出版社 : 飛天出版
「一城の主とまでいかないが、ほどほどに出世して、相応の一家をなす男」とはねねの父・杉原助左衛門の藤吉郎評であった。ねねもその程度でいいと思う。だが、藤吉郎の幼いころからの苦労と猿に似た顔であれば道化て皆に笑ってもらいながら出世するしかないという悲痛な本音をきいた時、ねねは、初めて藤吉郎を理解した。
1999年春、軍事マニアの大野光男は、太平洋戦争を逆転させるべく、60年前に通じる時間のトンネルへ飛び込んだ。昭和14年春の東京へタイムスリップした大野は、当時海軍次官の山本五十六だけに事実を打ち明け、大胆な秘策を授ける。まずは開戦までの間に、勝てるだけの戦備を整える事。しかし、残された時間は3年足らず…。だが、彼の頭には戦史の現実がある。たった一人の力で、歴史をひっくり返せるか。
強引な捜査と拷問による犯人デッチ上げで、江戸庶民の怨嗟を集める火付盗賊改役の藤掛伊織。彼は寺社奉行から若年寄への出世コースを目論んでいた。この藤掛に対し、浪人で伊達者を気取る風流人の土岐綾部は、身近に火盗改による冤罪人が出るに及び対決することに…。吉原炎上の陰謀を暴くべく、綾部の極真一刀流が舞う。
ポツダム宣言諾否の協議が白熱化している最中、ウルシー環礁の米艦隊攻撃に向かったイ400とイ401の二隻の大型潜水艦。この二隻は大本営海軍部からの作戦中止命令を無視して航行を続けていた。海軍大臣・米内光政は停戦派の指導者として、この行動に対し、第5航空艦隊司令長官の宇垣中将に、イ400とイ401両潜水艦の捕捉撃沈を命じた。急拠、出撃する空母=鳳翔・葛城、重巡=妙高他5隻の艦隊。自軍への攻撃に悩む宇垣の心中で決断した最後の聖戦とは…。
大阪・天満橋から三十石船に乗り込んだ夢野幻十郎。彼は舳先に座っている二人連れの女に近づいた。17、8の娘と30前後の年増である。千人供養の第一番はこのどちらかに決めた…。色公卿・高倉色道軒の千人供養満願成就にケチをつけたのがキッカケで、自らも3年以内に千人の女と媾合う願をかけるハメになった幻十郎の色ごよみ。
連合国軍のシチリア上陸作戦は武蔵を旗艦とする第1艦隊を含む連合国艦艇の艦砲射撃から始まった。東海岸正面をモントゴメリー中将指揮の英第8軍が、それを支援する形でパットン中将指揮する米第7軍が中央部を担当し、山下中将指揮する第25軍は島の西部から山岳地域にかけてイタリア軍守備隊を撃破しながら、北部海岸の要衝パレルモを目指す。パレルモで米第7軍と合流した山下第25軍は、ドイツ軍中心の枢軸軍に苦戦している英第8軍を救援すべく、マレー戦で経験のある海上機動作戦を展開して…。
美女は自分の大切な日に柔肌を記念に撮りたがるらしい。脱サラしビデオスタジオを始めた野呂安彦に舞い込む話は、露出未亡人、失禁女優、変態令嬢、オナ女子大生たちの実演激写。ビデオライトに濡れ光る淫汗の谷間に野呂の股間も痛いほど恐張して、思わずズボンのファスナーに…。女たちのいやらしい性態をさらに淫らにさせる野呂の狂悦素股テクニック。
蛇目孫四郎は傭主の中野石翁に呼ばれ、書院に入ってゆくと、奉行所の与力に引き合された。与力は昨夜、孫四郎が夜盗を斬り伏せた手並から近頃江戸市中を荒し回わる夜盗の始末を頼みに来たのだった。渋々承諾した彼は夜更けの街で自分と同じ奉行所の手形を持ち、夜盗狩りを請負った浪人と出合って…。夜盗と浪人の両者の始末を狙う公儀に、孫四郎の醒めた炎がくすぶり出した。
