出版社 : 早川書房
警備会社に勤めるジャック・デヴリンは、社長から重大な仕事を託された。友人の息子がハワイで不審な死を遂げたので、調べてほしいというのだ。死亡した男は、ヴェトナム戦争の英雄で、デヴリンは戦地で彼に助けてもらった恩があった。デヴリンは悪辣な敵が待ち受けるハワイに向かうが…ハワイの街と熱帯雨林に展開する壮絶な闘い。迫真のアクション巨篇。
本書はパリでも二カ月前に上梓されたばかりの、待望の長篇第四作。実に四年ぶりの書き下ろし小説となるが、『悪童日記』三部作とはまた違った独自のスタイルで、自らの亡命体験をもとにした「不可能な愛の物語」を描いている。
行政エリート職の司政官を描き惑星世界そのものを描くライフワーク最終巻。急速に進行する深刻なインフレ、原住種族プバオヌの自主権の承認、惑星上のあちこちで起こる争乱タトラデンの植民者たちは司政官キタの施策を時代錯誤と非難しはじめる。無能の司政官呼ばわり、結構だ、とキタは思う。愚直なまでに司政原則を遵守する司政官を演じつつタトラデンを相剋の世界に持ってきているのだから、そんなことははじめから覚悟の上だった。目的を達成するため、司政官は私情を殺して職務を遂行する。
闇に葬られた「ジュラシック・パーク」事件から六年。科学が夢を実現させたかに見えたパークは崩壊し、恐竜も滅び去った。だが、まだ何かが生き残っている、というひそやかな噂は絶えなかった…。孤島にたどりついた古生物学者レヴィンは、胸を躍らせた。コスタリカ沿岸に流れついた謎の動物の屍体を見て以来、太古の恐竜が今に生き残る「ロスト・ワールド」を探してきたのだ。この島にこそ恐竜がいる。彼は確信していた。レヴィンが調査の旅から戻ってこないことを知り、工学者ゾーンは困惑した。レヴィンの依頼で製作した、科学調査用トレーラーのテストを行なう予定だったのだ。衛星電話で呼び出すと、ノイズの向こうからレヴィンの声が聞こえてきた。「とりかこまれた-兇暴-やつらのにおいがする-」接続は切れた。彼の部屋で見つかったのは、壁をおおう地図や航空写真、そしてその上に書かれた大きな文字-「サイトB」か。「サイトB」とは。レヴィンとともに「ロスト・ワールド」探しをしていた数学者が急遽飛んできた。〈ジュラシック・パーク〉事件からからくも生還した、イアン・マルカムだった。
地球外知性探査計画は、ついに宇宙からのメッセージを受信した。深宇宙からアレシボ天文台が受信した謎のメッセージはふたつーひとつはメタンの触媒に関するもの。これにより燃料を完全燃焼させることが可能となり、人類は無限量のエネルギー発生装置を手にすることになった。ふたつめは、DNAの塩基配列に関するもの。この異星のDNAと人間の卵子とを結合させ、人類は新たな生命体を創りだすことに成功したが…。
精強な独Uボート群が跳梁する大西洋を進む英国輸送船団。その司令官を務めるケンプ准将は極秘電を受領した。折しもチャーチル首相がローズベルト大統領との会談のため近くを航行中。それを察知した独海軍が強力な水上部隊を投入したというのだ。英国海軍は敵を阻止すべく船団の護衛艦隊を急派、ケンプらは無防備なままUボート群のただ中に。英国を救った「大西洋の戦い」における語られざる英雄たちの姿を描く海洋小説。
スターリンの粛清が再び激化した1950年代初期のモスクワ。一人の女性詩人がユダヤ人迫害の嵐の中で牢獄に送られ、銃殺された。彼女は父親の違う二人の息子を遺していた。一人は、同じ詩人である最愛の夫との間に生まれたアレクサンドル。もう一人は、その夫の命を救うためやむなく結婚したKGB将校との子供、ジミトリー。二人の兄弟はKGB将校の手にゆだねられるが、その男もやがて粛清の犠牲となった。だが、その時すでに彼は、アレクサンドルをブルックリンに住む妻の姉のもとに、ジミトリーをレニングラードの孤児院に送っていた。こうして二人の兄弟は、離れ離れになり、アメリカとソ連で生きることになった。兄のアレクサンドルはアレックスと呼ばれて育てられ、自由な空気の中で、しだいにソ連への不信感をいだき、ソ連の研究家としての道を歩んでいく。一方、弟のジミトリーは、孤児院で辛酸をなめて生き延び、やがてKGBに入った。互いに求め合いながら、まったく違った道を進む二人。やがて出会いを果たした彼らに思わぬ運命が襲い、アレックスはCIAに入り、弟と遺恨に満ちた対決を繰り広げることになるが…。
