出版社 : 講談社エディトリアル
古き良きあの頃の京都へーー 自立を目指す一人の青年の物語。 人々との交流をとおして変化していく心を瑞々しい筆致で描く。 一 銀閣寺道 白川女と二人暮らし (一)五十年前の記憶 (二)故郷を発って京都へ (三)日々の暮らし (四)白川女 (五)暗転 (六)幽霊 (七)白川女との再会 二 新京極 人形のあやべ (一)人形屋で働く (二)父と娘 (三)黄色の花と和紙作りの里 (四)心、揺さぶる (五)東京へ (六)京都から綾部、そして城崎温泉へ 三 京都下鴨 それぞれの物語 (一)六十五歳の同窓会 (二)その子のこと (三)夢の中 (四)退職記念講演会場で
主人公のカメラマン倉本小太郎が、彼の父の死を看取った医師、東山龍太郎が国際大学医学部の中の政治的闘争によって医大から放逐される様を仲間たちとともにつぶさに検証する物語。現代の大学医学部内部がいかに研究者不在で、なおかつ役人たちが跋扈し、大学教育がゆがめられているのかを告発する。 第一章 ジャーナリストの旅 古都の茶会 鍵善での追想 父健太郎の苦悩 家路 レトロとモダン 鳩時計 外科教授の大暴走 医学部に激震 諸悪の根源 国際大学の不正を国会で追及 コンプライアンスが機能せず メディアの猛勢 県警の捜査が入る パワハラ会見 第二章 天下り役人による凋落の足音 『白い巨塔』の再来 第三章 三銃士、真相を解明する 策略の真相究明 濡れ衣を晴らす 不可解な学長選挙 天下り役人の罪悪 第四章 新しい知事の誕生 賢者の勇断 大学の存在理由とは 第五章 ほら、もうすぐ桜が咲きますよ 風化させてはならぬ! 野点の茶会
統制から改革開放へと舵を切って沸き立つ中国。官を退き起業家となって、巨万の富と地位を築き上げる「新興貴族」。いま、頭角を現した一人の男が、それゆえに命の危険にさらされる。男は難を逃れるべくチョモランマへと向かうが、追手も迫る。首都北京と世界最高峰の地でうずまく陰謀の数々……。男はついに、標高八七五〇メートルの地で死を待つことになるのだが……。自身3度もチョモランマの頂上に立った著者による描写が圧巻! 第一日 迫りくる大難/第二日 うち重なる禍/第三日 窮地の狼/エピローグ
「ピカドン」と呼ばれても、顔を上げ、前を向いて生きてきた。 被爆者の両親のもとに生まれた義行。剣道にあけくれた少年〜青年時代、新天地での仕事と出会い、故郷長崎での運命の人との再会、永遠の愛と別れーー。被爆二世でなければ経験する必要のなかったであろう病気や差別など多くの困難に会いながらも、生来の真っ直ぐな心、負けん気の強さと正義感でそれらを撥ね退け、両親をはじめ愛する人びとに助けられながら前向きに生き抜いてゆく。 第1章 三浦家の人々 第2章 本田さんとメー 第3章 忍び寄る影 第4章 剣の道 第5章 道を行く 第6章 短い学生生活 第7章 出会いと別れ 第8章 新たな生活と再会 第9章 永遠の愛
一匹の蝶が歴史を変え、新たな物語が始まる!! 1942年2月、日本海軍はインド洋にてイギリス海軍の秘密基地を発見し、イギリス東洋艦隊を撃滅! 各国の思惑が交錯するなか、ある者は大洋を、ある者は大陸を、ある者は大空を、またある者は政治の場を戦場とし、戦士たちは命を散らす。 第二次世界大戦の帰趨や如何に? ありえたかもしれない第二次世界大戦を、壮大なスケールと緻密な筆致で描いた問題作! 第1章 ミッドウェー / 第2章 インド洋 / 第3章 東京 / 第4章 アフリカ / 第5章 ソロモン海 第6章 シンガポール / 第7章 ミャンマー / 第8章 インパール / 第9章 南太平洋 / 第10章 カサブランカ沖 / 第11章 ロシア
北大阪の「不良」「極道」で名を馳せたある一人の男。 しかし薬に溺れ、切腹。死にきれず、ロシアンルーレット。 何度も自殺を図り、それでも、もがきながら生き続けてきた。 諦めなければ必ずやり直しは出来るーー ヤクザを引退した後は様々な人に助けられながら、持ち前の才覚で建設会社を興し、現在では不動産事業も手掛けるビジネスマンとなった男の破天荒な半生。
あるベンチャー企業に就職した「M」。そこで感じたのは得体の知れない気味の悪さだった。まるでMが入社する前からMの事を知っているような、その上でこんな奴は歓迎できないとでも思っているようなーー。 くせの強い社長や同僚たちとの日々。だんだんと手ごたえを感じ充実する一方、気味の悪い違和感も強くなっていく。
家庭の事情で大学を中退せざるをえなかった倉元繁は、偶然目にした雑誌の記事を頼りに当時恋人だったけい子を残して、京都での体験修行のため仙台をあとにする。自分に降りかかった運命と対峙し、人生を見つめ直すために。現在、繁は仙台市で税理士として独立し、妻・けい子との間にもうけた一人息子の徹は、税理士を目指して受験勉強をしながら同じ事務所で働いていた。コロナ禍に振り回され、勉強に疲れた徹の言動に気をもみながらも穏やかな日々を送る繁とけい子だったがー。
13世紀のフランスー異端狩りが苛烈さを極める最中、異端カタリ派との交友が深かった吟遊詩人カンブレーのギローは、密告におびえる日々。ある日、サンティアゴへの巡礼を思い出ち出立したものの…。思慕と追想…長編大ロマン!
