出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
「覚えていないの?わたしたちはもう結婚しているわ!」そのうえ今は別居中で、離婚手続きが進んでいるのよ…。シャーリーはその言葉をのみこみ、負傷した夫を前に途方に暮れた。マッテオには幸せの絶頂だった結婚式前日までの記憶しか残っていない。事故で頭を強打し、部分的に記憶を失っている今の彼に、さらなる衝撃とストレスを与えるのは厳禁だ。仕事中毒のマッテオは医師に2週間の静養を言い渡され、シャーリーは彼とともに新婚旅行で行くはずだったアマルフィを訪れた。ただちに事実を告げて立ち去るべきだという理性の声には、つゆほども気がつかないふりをして。
難病とわかって絶望に打ちのめされた助産師のエレンは、祖母の家に身を寄せることにし、憧れのショーンと8年ぶりに再会する。17歳のころ彼にキスを拒まれ、屈辱的な思い出となっていたが、今、産科医となった彼から、意外にもデートに誘われた。片想いが叶っても、もう私には未来なんてないのに…。そう思いつつも彼の魅力に屈し、いつしか二人は結ばれたのだった。その後、この病は妊娠が禁物とあって気をつけてはいたけれど、不安になって調べると、エレンのおなかには小さな命が宿っていた。ショーンは病のことを知らないうえに、まだ結婚には興味がないらしい。ああ、どうしよう!エレンの心は、千々に乱れた。
ジャネットは仕事で訪れたオフィスで、10年前に突然別れを告げて姿を消した元婚約者のウェイドと偶然再会し、息をのんだ。だが今や大企業の辣腕社長となった彼の冷酷な態度に衝撃を受け、ジャネットはその場から一目散に逃げ出した。すると翌週、ウェイドが彼女の職場に乗り込んできて、吐き捨てるように言った。「聞かせてくれ。いったい何人の子をベビーシッターに預けてきた?」彼は何を言っているの?いわれなき疑いに、ジャネットは呆然とした。「君は僕に愛を誓いながら、平然とほかの男と結婚するような女だ!」ひどいわ…。あれからずっと、結婚はおろか、誰ともつき合わず、彼のことを思い出して涙で枕を濡らす夜もあったというのに…。
リヤは異母妹の身代わりの花嫁として婚礼の場にいた。そして、王族にして富豪というシャリフの顔を見て愕然とした。目の前にいるのは、一瞬で心を奪われ、一夜をともにした男性!ところがシャリフにとって結婚はビジネス、妻は道具だった。彼は花嫁のリヤに、前日、関係を持ったのはまちがいで、夫婦となっても寝室は別だ、と言い放った。新婚初夜なのに、リヤは一人、冷たいベッドへ追いやられる。これは政略結婚。なのに、なぜ夫の拒絶にがっかりしているの?理由はあの夜の、やさしかったシャリフを忘れられないから…。
夏の間だけギリシアのリゾートホテルで働く美容師のマーニー。ある日ビーチで足を怪我し、痛みでうずくまっていると、バイクで通りかかったレオンという男性に手を差し伸べられた。野性的な風貌と高貴な青い目。瞬時に魅せられたマーニーは、誘われるまま食事を共にし、疑いもせず身も心も捧げてしまう。だが彼は純潔を隠していたと咎め、マーニーを追い払ったのだ。翌日、世界的大富豪レオニダスがホテルに滞在していると聞き、その姿を見たマーニーは仰天した。レオン!信じられない。あの夢のような一夜は、ただの富豪の火遊びだったというの?
