー5のハリケーンを生き延びて ジェスミン・ウォードとの質疑応答 訳者あとがき
2019年6月にスタートした韓国文学の源流シリーズは今回、短編選をスタートします。朝鮮文学時代から今の韓国現代文学に続く、古典的作品から現代まで、その時代を代表する短編の名作をセレクトし、韓国文学の源流を俯瞰できる10巻です。現代韓国文学に親しみ始めた読者が、遡って古い時代の文学も読めるようにしたいと考えています。 短編10巻、各巻は6〜10編の各時代の主要作品を網羅します。 各巻には小説が書かれた時代がわかるような解説とその時代の地図、簡単な文学史年表が入ります。よりいっそう、韓国文学に親しんでいただければ幸いです。 日本植民地時代の1930年代韓国は、プロレタリア文学とモダニズム文学との相克の時代。揺れ動く時代を背景に、若い男女の交友関係を軸に、社会運動にのめり込んでゆかざるを得ない暗い時代が描かれる。実りのない恋愛を通して強く自立した生き方を模索する愛と葛藤の日々が、読むものの心に深く響いてくる。 2021年8月上旬全国書店にて発売。
一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた 【「一日一章ずつ読んでる」「大好き」「読みおわるのが惜しい!」とSNSで感動の声!】 〈しゃもじ〉〈コーヒー〉〈アボカド〉…。身の回りにあるモノをみつめれば、自分をもっと好きになる。韓国で爆発的人気のイラスト〈モノ〉エッセイ! 【一日一章ずつ読んで下さい。何気ない毎日がきっとあなたも愛おしくなる。】 ・傷ついた人間関係は、古い〈玉ねぎ〉の皮を剥くように癒やす ・〈しゃもじ〉を水に濡らすたびに思い出す、亡き祖父の教え ・食べ終わった〈アボカド〉の種を育てるということ ・二度目の〈コーヒー〉は、その日の体調に合わせて ・友人へのおみやげは〈すいか〉の種の気配り ・誕生日プレゼントだった〈オリーブオイル〉と〈生理用品〉 ーー貧しくても一人でも、日々の生活と向き合って、私はここ(ソウル)で生きていく。 自分を好きになるというのは決して簡単なことじゃないけれど 昨日の自分よりも今日の自分を もっと好きになりたいという強い気持ちがあるはず。 日々の変化をモノを通じて感じることができたら。 そんなふうに、明日に向かって生きていきたいのです。(「はじめに」より) 一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた。--しゃもじ、コーヒー、アボカド。身の回りのモノに耳を傾ければ、今日の自分がもっと好きになる。読めば優しい気持ちになれる、ソウル発の大人気イラストエッセイ。
父子二代の記憶へ漕ぎ出す鮮烈な長篇デビュー作 台湾を代表する作家であり、世界的に注目を集める作家・呉明益の長篇デビュー作の待望の邦訳。のちに『自転車泥棒』や『歩道橋の魔術師』にもつながる原初の物語である。 台北で暮らすフリーライターの「ぼく」は、数十年に一度と言われる竹の開花を見るために陽明山に登るが、その日から睡眠のリズムに異常が起きていることに気づく。睡眠の異常に悩む「ぼく」の意識は、やがて太平洋戦争末期に神奈川県の高座海軍工廠に少年工として13歳で渡り、日本軍の戦闘機製造に従事した父・三郎の人生を追憶していく。戦後の三郎は、海軍工廠で働いた影響から難聴を患いながらも、台北に建設された中華商場で修理工として寡黙に生活を送っていた。中華商場での思い出やそこでの父の姿を振り返りながら「ぼく」は睡眠の異常の原因を探るために日本へ行くことを決意し、沈黙の下に埋もれた三郎の過去を掘り起こしていく。三郎が暮らした海軍工廠の宿舎には、勤労動員された平岡君(三島由紀夫)もいて、三郎たちにギリシア神話や自作の物語を話して聞かせるなど兄のように慕われていたが、やがて彼らは玉音放送を聴くことになるのだったーー。
「本は想像力の起爆装置です」 ある日、愛犬を追って城の裏庭にやってきた女王陛下は、移動図書館の車と、本を借りにきていた厨房の下働きの少年に出くわす。あくまでも礼儀上、1冊借りたことが、人生を変える、本の世界への入り口となった。以来、すっかり読書の面白さにはまってしまい、カンニングする学生のように公務中に本を読みふけるわ、誰彼かまわず「最近どんな本を読んでいますか」と聞いてはお薦め本を押しつけるわで、側近も閣僚も大慌て。 読書によって想像力が豊かになった女王は、他人の気持ちや立場を思いやるようになるものの、周囲には理解されず、逆に読書に対してさまざまな妨害工作をされてしまう……。 エリザベス2世を主人公に、ユーモアと風刺、読書についての鋭い洞察と名言に満ちた物語。世界32か国で発売のベストセラー小説!
