出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
過保護で過干渉な兄のもとで育った、喘息の持病があるベアトリス。年頃を過ぎても社交界デビューはおろか、結婚も出産も諦めているが、空想好きな彼女はある日、女性を愛せない友人との便宜結婚を思いつく。友人とのスキャンダルを偽装して、大勢の人に目撃されれば…結婚以外に選択肢はない。だが約束の日、現れたのはまったくの別人ーハンサムだが放蕩で悪名高い公爵ブリッグスだった。ベアトリスはパニックに陥った。転びかけ、公爵のたくましい腕に抱き止められた、まさにその瞬間ー兄が大勢の客を引き連れて現れる。なんと公爵は、いきり立った兄に妹の貞操を奪ったかどで、決闘を申し込まれてしまった!すると公爵は言った。「決闘はしないー結婚する」
エレナは親の決めた意に染まぬ結婚相手から逃れるため、出会った当初から惹かれていたキットと駆け落ち同然で結ばれた。式を挙げた直後に、彼が行方をくらましてしまうとも思わずに。ぽつんと独り屋敷に取り残されたエレナを、社交界の口さがない人々は、“捨てられた花嫁”と呼んだ。世間の陰口なんて気にしなければいいとは思っても、夫がヨーロッパでオペラ歌手と恋仲になっているという噂には傷ついた。そして失踪から5カ月後、突然、キットが姿を現す。しかしエレナは夫に打ち明けられない“秘密”を思い、切なくなった。彼がいない間に、お腹に宿っていた小さな命を失ったのだ…。
美しい海辺の小さな町の病院で働くアビーは、救急科に駆けこんできた医師を見て呆然とした。ルーク…!二人は学生時代に知り合い、深く愛し合っていた。けれど5年前、ルークは病気の後遺症で子供を作れないことを理由に、アビーに別れを迫った。彼とはもう違う人生を歩み始めたはずなのに。まさかまた会うなんて、夢にも思わなかった。聞けばルークは、身重の患者が旅先のこの町で突然破水したので、しばらく滞在して付き添うことになったという。彼は驚くだろうーわたしの家に、淡いブルーの瞳とプラチナブロンドの髪をした、彼にそっくりな4歳の男の子がいると知ったら…。
ビリーは8歳のとき、ギリシアに母と移り住んだ。よそ者扱いされていた彼女をいつも救ってくれた年上の少年、アレクセイは100年続く名門ドラコス家の跡継ぎで、時が経ち、今やビリーは実業家として成功した彼の個人秘書を務めている。でもまさか、ボスの恋の後始末まですることになるなんて…。胸の奥に封印したはずの憧れが、ビリーを苦しめた。そんなとき、アレクセイの両親が事故で急死する。悲嘆に暮れる彼を慰めたい一心のビリーだったが、想いがあふれ、衝動的に純潔を捧げてしまうー妊娠するとも思わずに。事実を告げようとした矢先、アレクセイが倒れて記憶を失い、追いつめられた彼女は“この子は一人で守る”と心に誓うが…。
貧しい祖父母の家で育ち、身分違いの地主の息子ジェイクの子を宿したキティ。だが初めての一夜のあと、彼に言われたのだ。妊娠しても子供は諦めてほしいと。妊娠を告げる前に、彼は別の女性と結婚。キティは打ちのめされ家を出た。8年後、祖母が亡くなり帰郷すると、長身の男性が現れた。彫りの深い顔立ちージェイク?-『飽くなき情熱』エミリーは結婚して3年経った今も大富豪の夫フィンに夢中。だが彼は前妻といまだに親しく、毎晩帰宅も遅いので不安でならない。今日は3度目の結婚記念日なのに、腕によりをかけて作った食事はすっかり冷めてしまった。思い余って夫の会社に行ってみると…そこには、一緒にシャンパンを飲む夫と前妻の睦まじい姿が!-『悲しい嫉妬』田舎町の診療所で看護師として働くララ。今年のクリスマスにはドクターの息子ニックが帰ってくるという。7年前のイブの日にダンスパーティでニックに恋したララは、次の日からダイエットに励んだ。今はもう太って未熟な少女ではないわたしを、彼はどう思うかしら?ララは期待に胸を高鳴らせるが、現実は残酷でー。-『始まりはラストダンス』
サイラは親友の婚約披露パーティに出るためイギリスに帰国した。8年前、親友の兄でホテル王のネイサンと付き合っていたが、結婚など考えられないという彼に絶望し、アメリカに渡ったのだ。今回パーティでサイラは思いがけずネイサンと再会した。真っ青な瞳のハンサムな彼は、歳を経てさらに魅力を増していた。サイラは親友にせがまれ、彼を含めたグループ旅行に行くことになる。断ち切れずにいた想い。よみがえる情熱。たとえ結婚に行き着かなくてもかまわない。今が幸せなら…。そう自分に言い聞かせ、サイラはネイサンとベッドを共にしてしまう。3カ月後、彼女は体の異変に気づく。まさかー?
