出版社 : 徳間書店
聖徳太子の『未来記』に記された現界と夢界の秘密を巡って、神異僧・明恵は、鎌倉幕府や高千穂御先衆と壮絶な戦いを繰り広げてきた。一方、壇ノ浦にその幼い命を散らしたはずの安徳帝が存命していることを知った、平家の侍大将・悪七兵衛景清は、散逸した三種の神器のひとつ、天叢雲の剣を奪取すべく、女木島などの名だたる海賊衆の支援をうけて、謎の商人・大黒大夫のもとへとのりこんだ。最古の呪術者の王統を継ぐ安徳帝の目的とは!?いよいよ佳境を迎える超歴史伝奇大河ロマン第四弾登場。
崩壊した清国の皇族粛親王の第十四王女ケンシは七歳の時、父と親交の深かった大陸浪人川島浪速の養女となり、芳子と名付けられた。中国から日本へと渡った芳子は男のように育てられたが、十七歳の時、養父浪速に犯され激しい衝撃を受ける。その後結婚にも失敗した芳子は上海でダンサーとなり、日本軍に情報を提供するようになる。“東洋のマタハリ”と呼ばれた女スパイ・川島芳子の波乱に満ちた生涯。
米政府の特命工作員が緊急事態を打電してきた。それはコロンビアの小農村全滅にまつわる信じがたい報告だった。「まさか、そんなはずはない!」という言葉を残し、工作員は息絶えた。この謎のメッセージを追い、一人の大学教授が南米に旅立つ。CIA工作員として、将来を嘱望されていたこの人物の前に立ちはだかったのは、人類を飢餓状態に追い込むことにより「地球支配」をたくらむ、超巨大組織の存在であった。
岡っ引の勘兵、人呼んで悪勘兵。飛田の廓でちょいと女郎に悪さして、長屋に帰れば同心・鮫島様のお呼びである。今日は新しいお奉行が江戸からお出でだ。畏って平伏したが、これで奉行が務まるんかいな。色白で頬はポッチャリ、膝を崩して横座り。こりゃ絶対に、隣のお小姓とでけてるで。おまけに名前が菅丹波守、ついた仇名がすかたん奉行。すかたん様、こんな平和な浪花の町で、あっと驚く大事件を探し出して解決させろなんて無茶を言う。勘兵、飲み友達の読本作家・西鶴爺さんに知恵を絞ってもらいに行くが…。
第二次大戦に第三帝国(独)が勝利した世界で、太陽の帝国(日)と対決する仮想テーマで1985年に発売された傑作ゲーム「レッドサンブラッククロス」を総集して誌上に復活する。
新劇女優の村上冴子は、アルバイト先の銀座のクラブで奇妙な探偵コンビに遭遇した。“眠り猫”と呼ばれる元刑事の仁賀丈太と相棒で元ヤクザの長田勲だ。仁賀は仏さまのように柔らかい表情を浮かべているが、やけにごつい体格をしている。一方、長田はまさにその筋の雰囲気だが、意外に繊細である。今までつきあってきた生半可な男たちとは明らかにちがう。この得体のしれない二人組に惹かれた冴子は、いつのまにか暴力団同士の抗争に巻き込まれ…。哀しくも凄絶な愛のかたちを活写する傑作・長篇探偵ブルース。
“人界は牢獄なり、ひとはこれ獄囚なり”聖徳太子の『未来記』の謎を追う神異僧・明恵は、淫道外法を操る尼将軍・北条政子と激しい戦いを繰り広げた。はからずも、高天原の秘密に迫る明恵は、闇の祭主・本霊日別が率いる高千穂御先衆につけねらわれることとなった。津軽の石塔山で、またしても太子の墓所を発見した明恵は、夢界の謎を探るため夢渡りを行ったが、それが原因で廃人同様になってしまっていた…。一方、平家の侍大将・悪七兵衛景清は、壇ノ浦に沈んだはずの三種の神器を追う。
まれに見る美貌で頭脳明晰、おまけに現将軍ご息女というまん姫。生来のやんちゃは、さる公卿に入輿したのちも収まらず、お目付の三太夫も音を上げる始末。ある難事件を見事解決したのをきっかけに、姫のもとにどっと持ち込まれる巷の怪事凶事。今日も今日とて、周囲の諌めにも耳かさず、自ら危地に飛び込んで、正義の剣振るう姫。痛快艶麗のお姫さま、いざ見参。
