出版社 : 早川書房
恋人がSNSで有名な陰謀論者だと知った「わたし」。2つのかけ離れた言動のどちらが彼の本当の姿なのだろうか。「わたし」が本心を問い質そうとした直前に、彼が事故死したという報せが届く。彼の謎を追いかけるうちに「わたし」は、衝撃の事実に直面する。
一九三五年、エチオピア。孤児になった少女ヒルトは、貴族のキダネとアステル夫妻の家で使用人として暮らすことになる。そんな中、ムッソリーニ率いるイタリア軍侵攻の足音が近づいてきて……。武器を手にして祖国を守った、知られざるエチオピアの女性兵士たちの物語
オランダの酪農家一家に育った10歳のヤスは、クリスマスの晩餐用に殺されるかもしれない自分のウサギの代わりに兄が死にますようにと神に祈る。その祈りが現実となった時、不穏な空想の闇がヤスを襲う。史上最年少でのブッカー国際賞受賞作。解説/鴻巣友季子
ネットへの視覚的なアクセスを遮断する規制が敷かれた香川県からやってきた女子高生の大阪観光サイバーパンクの表題作、百合SFアンソロジーや『異常論文』へ書き下ろしとして発表された短篇群など、『元年春之祭』著者による知性と感情を揺さぶる小説全8篇
写本仕事でなんとか生計をたてる清二郎は、大塩平八郎に心酔して世直しを決意。同じころに出逢った破戒僧から見込まれ、「泡界」と名を変えて僧となる。やがて〈大塩の乱〉で師が非業の死を遂げ、泡界は違法な刷り物で世を掻き乱し、復讐をはたそうと暗躍する!
囚われの令嬢ルシンダ・ヴァン・ヘルシングを助け出すため、ウィーンヘとわたったメアリ・ジキルら"モンスター娘"たち。だがまたも彼女たちの前に"錬金術師教会"に属するマッド・サイエンティストたちが立ちはだかり……!? 三部作の第二部、堂々の完結篇
インドが共和国になる寸前の1949年12月31日。外交官のジェームズ卿が殺された。捜査に当たるのはインド初の女性警部ペルシス・ワディア。独立運動の遺恨と共和国化の混沌の只中のムンバイを舞台に、女性警部の活躍を描く英国推理作家協会賞受賞の歴史ミステリ
暗い森の家に住む男。過去に囚われた女。レコーダーに吹き込まれた声の主。様々な語りが反響する物語は、秘密が明かされる度にその相貌を変え、恐るべき真相へ至る。巨匠S・キングらが激賞。異常な展開が読者を打ちのめす、英国幻想文学大賞受賞の傑作ホラー
「全世界の人々が同時に発する悲鳴」の録音を目指すハリウッドの音響技師ミッツィ、児童ポルノサイトで行方不明の娘を探し続けるフォスター。2人の狂妄が陰謀の国アメリカに最悪の事件を起こすーー『ファイト・クラブ』の著者が2020年代の世界へと捧げる爆弾
謎の蔓草モスバナの異常繁殖地を調査する植物学者のアヨンは、そこで青い光が見えたという噂に心惹かれる。幼い日に不思議な老婆の温室で見た記憶と一致したからだ。アヨンはモスバナの正体を追ううち、かつての世界的大厄災時代を生き抜いた女性の存在を知る
冬になると旅行客がほとんどやって来ない避暑地、ソクチョの小さな旅館でわたしは働いている。ある日、フランス人のバンドデシネ作家が旅館にやって来る。彼の中に、わたしは未だ見ぬフランス人の父と父の国への憧憬を重ねるがーー。男女の一期一会を描く長篇
5人の少女たちは各々が謎や難問や敵に挑んできたー頭脳明晰学問好きのちせ、弟の身代わりに男装して生きる浅茅、阿蘭陀人との間に生まれたアフネス、お家騒動から逃れた喜火姫、そして武芸百般を修めた最強の武芸者・野風。5人の少女たちが、江戸を、いや日ノ本を守るために偶然集結した!?徳川12代将軍・家慶が治める時代、少女たちは大いなる陰謀に対峙することに。歪んだ思想のもとに“奇巌城”を一夜にして築き、世を転覆させんとする巨悪が暗躍していたのだ。5人は悪の根城に敢然と飛び込む。が、正体を暴かれ絶体絶命!はたして敵を倒し、脱出することはかなうのか…!?
西暦80万2700年。人類滅亡後、その文化を研究するため、高等知的生命体「玲伎種」に再生された作家たちは、収容施設(終古の人籃)で永遠に小説を執筆し続けていた。史上最も多くの小説を創作した作家、吸血鬼・人造人間・狼男の全てを産み出した作家、生涯を通じて美と苦悩について探求し続けた作家ー彼らに与えられた報酬は不老不死の肉体と、願いを一つだけ叶えること。自己の作風と才能を他者と混淆させながら共著する作家たちに対して、巡稿者メアリ・カヴァンは、ささやかな、しかし重大な反逆を試みたー「やめませんか?あなたひとりで書いたほうが、良いものができると思います」
ヴィクトリア朝ロンドンで暮らすメアリ・ジキルら、特異な能力をもつ"モンスター娘"こと〈アテナ・クラブ〉の令嬢たちに、ヴァン・ヘルシング教授の娘ルシンダから救助を求める手紙が届く。彼女たちは一路ウィーンへ! 大陸で繰り広げられる華麗な大冒険
リュルネソスの王妃ブリセイスは、敗戦後、奴隷となった。その主は、家族と同胞を滅ぼした英雄アキレウス。彼女に与えられた選択肢は、服従か死か。だが、彼女が選んだのはーー。英国の戦争文学の旗手が、黙殺されてきた女たちの声で『イリアス』を語り直す。
1985年11月、ネブラスカ州ガンスラム。鹿狩りの季節を迎えた田舎町で、女子高生ペギーが失踪した。当初は家出と見られたが、弟マイロは不審に思い、周囲に聞き込みをする。やがてペギーに好意を抱いていた知的障害のある青年ハルが鹿狩りの帰りに血が付いたトラックに乗っていたことから疑惑の目を向けられる。ハルの無実を信じて事件を調べる保護者代わりの中年夫婦、姉の行方を追うマイロ、何かを隠している町の人々とハル…様々な思惑の果てに浮かぶ真実とは?アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作。
マリアンは、お手伝いの息子コネルとは幼馴染。惹かれ合い、周囲に内緒で付き合い始めるが、高校卒業前に別れてしまう。だが同じ大学に通うことになりーー。劣等感や社会格差、すれ違いで引き裂かれた男女の恋愛の機微を描く、全世界100万部超の傑作長篇小説
14歳の誕生日の夜に"それ"に両親を奪われた少年、陳。謎の球電に魅せられ、研究を進めるうちに、彼は思いも寄らぬプロジェクトに巻き込まれていく。史上最強のエンタメ・シリーズ『三体』三部作で描かれたアイデアやキャラクターが登場する、衝撃の前日譚!
河南省の延津には、夢に現れて笑い話をせがむ"花二娘"の伝説があり、彼女を笑わせられない者は死んでしまうという。そんな延津で伝統劇『白蛇伝』を演じた三人の男女の運命が、花二娘の伝説と絡み合う。中国の茅盾文学賞作家が上質なユーモアで描く最新長篇