ファッションショーの舞台を下りた花形モデルのリーナ。明日からは本名のケイティ・メルデントンに戻るのだ。最後の仕事は、チャリティオークションでデート権を落札した男性とディナーを共にすること。だが現れた黒髪の長身の男性を見て、彼女は息をのんだ。ジェイク…!2年前に別れたきり、二度と会いたくないと思っていた男性だ。かつてはジェイクを愛し、愛されていると確信していたー継母と彼が愛人関係にあると知るまでは。ジェイクは、なぜ大金を使ってわたしとの時間を手に入れたの?
遠い夏。16歳のキャラはデビッドと出逢い、恋に落ちた。だが必ず迎えに来ると誓ったのに、デビッドは戦場に赴き…永遠に帰らぬ人となったのだ。キャラのお腹に赤ん坊を残して。いまは静かに暮らすキャラの前に、ある日、ひとりの男性が現れた。「キャラ」懐かしい声…ああ、デビッド!彼は生きていた!キャラの頬に涙が伝う。これが夢なら、覚めてほしくない。あの頃と変わらぬしぐさで、デビッドに抱かれ、キャラは恍惚に浸った。まるで時を取り戻そうとするかのように、甘い蜜月を過ごす二人。けれど別れは唐突に訪れた。ほどなくして、彼が姿を消したのだ。“愛している”という走り書きと婚約指輪を残してー。
ああ、今日もくたくただわ…。病院の住み込み庶務係のクローディアは、きつい仕事をこなしてはベッドに倒れ込む日々。お世話になっていた大おじが亡くなったのを境に、これまで住んでいた家を追い出されてしまったのだ。そんな彼女に手を差し伸べたのは、大おじを診ていた年上のハンサムな医師トマスだった。「結婚すればきみは自由を、ぼくはよき友人を手に入れられる」愛のかけらもない申し出と知りつつも、彼が時折見せるやさしさに淡い期待を抱き、クローディアは思わずうなずいてしまうが…。
相次ぎ病に倒れた親の介護に追われ、自分の夢は諦めていたソフィ。両親亡き後も彼女が用務係として働く病院に、ある日、山で遭遇して意識不明の男性が搬送されてきた。まるでギリシア神のような美貌の持ち主に魅せられ、ソフィはいけないと思いながらも個室で眠る彼にキスをしてしまう。すると不意に男性が目を覚ましたー記憶喪失の状態で!行き場のない彼が気の毒で、ソフィは自宅で面倒を見ると申し出る。たちまち緑の瞳の男性と恋に落ちてしまい、彼女は純潔を捧げた。彼がプレイボーイの億万長者アキレス・リカイオスだとも知らず。
メイドとして働くエフィは胸を躍らせ、銀行の面談に向かった。夢だった香水会社の立ち上げに必要な融資を受けられそうなのだ。ところが途中、富豪アキレスが起こしたトラブルに巻きこまれ、約束の時刻に間に合わず、融資の話は白紙となってしまう。もう夢をあきらめるしかないの?失意のエフィの前に、事情を知ったアキレスが再び現れると、いきなり切りだした。「僕と結婚してほしい。病床の父のため、すぐに妻が必要なんだ。もし妻になってくれるなら、きみの希望額の3倍を出そう」彼の熱いまなざしに魅入られ、気づけばエフィはうなずいていた。
14歳で両親を亡くし、伯父に引き取られたゾーイ。伯父のもとで働く気鋭の弁護士ジャスティンに恋をして、20歳のバレンタインデーの夜、ついに夢が叶い、長年憧れてきたジャスティンと結ばれて結婚した。だが、幸せは長くは続かない。彼にとってこの結婚は、ただの出世への足がかりで、愛人と密会までしていたのだ。傷ついたゾーイは家を出たー妊娠していることは告げぬまま。4年後。幼い息子が難病に罹り、骨髄移植が必要となった。私が不適合なら、残された希望は父親のジャスティンだけ…。複雑な思いを胸に、ゾーイはかつての最愛の人のもとへ向かった。
アリソンが恐れていた日がついに来た。必死に忘れ去ろうとしていた元恋人のルークが現れたのだー彼女が兄弟と営む、傾きかけたホテルへの出資者として。ルークは地元の名家の子息で、魅力の権化のような男性。そしてアリソンを無惨なかたちで捨てていった人…。アリソンはルークと別れてから子どもを産んだが、もうすぐ2歳になる息子の存在を、彼には秘密にしていた。だがルークは巧妙な手段でそれを知り、息子に会わせろと言う。私から奪って自分の跡継ぎにするの?アリソンは不安に怯えた。
ケリーンの18歳になる妹が亡くなったー生まれたばかりの我が子の父親の名を言い残して。富も名声も手に入れた著名人、トリスタン・ロスが父親だなんて!つい最近まで、妹はトリスタンの秘書として働いていた。妹の訃報を知っているはずなのに、連絡ひとつよこさない男。ケリーンの胸に怒りがふつふつと沸きあがった。矢も楯もたまらず、ケリーンはトリスタンの邸宅を訪ねるが、驚いたことに、彼は即座に子どもの父親ではないと断言したうえで、聞くに堪えない妹への侮辱の言葉を並べたてた。ケリーンは衝撃に打ちのめされた。いったい何が真実なの?