カーラが家政婦としてつきそった老齢の葡萄園主が亡くなった。死後に開示された遺言で、カーラには未払いの賃金だけでなく、土地や屋敷までもが遺されていたことが判明する。これに異を唱えたのが、故人の商売敵のマキシム・デュランで、一代で莫大な富を築いた、若くハンサムな大富豪だ。ずっと彼に密かに惹かれていたカーラは、反発しながらも、互いの間に高まる情熱の炎に抗えず、純潔を捧げてしまう。だが翌日、手酷い裏切りに遭ったカーラは自らの過ちを知る。すべてを捨てて逃げ出すが、彼女はすでに身ごもっていて…。
ケルシーは勤務先の社長の息子に言い寄られ困っていたが、恋愛経験のない彼女には、うまく断ることができない。そんなある日、カードを添えた1輪の赤い薔薇が届く。“今夜、夕食をともにしたい。マーシャル・ヘンダーソン”マーシャルですって?ケルシーの全身がかっと熱くなった。4年前、わたしの唇を奪い、そのまま姿を消した実業家…。しつこい相手に諦めてもらう口実よ、と自分に言い聞かせ、彼女はマーシャルのもとへ向かった。彼があのとき言い残した、「いずれ君は危険な女になる」という言葉を思い出しながら。
幼い頃に母を亡くし、里親のもとを転々としてきたシェリーは、24歳のある日、思いがけない事実を知ることとなった。死んだと聞かされていた父親が、実は最近まで生きており、ずっと彼女を捜していたというのだ。いてもたってもいられず、シェリーは生前の父が暮らしていたポルトガルへ向かった。荘厳な館で彼女を迎えたのは、父の後妻の息子で伯爵のジェーム。見上げるほど背が高く、灰色の瞳が美しい。この人が私の義兄?だが彼はシェリーを見ると、冷酷な笑みを浮かべて言ったー遺産目当てで現れた人間を歓迎する気はない、と。
犬23匹に猫6匹、うさぎ2羽。解雇され、住まいも失ったのに、この子たちの行き先を見つけ、生活費も稼がなくてはならない。しかも今、エイミーは妊娠していた…富豪セヴの子を。天涯孤独な動物看護師の私にやさしく声をかけ、誘惑したのは、プレイボーイのセヴにとって、ただのゲームにすぎなかった。でも愚かで無垢な私は舞い上がり、すてきな彼に夢中になって、一夜をともにした。愛されている、幸せになれると思って。愛を否定された心の傷は、まだ癒えていない。だが追いつめられたエイミーは、震えながら彼に助けを求めた。
家が隣同士の幼なじみであるイブとゲイジは、周囲の反対を押し切り駆け落ちしたが、仲を引き裂かれた。イブの父の悪巧みで、ゲイジが若い娘を騙したという噂を流されて。7年後、イブは一族の会社を倒産の危機から救うため、冷酷な富豪となったゲイジに助けを求めるほかなくなった。彼が提示した条件はーイブが彼の婚約者を演じること!取引先の企業の経営者が厳格な人物のため、自分のいわれなき汚名をすすぐ必要に迫られたという。イブは、かつての愛情ではなく怒りの宿る彼の目を茫然と見つめた。
王子ガンナー・フォン・ビョルンランドの類いまれなる容貌は、北欧の神の化身とも称されるほどだが、彼は放蕩者でもあった。女王に仕えるラティカは、そんなガンナーが苦手だった。青い炎のようなまなざしを向けられるだけで、体が熱くなる。だから、彼を落ち着かせるための花嫁探しが始まったとき、ラティカは安堵した。彼が結婚すれば、心を乱されずに済む…。盛大な舞踏会が開かれ、世界中から大勢の美女が集められた。だがその夜、ガンナーはなんとラティカとの婚約を発表する。そして彼女を我が物顔で抱き寄せると、濃厚なキスをしてー。
19歳のファラは父親が会社の金を使い込んだことを知り、父親の勤め先である新聞社のオーナーのもとへ駆け込んだ。「父は病気の母のためにやってしまったんです…お願いです、父が刑務所に行かずに済むのなら、私はなんでもします!」必死に訴えるファラを、若き敏腕経営者のジョエルは興味深そうにじっと見つめていたが、やがて口を開いた。「それなら、僕の恋人を演じてくれ」彼は淡々と説明した。新しい恋人ができたふりをして、今の恋人と別れたいんだ、と。そんなお芝居、私にできるの…?ファラは不安におののいた。
レイシーは大実業家のジョンを本気で愛し、子を授かった。愛ゆえの結婚を望む彼女が妊娠を告げずに求婚すると、「きみとは究極の快楽で結ばれた関係だけにしたい」と断られた。失意のレイシーはジョンと別れて密かに娘を産んだが、今ふたたび彼が現れて…(『ギリシア富豪に追われて』)。アナリアは愛のない政略結婚を憂えて、せめて今夜だけはと、仮面舞踏会へ。黒髪の美男に強く惹かれ、仮名を名乗って情熱を分かち合った。翌朝、我に返って逃げ出した彼女だったが、数週間後、実は大富豪だった“サーシャ”の子を身ごもっていることがわかる!(『ヴェネツィアの秘夜』)。どうしても赤ちゃんが欲しい。そう願うキャロルは、産むなら、別れてもいまだ愛している元夫スティーヴの子しか考えられなかった。彼にもう一度会って、新しい命を授かれればーでも彼にそれを告げるつもりはない。独りで産み育てる覚悟はできているから(『赤ちゃんはキューピッド』)。「命の恩人よ」出産を終えたベスは、路上で陣痛に襲われたところを助けてくれたジャクソンに言った。薄情な元恋人とは大違いね。なぜかジャクソンにもっとそばにいてほしい。だがベスはまだ気づいていなかったー彼が、ハリウッド随一の独身貴族とは!(『ハリウッドに恋して』)。J.ルーカス、A.グリーンの新作を含む、シークレットベビー物語など人気の名作集!
