小説むすび | 出版社 : 白水社

出版社 : 白水社

グリーン・ロードグリーン・ロード

ロザリーンの子供たちは、“緑の小径”近くのこの家から巣立っていった。司祭になると言って家を飛び出した長男ダンは、ニューヨークのアート界周辺を漂浪して久しい。次男エメットは、アフリカ各地で途上国支援に身を捧げている。一番上の長女コンスタンスは、夫と子供たちとの平凡だが穏やかな毎日を送っている。末っ子のハンナは、女優になったものの、いまは赤ん坊を抱えて休業中。そんななか、夫亡き後独りで暮らす母ロザリーンから4人にクリスマスカードが届く。我が家を売ることにしたという一文に驚き、これまで帰郷を避けてきた子供たちがクリスマスに久しぶりに勢ぞろいする。だがぎこちない距離感とそれぞれのわだかまりからたびたび小さな諍いに。たまらずロザリーンは車で出かけてしまうが…。自分の居場所はどこなのか。現代アイルランド文学の第一人者が精巧な筆致でリアルに描き出す、潮の満ち引きのように離れても引き戻す強い家族の愛と変化の物語。2016年度アイルランド文学賞受賞作。

クレムリンの魔術師クレムリンの魔術師

彼は「クレムリンの魔術師」として知られていた。ヴァディム・バラノフは、ロシアの皇帝の黒幕になる前はTVのリアリティ番組のプロデューサーだったという。“私”はある夜、SNSで知り合った人物からモスクワ郊外の邸宅に招かれて、その祖父の代からの「ロシアの権力の歴史」を知る。ヴァディム・バラノフには、舞台芸術アカデミーで演劇を学んだ青春時代、ヒッピーの両親をもつクセニアという美しい恋人がいたという。ロシアのプロパガンダ戦略や、ウクライナとの戦争において、ヴァディム・バラノフはどんな役割を担っていたのだろうか?エリツィン、クリントン、メルケル…実在の政治家たちも実名で登場し、ソチ冬季オリンピック開会式で赤軍合唱団にダフト・パンクを歌わせた史実なども挿話され、プーチンの権力掌握術やロシアの国民感情が語られてゆく。迫真のリアルポリティーク小説(全31章)。2022年バルザック賞受賞、ゴンクール賞最終候補など、話題沸騰のベストセラー!アカデミー・フランセーズ賞受賞作品。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP