出版社 : 小鳥遊書房
思想としての本格指向と、資質としての変格嗜好に引き裂かれる部分を持ちながらも、双方を排斥しあうことなく交錯し蝕知させる作品群。オリジナル・アンソロジーで再発見。
“運命”の問題は、『白鯨』という作品の急所を衝く。エイバブを悲劇的な英雄と見なすのでも、イシュメイルをエイバブの批判者と見なすのでもなく、メルヴィル自身も自覚していなかった運命観を読みとる。それは、エイハブがモービィ・ディックを追跡したように、生に対する最も深い肯定がなされている『白鯨』というテキストそのものを探求(=精読)する行為である。
『古事記』にも記される天上の国=高天原は、どこに存在するのか?神武東征とアレクサンドロスのインドへの遠征路の相似など、日本敗戦後、占領下の日本を舞台に繰り広げる『古事記』を新解釈する日本超古代史ロマン!日本SF界の第一世代の代表的作家・荒巻義雄、満87歳の書き下ろし長編!
背後にアメリカの歴史そのものが横たわっている『トム・ソーヤーの冒険』を精読する!各章の「あらすじ」を整理しながら鍵となるテーマを順に読解しつつ、独立宣言から100年後に出版されたこの作品の影響やアダプテーションにも迫る。表面上の少年たちの海賊ごっこや宝探しの冒険を精読すれば、過去や現在のアメリカ社会を考える上での手がかりを与えてくれる…、さあ、アメリカ文学の正典への冒険へ!
初期の耽美主義、怪奇、犯罪探偵趣味、私生活的幻想ー美意識や情念や生活に基づかない思想は、真に思想たり得るのか。自己の欲望に忠実で、かつ總明で勤勉な人間だけが到達できる洞察力を通し、見出された真実が描かれる。文学の魔窟へご招待。
『クマのプーさん』と『プー横丁の家』を精読する!「正典」とされる二作品の各章の「あらすじ」を整理しながら各章ごとに鍵になるテーマを順に読解していく。また、「プー物語」の他の作品への影響関係などにも迫る!原作に書かれたテキストそのものに寄り添うことでしか見えてこない文学の悦楽!
オリジナル・アンソロジーで再発見。悲愴と滑稽、恍惚と不安が同居し、正義と不実、真面目と怠惰の価値が反転するー。虚構と詭弁に溢れながらも、悲しい真実と痛切な純真が描かれる太宰治の傑作選!
日本敗戦後、占領下の昭和24年の北海道、小樽湊…。アメリカの犯罪雑誌の翻訳で糊口を凌ぐ私立探偵・山門武史は、謎の女性・申女卯女子と出会い、いつしか、わが国建国以前の謎に巻き込まれていく…。日本神代史に秘められたシュメル・タミル人、渡来の謎!蝦夷地と古代シュメルをつなぐ謎の線刻女神像を巡る、壮大な超古代史伝奇ロマン!日本SF界の第一世代の代表的作家・荒巻義雄、満86歳の書き下ろし長編!伝奇ロマン復活第一弾!
名もなき者たちの取るに足りない営為が、ナラティヴを成す。叛逆的暴力と愛国的雄姿との転倒的ゆらぎ。正典作家・作品研究ではない、埋もれているテクストや、読み捨てられる類の大衆作家による多様な物語群から、アメリカ国家生成・独立建国以来、潜在しつづける矛盾と、体制に叛逆する精神を探るアメリカ文学・文化研究。