1985年発売
火星開発を司る“カンパニー”は、入植者たちの実情を無視した強引な植民計画を立案した。実施されれば、多数の死者がでることはまちがいない。計画を知ったジムとフランクは、これを阻止せんと奔走し、入植者たちの決起を促す。だがカンパニーの対応は素早く、彼らは学校の建物に追いこまれ、包囲されてしまった!局面打開の方法はあるか?巨匠ハインラインの初期名作登場。
ものにはそれぞれの形をした愛があります。けれどもそれは人間には見えない。人間がガラスを割っても、ガラスにとって、それはひとつの小さな変化に過ぎません。もの自体が幸福や不幸を感じるのではなく、辛いのはあなた、人間の心です。あなたが見ているのは本当は、ものではなく、あなた自身の心なのです。女の子をふんわりウキウキさせてくれる夢物語。
幼な子の昔、亡き母が唄ってくれた手毬唄。耳底に残るあの懐かしい唄がもう一度聞きたい。母への憧憬を胸に唄を捜し求めて彷徨する青年がたどりついたのは、妖怪に護られた美女の棲む荒屋敷だった。毬つき唄を主軸に、語りの時間・空間が重層して、鏡花ならではの物語の迷宮世界が顕現する。
本書には、闇の海から聞こえる奇妙な声が、キノコに覆われたとある島の怪異を語る傑作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビに呑みこまれた廃船などにまつわる海洋奇譚全七編に、“カーナッキ”シリーズの先駆「水槽の恐怖」を併録した。
タブッキの「インド夜想曲」、ヴェンダースの映画「リスボン物語」で紹介されたのをはじめ、ドゥルーズ、パスなど多くの知識人の高い評価を集めるポルトガルを代表する詩人の詩選集。
ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券ば持って居だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に…大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。
吉里吉里国の独立に日本国政府は仰天、自衛隊が出動し、国民の眼はテレビに釘付けとなった。防衛同好会が陸と空から不法侵入者を監視する吉里吉里国では、木炭バスを改造した「国会議事堂車」が国内を巡回、人々は吉里吉里語を話し、経済は金本位制にして完全な自給自足体制。独立を認めない日本国政府の妨害に対し、彼らは奇想天外な切札を駆使して次々に難局を切り抜けていく。