実在・架空の人物・事件が入り乱れて展開する、壮大な物語! 《ドラキュラ紀元》シリーズ完全版第4弾、本邦初訳の中短編集! 時は70年代、コッポラがマーロン・ブランドを迎えて、 ブラム・ストーカーの“歴史改変”小説『吸血鬼ドラキュラ』を映画化しようとしていたーー ドラキュラにより転化した少年、ジョニーが、コッポラやウォーホルらと繰り広げる、めくるめく物語! ====== 貢ぎ物として送り出され、 ドラキュラにより転化された少年、イオン。 コッポラの映画『ドラキュラ』のルーマニア撮影現場において 彼はケイトに、ジョンと名を変えてアメリカ人となる野心を語る。 「アメリカは若い国で、生命にあふれてるじゃないか。血だって新しいし。 あそこに行けば、なんだって自分の選んだものになれるんだ。 ヴァンパイアが生きていける国ってアメリカだけだろ」 ドラキュラが実在し支配力をふるった世界において “歴史改変”映画『ドラキュラ』制作の行方は? そしてその渦中でジョニーは何を企むのかーー? ====== ◎目次 プロローグ 契約ーードラキュラ紀元 一九四四 第一部 コッポラのドラキュラーードラキュラ紀元 一九七六ー七七 インタールード 砂漠の城ーードラキュラ紀元 一九七七 第二部 アンディ・ウォーホルのドラキュラーードラキュラ紀元 一九七八ー七九 インタールード 挑みし者に勝利ありーードラキュラ紀元 一九八〇 第三部 真夜中の向こうへーードラキュラ紀元 一九八一 インタールード 愛は翼にのってーードラキュラ紀元 一九八六 訳者あとがき
ドラキュラが支配をふるう世界を、マニアックな遊びを満載して物語った《ドラキュラ紀元》完全版シリーズ第4弾! 時はいよいよ90年代。ジョニー・アルカードのゆく末は? そしてジュヌヴィエーヴ、ケイト、ペネロピのヴァンパイア三人娘は、この時代をどう生きるのかーー ====== 本書収録の全12話を俯瞰してみたとき、 浮かびあがってくる裏テーマともいうべきものがある。 それが、「われはドラキュラ」だ。 シリーズ第1巻『ドラキュラ紀元一八八八』最後の登場シーンにおいて、 ドラキュラは、「われはドラキュラなり」と名のりをあげた。 本書においては、プロローグで、 ドラキュラはふたたび少年にむかって同じ台詞を告げている。 そしてその後も、ドラキュラ本人によるものではないけれども、 さまざま場面でこの台詞がくり返し使われている。 最後にこの言葉を口にする者はーー。 そしてその場面はーー。 (訳者あとがきより) ====== 裏設定を綴った補遺2編と、訳者による詳細な登場人物事典も収録! ◎目次 第四部 この町ではもう二度と血を吸わないーードラキュラ紀元 一九九〇 インタールード ミス・ボルティモア・クラブズーードラキュラ紀元 一九九〇 第五部 コンサート・フォー・トランシルヴァニアーードラキュラ紀元 一九九〇 インタールード ドクター・プレトリアスとミスタ・ハイドーードラキュラ紀元 一九九一 第六部 チャールズの天使たちーードラキュラ紀元 一九九一 補遺1 ドレラを滅ぼす キャスリーン・コンクリン著 補遺2 ウェルズの失われたドラキュラ ジョナサン・ゲイツ著 著者おぼえがき、および謝辞 登場人物事典 訳者あとがき