新社屋の美術館創設のため、孤高の日本画家名瀬光二の絵の入手を試みて失敗した山名啓司は、立ち寄った馴染みの店で、かつて同棲していた女・純子の描いた絵に似た絵を見て衝撃を受けた。画廊へ出かけた山名は、純子が亡くなったことをオーナーの藤崎美奈子から知らされる。やがて二人は深い仲になるが、ある日、内密に入手し、美術館を飾っている名瀬の絵が贋作だという手紙が山名の許に届く。長篇推理。
プロカメラマンを目指す友成勝人は戒厳令下の北京に単身のりこんだ。自由と民主化を求め天安門広場に集う学生たち。彼らの姿をカメラで追う友成に黄という青年が弟子入りを志願し、自分の祖父が日本人だと打ち明ける。八路軍に加わり抗日戦争を戦った祖父が苦渋に満ちた過去を語った翌日、天安門広場には戒厳軍戦車の前に立ちはだかる老人の姿があった…。(表題作)。中国への熱い思いを描く六篇。
中杉節子は同僚の上条美也子のマンションを訪ねた。美也子の恋人・野島類を呼んで本心を訊き出すためのパーティが開かれるのだ。しかし美也子の部屋で節子が見たものは、全裸で倒れている節子のフィアンセ・村上と美也子の姿だった。節子は村上の親友・橋本と事件の真相を探ろうとするが、橋本も絞殺されてしまう。手掛かりを掴もうと野島に近づく節子だが、いつしか野島の性に溺れ…。長篇官能ミステリー。
官能雑誌の編集者である森田にとって、アパート近くのカラオケスナックで知り合った吉井精造・涼子夫妻の間に、気になることが起こった。十歳以上も年下の妻が淡白なせいなのか、精力が強過ぎるという精造が、店に出入りするようになった若いOLの由美を口説き始めたのである。そんなある日、涼子から森田のもとへ由美との奇妙な関係を綴った原稿が送られてきたー。(表題作)他、十二篇を収録。
1951年10月、福田定一は戦車中隊を卒いて北海道南部にあった。太平洋戦争後、日本帝国は崩壊し南北に分断されたのである。日本民主主義人民共和国人民空軍大尉・藤堂守は、MIG15を操って列機を従え高度7000を飛行中だった。日本占領軍総司令官・J・パットン大将は、函館周辺に追い詰められている国連軍の窮状を打開するために上陸作戦を開始した。アイアン・フィスト作戦である。合衆国に接収され旧呉工廠で改装された〈やまと〉が出撃した。総反攻を前にソヴィエトは義勇艦隊を結集させた。超弩級篇。
どうしたんだ。能登呂はどうしたんだ。あ号作戦はどうなったんだ。榧や響はどうして救援に来ないのだ。超高速駆逐艦波風の砲術長兼副長の水島吾郎は焦っていた。米第七艦隊の激しい集中攻撃にさらされ、戦況はほとんど絶望的といってもいい。あ号作戦の目的は、敵の主力艦隊をおびき寄せ、影の艦隊の主力をもってして、一気にこれを殲滅することにあったが、これはあまりに危険な作戦だったのか?このままでは轟沈させられる…。波風、危機一髪。世界最強の米第七艦隊を相手に打つ手はあるのか?
「戦艦大和、わが最大の敵ぞ。大和がわが第三帝国の前にたちはだかったとき、第三帝国は滅亡の危機を迎えよう」ヒトラーはかっと眼をみひらき、ゲーリング元帥を睨んだ。英霊・山本五十六が指揮する大和は、日本軍としてではなく“超大本営”としてヨーロッパ戦線に参戦すべく北大西洋上を一路、ドーバー海峡にむかった。これに対し、ドイツは飛行大隊をさしむけ、大和とユンカースは壮絶な死闘を繰り広げた。その先には超戦艦「ウォータン」が待ち受けている。決戦近し。世界の命運は「大和」にかかっていた。