出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
ミアはイタリア富豪でボスのロッコと公私ともに親密な間柄で、幸せの絶頂にあった。だが、待ち望んだプロポーズの直後、事態は急変する。機密を漏らした疑いで会社は解雇、さらにロッコは婚約も破棄し、ミアを追い払ったのだ。イギリスへ逃れた彼女は失意の底で妊娠に気づき、動揺した。せめてロッコに会って直接伝えられたら。そんな願いも空しく、近づくことも禁じられた彼女は、一人で赤ん坊を産み落とした。3年後、慎ましく暮らすミア親子の前に予想外の男性が現れる。ロッコ!変わらぬ青い瞳に射貫かれ、心は千々に乱れて…。
カシアは大学の研究のため訪れた砂漠で砂嵐に遭い、間一髪のところを、馬に乗った逞しい男性に救われる。テントにたどり着き、彼の顔をよく見たカシアは驚愕した。なんてこと…。この方は、国王の弟ーレイフだわ!プレイボーイ王子と名高いレイフの男性的魅力は圧倒的で、カシアは導かれるまま、彼と共に情熱の高みに舞い上がった。だが甘い名残にたゆたう彼女に、レイフが衝撃の宣告をする。王家の者が無垢な乙女と枕を交わしたならば、二人は結婚しなければならないーそう掟に定められている、と。
モデルのレクシーは、深刻な悩みを抱えていた。根も葉もない嘘が書かれた暴露本を出すと脅されているのだ。レクシーは兄の助言に従い、偽の婚約者を仕立てることにした。世間の目を、華やかなラブストーリーに向けさせるのだ。だが、兄に引き合わされた実業家のゲオルグ・ニコラオスは、自信たっぷりで強引で、レクシーの最も苦手なタイプだった。あの魅惑的な瞳とセクシーな唇に抗える女性はいないだろう。彼を相手に、情熱的な恋人の役を演じるなんて…。激しい戸惑いと裏腹に、レクシーの背筋は甘く震えた。
病弱な母と車椅子暮らしの妹のため、医師になったエルスペス。あるとき上司の結婚式に列席した彼女は、浮かない顔をしていた。エルスペスの家族に理解のない冷たい婚約者と半年前に別れ、いまだつらい思いを抱えている彼女に、見知らぬ男性が声をかけてきた。フレーザーと名乗った彼も、親戚づき合いで仕方なくここにいるという。意気投合した二人はいつしか式場を離れ、めくるめく夜をともにした。けれども、婚約の破談後にもう恋愛は無理だと悟ったエルスペスは、翌朝ため息とともに彼のベッドからそっと脱け出したのだった。一瞬、人生を変えられればいいのに…と思った自分を責めながら。6週間後、彼女は妊娠検査薬を手に、バスルームに立ち尽くしていたー
小児病院の看護師ルーシーは、5年前につらい別れを経験した。病気がもとで、ほぼ子を望めないと医師に言われた彼女は、温かい家庭を築くことを何より望む最愛の恋人トムに、泣く泣く別れを告げたのだー別に好きな人ができたと、うそをついて。そのトムが今、愛らしい息子を連れ、新しい医長として赴任してきた。1年前に妻を亡くしたというトムの目には悲しみが浮かび、3歳の息子と二人だけで生きていくつもりだと、彼は言い放った。それでも、あの日と変わらず魅力的なトムと一緒に働くうち、ルーシーは彼への気持ちが5年前と変わっていないことに気づき、どうしようもなく胸を締めつけられるのだった…。
ナンシーはマサートン伯爵の娘だが、それは誰も知らないことだった。冷酷な父親に虐げられて育った彼女は家も名も捨て、料理で身を立てた。平民でかまわないーレディの身分に未練などないから。それなのに、ナンシーは貴族のガブリエル・レイヴンショーに恋をしてしまった。大怪我をして雑木林に倒れていた彼を見つけ、寝ずの看病をし、滋養のある食事を作り続けた。会話ができるほど回復した頃には、ガブリエルはナンシーにとって、ただ一人の愛する男性になっていた。活力を取り戻した彼に「身分差など関係ない」と熱く求められ、ナンシーは無垢な身を捧げたが、このときまだ、彼女は知らなかった。ガブリエルと、彼女の秘密の生家マサートン伯爵家との関係を。
