柿内園子は天王寺の技芸学校で徳光光子と知りあい、二人はやがて激しい同性愛におちいる。そして、ある事件を契機に夫の柿内も光子と…。上方言葉による女性の独白というスタイルで、女性心理の微妙な陰翳を写しとったこの長篇は、同性愛に託して人間存在の不安定性を見事に描き出している。