出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
ブリオニーのボス、社長のカーライルは仕事の鬼だ。ハンサムで魅力的なのに、いつも冷淡で厳しい態度を崩さない。だがある日、愛らしい少女がオフィスにやってきたとき、カーライルの表情がこれまで見たこともない温かいものに一変し、ブリオニーは驚くと同時に彼から目が離せなくなった。少女はカーライルの娘エマで、亡き妻の忘れ形見だった。エマがすぐにブリオニーに懐いたのを見て取ったカーライルは、娘が重病にかかっていることを告げたうえで、こう切り出した。「結婚してほしい。余命僅かなあの子の願いを叶えてやるために」
雇い主のスペイン富豪ロドリゴと恋に落ちた秘書のローラは、誤解がもとで百万ドルの手切れ金を叩きつけられ、捨てられた。彼の子を身ごもった喜びの報告をするはずの、まさにその日に。1年後、ローラは慈善舞踏会で偶然ロドリゴと再会し、赤ん坊を密かに産み育てていたことを知られてしまう。すると彼は君も息子も僕のものだと言い、強引に結婚を迫った。あんなに私を冷たく捨てた人と愛を育めるわけがないわ…。それでも子供のための形だけの結婚ならばと言ったローラに、彼は熱いキスをし、せせら笑った。「僕に抵抗できるのか?」
メリダが働く画廊にその夜、ニューヨーク随一の富豪、イーサン・デヴェローが現れた。美貌の彼と握手をした瞬間、彼女の体に電流が走った。しばらくして彼が立ち去っても、体の火照りは収まる気配がない。いったいどうしてしまったの?「きみにはわかっているはずだ」突然、低い声が静寂を破った。嘘!彼は引き返してきたの?「一緒にディナーをどうかな」彼とは住む世界が違うのに、甘いキスに我を忘れたメリダは、レストランからスイートへといざなわれ、純潔を捧げた。しかし翌日、イーサンは消え…やがてメリダは妊娠を知る。
父の訃報に、傷心を抱えサントリーニ島へと赴いたアテナ。カフェで荷物を盗まれかけたところを、ハンサムな男性アレクシオスに助けられ、ディナーをともにすることになった。ギリシア億万長者の彼の瀟洒な邸宅へ招かれ、美しい夕陽を眺めながら、アテナはまたたく間に彼の虜になり結ばれた。夜ごと愛される至上の悦びに、彼女は溺れた。やがて愛を告げたことで、まさか彼が急に冷淡になるとは夢にも思わず。-どうしよう?赤ちゃんができたなんて彼に言えない。アテナは黙って彼の前から姿を消すほかなく…。
ケイド、私の夫。彼が家を出ていってから、もう1年以上。ジェシカは別居が続く夫との関係に終止符を打とうとしていた。彼に会って離婚のための書類にサインをしたあとは、身寄りのない赤ちゃんを引き取って、ひとりで育てていくつもりだ。望んでも叶わなかった、母になるという夢をようやく叶えられる。2度の流産後もなお子供を切望する私といつしか気持ちがすれ違い、ケイドはそんな私を見捨てて去っていった。だから、彼を心から愛していても、もう別れるしかないと覚悟を決めた。そして、ふたりで会う約束をした日ー夫と妻として会う最後の日、彼を待つジェシカの身に、突然、不運な出来事が起こる…。
物心がつく前に孤児になったオリンピアは、伯母に引き取られ、家事につけ仕事につけこき使われる日々を送っている。ある日、使いの合間に、前から見たかった美術館へ寄ったが、時間に追われるあまり階段で転び、膝をすりむいてしまう。すると、品のよい銀髪まじりの紳士が手をさしのべてくれた。私ったら、みっともない。それに比べ、なんてハンサムな方かしら。だが、そのオランダから来た紳士はワルドーと名乗るなり、断言するようにこう告げた。「君は結婚していないね」伯母の言うとおり、私は男性が結婚したがる娘ではないということ?ワルドーの言葉に戸惑い、恥じ入るオリンピアだったが…。
セイディが社長のイーサンに想いを寄せ始めて、はや5年。彼のアシスタントとして、未熟ながらもがんばってきたけれど、もう実らぬ片思いはあきらめ、新しい恋を探すときなのかもしれない。セイディは涙を隠して退職を申し出るが、イーサンから思いがけない懇願をされて、心が揺れた。彼の親友が急死し、遺児を預かることになって困っていて、ナニーが見つかるまで、同居して世話をしてほしいというのだ。イーサンと過ごす、最初で最後のつかの間の蜜月。ほんの一瞬でもいい。私を女性として見てくれたら…。5年間の想いを胸に、セイディは心を決めた。
大富豪ジェイムソン家の次男、スペンスが帰ってきたと聞き、アビーは動揺した。彼はまだ私を疑っているかしら?数カ月前まで、アビーとスペンスは恋人同士だった。だが悪夢のような出来事が、突然ふたりを引き裂いた。あろうことか、スペンスの父親に無理やりキスをされ、その場面をスペンスに見られてしまったのだ。彼はアビーの話も聞かず、冷たく背を向け、街から姿を消した。あのとき、どうして私のことを信じてくれなかったの?スペンスは心から詫び、変わらぬ情熱でアビーを包みこんだが、彼女が身ごもったと知ると、とたんに表情を曇らせて…。
オフィス清掃のアルバイトをしている苦学生のサマンサは、ある朝、その企業を経営する実業家パーシアスから呼び出しを受けた。昨夜、社長室から大切なメモが紛失した責任を取れという。サマンサが、紙くずと間違えて掃除してしまったと謝ると、パーシアスはまさかの取り引きを持ちかけてきた。彼の名目上の新婦となって故郷のギリシアについてくるなら、処分は見送り、さらに願いを3つ叶えてやろうというのだ!彼はわたしを使って、復縁を望む元婚約者を追い払いたいだけ。でも、死んだ母さんのためにお墓を建ててあげたい。それに、ギリシア神のように美しい彼のそばにいられるなら…。
突然の訪問者に、ルビーは言葉を失ったー6年前、17歳の彼女が両親を失った悲しみから、一夜のぬくもりを求めて情熱を分かち合った男性、サンダー。「ぼくの息子たちは我が一族の屋敷で育てる」ゴージャスなギリシアの海運王サンダーの一方的な宣言に、ルビーは激しく動揺した。彼はいつ知ったのだろう?双子の息子たちの存在を。学もなく貧しいわたしから二人を奪うなど巨万の富を持つ彼にはたやすいことだ。ああ、いったいどうすれば…?ルビーは悩んだすえ、彼がきっと拒むはずの条件を口にした。「どうしても息子たちがほしいなら…わたしと結婚して」
病室で意識を取り戻したブリーは、目の前にたたずむ人物を見て呆然としたーマイケル!2カ月前、ブリーは富裕な実業家の彼にひと目で惹かれ、純潔を捧げた。それが罠とも知らず。彼はブリーを財産目当てに弟に近づく悪女と疑い、言葉巧みにベッドに誘いこんだあと、あっさり捨てたのだった。妊娠に気づいた彼女に結婚を申し込んだのはマイケルの弟ウィルだった。その彼が不慮の事故で息を引き取る間際、兄に言い残したという。“身重の妻を頼む”と。まさかこんな形でマイケルと再会するなんて。絶対に悟られてはならない…お腹の子の父親は彼だと。
大富豪リーアムの身勝手な再会のキスを受けた瞬間、忘れえぬ情熱の疼きが、リーガンの体を突き抜けた。7年前、勤務先の重役だった彼に初めての恋をした。だが片想いが実り、愛を交わしたわずか数週間後、ぼろ布のように捨てられた。野心家で非情な彼は、リーガンとの関係を楽しむだけ楽しんだあと、資産家の令嬢と結婚してしまったのだ。以来、秘密を隠し続けてきた。私には4歳になる娘がー彼の娘がいることを。まさかそれをリーアムに知られてしまったの?
天涯孤独のサニーには、他人には話せない秘密がある。6年前、人違いで悪党に襲われた。母と幼い弟の命を奪われ、生き残ったサニーの左胸にも、今なお大きな傷が残っているのだ。人生でたった一度、その醜い痕を見られたことがあるが、相手からあからさまに拒まれたときは、まるで悪夢のようだった。だから、職場のパーティですてきな男性ジョンから声をかけられても、いずれ拒絶されると思うと怖くて、内気にふるまってしまった。案の定、彼は唐突に「失礼」と言い捨て、彼女を置いて去っていった。誰かを好きになっても未来がないのなら、誰とも関わらないもほうがいい。そう自分に言い聞かせる彼女に、ほどなくジョンとの再会の時が訪れ…。
継父に虐げられ、両親の死後は施設で育ったケイトが、実は大物実業家の隠し子だと判明。以来、後見人である異母兄のもとで暮らしているが、訳あって事実を公表できず、世間には兄の恋人と思われていた。そんななか、妖しい魅力の大富豪ダミアンと出会う。18歳というケイトの若さに目をつけた彼は、獲物を略奪するのを楽しむように、誘惑の魔手を伸ばすー(C.モーティマー『秘密の味』)。未婚の母アンドレアは、雇い主の息子で今や銀行頭取となったマックスへの愛を忘れたことはない。かつて幼子を育てることを優先し、彼の好意に応えられずにいるうち、彼の興味は別の女性に移ってしまった…。今、雇い主を命の危機から救うため、彼女は勇気を出して、マックスに電話をかけたー(R.ウインターズ『眠りから覚めた恋』)。愛の夢がつまった5話収録のアンソロジー!