魔力のない伯爵令嬢・アリツィアは帳簿付けに夢中で社交界に一切興味なし。家族からは結婚の心配をされるが、数多の令嬢が花嫁の座を狙う公爵家の令息・ミロスワフと密かに恋愛中なのだ。そして留学から戻ったミロスワフと婚約し、幸せの絶頂…のはずが、自由奔放なエリート魔力使い・カミルに気に入られ、最愛の妹を人質に婚約破棄を迫られてしまい!?
ベッラは8歳のころから、ずっと2歳年上のルーカに片想いをしていた。しかし、無謀なスキーで雪崩に遭った彼女を助けたせいで、ルーカが重傷を負って以来、10年間彼とは音信不通になってしまう。たとえ憎まれていると知るだけになっても、一度顔を見て話がしたい。兄の結婚式に現れたルーカに、ベッラは勇気を振り絞って声をかけた。そして涙を流しながら、過去の自分の軽率な行動を謝った。ルーカはそんな彼女に、不可解な表情で自分の脚に問題はないと告げた。彼はいつもそうだ。私を友人の妹で、幼なじみとしか見てくれない。それを運命の恋だなんて勘違いをして。ばかね、ベッラ。だが失意の彼女が立ち去ろうとしたとき、ルーカに唇を奪われて…。
ハナにとって、一人娘のオリビアだけが生きがいだった。5年前、娘の父親ジャックとは、彼に妻子がいることが発覚して別れた。あとになって妊娠していると気づいたものの、非情にも、それを知らせる手紙は未開封のまま戻ってきたのだった。今、そのジャックが小児外科医として目の前に現れ、ハナは幼い娘とのささやかな幸せをかき乱されまいと、とっさに娘の年齢をごまかして別の人との子であるように装った。やがて改めてお互いを知るうち、当時ジャックはすでに妻と離婚し、しかも別れたあとに生まれた子供の存在を隠されていたことがわかった。元妻の行為に憤る彼を見て、ハナは娘が彼の子だと言いだせず…。
ルー・リヴシィ、25歳。花やハーブを育てながら、自分で修繕した古いコテージで、愛犬と穏やかに暮らしている。たとえ隠居した老婦人のような生活と思われてもかまわない。5年前、若すぎた結婚に大失敗して借金を背負わされたせいで、亡き父が遺した屋敷を手放さなければならなかったのだ。以来、ルーはもう決して男性に心を開くまいと決めていた。彼らが女性に言い寄る裏には、いつも何か別の理由があるのよ。隣に越してきたばかりの大富豪ニール・サクストンも同じ。「家政婦用に、きみのコテージが欲しい」いきなり強引に迫ってきて、ほかにも欲しいものがあるかのような目で、ルーをじっと見つめたのだ!
両親にほったらかされ、孤独な子供時代を過ごしたアリー。今、諜報員となった彼女は、カリフォルニアへ向かっていた。10年前から任務を離れている伝説的人物イーストを説得し、なんとしても復帰させるという密命を帯びて。だが初めて会った瞬間、アリーは心を奪われてしまう。わたしは彼を待っていた気がする。生まれてから、ずっと。冷静な判断力でこれまで任務に失敗したことのないアリーだが、今回は思った以上に困難なものになりそうだった。彼といると孤独が癒やされ、仕事さえ忘れそうになるから…。ところが、アリーがやってきた目的を知るや、イーストは彼女に憤然と命じた。「口を閉じてここから出てってくれ!」
意地悪な継母と異母妹たちの冷酷な仕打ちに耐えるカレンザ。継母に1ペニーもドレスの仕立て代をもらえず、年頃になっても社交界デビューもせず、病弱な父を支えてひっそり暮らしている。ある日、オースターフィールド子爵が屋敷に滞在することになり、現れた子爵の並外れた容貌に、邸内は色めき立つ。妹たちは着飾って子爵の気を引こうと必死だ。カレンザは古びた服で庭のばらを摘み、子爵に色目を使ったと継母と妹たちに心ない言葉を浴びせられてもなんとかこらえた。それを子爵に見られたのは、少し悲しかったけれど…。翌朝、散歩をしているとオースターフィールド子爵が小道に現れた。「僕と結婚してほしいんです。あなたを子爵夫人にしたい」