16歳の孤児マリアンは後見人のカーステアズから、今後は彼の知り合いの貴族のもとで暮らすようにと告げられる。親切な老紳士だろうと思って屋敷を訪れると、彼女を迎え入れたデズモンド卿は、若く野性的な美男だった。じつは、デズモンド卿にポーカーで負けたカーステアズが、持ち金がないため、代わりに“被後見人”を譲ると言ったのだ。だが、デズモンド卿はそれを誤って娼婦と解釈しており、大人っぽいドレスを着て現れたマリアンを、寝室へといざなった。何も知らない無垢な彼女は、思わぬ展開に呆然とした。なぜ、こんなことに…!彼の腕の中で、マリアンは運命を呪った。
アリスはイタリア伯爵マルコ・ヴィンセンティの屋敷で、生後6カ月の赤ん坊のナニーを務めることになった。マルコは亡くなった従弟夫婦の忘れ形見を引き取り、わざわざイギリスからプロのナニーを雇ったのだという。アリスは、彼が内に隠す深い情愛を知り、次第に惹かれていく。ところがある日、赤ん坊の母方の祖母が現れ、マルコに対し、子どもとその養育権を渡すか、さもなければ金を払えと迫る。彼は、独身の男では不利だと言い、アリスに衝撃の提案をした。「あの子を手放さずに済むよう、僕の妻になってくれないか」
教師をしているジェーンは、内気で目立たない存在の26歳。ある夏、旅先のコート・ダジュールで地図を見ていてぶつかった、グリーンの瞳をした男性ザビエルの美しさにどぎまぎした。だが奥手で経験のないジェーンは、彼からの食事の誘いを断ってしまう。その後、たまたま訪れたホテルで再びザビエルと出会い、なんと彼がホテル王で名うてのプレイボーイであることを知った。やっぱり、相手に不自由しない彼が私に本気になるはずがないわ…。それなのに、「ここにいる1週間、僕と過ごしてほしい」と囁かれ、ザビエルの抗いがたい魅力に、思わず知らずうなずいていた。4カ月後、イギリスに戻ったジェーンは一人、つわりに苦しんでいたー
零落した元お嬢様である花純は、困窮する家族のため、かつての執事であり、今は会社社長の都築李織に援助を頼む。彼は花純の初恋の相手だった。「可愛いな、お嬢様は。俺でこんなに、感じてくれるなんて」援助と引き換えに一ヶ月間、李織の家政婦兼、偽装恋人をすることになった花純。冷ややかな態度とは裏腹に、李織は花純に優しく触れて…!?
元夫の暴力から逃れ、旅に出たサミアは、立ち寄った町で野性的なのに品格と威厳を感じるハンサムな男性と出会った。豪華ヨットのクルーらしいそのルカという魅力的な男性は所持金が底をついた彼女に仕事を紹介するとヨットに誘う。だが黒い帆と黒い船体を目にして、サミアは息をのんだー彼は“海賊王子”の異名を取るマドレナ王国の王子ルカだった!しかも彼に王位を継ぐには花嫁が必要だと言って便宜結婚を持ちかけられる。出会ったばかりの住む世界のあまりにも違う男性がなぜ?だがすべてを失った彼女に、選択の余地はなかった。
ウエイトレスのデイジーは客のレオと意気投合し、その日の夜から、彼との満ち足りた生活が始まった。だがひと月ほどたったある日、レオの家に招かれたデイジーは、一介の店員と思っていた彼が大企業CEOと知り、驚愕する。それどころか、レオはとんでもない秘密を抱えていた。彼こそが、1年前デイジーの父を破滅させた人物だったのだ。「君とは別れたくないが、僕を許せないならすぐに立ち去れ」私は、父を苦しめた卑劣漢に純潔を捧げてしまったの?絶望しつつも彼女は踏みとどまったーお腹の子のために。
モデルという仕事は華やかでも、ジェマイマは内気な娘だった。そんな彼女が、若きイタリア人富豪専属の愛人になるとはー。だがチェザーレ・デュランテと初めて会食の席で出会った瞬間、彼女はその強烈な魅力の虜になり、誘われるまま夜を共にした。会食はジェマイマの従兄弟の事業へ投資を求めるためだったが、チェザーレはそれを巧みに利用し、愛人契約を迫ったのだった。「一夜では足りない。2週間、僕の愛人になれば投資をしよう」濃密な夜を重ねるうち、ジェマイマの心にある想いが芽生える。2週間では足りない。彼と、永遠にこうしていられたら…。
リンジーは音信不通の妹の消息を確かめるため、妹のボスである敏腕弁護士アレッシオの事務所を訪ねた。彼は激怒していた。なんと妹は彼の弟と駆け落ちしたらしい。アレッシオは、妹の代わりに君が秘書になれ、と言うが、リンジーにはわかっていた。彼は秘書が必要なのではない。彼の男らしい魅力にどぎまぎしている私をからかっているのだ。これ以上妹の印象を悪くしたくないリンジーは承諾したが、アレッシオから出張に同行するよう命じられ、すくみ上がった。無理よ…彼の前に立つだけで、心臓が爆発しそうなのに。
