1985年発売
フランス革命によってヴェルサイユ宮殿の栄華は過去のものとなった。貴族たちは財産を奪われ、特権を剥奪され、次々と裁判にかけられる。王と王妃の処刑を要求する民衆の声は、日増しに高くなって行く。激しい愛を胸に秘め、フェルセンは王妃救出を必死に画策するのだがー。苛酷な運命の中、愛と優雅さとを失うまいとする悲劇の王妃の生涯を、円熟の筆に描き出す華麗な歴史絵巻。
火星開発を司る〈カンパニー〉は、入植者たちの実情を無視した強引な植民計画を立案した。実施されれば、多数の死者が出ることはまちがいない。計画を知ったジムとフランクは、これをを阻止せんと奔走し入植者たちの決起を促(うなが)す。だがカンパニーの対応は素早く、彼らは学校の建物に追い込まれ、包囲されてしまった! 局面打開の方法はあるか? 巨匠ハインラインの初期名作登場。解説=高橋良平
銀座のホステス萌子は、三年間で一億五千万になる仕事という言葉に誘われ、偽装結婚をするが、周囲の男たちが次々と不審死を遂げ……シリーズ一のヒロイン、佐和が登場する代表作。
愛の苦しみと女の新しい生き方をつづる長編初老の画廊主の誘う性の闇を振払おうと祇園祭の雑踏に立った亜紀は,山鉾を飾る絨毯の美しさに魅せられ,その夜芽生えた青年との愛を捨て憧れのペルシャに旅立つ
ものにはそれぞれの形をした愛があります。けれどもそれは人間には見えない。人間がガラスを割っても、ガラスにとって、それはひとつの小さな変化に過ぎません。もの自体が幸福や不幸を感じるのではなく、辛いのはあなた、人間の心です。あなたが見ているのは本当は、ものではなく、あなた自身の心なのです。女の子をふんわりウキウキさせてくれる夢物語。
幼な子の昔、亡き母が唄ってくれた手毬唄。耳底に残るあの懐かしい唄がもう一度聞きたい。母への憧憬を胸に唄を捜し求めて彷徨する青年がたどりついたのは、妖怪に護られた美女の棲む荒屋敷だった。毬つき唄を主軸に、語りの時間・空間が重層して、鏡花ならではの物語の迷宮世界が顕現する。
あのH・P・ラヴクラフトが多大な影響を受けた鬼才ホジスンは、異界への憧憬と恐怖を大海原に求めた。本書には、闇の海から聞こえる奇妙な声が、キノコに覆われたとある島の怪異を語る傑作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビに?みこまれた廃船などにまつわる海洋奇譚全七編に、〈カーナッキ〉シリーズの先駆「水槽の恐怖」を併録した。
「ピカソ、ジョイスら芸術家の特徴が 同時代の詩人に凝縮されている」と R・ヤーコブソンによって激賞された ポルトガルの生んだ代表的詩人ペソアの65篇の詩を編む。 現代人の「無力」をその根源まで見抜き、詩に定着させた作品。