出版社 : 小学館
猫町くんは、人に化けられる特技と猫由来の成長速度で、二歳半にして高校に通うことになる。そこで、東京から来た黒猫と白い猫になってしまった先輩と出逢い、人間相手の恋に落ちた。尾道を疾走する青春群像劇。小学館文庫小説賞・優秀賞受賞、地元愛あふれる感動のデビュー作!
「お母さん。奇跡は起きないんだよ。だからもう一度、今の家族を見て」四年前、人見由愛が中1の時に兄・典洋は高校でのいじめに耐えられず自ら命を絶った。母の伊代は今も立ち直れず、裁判により兄の無念をはらそうと必死だ。父親はアルコール依存症に陥り、会社生活も惨憺たる状態。家族は崩壊寸前。一方、母の依頼で裁判の取材を進める新聞記者・大同要は、自身のトラウマからこの家族に深入りするようになる。沈みそうな家族を必死でつなぎ止めたい由愛。彼女のもがいた末の選択は?そして、家族は…。迫力の法廷シーン、血の滲むような心の叫び。いじめによる自死遺族の苦悩と葛藤を描く衝撃作。
十津川警部の捜査ミスを煽る、容疑者のどす黒い策謀とはー。絶景スポットで、“海の宝石”を撮影した父は、なぜ殺されたのか。
かつて理想に燃え、幻の帝国「満州国」建設に青春を賭けた主人公の青木隆造ー。敗戦後は福祉事業団兼愛園の園長となり混血児収容、保護教育を自己の責務として全うするのだったが、その内面には果てしない曠野が拡がっていた。その業績が表彰された時、彼は突如崩壊し、凶行に走る。
主題歌と共に色あせない青春小説の金字塔 戦後まもない1947年に新聞小説として連載され人気沸騰。その後、いちやく大ベストセラーとなった青春小説の代名詞ともいえる作品。 元々、高校教師であった筆者・石坂洋次郎が、東北地方の私立女子高校を舞台に、戦前の暗くじめじめした封建性を打破し、民主的な社会の実現を目指す人々の姿を爽やかに描きあげ、新風を巻き起こした。 幾度も映画化され、作品発表から70年余を経た現在でもまったく色あせない瑞々しい傑作である。
アイスランド最北の小さな町シグルフィヨルズル。日が昇らぬ極夜の季節が近づいたある朝、アリ=ソウルに一本の電話が入る。署長ヘルヨウルフルの妻からで、夫の行方が分からないという。アリ=ソウルは、町はずれの空き家で瀕死の重傷を負って倒れている署長を発見する。そして署長の息子から、事件現場で父親が何をしていたかを知っていると聞く。空き家ではドラッグが売買され、それに政治家が絡んでいる可能性もあるという。空き家は五十年ほど前、住んでいた双子の一人が死んだ場所でもあった。十四か国で翻訳された北欧ミステリの人気シリーズ第二弾!
あの恐竜映画最新作をノベライズ! 夢の恐竜パーク「ジュラシック・ワールド」の崩壊から3年ーー。 イズラ・ヌブラル島では、恐竜たちが自由に生活をしていた。 ところがある日、島の火山が噴火するという予兆が・・・・・・。 このままでは恐竜たちが絶滅してしまう。 クレアとオーウェンは、恐竜たちを絶滅の危機から救うために再び島に上陸することになる。 しかし、ふたりを担ぎ出した財団には別の目的があったようで・・・・・・。 果たして恐竜たちは生き残れるのか。 クレアとオーウェンの運命は・・・・・・!? シリーズ最多恐竜が登場する、映画最新作を独占ノベライズ! 【編集担当からのおすすめ情報】 従来のファンはもちろん、今作でジュラシック・ファンになった人たちも楽しめる1冊。映画館で味わったスリルや興奮を、小説で追体験してください。 今作は、小説での読み応えも十分なストーリー展開。映画で追い切れなかった細かな部分も、小説で再チェックしてください。 今夏は、ジュラシックで決まりです!
おたふく顔、東北出身の三十二歳。原之内菊子には特殊な力がある。その顔を見た者は、隠していた本音を洗いざらい話したくなるのだ。崖っぷち編プロ「三巴企画」の戸部社長は、菊子の才能に惚れ込み、インタビュアーとして採用する。頷いているだけで次々に特ダネを取ってくる菊子だが、ヤクザの組長の取材をして、とんでもない事件に巻き込まれてしまう。“話され症”に悩んできた菊子は、自分の能力に大きな秘密があることを知りー!?他人と簡単に繋がれる今、実は難しい“話す・聞く”ことに光を当て、人と人の関係を描いた心温まる傑作。
お疲れ女子を癒す、中華菓子と極上美青年! ドラッグストアで働く藤子は、優秀な営業成績を認められて、長崎の店舗へと配属されることに。中華街の近くにある新しい職場で心機一転、がんばろうと張りきるが、売上げのプレッシャーにさらされ、お客様のクレームにあたふたし、スタッフの複雑な人間関係に翻弄され……心労がたまった藤子は、もはやダウン寸前! ある日の仕事帰り、ついに道ばたでうずくまってしまう。そんな藤子を助けてくれたのは、華やかな中国服を着た、人懐こい“わんこ系美青年”だった。 長崎新地中華街にある「薬屋カフェ」で働いているという青年ワンは、美容と健康にいい中華菓子と中国茶に、いまの藤子に必要な成分がぎゅっとつまっているという。黒蜜牛乳プリンに馬拉カオ、南瓜の花巻に飴餡の焼き餅、雪花氷。豊富な薬膳知識ととびきりの笑顔でワンが勧めてくれるのは、美味しくて体に優しい甘味たち。その甘さと彼の笑顔で、藤子はゆっくりと自分を癒していくーー。 お疲れならば、長崎中華街へ! 働く女子の心と体にうれしい、癒しと恋の物語。
警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、メモ魔の窓際刑事。同期の木幡祐治に依頼され、身元不明相談室に所蔵されている死者のリストに目を通すうち、自殺とされたナンバー903の男が他殺だったことを看破する。二年前に死体が発見された都内竹の塚団地を訪れた田川と木幡は、室内の浴槽と受け皿のわずかな隙間から『新城も』『780816』と書かれたメモを発見。903の男は、沖縄県宮古島出身の派遣労働者・仲野定文と判明した。仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた…。大ヒット作『震える牛』続編!