運命が望み、少年が運命を引き寄せる。 次の時代を統べるのは誰か。 豊臣秀吉の少年時代を色彩豊かに描き出す。 朝廷も大名も戦に明け暮れていた室町時代末期。 日本の行く末を案じる占い師の常子と、その息子で剣の達人の惣之助。 ある時、次の天下人を占う占いの中に、錚々たる武将たちと並び猿に似た利発な少年、日吉が現れる。 混迷の時代に生を受けた日吉は、日々を生き抜くなかで出会った人々とのふれあい、関わりを経て成長し、ついには歴史を変える運命の出会いを果たす。 1 丸子船 2 我田引水 3 丁稚奉公 4 万屋稼業 5 いずる杭 6 裏の顔 7 千駄櫃 8 吞兵衛 9 軍師 10 茎の銘 11 魚のきもち
韓国最大の企業グループ「現代」を一代にして築き上げた鄭周永氏は、彼がいなかったならば韓国の戦後の経済発展は、数十年は遅れていただろう、とさえ言われる企業人である。絶えざる努力の中から、斬新なアイデアを次々と生み出し、絶体絶命の危機を必ず好機へと変えてきた人物であるが、それだけでなく、「牛1001頭」を率いての北朝鮮訪問、金剛山観光開発など、祖国、同胞への惜しみない愛をそそいだ偉人である。 激動の人生とその哲学を数々の写真と併せて綴った自叙伝。 韓国のベストセラー『この地に生まれて』の邦訳として2000年に出版された『危機こそ好機なり』の改訂版。
共和政末期のローマ。宴会に押しかけては、偉人、賢人、神々までも酒の肴にして、放言や悪ふざけ、難癖つけに興じているローマ人士たち…予言予兆はあったのか、カエサルは暗殺され、安逸の日々は激変、人々の運命は変転する。
大正六年、帝都では「鎌鼬事件」と呼ばれる奇妙な殺人・強盗事件が相次いだ。その真相を探るべく相談を受けた〓閃は、手がかりを掴むために向かった上野の貧民街で一人の老婆に遭遇し…。浅草・銀座・上野などを舞台に奔走する、相談士たちの人情活劇。
落ちてしまった海は、摩訶不思議な世界だった。明るいブルーの色がだんだん黒ずんで、ほとんど闇に。棲んでいたのは、できそこないの骸骨が牙をむいたような魚、まぶたのつぶれたカニや、チロチロと赤い舌を出す貝の群れ。得体の知れない“ほっほさん”にバクテリアに変えられたり、“髭もじゃ男”に釣り上げられて食べられそうになったりしつつ、ようやく陸に帰還した魔女ヘルゼが、最後に決断したのはー。
ある女性を観察してほしいのですー無職の中年男、新屋敷第六の元に舞い込んだアルバイトの依頼。しかし、真の狙いは第六のサイコ・パワーだった。どうする、第六!?十五歳の夏の夜、ある出来事をさかいに、頭に霧がかかったようになってしまった。インスタント・コーヒーに大量の砂糖をぶち込み、今日も市中徘徊と読書に精を出す。第六の魂はいつ漂流を終えるのか。