買い物に出た両親が事故で帰らぬ人となり、ビアンカは茫然自失に陥った。そんな彼女を、さらなる衝撃が襲うー母が遺した日記によると、ビアンカは父の実の子ではないかもしれないというのだ。出自がわからなくなり、足元が崩れるような不安に苛まれながらも、ビアンカはウエディングプランナーの仕事に打ち込もうとする。そんななか出逢った、さる王国のレオことレオポルド皇太子に雇われ、彼の妹の結婚式を手がけることになった。準備に明け暮れるうち、黒髪と神秘的な瞳が魅力的なレオに日ごとに惹かれ、ある夜、ビアンカはとうとう彼に一夜の愛を捧げてしまう。やがて一国の王となるレオとの恋に、未来などないというのに…。
半年前にロンドンへ出てきて、大企業に勤めているアイヴォリー。ある日、オランダにいる社長の指示で、大至急資料をそろえたが、担当秘書のパスポートの有効期限が切れていたため、急遽、アイヴォリーが代わりに書類を届けにアムステルダムへ飛んだ。夜遅くに指定のホテルに着いたときには疲れきっていて、案内された部屋に入ると、ベッドに倒れ込むように眠りについた。翌朝、近くで声がし、アイヴォリーは目覚めた。「きみは誰だ?」驚いて見ると、隣のベッドにハンサムで大柄な見知らぬ男性がいる。なんとそれは、まだ会ったことのなかった社長、ローソンだった。ああ、よりによって、間違って社長の部屋で寝てしまったなんて!
ある雨の日、バス停にいたクレアラベルに、とんだ災難が降りかかる。前の客に足を踏まれてけがをし、後ろの客に傘で小突かれたあげく、側溝の泥水に足をとられているうちに、バスが走り去ってしまったのだ。だが通りすがりのロールスロイスに拾われ、家まで送ってもらうことに。車の主は長身でハンサムな整形外科医、マルク・ファン・ボーゼル。猫2匹と暮らす彼女の狭いフラットには場違いなほど洗練された男性だ。「5分しかないんだ」彼は傲慢ともいえる態度でそう言うと、そそくさとクレアラベルのけがの手当てをして帰っていった。翌朝クレアラベルは職場の病院で、回診に加わった意外な人物を見て驚く。昨日のあの人だわ!けれど、当のマルクは彼女に目を留めもしなかった。
留学先からギリシャに帰国したフェーベは、親が決めたペトロニデス家の長男との婚約を解消しようと心に決めていた。本当は次男スピロスのことを愛していたから。だが、その愛が許されない状況に陥る。婚約者の援助なしには、父の会社は倒産するしかなく…(『憂鬱なフィアンセ』)。3年間育てた、我が子同然のマックスが奪われてしまう!養育係のフレイアは愕然とした。母親の死後、父親ラフェが現れ、今まで目もくれなかった息子をスペインへ連れていくという。噂どおり薄情で冷酷そうな彼を見て、フレイアは一緒についていく決心をした!(『月夜の過ち』)。社長秘書ベニーはボスのホルトに恋していた。5年前に雇われた日から、ずっと。けれど、あくまでも部下として扱われる切なさに、ベニーは耐えきれなくなった。そんなとき、友人の勧めで新聞に恋人募集広告を出すことに。まさか、ホルトが応募してくるとは…(『秘書の告白』)。クレアは3年ぶりに元恋人キャルと職場で再会した。かつて同棲していたが、ある日突然、キャルは別れを告げ、姿を消した。それが今、社長となって経営を立て直しに戻ってきたという。クレアはまだ愛の痛みを引きずっているのに、キャルは冷たく傲慢な態度で…(『愛の謎が解けたら』)。
キャシーは広告代理店で働きながら、女手一つで幼い娘を育てている。力を誇示する男性に対して恐怖心があるため、いっさい身を飾らず目立たぬようにして異性を遠ざけ、娘との生活を大切にしてきた。ある日、化粧品会社に向けたプレゼンテーションを任されることになり、急遽、上司から、化粧をしてセクシーな服を着ていくよう命じられる。相手先へ向かったキャシーは、精悍な顔だちの男性に正面衝突して驚いた。高級スーツをまとった長身の彼こそ、化粧品会社の社長ローハンだった!怖れとともに、胸の奥に甘い疼きを覚え、キャシーは戸惑った。やがて、そんな彼女の心を見透かすように、ローハンは宣言した。「堅物を演じても無駄だ。その殻を破って、いずれ必ず君を手に入れる」。