屏風岩東壁基部で坂東真司の遭難遺体が発見された。彼は恋人の毛利晶子と屏風ノ頭で待合せすることになっていたのだが、行方が判らなかったのだ。遺体は頭部だけが割れていた。直登ルートをたどって落下した場合、最低二度は壁に衝突する。五体は満足でありえない。では壁の下の方で転落したのだろうか…。惨劇の裏に潜む温泉旅館の女将の失踪事件。
異常犯罪集団の狂気の毒牙。餌食にされる女豹軍団壊滅の危機。あの女が必要以上に逆らったから悪いんだー。フィギュアを削っている手を止めた川添がじっと美穂の写真に見入った。今まで憧れていた美穂の裸体が艶めかしく目に映っていた。
ハワイを目前にして、超大型台風のため、針路を南西に転じた南雲艦隊。だがそこはキンメル大将率いる太平洋艦隊の演習海域だった。この日米の遭遇戦により、両艦隊合せて空母7、戦艦10、重巡10を失った結果、共に、すぐには次の作戦は起こせなくなった。このタイミングを見計って、英国の首相・チャーチルは、講和を提唱する。独ソ両軍の中東への南下作戦阻止に、連合国側に組込んだ日本軍を利用するつもりなのだ。かくて本間中将率いる第9軍と、伊藤中将率いる大和、武蔵を中心とした第1艦隊は中東を目ざした。
デパートの外商部の係長・中条は得意先の社長令嬢・恵理子とホテルのベッドでセックスに励んでいた。彼女から、中条が死別した恋人に似ているということで、誘いをかけられたのである…。中条はさして男前でもなく、いたって平凡な顔立ちであったが、かえってそれが女性に警戒心を起こさせないからモテルのである。その上、彼は女性に対してこまめだった。
勝田慎一は学生時代に登った北アルプスのK岳の登攀に挑むことにした。ベルトコンベアに運ばれるサラリーマンの生活と夫を理解しようとしない傲慢な妻のいる家庭から脱出するのだ。長期休暇をとり、鈍った体を錬え直して岩稜や岩壁をアタックする。山小屋の主・深野周作の生命を賭けた支援のもと、パートナーと共に氷壁を登る男の試練とその意外な結末。
暴力団の膨大な資金源・闇試合。実力No1の裏チャンプと格闘技のスペシャリストの凄絶な死闘。金的を守るファウル・カップの使用は可。それ以外に身に着けられるのはパンツだけ。靴の使用も禁止。目を突く事も歯を使う事も、無論金的を攻撃する事も可。そして、制限時間無し、タオル投入も無し…。試合開始のゴングが鳴った。
津島恭が人妻の杉本千絵と会う気になったのは、テレホンセックスでの泣き声まじりの絶頂感に刺激されたからである。彼女がテレホンセックスでオナニーをおぼえたのは、夫がインポになったからだという。上品な装いで俯き加減に目を伏せ、きわどい冗談にも気恥ずかしそうに甘く睨んだりする千絵だが、性愛には貧欲に燃える…。夫と違う性技を求める人妻の性宴。
日本の傀儡国家から真の独立を謀る関東軍参謀の石原莞爾。彼は“最終戦争論”を称え、日本、満州、中国の三国が協力したとき、米国との戦争は可能だと説いた。そのため経済基盤と軍備を拡充すべく人口流入政策をとり、中国人、満州人、朝鮮人、そしてユダヤ人にも登用の場を与えた。だが日本軍部は満州の独立を阻止するため、新京と奉天の爆撃を宣言する。この緊迫する日満の隙を狙い、ソ連軍はソ満国境に軍隊を集結させた。北と南に敵を迎える石原莞爾の背水の作戦。
江戸の末期、利根川ぞいの縄張りを巡って笹川の繁蔵と飯岡の助五郎が激突した。繁蔵は平手造酒の応援を得て助五郎一派を蹴散らしたが、助五郎は十手持ち。関八州の役人を動かし笹川一家を潰しにかかった。「公儀を背にされちゃかなわねえ」繁蔵は逃げのわらじをはいた。向かうは江戸。だが繁蔵を待ち受ける女たちの妖艶な罠。繁蔵の胴太貫が舞い血飛沫が飛ぶ。