出版社 : 講談社
武田信玄の寵臣土屋庄三郎は、夜桜見物の折に老人から深紅の布を売りつけられる。これぞ纐纈布。古く中国で人血で染めたとされる妖しい布だ。この布が発する妖気に操られ、庄三郎がさまよう富士山麓には、奇面の城主が君臨する纐纈城や神秘的な宗教暖が隠れ棲み、近づく者をあやかしの世界に誘い込む。怪異と妖美のロマンを秀麗な筆致で構築し、三島由紀夫をも感嘆させた伝奇文学の金字塔。
勤王の志士の妹・お香代の面影を恋い求め、変転する時流にもてあそばれる織之助は、思わぬ成り行きから、ふたたび独楽勝負に身の行く末を賭けることになる。対するは愛憎半ばする宿敵、伏見流名人・潤吉。剣風吹きすさぶ京、時代の激流は二人の若者と彼らが愛する美女の運命を容赦なく押し流していく。寄略縦横、日本大衆文学史に巨大な足跡を印した著者の『富士に立つ影』と並び称される異色長編。
高田の馬場の堀部安兵衛、鍵屋の辻の荒木又右衛門、忠臣蔵で知られる赤穂四十七士…忠臣孝子の復讐譚は、芝居に、映画に、また小説に謳われてきた。仇討、その数は二百を越すという。『仇討十種』で作家デビュー以後、著者はこの日本的美徳をさまざまな形で追求しつづけた。厖大な数の仇討作品群のなかから選び抜いた二十一編は、美化されがちな艱難辛苦の物語の陰の真実をも鮮やかに浮彫りにする。
落ちこぼれマフィアのジョーイがフロリダをめざしたのは大物になって「仕切る」ためだった。が、そうは問屋が卸さなかった。突如、厄災が訪れた。威張り腐った異母兄のジーノが抗争相手のマフィアから300万ドル相当のエメラルドを盗み、殺し屋に追われて逃げてきたのだ。迫力のラストページまで、一気読み。
SF伝奇超大作ついに完結。田沼意次の時代、鬼道衆の分裂と争いから現われ出た闇の歴史は、いま、無窮無限の世界を駆ける霊船黄金丸によって宇宙の進化へと語り継がれる。互いの生命を啖い合う妖星=地球から虚空の巡礼に旅立った霊船を待ち受けるものは何か。終章で明かされる進化の涯に至る形態とは。
1603年刊の「日葡辞書」を大学に売り込みにきたマヌエルは金だけ奪って逃走したが、翌日その金はなぜか送り返されてきた。「時価2億」にマスコミは沸き立つが、マヌエルは長崎で射殺される。辞書と犯人の行方を追い、“迷宮課”浦島警部は天草、マカオへ飛ぶ。17世紀の夢を血に染めたのは誰か。浦島の推理の冴えは。
バブル経済が崩壊し、国内が混乱すると予言した極秘のレポートが作成された。それを受け取った内閣情報調査室は、治安強化を求める世論の喚起を目的に、ある組織を使って各地でテロ事件を頻発させる。それを阻止するため、一人の捜査官が首相官邸に呼ばれ、動き始めた…。危機迫る、情報サスペンス小説。
日本海に臨む海東市にある白楊学院の日高院長は竜堂兄弟の亡き祖父の友人だった。その院長からある日、SOS信号を受けた四兄弟は、二学期の始まりから学園を救うため出撃した。謎の転校生・終と余は巨悪たちの集う仮面パーティに潜り込み、大暴れ。怒りの四兄弟がそろってドラゴンに変身するのはいつか。
妻は美人女優、夫は会社社長という恵まれた夫婦が、互いの殺人計画を練っていた。そして予告通り、京都太秦の奇怪な洋館“蛇姫荘”の密室で、夫は服毒死、妻は拳銃で撃たれて発見された。二人の相討ちで片づけようとする警察に、赤かぶ検事は第三の犯人説を主張した。はたして真犯人は。柊の推理が冴える。