出版社 : 新潮社
アメリカ上陸と同時にハリーを待ち受けていたのは、突然の逮捕劇と不条理な刑務所暮らしだった!一方イギリスでは、皆がハリーの死の報せに打ちひしがれるなか、エマだけが愛する彼の生存を信じ続ける。真相を探るため、単身米国に乗り込むエマ。重大な真実を秘めたある本に出会い…。二つの家族の運命が大西洋を越えて揺さぶられる、大波乱の「クリフトン」シリーズ第2部。
時代は第二次世界大戦に突入。金策に苦しむヒューゴーは過ちを重ね、ハリーの母メイジーとの取引を目論む。そのころ、エマが必死に行方を追うハリーは、予想だにせぬ場所で生死を賭けた試練を迎えていたー。「生きて再会したい」エマの願いは届くのか?やがて彼らは、英国中を巻き込む大論争の的となっていく。名誉や金への野心渦巻き、変化する人間模様。
北海道の小さな村を郵便配達車でめぐる女。川のほとりの木造家屋に「フランシス」とともに暮らす男。五官のすべてがひらかれる深く鮮やかな恋愛小説。北海道の山村で出会った男女の恋愛の深まりを描きだす待望の第二作!
あなたはこれから報いを受けるのよー妻の予言通り、首都テレビのエース記者の岡村俊平は、名声も家族も失った。20年に亘る負の連鎖を断ち切るため、最後の大勝負に挑む岡村。因縁の相手の名は、時の総理大臣藤堂一郎。魑魅魍魎が跋扈する報道現場の内幕をあぶり出す、渾身の長編小説。
ようこそ。ここは地球の歴史がいちど終わったあとの新しい世界ー弱肉強食の大西部。人を食糧とする者。それを許さない者。暴れる牛。蟲の蔓延。アウトローと保安官。人と牛の子。異形の王。虐殺。征伐。慈悲。突き抜けた絶望の先に咲く、希望の花ー「世界」で闘える愛と暴力の暗黒大活劇。
捜査一課のエースが、取調室で出会った男は、かつて自分がいじめた同級生だった…同僚との確執、世間の嘲笑。そして家族からの軽蔑。連鎖する猟奇事件。解決の糸口は、現場に残された「聖書」の言葉。事件を追えば追うほどに、刑事自身も追い詰められていくー冒頭からエンジン全開。圧倒的なリーダビリティ。ノンストップ・サイコミステリー!
変化を求めず、目の前のことをやり過ごしてきた田野と痛い目に遭いつづけながらあっけらかんとしたモモ。不忍池で出会ったふたりは上野から霞ヶ浦をめざす。どんづまりを描きもはや笑うしかないのか「すっぽん心中」。スイッチの入った男の狂騒「植木鉢」、屋上の狂人のバトルと本心「鳩居野郎」を併録。おかしさと哀愁は他の追随を許さぬ現代小説。
年下の、男の匂いのしないユヒラさんに誘われて、春まだ浅い夜、月光をかがり火がわりに夜釣りに出かけた。一度吸えば、もう死んでもいいと思うくらい美味しいというトモスイを探しにー。第三の性に寛容なタイ訪問を機に創作された川端康成文学賞受賞の表題作。バリの噎せ返る緑のなか、姉と弟の禁断の愛を描く「芳香日記」ほか、アジアのエロスと情熱を湛えた傑作短編十編。
いよいよ諸葛亮と司馬懿、二人の天才による対決が始まった。勇将・姜維を得るも、趙雲や関羽の遺児らを亡くし、期待されていた馬謖は街亭で痛恨の敗北を喫するなど、蜀漢は人材不足に悩んでいた。だが諸葛亮は、三年の内政で国を建て直し、孫神算鬼謀の限りを尽くして、秋風の五丈原における最期の決戦に挑むーー。宿命と永訣の最終巻。
生涯に唯ひとりの最高の敵と出会ったーー。出世欲に揺れ、女に惑いながらも己の剣の道を必死に磨き続けてきた武蔵の半生。憎まれ、救われ、教わり、愛した数多の記憶を胸に、お通と思いを確かめ合ったのは因縁の相手・佐々木小次郎との決戦間際だった。向かう先に待ち受けるは勝利か、死の府かーー。人々の祈りを乗せていざ、船島へ! 思索と感動に満ちた圧巻の結末がここに。最高にシビれる歴史ロマン落涙必至の最終巻。
ついてないな。そもそも高校に入ったときからついてない。バスに乗り遅れたナツミは停留所で小学校時代の友人と再会する。ぎこちない会話はやがて不幸の手紙へー(「銃を撃つ」)。少しずつ少しずつ積み上げてきた生が、ふと直面する戸惑い、やりきれなさ、苦い思い。その儚くも愛しいミルフィーユのような断面を鮮やかに描き出す珠玉のナイン・ストーリーズ。著者初の短編小説集。
オレ、シンジ、パンクロックにハマッたんだ!-17歳の少年の脳内に突如、100年前の革命家の魂が棲みついた。関東大震災後に虐殺された伝説のアナーキスト大杉栄だ。パンク少年+アナーキストは閉塞した21世紀ニッポンを疾走する。二人の運命は?アイドル美少女との恋の行方は?政治と文学、アイドルとパンク、時空を突き抜け元気になる!!「恋と革命」の痛快パンク青春小説。
「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開ーー。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳、待望の文庫化!
性に溺れて生きるしかない女と、ともに溺れる覚悟をきめた男。白昼の路上、夜の渋谷、新宿のクラブ、バーのテーブルの下で。剥き出しの欲望を振りかざし、凶暴なまでの快楽を貪る年上の女・ナギ。彼女にふれて、ぼくは全てを変えられた。その女をしばる過去が何であれ、構わない。真っ暗な性の闇に堕ちてもなお、ナギとつながりたいー。
商社秘書の雪絵は、一見強気だが心も身体もオトメ。ある日ホテルのバーで出会ったエキゾチックなイケメンが次の朝、会社にやってきた。しかも彼は、中東某国のホンモノの王子さま!むりやり連れ出された雪絵の運命やいかに!?
知らないままでいられたら、気づかないままだったら、どんなに幸福だっただろうーー革命児と称される若手図書館長、中途半端な才能に苦悩しながらも半身が不自由な母と同居する書道家と養護教諭の妻。悪意も邪気もない「子どものような」純香がこの街に来た瞬間から、大人たちが心の奥に隠していた「嫉妬」の芽が顔をのぞかせるーー。いま最も注目される著者が満を持して放つ、繊細で強烈な本格長篇。
私たちは、世界の割れる音を聞いてしまったー。21世紀終盤。巨大地震に見舞われた首都で、第二の激震に身構えつつ大学構内に暮らす学生たちと、その期待を一身に集める“リーダー”。限界状況を生き抜こうとする若者の脆さ、逞しさを描く最新長篇!