出版社 : 花伝社
「おれはほんとに救われたのだろうか。人生ってこんなにもあっけないものなのか」 実際の事件をもとに、ドライサーが描き出した〈ゆがんだ社会構造〉と〈人間のこころの弱さ〉。刊行から100年が経つ今、快楽を追い求め倫理を失いゆく青年の物語は、わたしたちに何を語りかけるのか。 資本主義社会の欺瞞を描く、不朽の名作 (あらすじ) ついにロバータが湖で溺死した。 上流階級のソンドラとの恋とその名声に目がくらみ、意図せずとはいえ女工ロバータを見殺しにした、青年クラウド。事件発覚を契機に、水面下では政治、メディア、法廷が動き出す。そして、ついにその審判の時がきたーー 実際におきた事件をモデルに、近代アメリカ社会の闇を克明に描き出す、アメリカ自然主義文学の先駆的傑作。 第二部(続き) 第三部 訳者あとがき
わたしたちは、こうして「今」を生きている 日本の地で民族教育を行う朝鮮学校、そこに通う子どもたちが自分たちの日常語=朝鮮語で書いた詩と作文のコンクール、「コッソンイ」。 歴代の入選作から厳選した50編から浮かび上がる、子どもたちの真の姿とは。 時代ごとに吹き荒れた逆風の中、朝鮮学校の児童・生徒たちは何を感じてきたのか? 1 現実を生きる 2 私たちの学校 3 民族の誇りを胸に 4 祖国統一という悲願 5 未来に向かって
夢を求めてアメリカ社会の中で生き抜こうとした青年…。貧困と差別、性の在り方、資本家と労働者、宗教の役割、陪審制度と死刑問題、新聞の役割など、現代に繋がるアメリカ社会の断面を浮き彫りにしながら、その中に生きる人々の苦闘を描く。
高校生の目から見た 日本共産党「50年問題」分裂時代 1951年、京都。電柱に貼られた民主青年団のステッカーが16歳の 藍子の胸を波立たせた。イールズ声明反対、文化祭、朝鮮戦争、 文学クラブ、メーデー、旗作り、山村工作隊、レポ活動……。 時代と社会にスパークした藍子の青春物語。 第一章 藍子 第二章 文化祭前後 第三章 明日 第四章 レポ 第五章 藍子の旗 第六章 一九五二年 藍子・最終章 70年後の藍子〜あとがきに変えて
昭和の銀行で最先端の開発を。『日債銀破綻の原罪』の著者が描く。コンピュータ黎明期、システム開発に奮闘する銀行員たちの群像劇。昭和46年4月、不動産銀行本店に異動した武田は新設された事務管理部オンライン班に着任。不銀全店のシステム化を練る議論の熱き日々。業務を分析し、処理の手順を起こし、プログラム設計書をつくるクリエイティブワーク。新方式の外国為替計理で海外店システムを開発した武田は、ニューヨーク支店開設支援のためアメリカへ旅立ったー。
日本思想史上で今も異彩を放つ革新右翼のカリスマ、北一輝。彼は何を目指し、何に破れたのか?『国体論及び純正社会主義』で明治期政治体制の構造的欠陥を撃ち、続く『国家改造案原理大綱』で青年将校たちの思想的バックボーンとなった北一輝。二・二六事件で破滅を迎えるまでの、北一輝の政治理論と歴史との相克、彼に心酔する革新右翼活動家らとのパセティックな日々を描き、彼らの「夢」と「錯誤」に迫るーその生涯のクライマックスから終焉を活写した、迫真のノンフィクション小説。
内田百間生誕百年記念 第一回 岡山・吉備の国文学賞 短編部門最優秀賞受賞 雪子が天使のように清らかで愛らしく、この可憐な幼女の短い生を描くことで、強い帆船の文学となり得ている。 瀬戸内寂聴(作家) 収録作品 黄色いコスモス 青い椅子 海の墓標 サファイアの海 タイケンビル 雀 風車 ガーネットさん 青い花 三月の雪 手 テンポラリー・マザー
731部隊と繋がる防疫研究室で石井四郎の部下として働いた医師、茨木智和。最高機密の下で目の当たりにした数々の事実により、彼は愛する人を失い、人生は流転を始める。たどり着いた地・オーストラリアで開戦を境に“敵”となった彼は、強制収容所での日々を通じ、どう「暗闇」と向き合ったのかー日豪にルーツを持つ作家が描く、戦時下のエリート医師の苦悩と決意。
