1987年6月1日発売
1938年。下況の波は全世界を洗い、マクマホンの勤めるバーにも合理化が訪れていた。店長は安価な出来合いのカクテルを店に出すという。「ニューヨーク一うまいマテニー」がマクマホンの最大の誇りだのに(「モニュメント」)。ニューヨークを舞台に『夏服を着た女たち』の著者が贈る珠玉の短編集第2弾。
ハムレットを演じる名優・上杉夏也が舞台上から美貌の人妻・柏原絵美に投げた謎のメッセージ。演出家・松永連太郎は、その陰に絵美の一人息子の誘拐事件が存在すると知る。暗号を解かなければ、絵美の子は助からない…。推理界の鬼才が八つのトリックをちりばめて描く華麗な連作ミステリー。
“鋼の馬”=バイクは、若者のライフ&トラベルの手段ーそして、生命をあずけた“親友”でもある。それはライダーだけの特権だ。そんなバイク・ラバーのために、生粋のライダー作家が贈る、夢と冒険にあふれたロード・ライフ・ワールド14編。ビジュアル感覚いっぱいの、爽快なオリジナル文庫。
一般消費税導入を掲げた大原内閣が総選挙で大敗した昭和54年10月、赤坂の料亭“なかの”の奥まった一室で、数人の大蔵省エリート官僚が息をひそめて謀議をこらしていた。カラッポになった国庫をどうするか。防衛、食管、人勧、福祉ー。α作業とは、そして問題を一挙に解決するオペレーションDとは何か?経済サスペンス問題作!
モモちゃんとアカネちゃんは、ママといっしょに新しい家にひっこしました。ねこのプーもいっしょです。赤ちゃんのアカネちゃんは、森のくまさんの家にいったり、おおかみと遊んだりします。小さくすなおな心が、あたたかい思いやりのなかで成長していくさまを描いた名作「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズの第4作。
島原・天草の大乱を鎮めた家光は、遂に鎖国断行に踏みきる。一方で寛永御前試合など、家光らしい政治アイデアも次々と実行されていく。悩みの種は春日の局、世継ぎのないことを案じて側室を迎えるよう強く迫ってくるのだ。“生まれながらの将軍”の役割を果たしていく家光の円熟期を描く。
春日の局、天海大僧正、柳生宗矩らの補佐役を次々と失った家光のまわりに、不穏な動きが生じていた。由井正雪を総軍師に、幕府転覆の大陰謀(慶安の乱)が、紀州頼宣をも抱きこみながら、着々と進められていたのだ。絢爛たる寛永時代を演出した三代将軍家光が、終焉に迎えた苦悩の完結篇。
公武合体は一応はなった。が、血なまぐさい事件は相変わらず続く。京都では寺田屋事件、関東では生麦事件!その騒然たる世相につけこんで、列強各国の開国要求はいよいよ急である。そうしたさなか将軍家茂が倒れ、つづいて孝明帝も崩御。若き睦仁親王(明治天皇)の双肩にのしかかる国家存亡の危機!
一年あまり離れていたあとぼくは、ベルギー人女性マルレーヌとアントワープで再会し、結婚した。やがてマルレーヌは身ごもるが、しだいに気持ちが不安定になり乱れ始めた。-愛と真のコミュニケーションを求めながら、自由への意識と結婚観の相違から傷つき破綻する青春の彷徨を描く青野聡の野心的長篇小説。
学生街のビリヤード場で働く津村光平の知り合いで、元サラリーマンの松木がある日突然何者かに殺された。「俺はこの街が嫌いなんだ」という謎の言葉を光平にのこして…。さらに第2の殺人が密室状況で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向へ展開してゆく…。