二年前、都内団地の一室で自殺に偽装して殺害された沖縄県宮古島出身の非正規労働者・仲野定文。警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、仲野が勤務していた三重県亀山市、岐阜県美濃加茂市を訪れる。そこで田川が目にしたのは、国際競争に取り残され、島国で独自の進化を遂げる国内主要産業の実態だった。仲野は、過酷な労働環境の中でも常に明るく、ふさぎがちな仲間を励ましていたという。田川は仲野殺害の背景に、非正規の人材を部品扱いする大企業と人材派遣会社の欺瞞があることに気づく。現代日本の不都合な真実を暴き出す危険きわまりないミステリー!
ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年ー。大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。量産を約束したはずの取引はあえなく打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。そんな時、社長・佃航平のもとに、かつての部下からある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。ロケットから人体へー。佃製作所の新たな挑戦が始まった!
多魔坂神社のお祭りの夜、集うのは妖しの屋台と奇妙な人々…。欲しいと念じたものが出てくるヒモくじ屋。現れたゴロツキどもが引いたヒモの先には(「ヒモくじ屋」)、夜店ですくった人魚がみるみるうちに成長して(「人魚すくい」)、モデルにスカウトされたエリカが突然行方不明に(「ラムネーゼ」)、降り注ぐ優しい雨を、自分のものにする方法(「雨ドーム」)他、珠玉のショートショート全20編。いちどページを開いたら止まらない!わずか5分間の物語が、あなたを魅惑と幻想の世界へと誘います。巻末には、しりあがり寿さん描き下ろし「あとがきの夜」も特別収録。
真夏の故郷を舞台にした熱いエロスの祭典 大学一年の夏休み、帰省した真吾は恋人・妙子と四か月ぶりにからだを交える。東京で他の女性と遊んでいる身としては多少のうしろめたさも覚えるが、「もっとも好ましいのはこのからだ」だと思い、またそう思うことによって浮気の罪は許されると、虫のいいことを考えるのであった。だが、行為の最中に妙子の口から発せられたのは「美津先生と、どっちがいい?」。高校三年時の真吾と、教師であった美津との関係を問う言葉だった。ごまかすことはできないと判断した真吾は美津との一時の関係を正直に話す。だが、意外にも妙子は真吾の背信を責めることはなく、今は結婚している美津の家へ一緒に行こうと提案するのだった。また、真吾は高校の同級生であった今井鈴子の訪問を受ける。在学中はあまり話をしたことがなかったが、封建的な家で窮屈に暮らす鈴子の内に性への憧れを感じ取った真吾は、夏のあいだ時々会うようになる。美津との再会、懐かしい顔が揃ったクラス会。故郷を舞台に繰り広げられる、エロス溢れる真夏の祭典。
性に奔放貪欲な女子大生との”危険な情事” 夏休みを終え東京に戻った真吾は、大学の構内で年上の明美と知り合う。文学部の三年で作家志望の明美は男性未経験であり、彼女の「女になる」という希望を叶えるため、ふたりは出会ったその日に旅館に向かう。小説に活かすためなのか、男と対等以上でありたいためなのか、教材である真吾や自身の変化までも理性的に観察し、随所で質問をする明美。自意識が強く、理屈っぽい明美に多少の疎ましさを感じるも、時折いじらしくなったり、可愛いことを言ったりするその振幅の大きさに、次第に魅力を感じるようになっていく。結局、一夜限りの関係のはずがその後も逢瀬はつづき、知識欲が旺盛な明美は、ついには旅館で働く中年のキクと真吾の交歓を見学したいと言い出す。一方、新しい下宿先では、大家の孫娘・小学五年の雪子が真吾に懐くようになり、向かいの部屋には新婚夫婦が越してくる。真吾は雪子に請われるままに“小さな戯れ”の共犯者になる。
80年代後半、広島市民球場が、デビューしたばかりのユニコーンが、確かに息づいていたあの日。ひとりの転校生が、美少女に心を射抜かれた瞬間、それは始まった。賑やかで、残酷で、なす術もなく熱病に浮かされたようになりながら、それでも全力で立ち向かうしかなかったあの日々が。痛くて熱い、「あの時代」青春小説。
絵師の河鍋曉斎の家に絵の催促にやって来てはイヤミ連発!しかも昔話が始まると止まらない!(…けど、面白い!)生誕二〇〇年。北海道命名一五〇年。心に響く伝記小説。