出版社 : 講談社エディトリアル
北大阪の「不良」「極道」で名を馳せたある一人の男。 しかし薬に溺れ、切腹。死にきれず、ロシアンルーレット。 何度も自殺を図り、それでも、もがきながら生き続けてきた。 諦めなければ必ずやり直しは出来るーー ヤクザを引退した後は様々な人に助けられながら、持ち前の才覚で建設会社を興し、現在では不動産事業も手掛けるビジネスマンとなった男の破天荒な半生。
あるベンチャー企業に就職した「M」。そこで感じたのは得体の知れない気味の悪さだった。まるでMが入社する前からMの事を知っているような、その上でこんな奴は歓迎できないとでも思っているようなーー。 くせの強い社長や同僚たちとの日々。だんだんと手ごたえを感じ充実する一方、気味の悪い違和感も強くなっていく。
家庭の事情で大学を中退せざるをえなかった倉元繁は、偶然目にした雑誌の記事を頼りに当時恋人だったけい子を残して、京都での体験修行のため仙台をあとにする。自分に降りかかった運命と対峙し、人生を見つめ直すために。現在、繁は仙台市で税理士として独立し、妻・けい子との間にもうけた一人息子の徹は、税理士を目指して受験勉強をしながら同じ事務所で働いていた。コロナ禍に振り回され、勉強に疲れた徹の言動に気をもみながらも穏やかな日々を送る繁とけい子だったがー。
13世紀のフランスー異端狩りが苛烈さを極める最中、異端カタリ派との交友が深かった吟遊詩人カンブレーのギローは、密告におびえる日々。ある日、サンティアゴへの巡礼を思い出ち出立したものの…。思慕と追想…長編大ロマン!
朝廷も大名も戦に明け暮れていた戦国の世。日本の行く末を案じる占い師の常子と、その息子で剣の達人の惣之助。ある時、次の天下人を占う占いの中に、錚々たる武将たちと並び猿に似た利発な少年、日吉が現れる。混迷の時代に生を受けた日吉は、日々を生き抜くなかで出会った人々とのふれあい、関わりを経て成長し、ついには歴史を変える運命の出会いを果たす。
共和政末期のローマ。宴会に押しかけては、偉人、賢人、神々までも酒の肴にして、放言や悪ふざけ、難癖つけに興じているローマ人士たち…予言予兆はあったのか、カエサルは暗殺され、安逸の日々は激変、人々の運命は変転する。
大正六年、帝都では「鎌鼬事件」と呼ばれる奇妙な殺人・強盗事件が相次いだ。その真相を探るべく相談を受けた〓閃は、手がかりを掴むために向かった上野の貧民街で一人の老婆に遭遇し…。浅草・銀座・上野などを舞台に奔走する、相談士たちの人情活劇。
落ちてしまった海は、摩訶不思議な世界だった。明るいブルーの色がだんだん黒ずんで、ほとんど闇に。棲んでいたのは、できそこないの骸骨が牙をむいたような魚、まぶたのつぶれたカニや、チロチロと赤い舌を出す貝の群れ。得体の知れない“ほっほさん”にバクテリアに変えられたり、“髭もじゃ男”に釣り上げられて食べられそうになったりしつつ、ようやく陸に帰還した魔女ヘルゼが、最後に決断したのはー。
ある女性を観察してほしいのですー無職の中年男、新屋敷第六の元に舞い込んだアルバイトの依頼。しかし、真の狙いは第六のサイコ・パワーだった。どうする、第六!?十五歳の夏の夜、ある出来事をさかいに、頭に霧がかかったようになってしまった。インスタント・コーヒーに大量の砂糖をぶち込み、今日も市中徘徊と読書に精を出す。第六の魂はいつ漂流を終えるのか。