昭和の銀行を実直に生きた、重厚な人間物語。昭和40年4月、学生運動に参加した日々を胸に秘め、不動産銀行本店に初出勤。新入行員研修では算盤と格闘。タイガー計算器を回し、伝票を繰って帳尻を合わせ、支店一丸で決算を乗り越えた懐かしき日々の記録。高度経済成長期を舞台に、激動する銀行業界に生きた「昭和の銀行員」の姿から見えてくるものとはー。『日債銀破綻の原罪』の著者が問う。「出世するだけが、人生の目標ではない!」
まだ詰んでなんてない、何でも相談できる「労働NPO」があるじゃないか!非正規労働が拡大し、働く人たちの権利が危機にさらされる現代ニッポン。労働問題のスペシャリストたちが集い、弱い立場の働く人をサポートする労働NPOでは、今日も「雇用の劣化」とのたたかいが繰り広げられているー。待遇差別、不当解雇、給料未払い…多様な職種・雇用形態の事例をもとにした、「使える」労働問題ノベル。
創立90年を迎えた創価学会。「折伏大行進」、逃れられない「献金システム」、政権与党公明党への選挙活動、二世三世問題…その実態を内部から描く。集団就職で東京に出てきた若者が、創価学会と出会って入信。活動にのめり込み、やがて燃え尽き、創価学会から離れるに至った人生とは何だったのかー。巨大宗教組織、創価学会を描いた超リアル小説。
3歳の頃、伊豆大島の雑貨商に養女として連れてこられたフキさん。ススキの茂る長い道を男と歩いた最初の記憶。母の記憶はない。養母の厳しい仕打ちに耐えるフキさんをなぐさめるのは、火山島を囲む広々とした青い海と空だった。フキさんは8人の子を育てあげた。そして火山の大噴火。その大噴火に促されたように、一人の老婦人が訪れ、フキさんの出生の秘密を告げる…。わずかな手がかりをたよりに、四男の嫁の恵さんが、「本当の母」の失われた記憶を求めて秋田へと旅立つー。
身近な暮らしに潜む、詐欺・離婚・借金・任意整理・労災・不当逮捕ー個人では解決できない、企業犯罪・公害・住民訴訟までーもちこまれる数々の「難事件」を霧山昴弁護士が解決する。知られざる弁護士の日常としごと。裁判のクライマックス・「証人尋問」のコツも伝授!
ある日突然、平凡な学生に権力が牙を剥いた。日本が戦争に向かう暗い時代、現実を直視する「生活図画」により、思想犯に仕立て上げられた旭川の教師と学生たち。極寒の地を舞台にした理不尽な取り調べと監獄での過酷な日々は、無垢の若者たちにどんな傷跡を残したのかー忘れることのできない事件から、悪法が跋扈した時代を描く。
明かされる「出雲王権」誕生の秘密。山犬に愛される不思議な少年ナムチは、やがて人々を統べる王となるー舞台は群雄割拠の弥生時代中期末。倭人と渡来人が共同してつくりあげた豊かな国は本当に存在したのか?大和朝廷が『古事記』、『日本書紀』、『出雲国風土記』の神話に隠した“史実”を紐解く、本格古代史エンタメ小説!
人は、消えない心の傷を抱えたまま、この現実を生き抜くことができるのか?「こちら“現実”、応答せよ“物語”」変えようのない過去を救うべく、虐待サバイバーと動物学者が交わした、魂の物語。
母が決して語ることのなかった、「拷問」の記憶ー臨床心理士である月子は、母・琴が、戦時下における逮捕・拷問のフラッシュバックに苦しんでいることに気が付いていた。しかし琴は、当時の記憶について語ることなく逝ってしまう。良家の子女であった琴が、なぜ思想犯として逮捕されたのか。文学を愛した両親が遺した作品に導かれるように、月子は家族の歴史を辿り始めるー治安維持法の時代を生き延びた、家族の物語。
満州に取り残された軍国少年はやがて、自ら志願して中国人民解放軍の兵士となったー満州で敗戦を迎え、帰還の願いもかなわず寒村で暮らし始めた日本人一家。極貧の一家を背負う元軍国少年・砂原恵は、日本人であることを隠し、「中国人として」八路軍(=中国共産党軍)に入ることを決意する。恵は身も心も中国に捧げ国共内戦を戦い、朝鮮戦争に出撃するが、上層部に日本人であることを知られてしまう。激動の時代を生き抜いた中国残留日本人、衝撃の実話をもとに描かれた真実のストーリー。