出版社 : リブロポ-ト
カフェ、雑貨、花、絵画、オブジェ…優しさと親しみをこめて生活やアートに接しようとする人たちの集うサンライト・ギャラリー。新しいフォークロアを求め、都会を離れ、海と山に囲まれた湘南に暮らしはじめた人たちの喜びと失意の日々を描く、待望の短編小説集。
暗黒のハイテク未来都市バンコク。ロボット種族リリム殱滅の命運を背負ったエロヒム、ダゴン(イグナッツ・ズワクフ)は愛車ブガッティを駆ってセックス・ドールのホロコーストに明け暮れていた。しかし、リリムと人間との交配によって誕生した人間亜種メタは、地球支配の覇権を握りやがて全宇宙を再構築する野望に沸き立っていた。メタは仮想現実による歴史の改編、さらにはダゴンの過去にまで介入した。一方、頽廃の都火星のパリでは、デッドガール、プリマヴェラとイグナッツ・ズワクフの娘にして官能的サイボーグ美少女ヴァニティ・セント・ヴィリディアナが情報複製ミーム・メタによってプログラムされた淫蕩なサイコイド心身症に蝕まれていた。彼女は亡き母プリマヴェラの超子宮(CPU)を通して父ダゴンにアクセスした。そして倒錯的で残酷な処刑遊戯の果てのエロティックな死を待ち望んでいることを父に告げたのだった。超次元的カウボーイ・ダゴンはヴァニティの待つ火星へ向け仮想現実にダイヴした。
彼女の死体は香しく可憐な小舟のように流れに浮いていた。それがパールだった。天使にして妖しい精の少女が、地獄ゆえに楽園である最終戦争後の物語を照らし出していく…リアルでファンタジックな書き下ろし近未来小説。
本書は、欧米で絶賛を浴びた傑作長篇小説。愛児殺害等の罪で英国市民を震憾させた主人公サイラス・サイラスは超自然的な脱獄をし、後には「自伝」が残されていた。上巻では、インドの賤民としてレイプされた母親から生を受けた幼年期から、バングラデッシュの内戦、フリーセックスを奨励するアメリカのカルト宗教での修行。英国でのフェミニズムの左翼活動と官憲による弾圧までが語られる。愛と悽惨な離別、さすらいと、神秘体験と、性の記録。唯一者への信仰と、東洋的なアニミズムのせめぎ合う坩堝のような哲学、痛烈な社会批判、卓越したブラック・ユーモアとストーリー・テリングが重層的に読む者を眩惑する。
三人の愛児殺害等の罪で英国市民を震撼させた「今世紀最大の悪漢」サイラス・サイラスが、忽然と独房から消えた後に残した自伝がさらに語る、啓示と絶望と求道と救済の記録。ストーンヘンジでの神秘体験、悪魔崇拝のフリーメーソン活動、つかの間の幸福と喪失、はては冥界巡りと再生まで。インドの賤民として生を受け、救世主として神に選ばれたはずの彼に示される耐えざる貧困、人間同士が騙し合い、虐殺し合う現実、動物虐待…。そうしたこの世の不条理への憤激を創造主に向けて糾弾する。しかし真理を究めた彼を待ち受けていたのはキリストの受難のごとく…。
千年の昔のこと、ラケツという町でとんでもない不運の元に三人の主人公が生まれた。王子として生まれたのに貧乏と悲惨という運命をしょいこんだ「文無し男」、絶え間なく絶叫し戦い続ける「絶叫女」、どこまでも邪悪でものぐさな「罵り男」。この三人、次々と混乱を引き起こし町から追い出されるはめになる。異国の町々をさまよい続け、巻き起こす大騒動数知れず…。随所に挿入されるヨルバ族の諺もとぼけた笑いを誘う。いわば神話的な時空の中に繰り広げられる、アフリカ流運命の不条理の物語。『やし酒飲み』で知られるナイジェリアの奇才チュツオーラ会心の作。
第一次大戦終結直後のパリ祭から「大恐慌」の幕開けのニューヨーク株式市場大暴落の翌日まで、有閑階級の一青年がパリの芸術家たちのあいだを駆け抜ける。惑溺と批評に満ちた稀有な青春譚。
空腹という名の妖怪がいる、結婚を迫る妖怪がいる。ヨルバの民話から飛び出した魔訶不思議な妖怪たち。森の妖怪と狩人の、奇怪、奇想、奇天烈な変身合戦。アフリカ・ナイジェリアの奇才チュツオーラの幻の処女作。
眩く光り輝いて見えた過ぎ去りし日の夏の記憶。海は永遠にうねり、夏は決して終ることはなかった…。海と海辺に生活する人々と動物たちに限りない親近感を寄せて流れるように綴った掌篇小説群と散文詩。
現代(いま)からおよそ2000年前、孤独なユダヤ娘から産み落された不具の父なし子で超常者の青年が、自らの意志で十字架にかかり処刑された。-その青年の名はイエス・キリスト。キリストの劇的な生涯を個性的に描き切る本格長篇小説。
“最新流行は生きた培養組織でつくられたフェティッシュなスキン2ファッション。モードに包まれた彼女はアルーア〈蠱惑〉の奴隷。やがて彼女の完壁な肉体は皮膚プラスチックのボディスーツに吸収され、魂だけがクチュールの中で生き続ける”。自動人形三部作を含む官能のナノテクSF。
大天文学者オマル・ハイヤームが11世紀に遺し『ルバイヤート』自筆本-暗殺者教団の都サマルカンド炎上と共に失われた筈の世界唯一冊の希覯書が6世紀後忽然と現れ、ペルシア現代史の激動の中で、大西洋の底に永遠に沈むまでの年月に見た歴史ドラマとは?
さらに淫らに欲望する自由を授けられたロベルトは、クロソウスキーの原作をはるかに凌ぐ背徳の世界を生きる。至高のモダン・ポルノグラフィー。ひたすらエロスの側面から人間を凝視する孤高のモダン・ポルノグラフィーの巨匠、山口椿。有数のチェリスト、画家、かつて秘かに三島由紀夫に激賞された枕絵師、緊縛師、刺青師…。あらゆる異端美学を極め、我が国モダン・ポルノグラフィーにおける孤高のアーティザンとして知られる著者の第一作品集。「罌粟のように」「薔薇と夜鴬」併録。