読み書きできない母に綴った僕の真実ーー。ベトナム系詩人の才能迸る初小説。幼い僕を連れ、母は祖母と共に太平洋を渡った。戦争に人生を狂わされた祖母と、新天地アメリカでの生活に翻弄される母。二人の苦難は少年の僕にも影を落とすが、ある年上の少年との出会いによって、僕は初めて、生きる歓びを知るーー。アメリカ文学の新たな才能による痛みと美しさに満ちた自伝的長篇。
病身の母を抱え困窮するフェイは、意外な報せを受けた。いまは亡き継父が、彼女に財産を遺していたらしいのだ。伝えに来たマチェオ・フィオレンティは大企業の経営者で、相続には、彼の部下として短期間働くことが条件だという。傲慢だけれど魅惑のオーラを発するこの男性の下で…?彼をただ見つめるだけでなぜか胸がざわめくというのに。マチェオは意味ありげに「君が住むのは僕のヴィラだ」と言う。フェイは気を引きしめた。彼に惹かれてはいけないわ。だが屋敷で顔を合わせるたび、二人の性的緊張は高まりー。
どんなにつらい日々も、 あなたの愛だけで救われるのに……。 ポリアナがギリシア大富豪アレクサンドロスと結婚して5年。 第二子を身ごもり、傍目には幸せの絶頂にあるかに見えたが、 異国から来た身分違いの花嫁への風当たりは想像以上に強かった。 “ポリー”という昔からの愛称は、義母の「下品」のひと言で 禁じられて以降“アナ”に替えられ、兄の結婚に猛反対の義妹は 氷の刃のような嫌味と視線でポリアナを苦しめた。 どんなにがんばっても、私は完璧な富豪の妻にはなれないの? ずっと抑えてきた想いを多忙な夫にぶつけてしまった翌朝、 ポリアナは夫からの思いがけない贈り物を目にして……。 久々に登場の実力派作家が描くのは、ギリシア富豪夫妻のドラマティックな愛の再生の物語です。ヒーローとヒロインの細やかな心理描写と、思わず共感させられるエピソードが散りばめられた、ルーシー・モンローならではの大人のロマンスをお楽しみください。
何度でも、彼は私の恋心に火をつける。 ただ情熱的なまなざしを向けるだけで。 ステフは結婚した親友を祝うため、美しいギリシアを訪れていた。 そして、誰もが憧れる海運王のダーメンと再会して誘惑された。 彼女にはダーメンに初恋を利用され、捨てられた過去があり、 「100万ドルもらっても一緒にいたくないわ」とはねつけたが、 ダーメンに「では200万ドルなら?」と返されただけだった。 彼はそんな大金を使ってでも、私を取り戻したいの? かなわぬ想いと諦めていたけれど、ひょっとしたら彼もーー? しかし彼は冷酷に告げた。ある女性との結婚を破談にするため、 都合よく現れたステフに“恋人のふり”をしてほしいのだと。 ヒーローの傲慢な申し出にいったんは怒ったものの、結局ヒロインは受け入れます。なぜなら彼女は元上司にだまされ、莫大な借金を負っていたから。幼いころから生活が苦しく、恋をする暇もなく働いてきた不器用なヒロインに、愛と幸せは訪れるのでしょうか?