出版社 : 岩波書店
魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。こうしたやりきれない暗さの自覚から中国の新しい歩みは始まった。
舞 姫 うたかたの記 文 づ か ひ そめちがへ ふ た 夜 FRIEDRICH WILHELM HACKLAENDER 解 説 (稲 垣 達 郎)
子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたにちがいない。だが、おとなの目で原作を読むとき、そこにはおのずと別の世界が現出する。他をえぐり自らをえぐるスウィフト(1667-1745)の筆鋒はほとんど諷刺の枠をつき破り、ついには人間そのものに対する戦慄すべき呪詛へと行きつかずには止まない。
革命の展開は急速である。王家はチュイルリー宮へ押し込められ、スパイがマリーの身辺にまでうろつく。こうなってみて初めてさとるのだった。自分が王妃として、マリア・テレサの娘として「後世という持続的な不屈なまなざし」の前に立たされたのだと。また圧倒的な力に押しつぶされぬためには、どうしても偉大でなければならぬのだと。
どこと言って非凡なところなどない人間に、歴史は大きな役割をふりあてることがある。虚名のみ高く、毀誉褒貶半ばするマリー・アントワネット。ツワイク(1881-1942)はその生涯を、あるいは王家の寝所の秘事に、あるいは国民議会の緊迫した局面にと巧みな筆運びで追い、ひとりの平凡人に凝集する壮大な歴史のドラマを展開する。
運 道 祖 問 答 袈裟と盛遠 地 獄 変 邪 宗 門 竜 往 生 絵 巻 好 色 藪 の 中 六の宮の姫君 二 人 小 町 解 説(中村真一郎)
アーサー王、トリスタンとイゾルデ、パーシヴァル等々、伝説やオペラの主人公として活躍する王や騎士、貴婦人たち。彼らは騎士道の典型ー力、勇気、謙譲、忠誠、憐憫、貞淑など諸徳を具備した人間として登場する。『ギリシア・ローマ神話』で神々の世界をいきいきと伝えたブルフィンチ(1796-1867)は、本書で中世の人々をも鮮やかに現出させている。
近代都市文化の精華たる演劇。なのにジュネーヴでは演劇は禁じられている。『百科全書』の「ジュネーヴ」の項で、ダランベールはその不満を書き綴る。しかしルソーは、貧富の差に規定され、閉ざされた密室の芸術より、自由に民衆が参加できる野外での祭を、と応じ、ここにその芸術観・社会観を展開する。
まえがき 解き得ぬ謎(1-15) 生きのなやみ(16-25) 太初のさだめ(26-34) 万物流転(35-56) 無常の車(57-73) ままよ、どうあろうと(74-100) むなしさよ(101-107) 一瞬をいかせ(108-143) 解 説 註
あそらくは一生魯迅(1881-1936)の意中を駆けまわったにちがいない痛罵や皮肉や悲しみを、中国の神話・伝説・史書からの題材に仮託して書かれたもの。『天を補修する話』『わらびを採る話』『剣を鍛える話』他5篇より成る。喜劇的諷刺的内容の濃いこれらの昔物語は、またわれわれにも、時に深刻な、時にユーモラスな感情を起こさせずにはおかない。
四三 おくさま狐の御婚礼〈KHM 38〉 四四 まほうをつかう一寸法師〈KHM 39〉 四五 強盗のおむこさん〈KHM 40〉 四六 コルベスさま〈KHM 41〉 四七 名づけ親さん〈KHM 42〉 四七イ へんてこなおよばれ 四八 トゥルーデおばさん〈KHM 43〉 四九 死神の名づけ親(第一話)〈KHM 44〉 四九イ 死神の名づけ親(第二話) 五〇 おやゆび太郎、修業の旅あるき〈KHM 45〉 五一 まっしろ白鳥〈KHM 46〉 五一イ 青ひげ 五一ロ 人ごろし城 五二 柏槇の話〈KHM 47〉 五三 ズルタンじいさん〈KHM 48〉 五四 六羽の白鳥〈KHM 49〉 五五 野ばら姫〈KHM 50〉 五六 めっけ鳥〈KHM 51〉 五七 つぐみのひげの王さま〈KHM 52〉 五八 雪白姫〈KHM 53〉 五九 背囊と帽子と角ぶえ〈KHM 54〉 五九イ ながい鼻 六〇 ハンスばか 六一 がたがたの竹馬こぞう〈KHM 55〉 六二 恋人ローランド〈KHM 56〉 六三 黄金の鳥〈KHM 57〉 六三イ 白はと 六四 犬と雀〈KHM 58〉 六四イ たのもしい名づけ親のすずめの話 六五 フリーデルとカーテルリースヒェン〈KHM 59〉 六六 二人兄弟〈KHM 60〉 六七 水のみ百姓〈KHM 61〉 六八 蜂の女王〈KHM 62〉 六九 三枚の鳥のはね〈KHM 63〉 七〇 黄金のがちょう〈KHM 64〉 七一 千びき皮〈KHM 65〉 七二 小兎のおよめさん〈KHM 66〉 七三 十二人のかりゅうど〈KHM 67〉 七四 どろぼうの名人とその大先生〈KHM 68〉 七五 ヨリンデとヨリンゲル〈KHM 69〉 七六 三人のしあわせもの〈KHM 70〉 七七 人くい鬼 七八 六人男、世界を股にかける〈KHM 71〉 七九 狼と人間〈KHM 72〉 八〇 梨のこぞうはどうしても落ちない 八一 狼と狐〈KHM 73〉 八二 狐と名付をたのんだ奥さま〈KHM 74〉 八三 狐と猫〈KHM 75〉 八四 なでしこ(第一話)〈KHM 76〉 八四イ なでしこ(第二話) 八五 ちえ者のグレーテル〈KHM 77〉 八六 さしもの師とろくろ細工師の話 八六イ 木の馬 八七 としよりのお祖父さんと孫〈KHM 78〉 八八 水の魔女〈KHM 79〉 八九 めんどりの死んだ話〈KHM 80〉 九〇 のんきぼうず〈KHM 81〉