兄の結婚式の夜、ガリラは中庭で自分の孤独を痛感していた。誰かに愛されるってどんな感じ?私もいつかは経験できるの?そのとき暗闇からカリムという男性が現れ、彼女を熱く見つめた。初めて経験する胸のときめきに、ガリラは有頂天になり、気づいたときには、彼に情熱的な口づけを許していた。ところが翌日、カリムは国王という身分を明かし、ガリラを妻にすることを、彼女の兄に強引に承知させた。ばかね、一瞬でも、カリムに愛されたと思ったなんて…。愛はないがベッドで満足させる、とバージンの私に言う人なのに。
振り向いたエミーは、ふくらみかけた自分のおなかに手をあてた。一夜をともにしたマルコが、ニューヨークの大富豪だったなんて!マルコは彼女の職場に突然現れ、自分に子供ができたと知ると、家族が欲しいと言って結婚を申しこんできた。私がイギリスから引っ越さなければならなくても、彼は贅沢な生活をちらつかせれば問題ないと思っている。それでもマルコの父が病気と聞くと、エミーは婚約を受け入れた。この再会は運命で、彼がくれた婚約指輪を愛の証と信じられたら。だがマルコは男児の誕生を願い、彼女を利用する気でいて…。
「二度と君を離さない。モリー、君は僕のものだ」事故で記憶をなくしたモリーは見知らぬ婚約者ピエトロにかいがいしく世話を焼かれ、壊れ物のように大切にされていた。お腹のなかでは彼の子がすくすくと育っている。モリーは漠然と広がる不安にさいなまれながらも、豪華な婚約指輪を身につけ、夜ごと無上の喜びに浸っていた。だが、夢のように幸せな日々はある日突然終わりを告げた。モリーは思い出したのだー彼とはただの愛人関係だったことを。妊娠を告げたときの、あまりにも残酷な彼の仕打ちを。
生まれながらに次期国王の許嫁と決められたジョハラは、父によって適齢期までフランスの片田舎に幽閉されて育った。そしてついに、王位継承者アジムとの対面のときがやってきた。ところが彼は挨拶すらせず、結婚式は1週間後と宣言するばかり。こんなに冷たい人と、生涯をともにするなんて…。恐怖のあまり、ジョハラはフランスへと逃げ帰ってしまう。行くあてもなく、街をさまよったすえにたどり着いたカフェでウェイトレスの職を得たジョハラは、すぐにそこが売春宿だと知る。汚い男の手が伸び、万事休すーそのとき、深みのある声が響いた。「手を離せ。売約済だ」威厳あるアジムの姿が、そこにあった。
ベスとカラムは平凡ながらも幸せな夫婦…のはずだった。けれど彼女にはなかなか赤ん坊ができず、不妊治療も失敗が続いた。そんな妻に愛想を尽かしたように、カラムは離婚を切り出し、仕事と言って遠い異国へ旅立ってしまう。ところがその後、ベスは自分が妊娠していることに気づいた。やっと苦労が報われた。これでカラムとわたしは親になれる…。だが喜びは続かず、ベスが書いた手紙に彼からの返事はなかった。捨てられた失意の中、彼女は待ち望んだ赤ん坊を出産して育て始める。だから1年後、突然カラムが戻ってきても、ベスの気持ちは複雑だった。心は親子で拒絶された悲しみと、今もつのる彼への愛に引き裂かれていた。
「突然ですが、ぼくは婚約しました。相手は秘書のアデレードです」ボスで富豪のデンプシーに公の場で宣言され、アデレードは呆然とした。彼にないがしろにされ、仕事を辞めたいと申し出た矢先なのに?だがそれは、有能な秘書に退職を思いとどまらせるために、彼女のお人好しな性格を利用した、デンプシーの巧妙な手口だった。さらに、ひと月だけでも婚約者を装って、彼の下で働くよう命じられる。貧民街に暮らしていた少女時代からずっと、デンプシーが好きだった。これが愛ある本物の婚約だったなら、どれだけ幸せなことだろう…。そんなアデレードの純情も知らず、我が道を行くデンプシーは、これから彼の屋敷で寝泊まりしろと告げ、彼女の身も心も翻弄するー