1986年、世界的な経済恐慌と戦争と疫病に見舞われた人類は滅亡の危機に瀕していた。折りしもエクアドル崩壊の直前、ガラパゴス諸島遊覧の客船バイア・デ・ダーウィン号が何人かの男女を乗せて海へ漂い出ていた。船長、女教師、結婚詐欺師、盲目の娘、インディオの少女たちーダーウィンの進化論で知られるガラパゴス諸島に漂着した彼らとその子孫たちが、百万年を経て遂げた新たな進化とは。鬼才が描く旧人類への挽歌。
超常能力を駆使した即時コミュニケーションによって人類は宇宙進出を果たし、地球を中心とする九星系連盟を形成していた。連盟でも屈指の超常能力者ローワンの娘ダミア。母親の才能と気の強さをそっくり受け継いだ彼女は、幼いころから男まさりのお転婆ぶりを発揮し、やがては美貌のステーションマスターに成長してゆく。時に自らの才能に悩みながらも、明るく成長してゆく少女ダミアの恋と冒険。人気シリーズ第二弾。
殺人事件の公判に辣腕をふるうエリート地方検事補ピーターは、私生活の危機に直面していた。妻が突然離婚を決意して、家を出たのだ。妻への愛情断ちがたく、狂おしいほどに彼女の足取りを追うピーター。その折、市長の甥が殺害され、事件の担当がピーターに回ってくる。だが、彼はそれが自分の人生を変える事件に発展していくとは知るよしもなかった。追いつめられた検察官の苦闘をスリリングに描いて絶賛された話題作。
ロンドンの中心部に住む三人の老姉妹の長姉が、自宅で不審な死を遂げた。辣腕で鳴るブロック主任警部と女性の部長刑事コーラの捜査で、長姉には再開発業者との対立など、様々な問題があったことが判明した。しかし捜査は進展せず、打ち切られてしまう。が、やがて姉妹の一人がまた謎の死を。思想家マルクスの秘話を巧みに織り込み、意外な結末で描く注目作。
郵便物集積場349-ここはアメリカじゅうのデッド・レター、宛先も差出人も不明の郵便物が行き着く場所だ。その処理にあたる郵政捜査官エイモンのもとに、残虐な殺人の証拠となるデッド・レターが回されてきた。同封の写真に全裸の少年と切断された性器、顔を隠した犯人が映っていたのだ。サイコパスの犯行とにらんだエイモンは、捜査を開始するが…一通の手紙から、驚くほどの情報を探りだす郵政捜査官エイモン登場。
たわしのような頭髪と顎髭、くたびれた衣鉢。下手な俳句を読みつつ旅する雲海。獅子父路で弁当を分けて貰った大学生・加賀の危機を救ったことから、謎の轢き逃げ事件と背後の策謀の解明へと乗り出す。行く手を阻むのは、柔剣道からテコンドーまで格闘技の猛者が集まる寄居道場。生臭坊主だが、少林拳の達人の雲水探偵と青年たちの爽快な活躍を描く武道冒険小説。
モース主任警部にとって、他人が担当していた事件を途中から引き継ぐのは、あまり面白いことではなかった。その上、怨恨による殺人ときては、さして難しい事件とも思えなかった…。ところが、オックスフォード大学のもと研究員マクルーア博士が刺殺された事件は、モースが乗り出した途端、意想外の展開を見せ始めた。容疑者と目されていた博物館の係員ブルックスが行方不明となり、数週間後、刺殺体となって発見されたのだ。凶器は博物館から盗まれたアフリカのナイフだった。はたして奇妙な凶器の意味するものは何か。そして、第一の殺人との関連は。やがてブルックスに恨みを持つ三人の女が捜査線上に浮かび上がるが、彼女たちにはさすがのモースも頭を抱える鉄壁のアリバイがあった。アクロバティックな推理と華麗な謎解きで読者を魅了しつづける現代本格シリーズの最高峰、待望の最新作。
5万5千年前の地球で、レムール人の都市オレガリスの危機を救ったローダン一行は、謎の飛行物体ー黄金の紡錘の情報を得た。レムール人によれば、はるか東方、人跡未踏のトロニス地方に、黄金の紡錘が飛び立つ聖なる島があるという。黒き湖に守られたその島こそ、ゼロ時間デフォルメーターの時間旅行を妨害する敵基地にちがいない。ローダンは謎の島をめざし、プレビオたちの襲撃をしりぞけながら東へと向かったが…。