出版社 : アトリエサード
カジノで働く仮面の女、ファントム。 そこに現れた組長の愛人、知奈と その組長の娘、死体から生まれたユウ。 仮面で隠した醜貌の秘密。 激しくぶつかる復讐心と憎悪。 ファントムと知奈の思いの行方はーー ================= 忌々しい記憶を追い払う。仮面の下が痛む。 ファントムはうっかり爪を噛まないように両手を握りしめ、 今度こそ知奈に気に入られるように笑った。 「本当も何も、これが私ですよ。 私は『ジャンケットのファントム』です。 つまらない名前よりも、ファントムの方がこの島じゃ相応しいでしょう?」 …… 恐る恐る宙に浮かせていた手を、知奈の身体に添わせた。 彼女が側にいるだけで、こんなにも安らぐのはなぜだろう。 …… ユウが知奈と自分にとっての疫病神なのは間違いなかった。 この悪縁を断ち、解放されなくてはいけなかったーー 「死に腐れ! お前の思い通りになるかよッ」 ================= 傷ついた者たちの魂が交錯する、 壮絶な“家族”の寓話! ーーーーーーーーー
生物学的な男(メイル)が生まれなくなった近未来。 メイルは貴重な資源とされ、無生殖能力者(スュード)である鶫(ツグミ)は、 メイルの略奪者として働いていたーー === スュードに生まれるのは悪いことなの? なぜ、こんな生き方を 選んでしまったのだろう。 === 任務に背いてメイルを解放した鶫。 そのメイルを連れ、唯一メイルが生まれる太母市に潜入する。 そこで鶫が見たものとはーー 性と生殖、人類の存続を問う意欲作! === 決断したという自覚さえないままに、鶫は戦士になっていた。 なぜ、こんな生き方を選んでしまったのだろう。 およそ、この世に略奪者ほど卑しく汚い仕事はないのに。 あるいは、それだからこそだったのか。 スュードは何も生み出さない。 無意味で不毛な人生を送って虚しく死んでいくだけだ。 やりたいこともなりたいものも特に見つからなかった。 それとも、考えようともしなかったのか。 母親にさえ見捨てられる無価値な存在が 人生について真剣に思い悩んだところで何になる。 自分には人に蔑まれる仕事こそがふさわしいのだ。 ===
クトゥルフ vs 地球の神々 新星が贈る現代伝奇ホラー! クトゥルフの世界に、あらたな物語が開く! 大いなるクトゥルフの復活を予期し、 人間を器として使い、迎え討とうとする神々。 ごく普通の大学生活を送っていた若者たちの日常が、 邪神と神との戦いの場に変貌したーー! 「この計画の眼目は、死の女神をして大クトゥルフを斃(たお)さしめること、永久(とこしえ)に葬ることにある」 ===== 星辰は巡り、大いなるクトゥルフが復活しようとしていた。 それを予期し、迎え討とうとする神々。 だが、この地球上で大クトゥルフやその眷属と戦うためには、 自分たちの器となる人間=依童が必要だったーー ごく普通の大学生活を送っていた若者たち。 その日常が、邪神と神との戦いの場に変貌した。 クトゥルフと神々の戦いの行方は? そして依代として巻き込まれ翻弄される若者たちの運命は……?! “ようやく俺のもとにたどり着いたな。俺の器よ。” ===== 「愛(うつく)しき我が夫(せ)の君」 少女が口を開いた。鈴の音(ね)の声で。 女神が言葉を発した。黄泉の響きで。 「我は現(うつ)し世には戻れぬ。なれば夫の君、汝が我がもとにお越しあれ」
生まれる前のわたくしたちは、互いに翼を連ねて飛ぶ鳥だったーヴィクトリア朝ロンドンを舞台に、天真瀾漫なレディと国際色豊かな使用人たちが謎に挑む傑作ミステリシリーズ。待望の書き下ろし新作!
1959年、ローマ。ドラキュラは、モルダヴィア公女アーサ・ヴァイダと結婚しようとしていた。ジャーナリストのケイトは、死期を待つボウルガードと、彼を世話する美少女ヴァンパイア、ジュヌヴィエーヴを訪ねてローマに飛ぶ。そこには英国のスパイ、ボンド中佐も。その華やかな映画の都ローマに、ヴァンパイアの長生者を狙う謎の“深紅の処刑人”が出現し、町を恐怖に陥れる。その目的とは、果たしてー?ドラキュラ成婚に沸くローマ。長生者を狙う謎の処刑人!本邦初訳の中編を収録したシリーズ完全版第三弾!