パーティに向かうリムジンに乗った秘書のフェイスは落ち着かなかった。社長レンツォが恋人と今朝別れたので、私は単なる身代わりだけれど、彼は地味な秘書の変身ぶりに、少しでも気づいているかしら…?もちろんフェイスは、レンツォのこの個人的な頼みを断ろうとしたが、結局、彼の押しの強さに負けて押し切られてしまったのだった。レンツォの下で働いて半年、なんとか彼の魅力にあらがってきた。しかし今夜、ドレスに着替えた秘書に興味を引かれたレンツォは、さらなる要求を突きつけてフェイスを驚かせるー故郷のイタリアへ一緒に来てほしいというのだ!彼の屋敷に住んで24時間一緒に仕事をこなす、個人秘書として。
牧師の父と古風な母に育てられたレティシアは、初めての恋に破れて以来、男性には心を開けなくなっていた。そんなときに出会ったのが、知人宅に滞在しているヤソンだった。35歳のオランダ人医師はとても背が高く、ハンサムで、警戒心をあらわにするレティシアに優しく言った。「いつの日か、きみは誰かを好きになる。そしてその誰かは、きみが世界でいちばんきれいだと気づくんだ」事情を知る彼の、なぐさめの言葉でしかないことはわかっていても、レティシアはしだいにヤソンに惹かれていくのを感じた。夏の恋のはじまりーそれは、眠れない夜のはじまりでもあった。
「僕は昔、君と宮殿で遊んだアレックス。行方不明のヘレニア王子だ」長身で黒髪の男性がー途方もなく美しい男性が静かに告げた。金髪碧眼の変装を解いた彼の姿に、ジャンニーナは呼吸を忘れた。3年前、出会った瞬間に私の心を奪い、突然去っていったフィリップが、アレックスー少女の頃に憧れていた黒い瞳の王子様だったというの?ある命の危険から身を隠さなければならなかった日々が終わった今、アレックスはヘレニア国に新国王として迎え入れられるらしい。彼は積年の嘘と不義理を謝罪し、ジャンニーナに求婚した。私が愛していたのはフィリップだし、平民の私が王妃だなんて…。あまりの出来事に混乱し、ジャンニーナの意識は遠のいた。
花売り娘だったマギーが優しい老富豪に拾われ、屋敷で働き始めて2年。その雇主が突然帰らぬ人となり、マギーは悲しみに暮れた。遺言状には、広大な屋敷は孫息子のボウが相続すること、家族同然の使用人たちを1年間は雇い続けることが記されていた。つねに海外にいる実業家のボウはやがて屋敷を売り払うのではーそう危惧した使用人たちは、マギーがボウの子を産めばいいとけしかける。会ったこともない人と結婚して跡継ぎをもうけるだなんて、私には無理。一方ボウは、祖父が“乳母”なる名目で雇い入れたマギーに眉をひそめた。子供のいない家に乳母とは!祖父との関係は?財産目当てか?疑ったボウは彼女を前に思わず口走った。「君は妊娠しているのか?」
ヘザーが目覚めるとそこは、真っ暗な病室のベッドの上だった。歌手になる夢を抱いて耐えてきた下積みの苦労がようやく実を結び、大舞台のチャンスをつかんだ矢先に、交通事故に遭ったのだ。そのショックから、彼女は事もあろうに声が出せなくなってしまった。不安と孤独に苛まれたヘザーは、心の中で最愛の義兄の名を呼んだーコール、コール…コールさえここにいてくれたら!でも、わたしの夢に反対するコールとは、いまだに仲違いしたまま。とてつもない大富豪の彼の傲慢さは半端ではないと巷でも恐れられている。そんな彼がここへ来てくれなかったとしても、しかたがないわ…。すると病室のドアが開けられ、コールが怒りの形相で入ってきた!
病身の母を抱え困窮するフェイは、意外な報せを受けた。いまは亡き継父が、彼女に財産を遺していたらしいのだ。伝えに来たマチェオ・フィオレンティは大企業の経営者で、相続には、彼の部下として短期間働くことが条件だという。傲慢だけれど魅惑のオーラを発するこの男性の下で…?彼をただ見つめるだけでなぜか胸がざわめくというのに。マチェオは意味ありげに「君が住むのは僕のヴィラだ」と言う。フェイは気を引きしめた。彼に惹かれてはいけないわ。だが屋敷で顔を合わせるたび、二人の性的緊張は高まりー。